- 浅尾 慶一郎
本日は、公述人の皆様方には大変お忙しい日程の中、こうして私どもの委員会のために大変貴重な御意見をいただきましたことを、冒頭御礼を申し上げたいと思います。
さて、警察法改正、いろいろな論点があるわけでございますが、私の方からも幾つか質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。
まず第一に、公安委員会並びに公安委員会が行います警察に対する管理、なかんずく監察の面に関して田中公述人と岩村公述人との間で幾つか見解の違いというものがあるように思いましたので、お伺いしたいと思います。
具体的には、田中公述人の方から2つの観点があると。客観的な視点という観点からは、外部監察というのが有効であろうが、しかし警察に対する精通ということを考えると、警察組織が監察をした上で公安委員会あるいは外部の者がさらにそれを精査するというお話をいただいたと思いますが、その中で果たして監察をされる警察の人がまたその後警察の他の部局に異動するということを考えた場合に、どこまで身内に対して客観的な監察ができるかという疑問が起ころうかなと、こういうふうに思っております。
その点について田中公述人、そしてその意見を受けて岩村公述人から御意見をそれぞれ伺いたいと思います。
- 田中 利幸氏(公述人)
これは要するに警察の体質の問題であると思います。今その体質を改善する姿勢が見られるかどうかという判断でございます。したがって、徹底的に監察を施すのだ、そしてその監察が施されているかどうかということを公安委員会がちゃんとチェックできるかどうか、それによって体質の改善がちゃんと図られるかどうかということであろうと思います。
したがって、公安委員会の果たすべき役割というものも非常に大きいということだというように理解しております。
- 岩村 智文氏(公述人)
監察あるいは管理といろいろ言葉を使っておりますけれども、公安委員会が警察の業務を事細かく見ていくということになれば、業務に精通しているということはかなり必要だというふうに思います。
ですから、公安委員会が具体的に管理権限があるからといってどこまで業務に介入するかというのはこれはまた微妙な問題があるというふうに考えておりますが、そのことと違って、現実に警察官の公務上の犯罪ですとか非違行為があった場合にそれを的確にチェックしていくという、こういう機能は必ずしも業務に精通しているという必要はないわけでありまして、ある意味でいえばそういう理非曲直をきちんと判断できるという、そういう能力が必要だというふうに考えております。
警察が常に、刷新会議の中で問題になったわけですが、業務に精通していない限り無理なんだという、こういう言い方はない、ただし業務に精通している側面も必要ですから内部監察も当然必要だろうという、この組み合わせをうまくやるということが大事だというふうに考えております。
- 浅尾 慶一郎
業務に精通していなくても重要な事案については外部の人でもよくわかるというのは私はそのとおりだと思いますが、果たしてそれでは、公安委員が現状24時間というか、フルタイムの業務でない場合も往々にしてあるわけでありまして、そういった方々でも独自の事務局を持たずして管理をすることが現実的に可能かどうかということを田中公述人と岩村公述人に伺いたいと思います。
- 田中 利幸氏(公述人)
独自の事務局でなくてもそれはできると思います。独自の事務局を持った場合には逆に効率性の問題も出てくると思いますし、効果と費用との関係からいえば常にその方が適当であるというようには考えておりません。
- 岩村 智文氏(公述人)
先ほど述べましたように、独自の事務局が必要だというふうに私は判断しておりまして、公安委員会もすべての公安委員を常勤にするかどうかというのは、これはなかなか難しい問題があると思いますが、素人性というのを生かすためには。ですけれども、少なくとも一人は常勤になって事務局を統括するような仕事をする、そういうふうにして日常的な活動を継続しながら時に非常勤の公安委員の方々が加わってさまざまな角度から検討して活動していく、こういうスタイルが私はいいのではないかというふうに考えております。
- 浅尾 慶一郎
それでは、専門性を要する監察についてまた両公述人にお伺いしたいと思います。
専門性を要する監察といった場合に、私は、例えばアメリカの警察などは内部監察の方は基本的に人事異動がなくずっと内部監察であるというふうに理解をいたしておりますけれども、何を申し上げたいかというと、人事の面において内部の人たちを監察するというのはなかなか人情の面からいっても難しい部分があると思いますが、人事体系が監察の専門という形になってくればそこは他の部門との間にある面ファイアウオール的なものができてくるんではないかなというふうに思っておりますが、田中公述人、岩村公述人、若干御意見の違いがあろうかと思いますが、そこの監察を警察内部で専門性を要してやる場合にはどの程度まで他の部局との人事交流を認めるのがいいと思われるかという点に関してお伺いしたいと思います。
