177-衆-内閣委員会-5号 平成23年04月13日
○浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。
最初に、福島第一原発の件について、幾つか技術的なこと、そして政策的なことを伺っていきたいと思います。
昨日、レベル5からレベル7に引き上げたということでありますが、まず、このことについての事実関係も含めた確認をさせていただきたいと思います。
原子力保安院は三十七万テラベクレルだろうというふうに推測をされておられまして、原子力安全委員会は六十三万テラベクレルだろうというふうに推測をしています。数字が大きな値で、倍近く違っているということについて、普通の、全く原子力の専門家でない人からすると、かなりそこに不安を覚えるのではないかなというふうに思います。
まず、そもそも原子力保安院がこの三十七万テラベクレルという数字を得た経緯というか事実を確認させていただきたいと思います。
もともとの数値は東京電力が現場ではかっています、それを原子力安全基盤機構というところが解析をして、原子力保安院は解析結果に対して判こを押している、お墨つきを与えているということで、原子力保安院として、何かそこに、付加価値というとあれですが、チェックをするということが名目になっていますが、実態的に何か作業をされているかどうか、その点について伺いたいと思います。
○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
原子力安全・保安院といたしましては、東京電力の方から原子力発電所のプラントのデータについて入手をし、それについて、原子力安全基盤機構の方で、具体的に、そのデータをもとに、原子炉の中でどのような形で事象が進展をしていったのかということを解析しております。そして、そういった解析結果を保安院の方として入手をいたしまして、その解析結果が具体的な事象の進展あるいは東京電力がとった措置との関係において妥当であるのかどうかということを検証した上で、先ほどおっしゃられましたその数字についての妥当性というのを確認してございます。
〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕
○浅尾委員 これは現在の事象についての話ですけれども、内閣委員会ということで、行政のあり方ということも考えますと、では、原子力保安院がどういう役割を果たしているのかなと。要するに、原子力安全基盤機構が数値を出しているのであれば、もう一つ屋上にいる意味というのがどういうところにあるのかなということについてお答えいただけますか。
○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
原子力安全基盤機構の本来的な役割としては、原子力安全・保安院の技術的な支援組織でございます。そういった意味で、現場の方から、事業者の方から得られた生のデータにつきまして、具体的にそのデータを用いまして、炉の進展状況でありますとか、それを用いて、将来的に事象がどういうふうに進展をしていくのかということを解析いたします。
そういった解析結果の妥当性について、我々としては、事業者からのデータ、その他、行政上行ってきた、いろいろな組織との関係で、その妥当性というのを確認している、そこに保安院としての役割があるというふうに思っております。
○浅尾委員 この機構のあり方については、また別途やります。
次に、原子力安全委員会は六十三万テラベクレルという数字になっています。これは、要するに独自にデータを集めている。つまりは、原子力保安院の方は、原子力安全基盤機構が東京電力から生の数値をもらってそれを解析した、原子力安全委員会の方は、独自に空気中その他にある放射性物質を解析して六十三万ベクレルという数値を得たという理解でよろしいかどうか、端的にお答えください。
○久木田参考人 御指摘のとおり、原子力安全委員会におきましては、文部科学省において取りまとめられました地上におけるモニタリングデータを用いまして、御指摘の数字を取りまとめたということでございます。
○浅尾委員 これは、まずは科学技術の専門家に伺った方がいいのかもしれませんが、後で官房長官にも伺います。
テラというと片仮名ですけれども、京という数字なんですね。兆の上の京という数字で、その京という単位において倍近く違っているということが、普通の素人からすると、どっちの数字が正しいんだろうということになるわけです。
まず、これは、科学技術的なことについて、両方可能性があるというお答えになるのかもしれませんが、どういうふうにわかりやすく国民に対してその違いを説明されるつもりですか。
〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
私どもの方の試算に当たりましては、原子炉の状態の解析結果というところから、大気への放出物質の総排出量を推計いたしました。一方で、安全委員会の方につきましては、先ほど委員長代理の方からお答えなさったとおりでございます。
両試算につきましては、当然のことながら、根拠それから条件というものが異なっておりますので、おっしゃいましたような形で想定放出量に倍近くの差異があるということは事実でございますけれども、やはり、今現在におきまして、発電所からの直接的なデータというものも限られていることも考え合わせますと、オーダーとして同程度ということであれば、ある程度やむを得ない範囲なのかなというふうには思っております。
いずれにしましても、これから計測計のデータ等も出されてくるかと思いますので、そういったものを用いまして、より精度の高い評価につなげていきたいというふうに思っております。
○浅尾委員 官房長官に伺う前に、もう一点、事実関係を聞いておきたいと思います。
この三十七万とか六十三万という数字は、何もきのうとかおとといに出てきたわけではなくて、少し前にはわかっていたということだと思いますが、それをきのうの段階で保安院として発表した理由は、どういう理由ですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
この総排出量の試算につきましては、相当程度のデータが蓄積された段階でできるというふうに思ってございます。原子力安全委員会と原子力安全・保安院でございますけれども、これまでに蓄積されたデータというものをそれぞれの手法で、現段階で一応の試算値が出せるようになったということでございます。
また、二つの異なった指標によります試算結果を照らし合わせることによりましてクロスチェックをするということも必要でございましたので、そういった意味合いにおきまして、現時点で総放出量の試算というのが公表できたということでございます。
○浅尾委員 事実関係はそういうことだと思いますが、多分、二つ、一般の国民あるいは海外からも不安に思われることがあるんだと思います。
一つは、レベル5と言っていたのがレベル7だったと。要するに、悪かったのが少し下がるというのであれば印象としていいのですが、少し低い数字が上がるということは、かなりこれはいろいろな意味で、ひょっとしたら実態とかけ離れて、さらに悪い印象を与えることになるかというふうに思います。
それから、先ほども申し上げましたように、三十七万と六十三万という、そもそもその数字がそれぞれ、推測ですけれども、倍近く離れているということについて、きのうの発表になったけれども、国民あるいは外国に対しても、大丈夫なんだという何かそういうメッセージを官房長官に発していただけると日本としてもいいんじゃないかと思いますので、何か発言をいただけますか。
○枝野国務大臣 お尋ねありがとうございます。
何度か申し上げておりますが、大変大事なポイントだというふうに思います。
原子力安全委員会については大気中の放射性物質や放射線量に基づいて、そして原子力安全・保安院については、なかなか直接的データは少ない中でありますが、原子炉の状況に基づいて、それぞれ試算をしていただいたものでございますが、それらのもとになっているデータはこの間公開をし、またそれらのデータに基づいて、原子炉に対する対応、周辺住民の皆さんに対する対応を判断してきているところでございます。
したがいまして、推算をした結果こういう数字になるもとになっているデータに基づいて対応してきておりますので、今回の放出量の推定結果にかかわらず、従来の対応がこのことによって変わるものではないという性質のものであります。
そして、まさに原子炉から直接出た量を測定できないという状況の中で、できるだけ早く、しかもきちっとした推算をして、出す以上は、思ったよりも少なくてよかったねならいいんですけれども、万が一、出した数字よりも実際は高かったというようなことはできるだけ避けなければならないという中で、しっかりとした積算、推算をして、そしてそれに基づいて対応するということで、それについては、正確に言いますと、おとといの夕方、私のところに、こういうことでほぼ確からしいということで出てきたんだということで報告がございまして、さらに精査をした上で、昨日の午前中に公表したというものでございます。
