行政機関が行う政策の評価に関する法律案について他
平成13年6月13日 参議院本会議
浅尾 慶一郎

私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいまの政府提出に係る行政機関が行う政策の評価に関する法律案について、関係大臣に質問いたします。

質問に入ります前に、大阪教育大学附属池田小学校における痛ましい事件について、被害に遭われた児童、御家族、御遺族並びに関係者の皆様に対して心からのお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。

さて、本法律案は、中央省庁等改革基本法に係る国会における附帯決議に基づいて内閣より提出されたものであり、政府の政策評価の客観的かつ厳格な実施を通して、その結果の政策への適切な反映を図ることにより、効果的かつ効率的な行政の推進を目指すものであり、民主党の重点政策の一つである財政構造改革とその方向性を同じくするものとして、一定の評価をしています。

しかし、改革とはかけ声ばかりであって、その実態は看板のかけかえにすぎなかったという声が、この永田町、霞が関かいわいで少なからず聞こえております。また、仏をつくって魂入れずがごとく、せっかく法律や制度をつくっても、その後の運用が不十分であるがために、予算や人員がむだになっているということもよく耳にする話です。

そこで、私は、今回の法律案による政策評価制度が、単なる看板のかけかえにすぎないものなのか、あるいは制度ができ上がったら政府内で十分活用していただけるのかという2つの観点から質問をさせていただきたいと思います。

まず、今回の法律案による政策評価制度については、法律案に目を通しましたところ、従来から行われていた旧総務庁の行政監察制度、これの名称を変えただけ、すなわち看板をかけかえただけではないかという疑問を私は抱いております。

従来の行政監察制度は、旧総務庁が各省庁の行政を客観的に評価し、勧告や報告書の形で国民の前に明らかにすることにより、行政の有効性や効率性を確保しようとするものでした。

もちろん、そうした行政監察制度の趣旨は高く評価されるところですが、問題はその実効性にありました。すなわち、せっかく行政監察の勧告なり報告書が公表されても、そこに政府を拘束する法的な効力がなかったものですから、言いっ放し、やりっ放しの監察となり、しり抜け監察とやゆされるような実態であったわけです。

今回の行政評価制度が、その実態においてやはりしり抜けのものであっては、行政監察の名前を変えただけであり、まさに看板のかけかえにすぎないことになり、大変残念な制度であると言わざるを得ないことになります。

そこで、総務大臣にお伺いをいたします。総務省としては、従来の行政監察制度の問題点をどのように把握されていたのでしょうか。そして、どのような反省に立って、どこをどのように改善したのが今回の政策評価制度なんでありましょうか。

従来の行政監察制度と比べてどんなに立派な制度になったのか、十分な実効性が期待できる制度になりましたということを、総務大臣、具体的にわかりやすい言葉で国民の前に明らかにしていただきたいと思います。

また、従来の行政監察制度は、役所の縦割り行政の中で、行政監察はあくまで総務庁の使う物差しであって、旧大蔵省は大蔵省で、予算編成においては大蔵省独自の物差しを使って政策の評価を行い、予算の査定をしていくという政策評価の物差しの使い分けが行われ、その結果、効率性や実効性という視点よりかは、族議員の声の大きい分野に予算が配分されるという国民生活の実態からかけ離れた悲しい実態がありました。

そこで、財務大臣にお伺いいたします。財務省としては、今回の政策評価制度を、予算編成の中でどのように活用していくおつもりですか。今回の行政評価制度の創設によって、予算編成はどのように変わるのですか。相変わらず族議員の声の大きい分野に予算が配分される実態が変わらないということであれば、せっかく政策評価制度をつくっても、従来の行政監察の看板のかけかえになってしまうのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

昔のこともよく思い出していただいて、明確なお考えを国民の前に明らかにしていただきたいと思います。

さて、従来の行政監察制度と今回の政策評価制度、どこがどう違うのかという観点から質問をさせていただきました。

次に、せっかくつくる制度なんだからしっかりと魂を込めていこうじゃないか、そんな観点から質問をさせていただきたいと思います。

まず、この政策評価制度では、政府が基本方針を策定し、行政機関の長は政策評価の基本計画をつくって政策評価をすることになっておりますが、具体的な評価方法については法律案では明らかにされておらず、政策評価というもののイメージがわきにくいものになっています。

そこで、総務大臣、例えば、公共事業についてはどのような形で政策評価がなされることを想定されておられますでしょうか。また、どのような場合に、関係する行政機関の長、公共事業の場合であれば国土交通大臣に対し、改善の勧告をしていかれることになるのでしょうか。わかりやすく具体的に明らかにしていただきたいと、このように思います。

また、公共事業などは政策評価制度による客観的な評価がなじみやすいと思いますが、問題となっている官房機密費についてはどうでしょうか。

そこで、総務大臣、官房機密費についてはこの政策評価制度の対象となるのでしょうか。法案を読みますと、どのような事柄を政策評価制度の対象とするかは行政機関の長の判断に任せられているようにも思われますが、内閣官房の方で官房機密費は政策評価制度の対象とはしないということであれば、総務大臣は泣き寝入りということになってしまうのでしょうか。