- 田中 利幸氏(公述人)
監察をするためには、やはりそれぞれのところの勘どころをつかむだけの経験と知識が必要であろうと思います。したがって、その点からいえば交流が必要である。しかし、他方では御指摘のような問題もございます。そこのところは一種のバランスであろうと考えております。
- 岩村 智文氏(公述人)
今おっしゃられたとおりなかなか同じ部署といいますか、もとへまた戻るところの人たちを監察するというのは非常に難しいわけですが、内部監察という場合にはある程度これはやむを得ないのではないかというふうに考えておりまして、その交流は含めながらもしかし監察というところに行った場合にどういうふうに独自的な活動ができるか、自立できるかというあたりは人事面でも相当考慮しなければいけないというふうには考えております。
ただ、そのことと、こういうことがあるからこそまた別にもう一つ外から見る目も必要だというふうに感じているわけです。
- 浅尾 慶一郎
それでは、今御指摘のありました外から見る目の部分の公安委員会あるいは公安委員に関してお伺いをしたいというふうに思いますが、これはせっかくですから4人の公述人の方にお伺いしたいと思います。
公安委員の方々がもちろん政治的に中立でなければいけないと。今の警察法に警察そのものが政治的に中立を求められておりますから、公安委員も政治的に中立が求められるわけでありますけれども、そのことと公安委員がチェックをされないということは私は別問題というふうに考えております。
すなわち、公安委員に任命された、国家公安委員であれば国会に対して報告をし、そしてそこで質疑を受ける、都道府県公安委員会であれば当該都道府県の議会に対して警察の現状について報告をし、それぞれの議会から質疑を受けるということがあって初めてチェック・アンド・バランスということがきくんではないかなというふうに思っておりますが、今度の改正警察法の後にでも、もちろんそれは議会側の判断でありますが、各公述人はそうしたことをまず行うことに賛成かどうかということ、そして行うとしたら大体どれぐらいの頻度で行うべきかということをお伺いしたいと思います。
- 田中 利幸氏(公述人)
先ほどもお話しいたしましたけれども、人選、そして公安委員会の活動がどのように行われているかということについてそれをチェック、確認していくという点で議会の果たすべき役割も大きいと思います。そのことが、あるいはそのことまで自覚されたということが今回の議論ではとてもよかった点であろうと思います。
頻度は、その事柄にもよりますので一概には申し上げられませんけれども、事件が具体的である場合には高い頻度で、そうでなくても月に1度あるいはそれに近い内容でチェックがなされるのが適当であろうと思います。
- 沢藤 達夫氏(公述人)
現状における神奈川県の公安委員会及び委員と神奈川県警の関係について神奈川県警の幹部から聞いたところによりますと、やはりいずれの公安委員の方も非常に一家言を持っておられて、いろいろ御指導いただく場合にも非常に厳しい対応といいますか、言い方としては怒られることもしばしばあるというような形ですので、私の認識としては非常に両者は緊張関係があるのではないかというふうに思っております。したがいまして、さらに議会等によるチェック・アンド・バランスということになれば、なお一層公安委員会の充実が図られるという形で非常に望ましいいいシステムではないかと思います。
頻度につきましては、ちょっと私の方では一概にわかりませんけれども、しかるべく回数をよく御検討いただくという形になると思います。
以上です。
- 岩村 智文氏(公述人)
公安委員の方々が先ほどから指摘されていますように清廉潔白、有能だということではないとか言っているわけではなく、多分そうだろうというふうに思います、ただ問題はそういう有能な方々であっても今まで機能不全に陥っていたということなんですね。
ですから、これをどうするかというふうに考えなきゃいけないわけですから、この一つの方策は、今委員がおっしゃいましたように、その人たち自身どんな有能であっても、外から見えない中にいると結果を出せなかったというのが現実なので、やはり外から見えるようにしていく。そのためには、議会というのが最も大事なところですから議会に報告する、これは一番大事なことだというふうに考えております。
頻度というのは、しゃくし定規に月1回とかいうふうにしていいかどうかというのはなかなか難しいので、必要に応じてというふうになってしまうんでしょうけれども、必要といってもわかりませんので、ある意味では月一回とかする必要があるかもしれません。ただ、これは柔軟に対応する必要があるというふうには考えております。
- 森 卓爾氏(公述人)
公安委員の人選の問題でいきますと、やはり国家公安委員は両議院の同意に基づいて選任されるわけですけれども、両議院の同意に基づく場面で委員の抱負、所信、そういうものを披瀝できる、そういう聴聞のような場所の設定というのは1つのアイデアではないかなと私は考えておりますし、自由法曹団としてもそういう提案をしています。