なお、両者の数字が違っていることについては、今申しましたとおり、ある意味、積算の推測のやり方が全く逆方向からのアプローチでございますが、それについて、十万単位ということでは一致をしているということで、ずれていることについて一般の皆さんからは御心配等もあろうかというふうに思いますが、逆に、こうした数字の違いそのものも含めて、出てきたものについてはしっかりと公表するということで、透明性を確保するべく全力を挙げているということで、長い目で見たら御理解いただけるのではないかというふうに思っております。
○浅尾委員 一点だけ、最後に事務方に伺います。
六十三万という高い方の数字は外部で集積されたものからの推測、低い方は原子炉の状態からの推測ということなんですが、外部で積算されたものの方が高いということは、そもそも原子炉の状態が本当に見ているとおりなのかどうかという疑問を生じさせると思うんですが、持っておられる情報で原子炉の状態は間違いないということは言えるわけですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
私どもの数字につきましては、原子力発電所の一号機から三号機までについての状況をもとに算出してございます。一号機から三号機までにおけます事故の進展状況というのを具体的に解析いたしまして、そしてまた対応措置というのを考慮した上で積み上げてございますので、そういった意味におきまして、原子炉の状況については、その得られるデータの範囲の中で把握をしたものでございます。
○浅尾委員 聞いても同じなので。
国民に安心していただくためには、原子炉の状態は推測値が違うけれども大丈夫だというようなことをできれば説明していただいた方がよかったんじゃないかなというふうに思います。そのことを指摘だけさせていただきます。
それで、原子力安全委員会の担当大臣は松本大臣でございます。今政府の方で、この震災を踏まえて大臣の数をふやすという議論もありますけれども、では、原子力安全委員会担当の松本大臣として、今具体的にどういうことを原子力安全委員会に関してやっておられるかだけ伺いたいと思います。
○松本(龍)国務大臣 三月十一日の地震、津波発生以来、原子力の事故があって大変厳しい状況の中で、原子力安全委員会は五名の常勤の委員がおられます。また、緊急事態応急対策調査委員という方が十数名おられますけれども、専門委員あるいは外部の協力者等々を含めて、収束ができないような状況の中で、しっかり日本国じゅうの知見を集めるようにという指示をいたしたところであります。
○浅尾委員 では、次の質問に移らせていただきます。
自主避難というのがございました。二十キロ―三十キロの間の方は屋内退避あるいは自主避難ということになっておりましたけれども、これを今度、計画的避難区域と緊急時避難準備地域に定めたというふうに発表がありましたが、この発表そのものは、原子力災害対策本部が原子力安全委員会の助言を踏まえてそういう発表をしたという理解でよろしいですか。
○枝野国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○浅尾委員 ですから、今、四段階、何にも避難しなくていいところも含めると五種類の地域があるということになりますが、そういう理解でよろしいですか。
○枝野国務大臣 今まさに、従来の指示から移行期間中でございますので、その部分をどう数えるかでございますが、新しい指示に基づけば、避難をしていただく避難地域、それから、緊急時に避難をしていただくための準備をした上で一定の方々が生活していくことは大丈夫ですという二十キロから三十キロの大部分の地域、そして、計画的に避難をしていただきたいという地域、そして、それ以外の地域と、四つになろうかと思います。
○浅尾委員 五つと言ったのは、二十キロから三十キロの中でも、計画的避難区域にもならず緊急時避難準備地域にもなっていないところがあって、そこは引き続き屋内退避だという理解ですけれども、そういう理解でよろしいですか。
○枝野国務大臣 ここは、実は、今回は、かなり放射線量の測定のモニターなどもいろいろな地域でできるようになってきておりますし、必要に応じて緊急にやるということもできるような体制になっておりまして、今、地元の自治体等とも御相談をして、その放射線量を前提にしながらも、市の、地区のある部分だけが二十キロ―三十キロに入っている部分、幾つかのところについては、緊急時の避難準備区域でなく、一般の、普通の地域にしてしまっても大丈夫かどうか、最終的な詰めをしている、こういうことです。
○浅尾委員 なぜこういうことをいろいろと聞いているかというと、まず、自主避難地域には、一時期、物資がなかなか入らないという問題もありました。あるいは、屋内退避だと言われて、では、どっちなんだということで、かなり住民の皆さんが混乱をされたということもありましたので、そうすると、今度は、その二十キロ―三十キロの間で、全く大丈夫ですよというところもできる可能性があるという理解でよろしいですか。