今回の政策評価制度と官房機密費との関係について、総務大臣、わかりやすく明確にお答えください。

また、官房長官、長官は内閣官房の仕事ぶりについてもなるべく国民に明らかにしていこうという御意向を持っておられるように伺っておりますが、もしそのような意向であるとするならば、官房機密費についても政策評価制度の対象とし、国民に対する説明義務を果たされるべきだと考えております。

官房長官、官房機密費を政策評価制度の対象とされるお考えはありますか。また、官房長官は、今回の政策評価制度の創設をどのように受けとめ、国民にわかりやすい内閣官房の制度の改善にどう取り組んでいかれるおつもりでしょうか。国民にわかりやすく御説明いただきたいと思います。

そして、さらに官房長官にお伺いをいたします。今回の政策評価制度は、法律案には具体的な規定が少なく、制度を生かすも殺すも内閣全体としての取り組みにかかっているような気がいたします。

そこで、官房長官に、聖域なき構造改革のため、政策評価制度をどのように御活用されていくのか、小泉内閣としての御決意のほどを国民にわかりやすく御説明いただきたいと思います。

また、官房機密費もそうですが、特に、福祉や女性の地位向上のための政策など、客観的な政策評価になかなかなじまないけれども、国民にとって大きな意義を有する政策が少なからず見られます。こうした分野の政策については、政策評価を行えば、場合によってはその評価が低いものとなり、ややもすれば予算の削減の対象にもなりかねないものと心配をしております。

こうした福祉や女性の地位向上など、政策の評価の対象となりにくい分野、対象となっても評価が低くなってしまいそうな分野について、どのような物差しをもって構造改革に取り組まれるんでしょうか。福祉や女性の地位向上の分野について、小泉内閣として、構造改革の具体的な取り組み方をわかりやすく明らかにしていただきたいと、このように思っております。

さて、今回の政策評価制度が看板のかけかえにすぎないのではないか。また、仏をつくって魂を入れないようにならないかという懸念に基づいて質問をさせていただきました。

私の懸念が懸念として終わるよう、関係大臣の皆様には具体的で明確なお答えをいただくように要望をさせていただきます。そして、制度の創設を機会に、より一層、行財政の改革に取り組まれることを政府側に強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

〔国務大臣 片山虎之助氏登壇、拍手〕
片山 虎之助氏(国務大臣)

浅尾議員から三点の御質問をいただきました。

まず最初は、行政監察と政策評価との関係についてどうだと。従来の行政監察は、個々の、個別の行政について、行政運営の改善やその適正を確保するために、恣意の摘発というんでしょうか、悪いところ、問題点を指摘して、こうしたらどうかと、こういうことをやりまして、せんだっても医薬品についての情報開示について監察結果をまとめまして、私の方から厚生労働大臣に直接手渡したわけですね。そういうことを今までやってきておる。

これに対して、今回新しく導入する政策評価は、科学的な手法によって政策効果を評価して、それぞれの政策の必要性を見直してほしい、こういうわけでありますから、個別というよりもっと広い、高い、大局的な観点から行う、こういうものでございます。

行政監察がしり抜けではないか、こう言われるのでございますけれども、行政監察結果に基づく勧告は各省庁において大体やってもらっているんですよ。その大体が問題があるという、程度のことはありますけれども、これは私はしり抜けじゃないと、こういうふうに思っておりますし、政策評価についても各省大臣に対して私の方から必要な勧告はさせていただこうと。制度を打ち立てたんですから少しきつくやれ、派手にやれと、こう言っていますから、やっぱり制度のPRも含めてそういうふうにやらせていただきたい、こういうふうに思っている次第であります。

それから、公共事業についてどうかというお尋ねでございますが、公共事業は、国民生活への影響の大きさや多額の費用を要することから、一定の金額以上のものは事前評価の対象にしてもらう、一定の金額以上のものは。

それから、一定期間未着手または未了、終わってない個別の事業については、その時点で評価を義務づけると。それで、その一定期間をどうするんだということですが、5年ないし10年の中で政令で期間を決めようと。事業ごとになるのか大ぐくりになるのかわかりませんけれども、そういうことを考えておりますし、それから事後評価も、これは基本計画の中で主要なものは公共事業を含めて事後評価をやると。事前評価、事後評価、途中評価もあると、こういうことでございますから、私は相当進むのではなかろうかと、こう思います。

その結果、各省庁が行う、あるいは公共事業の評価において客観性の上で不十分だ、あるいはやるべきものをやってないと、こういうことがございましたら、私の方が二次評価をして、その結果によって、場合によっては見直しを行ってもらう必要があるとすれば、それについては勧告をすると、こういうふうに考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。