それと、それに伴って当然のことながら議会に出席して報告をし、場合によっては質問も受けるということが内容の透明性、国民に理解を求めるという点では非常に重要なことではないかなというふうに思います。ただ、頻度につきましては、それこそ必要に応じてということしかちょっと言えないのかなというふうに思います。
以上です。
- 浅尾 慶一郎
ありがとうございました。
次に、警察署協議会についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
私の理解では、公安委員会は、国家公安委員会は警察庁、そして都道府県公安委員会は当然のことながら当該都道府県の警察全体を見るわけでありますが、今度導入されます警察署協議会というのは、地域のそれぞれの警察署に関してさまざまな問題について取り扱っていくということで、いろいろな面で市民社会と警察との接点ができるという面では評価できるものなのかなというふうに思っております。
先ほども御意見が田中公述人あるいは岩村公述人の方からもございましたが、加えての質問で恐縮でございますけれども、その御意見の中で批判的な人を入れていくべきだといったようなことがありましたが、むしろどちらかというと、今の議会と公安委員との関係じゃありませんが、警察署協議会の運営をどういう形でやっていくかということも同時に重要なことなのではないかなというふうに思っております。
これは頻度と必要に応じてということになってくるでしょうけれども、質問は、どういった議案を取り扱うべきか、そして頻度はどういうことなのかという2点に絞って、時間の関係もありますので、恐縮ですが、田中公述人、岩村公述人にお伺いしたいと思います。
- 田中 利幸氏(公述人)
案件は、先ほど他の公述人からもございましたけれども、単に警察署長などの提出のものだけではなく、広く委員から提出できるようにしておくことが適当であろうと思います。それこそがまさに住民の声を反映させるということでありますし、住民が積極的に地域社会の問題に取り組んでいるときにそれを側面から支える、あるいは協力していくという体制がとられるものとなるからであります。
そうでありますから、頻度は少なくとも月に1度は、できるだけもっと頻繁に行われることが適当ではないかというように思われます。その辺は他の警察署の業務との関係もありますから一概には申せません。
- 岩村 智文氏(公述人)
これは、どういうものを議論するかということになりますと、イギリスの警察でつくられているコミュニティー協議委員会、それが一つの参考になると思うんですが、この協議会で協議できない事項としては、個々の事件についての法の執行あるいは警察官を相手取った不服申し立てというようなこと、直接的なそういうものだと個々の事件についてはできない、そのほかはできる。中には、警察隊の配置だとかそういうものまで議論できるというふうになっているんですね。
その意味ではかなり思い切った内容まで議論できるというふうになっているんですが、日本ですぐそこまでいくかどうかというのはなかなか難しいんですけれども、議題というものは相当大きくとらえることができるんだということは運営の上で非常に重要だというふうに考えております。
- 浅尾 慶一郎
時間の関係で最後の質問になると思いますが、私は、信頼できる警察、市民と本当にともに歩む警察をつくっていくということは大事だと思いますが、そのために必要なのは、警察という大変大きな組織の活動を客観的にはかる尺度ということなんではないかなというふうに思っています。
具体的に申し上げますと、先ほどいろいろな犯罪検挙率が下がっているということでありますけれども、当然マンパワーが足りないということあるいは投入した人たちがどれくらいの活動をしたかというさまざまな尺度が必要になってくると思いますが、そのことについて尺度をつくってまた公安委員会なりが評価していくということも必要なんではないかなというふうに思っていますが、簡潔で結構でございますので、岩村公述人、そして田中公述人にその点についての御意見をいただければ、それで質問を終わりたいと思います。
- 岩村 智文氏(公述人)
御質問の趣旨に合っているかわからないんで申しわけないんですが、やはり犯罪との関係というのが警察の活動の尺度だというふうに考えております。ですから、的確に犯罪に対応していく、この効果的な能力がどれだけあるか、そこで警察を評価していくというふうに考えております。
- 田中 利幸氏(公述人)
犯罪の検挙率は一つの有力なものでありますけれども、人員のシフトの仕方によってどこが変わるかということも生じてまいります。
それから、警察署協議会との関係でいいますと、その地域の安全がどれぐらい高まったか、どういうように住民が感じたかということも重要なことになろうと思われます。苦情がどれぐらい減ったかということも重要な尺度であろうと思います。
- 浅尾 慶一郎
時間が参りましたのでこれで終わりますが、4名の公述人の方々には大変ありがとうございました。