○枝野国務大臣 その可能性、できるだけ、安全性さえ確保されれば、全く普通にしていただいて結構ですという地域にできた方が望ましいとは思っておりますので、最後の安全性の詰め、これは、最終的には地理的条件とかいろいろなこともありますので、地元とも御相談をしながら詰めをさせていただいているということです。
○浅尾委員 そこから次の質問に移ってまいります。
きょうは池口副大臣にもお越しいただいておりますけれども、まず、自主避難であったところになかなか物資が入らなかった。物資が入らないところについて、きのう、国土交通省からのレクでは、三十キロ地点に物資を置いてそこから自衛隊に運んでもらっているというような話もありました。
あるいは、これは後ほど片山大臣にも伺いますけれども、地元の自治体の首長さんが地元の運送会社に頼んで、志願をしてもらって乗り合いタクシーのようなものを動かしていたというような話でございましたけれども、よくよく法律を読んでみますと、例えば、道路運送法という法律を読むと、八十四条に、輸送命令というのが出せるというふうになっております。
それを読み上げますと、「国土交通大臣は、当該運送が災害の救助その他公共の福祉を維持するため必要であり、かつ、当該運送を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、一般旅客自動車運送事業者又は貨物自動車運送事業法による一般貨物自動車運送事業者に対し、運送すべき旅客若しくは貨物、運送すべき区間、これに使用する自動車及び運送条件を指定して運送を命じ、又は旅客若しくは貨物の運送の順序を定めて、これによるべきことを命ずることができる。」ということが書いてあって、その二項に、「前項の規定による命令で次条の規定による損失の補償を伴うものは、これによって必要となる補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額を超えない範囲内でこれをしなければならない。」ということが書いてあります。
政府の方で、自主避難とか、あるいは今度の計画的避難で、もしバスでそういった地域の住民の皆さんに移動していただくのであれば、この輸送命令を出した方がいいだろうと私自身は思うんです。
なぜかというと、二項に損害の補償というのが入っていまして、事業者からすると、政府の命令によって人あるいは物を中に入れる、中の方を避難させるということで、短期的にそこの地域に入ったところで実態的にはどうということはありませんが、この輸送命令が出れば、実際に運転される運転手の皆さんも、万が一のときには損失の補てん、健康被害が出たというようなこともそこで見えると思います。
逆に言えば、政治の責任において事業者にそういうことを依頼したということが読み取れるわけでありますから、今の計画的避難地域の方を出す、あるいは緊急時避難準備地域に物を入れるなどの事業者にはそうした輸送命令を出したらどうかなというふうに思いますが、その点について、まずは、所管の池口副大臣に伺いたいと思います。
○池口副大臣 私の方から、道路運送法による搬送命令を出すことについてのみお答えをしたいというふうに思っております。
この中身については、委員が説明していただきました。運送を行う者がない場合もしくは著しく不足する場合には命令することができるということになっております。
その上で、現状はどうなっているかということで、確かに、委員が御指摘のように、以前は、三十キロのところまでは民間が行くけれども、三十キロから二十キロのときは自衛隊が運ぶという事例がありました。ただ、福島県知事等からもいろいろ要請をいただきながら、民間の人にお話をして、今はそれは大分改善をされております。
具体例を言いますと、南相馬市内でのコンビニ業者の配送についても、荷主の手配により一部のトラック業者において対応をしております。さらには、支援物資の輸送についても、地元の業者が対応をしております。そして、避難輸送についても、民間バス事業者も従事をしております。
ということで、改善がされているという状況を踏まえて、我々としては、現時点では搬送命令を発する状況にあるというふうには考えておりませんが、状況が変わった場合には、また別途、それなりの検討はさせていただきたいというふうに思っております。
○浅尾委員 事実関係の説明は池口副大臣のとおりかもしれませんが、形として、県の知事さん、あるいは市長さんが民間の事業者にお願いをする、依頼をするという形よりも、法律がありますから、その法律に基づいてやっていただく、その結果の責任は国がとりますという方がより安心度が高いのではないかなというふうに思いますし、より責任の所在が明らかになるんじゃないかなと思います。