それから、官房機密費の話なんですが、政策評価の実施主体は、行政事務を分担、管理する行政事務をやる各府省なんですよ。内閣官房というのは、これは内閣の重要政策に関する基本方針の企画を行う機関なんです。企画を行う機関で、そこで企画をしたものは各行政機関がそれぞれ行うんです。だから、この内閣府というものは政策評価の実施主体から外れております。したがいまして、その内閣官房の機密費はこれは政策評価の対象になりません、本法案の。

それから、報償費というのは、これは予算の費目ですから政策でも何でもない。いろんなことのための費目ですから、これは会計処理や何かのそういう意味での検査、監査はあるんでしょうから政策評価の対象にはなじまないし、なりません。

以上でございます。よろしく御指導を引き続いて賜りますようにお願いいたします。

〔国務大臣 塩川正十郎氏登壇、拍手〕
塩川 正十郎氏(国務大臣)

今回の政策評価制度導入と予算編成との関係についてお尋ねでございました。

政策評価制度は全政府的に導入されるものでございまして、これによって、成果重視への行政への転換、国民への説明責任の向上が期待されると思っております。声の大きいところに支配されないようにというお尋ねでございますので、私たちも公正でニーズの高いところに予算を配分するということを申し上げたいと存じます。

したがって、予算編成過程においても、制度導入の趣旨を踏まえて、諸外国における活用状況等も参考にしながら、社会経済情勢の変化に即応した施策の見直しや予算の非効率、むだ等の排除に資するよう、第四条の精神を尊重してその適切な活用に努力してまいります。(拍手)

〔国務大臣 福田康夫氏登壇、拍手〕
福田 康夫氏(国務大臣)

浅尾議員にお答えいたします。

まず、官房報償費を政策評価制度の対象とすることについてのお尋ねでございますけれども、内閣官房の報償費が本法案の対象に位置づけられていないことは、総務大臣からただいま答弁ございましたとおりでございます。

また、内閣官房の報償費は、内政、外交を円滑に推進するという多様な政策目標を実現するための手段でありまして、そもそも政策評価の対象にはなじまないと考えておりますが、その執行に当たりましては、報償費の目的に従い、厳正さや効率性が確保されなければならないと考えております。

次に、政策評価制度の創設につきましては、行政機関が行う政策の効果をみずから把握、評価し、その結果を当該政策に適切に反映させることを通じて効果的かつ効率的な行政の推進に資するものであり、意義あるものと考えております。

一方、内閣官房の報償費につきましては、先ほど答弁したとおり、本法案に基づく政策評価の対象にはなっていないと考えておりますが、今回の不祥事を契機に点検を行い、その結果も踏まえ、平成13年度の予算の執行について、第一に、報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するための経費であり、その目的にかなうものでなければならない。第二、総理の内政、外交の円滑な推進、広範な情報の収集、褒賞などの報償費の目的に照らして適正な支出であるかどうか、これまでの経緯にとらわれることなく、その都度厳正に吟味を行った上で、内閣官房長官の判断に基づき執行する。第三、報償費の執行に当たって事務処理の補助が必要となる場合には、複数の担当者に当たらせて二重のチェックを徹底するという考え方のもとで、厳正かつ効率的な執行の徹底を図っているところでございます。

こうした執行の状況を踏まえながら、今年度の具体的な減額のあり方、そしてまた14年度予算の要求方針を平成14年度の概算要求をめどに固めてまいりたいと思っております。

次に、聖域なき構造改革のために政策評価制度をどのように活用していくかとのお尋ねでございました。

政策評価制度は、政策の効果を的確に把握した上で、客観的かつ厳格な評価を行い、その結果を政策そのものの見直しや改善に反映させることを目的とするものでございまして、小泉内閣が進める聖域なき構造改革を推進していくための極めて有効なツールだというふうに考えております。

こうした観点から、本法案に基づく政策評価制度の厳正かつ的確な運用に努めてまいります。

次に、福祉に関する政策評価と構造改革についてのお尋ねでございますが、少子高齢化が進行する中で、福祉に関する需要は一層増大、多様化していくと見込まれており、利用者の立場に立って質の高いサービスを提供する必要がございます。福祉分野における政策評価については、その分野の特性も踏まえつつ、実施の過程を通じて改善、充実を図りながら着実に政策に反映させることといたしております。

今後とも、政策評価の結果や国民の意見等を十分に踏まえつつ、福祉分野についても不断の見直しを行ってまいります。

次に、女性の地位向上に関する政策評価と構造改革についてのお尋ねがございました。

小泉内閣におきましては、男女共同参画を生きがいを持って安心して暮らすことができる社会を実現するための社会の構造改革の一つとして位置づけております。

このため、男女共同参画会議において、政府の施策の実施状況の監視、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響の調査などを行うことといたしておりまして、これらを通じて、男女共同参画基本計画の着実な実施など、男女共同参画社会の実現に努めてまいります。以上でございます。(拍手)



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