その点について、官房長官は、法令解釈もされるということでしょうし、内閣の官房長官ですから、むしろ政策論、政治論として、今の、輸送命令を出して、命令と言うとちょっと仰々しいんですが、責任の所在を明らかにして運んでいただくということについてどう考えられるか、伺いたいと思います。
○枝野国務大臣 お伺いをしておりまして、一つの考え方だなと思いながら伺っておりました。
ただ、ここまでの間は、特に原子力、放射能ということでもございますので、関係者の皆さんも安全性について大変強い関心をお持ちでございました。そうした中であるだけに、しっかりと御説明をして、御理解をいただいて、そして、危険がそんなに大きいものではないんだという御納得をいただいて対応していただくことの方が望ましいという思いで、命令等については、国土交通省に対しても具体的な指示などは出してきておりませんでした。
逆に、かなりいろいろなことを御認識いただいて、特に計画的避難区域などに一時的に入ることについては心配ないんだということが関係者の皆さんにも共有がされれば、今おっしゃられたように、いずれにしても、何かあったときには国が責任を持つという前提でやってきておりますが、そのことの裏づけとして考慮をする余地はあるのかなというふうに思っております。
いずれにしろ、関係者と相談をさせていただきたいと思います。
○浅尾委員 片山大臣に来ていただいておりますのは、大規模な災害、大規模でなくてもそうかもしれませんが、災害のときに実際に陣頭指揮を現場でとられるのは市長さんであり知事さんということになると思いますが、この道路運送法によりますと、その輸送命令が出せるのは大臣ということになっています。
これは、将来的な課題として、その命令を出す権限というか、その法律を、災害時に市長や知事にその権限を委任できる仕組みをつくった方が、場合によっては、今回のケースでいうと相馬の市長さんがタクシー会社に頼んで乗り合いバス的なタクシーをつくったということでありますけれども、結局、どうも私が聞いている話によると、大きな会社よりもどっちかというと小さな会社の方がそういう場合に協力をしやすいということのようですけれども、会社の大小関係なく協力ができる、あるいは協力するときに責任の所在がはっきりするという意味で、ここの国土交通大臣はそういうことを命ずることができるというところ、地方分権という観点から、災害時においては地方のそれぞれの自治体のトップにその権限を委任するということについてどのように考えられるかということを伺いたいと思います。
○片山国務大臣 私も県の知事をやっておりました経験からいいますと、緊急時にそういう法的な権限が明確に備わっているというのは一つのやり方だろうと思います。ただ、これも経験から言いますと、突発的なときに急に権限を行使するというのは、日本の社会ではなかなかうまくいかないのではないかと思います。
今回のケースでいいますと、陸運行政について自治体がどういうかかわりをしているかということと関係が深いと思いますので、この権限移譲の問題を論ずる場合には、むしろ平時の陸運行政について、そのあり方をあわせて検討する必要があるだろうと思います。
○浅尾委員 多分、私もそうだと思います。もっと言うと、例えば、どこにバス停を置くのかといったようなことも含めて、一番わかっているのは市長さんであり知事さんですから、平時からある程度、権限を持っている、その信頼関係の上で、いざというときの責任は市長あるいは知事がとる、あるいは行政としてとるという観点で輸送命令が出せるように変えた方がいいのではないかなというふうに思います。
そろそろ時間ですので、ぜひ内閣として、平時それから災害時あわせて、そうした緊急時にも機能するような形で、実態に即したような形で権限を移譲することを検討いただけないかと思いますが、その点について、どちらかお答えいただきたい。
○片山国務大臣 私、地域主権改革担当大臣としまして、こういうことも含めて、現在、国に属しております権限を自治体に委任をする、ないし移譲する、そういう作業をやっておりますので、その中の一つの項目に取り上げたいと思います。
○浅尾委員 終わります。
(中略)
○大島(敦)委員長代理 次に、浅尾慶一郎君。
○浅尾委員 平成二十三年度の第一次補正予算がこれから議論されることになろうということでありますけれども、その第一次補正予算はもちろん震災復興ということでありますけれども、それと関連して税の議論も出てくるということで、与謝野大臣に幾つか伺っていきたいと思います。
まず、政府として、この震災が日本経済にどういう影響を与えるのかということから伺ってまいりたいと思いますが、内閣府、まさにこれは与謝野大臣の所管のところだと思いますけれども、内閣府の推計ですと、建造物と機材の倒壊、消失に伴う損失額というのが大体十六兆から二十五兆というふうに発表されております。阪神・淡路のときが九兆六千億から九兆九千億ということですから、その倍ないしは倍よりも大きいという推計を内閣府が発表されております。
それから、今申し上げたのはあくまでも建造物と機材が損失した直接の被害額ですけれども、その損失とは別に、今回もそうですし、阪神・淡路のときも、しばらくの間生産活動がとまるとか、あるいはいろいろな理由で売り上げが減るといったようなことで、それが阪神・淡路大震災では七兆円という推計があったそうですけれども、内閣府の今回の十六兆から二十五兆というのと阪神・淡路のときの九兆六千億から九兆九千億を、その七兆との比較でいうと、間接的な被害額というのは大体十一兆から十八兆ぐらいになるだろうというふうに推計ができるわけであります。
加えて、多分、阪神・淡路との大きな違いは、今回は電力が少なくとも三月中は計画停電でなかなかフルには使えなかった。それから、夏に向けては二五%の削減ということになりますから、電力が経済に大きな影響を及ぼすだろうということが予想できるわけです。
まず、与謝野大臣は、経済財政担当として、この震災が経済に与える、今申し上げた直接、間接的なことも含めて、そして上期、下期まで見据えた上で、どういう影響があると今判断されておられるかということを伺いたいと思います。
○与謝野国務大臣 全体像がまだわかっておりませんが、直接的な被害、ストックの毀損、損傷というのは十六兆から二十五兆ぐらいだと推定されております。
そのほかにいろいろ経済にマイナスの要因になりますのは、あそこはいろいろなものの生産拠点でもあったわけですから、やはりGDPには最小でも、あの地域だけでマイナス一%ぐらいの影響があるだろうと。それから、日本全国に引き伸ばして考えますと、あの地域でつくっている部品等が必要な産業が幾らもありまして、典型的な例が自動車等がございますが、ここでの生産が停止している、あるいは減少するという予想があります。
それから、原子力発電の直接の被害、これも考えなければなりませんし、また、原子力による風評の被害というのは、国内だけではなく国際的にも広がるということを我々は懸念しなければなりません。
それともう一つは、国民が自粛という形で被災地の皆様方の立場を考えて行動されておられますけれども、これも余り長く続きますと消費という面からは日本の経済にマイナスの影響を与えるということでございますが、専門家の意見をお伺いしますと、震災直後数カ月はマイナスであるけれども、年末から来年の年初にかけては日本の経済は力強く復興していくだろうというお話を伺いますので、そういうお考えに今大変勇気づけられているところでございます。
○浅尾委員 ぜひ、震災からの経済的な影響がそう長くならずに、その後の復興によって力強く回復してもらいたいと私自身も願う一人でありますけれども、多分、震災からの回復のためのボトルネックといいますかネックは、一つは、その地域でつくられている部品がどう回復するかということ。東北地方でつくられている部品が、今まさに大臣がおっしゃった、自動車等に使われる部品がどう回復してくるかということだと思います。
もう一つ大きなのは電力ですね。電力が、夏場のピークで千五百万キロワットが不足と言われています。五百万キロワットは新規の供給力増強ということですが、この一千万キロワットの需要抑制というのは、まさに今おっしゃった消費抑制にも、あるいは生産抑制、生産の方はうまく調整すればできるかもしれませんが、消費抑制になると、かなりそこは影響が大きいのではないかというふうに思います。
そういう中にあって、この第一次の補正予算、今四兆円という規模で考えておられるということでありますけれども、その補正予算自体は経済にもその範囲においてはもちろんプラスになるということですが、経済にプラスになるためには一つ条件があって、補正が、四兆円出ていくのが真水で出ていく。要するに、どこかを崩して、あるいはどこかで負担をふやしてということになると、ネット、経済に出ていく需要ということでいうと変わらないということになりますから、その点についてどういうふうに考えておられるのかということをこれから聞かせていただきたいと思います。
今回の第一次補正予算の検討中の中身の中に、年金の国庫負担率が、これは税と社会保障御担当ですからまさに大臣の御担当のところだと思いますが、御案内のとおり、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる部分の財源として二兆五千億を、いわゆる旧国鉄の債務の残りの埋蔵金的なものを充てるということで当初予算では組まれていた。この債務の残りの埋蔵金をこちらに回すということになると、年金財源の部分の三分の一から二分の一部分がとりあえずは足りなくなるということなんですが、とりあえず足りなくなっても、これ自体は別にことしの年金の支給額に影響を与えるということではないので、そのまま走るのか、あるいは、例えば平成二十四年度に予定されていた税制の抜本改革を早めるのか。
税制の抜本改革を早めるということは、要するに税を上げるということですけれども、需要不足の中で税を上げれば、これは景気に冷や水をかけるということはだれが考えても明らかなので、その辺を大臣としてどういうふうに見ておられるのかということと、どういうふうにコントロールされたいのかということについて伺いたいと思います。
〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕
○与謝野国務大臣 まず、国民年金法に何が書いてあるのかといいますと、国がこれに入れるお金を三分の一から二分の一に引き上げると。これは約二兆五千億かかるわけですけれども、この法律には実は条件が書いてありまして、安定財源を求めて三分の一から二分の一にするということが書いてあります。
したがいまして、過去二年間それをやってまいりましたけれども、これは決して安定財源を求めて二兆五千億にして、それを入れたわけではありません。ですから、問題は二つありまして、ことし入れた分を補正に使うという問題と、安定財源を求めないで三分の一を二分の一にしていいのかどうかという問題が実は両方あるわけでございます。
一つの考え方は、震災対策は喫緊の課題であるから、ことしは補正の中でそういうことを流用することは許されても、やはりなるべく早い時期に安定財源を求めるということが政府や国会の義務であろうと思っております。
加えまして、税法の附則百四条には、二十三年度中に税制の抜本改革の法的整備をするということを書いてございますので、少なくとも政府に課せられている課題は、法的整備をするための準備をして、国会に御審議をお願いすることだと思っております。
○浅尾委員 今の一番最後に御答弁いただいたことについてちょっと確認をさせていただきたいんですが、大臣としては、この震災ということがあってもなくてもという言い方がいいのかどうかは別として、二十三年度中に、法律に書いてあるので、その準備をしたい、していく覚悟だということですか。
というのは、先ほども申し上げましたように、震災による、少なくとも半年、多分一年ぐらいは経済の落ち込みというのが見込まれる。それに対して、いろいろな復興のための補正予算でそれを返していくということは考えられると思いますが、その落ち込みが見込まれるという異常事態の中でも、当初の計画どおり今年度中に、税制の抜本改革ということは、すなわちその分の負担増。
ただし、それは社会保障ですから震災とは関係ないということでいえばそうですけれども、国民からすると、景気が落ち込んでいる中で税が上げられるということでいうと、取られる側からすれば一緒ということなんですが、それは震災と関係なくやっていくことをしたいというふうに大臣としては考えておられるという理解でよろしいですか。
○与謝野国務大臣 法律に書いてありますことは、法的整備をやれという命令を法律が下しているわけですから、政府がやらなければならないのは、いつから税をどうするかということは別にしまして、抜本改革の名にふさわしい税制改革案を国会に提出するというのが政府に課せられた法的な義務だというふうに考えております。
○浅尾委員 確認ですが、確かに法律にはそう書いてありますね。ただし、政治はもちろん、法律はその当時予見していなかったことも踏まえて動いていかなければいけない。当時、まさにこんな大きな震災があるということを予見していなかったわけですけれども、震災があっても、法律に書いてあるとおり、これは抜本改革をするべきだと。今、最後に言われたことで、そういうことだと思いますけれども、そういう案を出す用意がある、出したい、出さなければいけないし出すべきだと考えておられるかどうかということの確認だけ最後に求めたいと思います。
○与謝野国務大臣 国会が法律という形で別の意思を決められる場合にはそのようなことはいたしませんけれども、現在のところ生きている法律に基づいて政府が行動するとすれば、法的整備をする、そのための法案を作成して国会の御審議をお願いするということが政府に課せられた責任であると思っております。
○浅尾委員 終わります。