決算委員会 会議録
平成11年9月29日
浅尾 慶一郎

同僚の川橋委員に続きまして、質問をさせていただきます。

私は、神奈川県民でもございますし、午前中佐々木委員あるいは岩城委員からもお話がありましたが、若干警察関係の件で質問をさせていただきたいと思います。

まず冒頭に、今回、神奈川県警察の不祥事ということだけではないのかもしれませんが、特に神奈川県の不祥事がマスコミ等で報道されまして、多くの県民がまことに残念、遺憾に思っておるということで、ぜひ警察の皆様方に威信回復に努力をしていただきたいと思いますということを申し上げさせていただいて具体的な質問に入らせていただきたいと思います。

そこで、果たして最近になって不祥事がふえているのかどうかという点から質問させていただきたいと思います。

まず、具体的な数字でお答えいただきたいんですが、本年度、きょうまでの件数で結構ですが、きょうまで懲戒処分された人数、あるいは諭旨免職された人数、戒告処分をされた人数を人数ベースでお答えいただきたいと思います。それからまた、それを比較のために、例えば昨年度のそれぞれ懲戒、諭旨、戒告の人数をお答えいただきたいと思います。

石川 重明氏(説明員)

今、懲戒免職その他数字についてのお尋ねでございますが、まず、懲戒免職処分を受けて逮捕された警察官の数がふえているのかどうか、こういう観点に絞ってお答えしたいと思うわけでございますが、全国で懲戒免職処分を受けて逮捕された警察職員はことしは既に13名となっておりまして、遺憾ながら増加傾向にございます。過去の数字と申しますか昨年の数字で申しますと、免職になった者は私どもの集計では16人でございまして、諭旨免職になった数が45人でございます。以上でございます。

浅尾 慶一郎

ことし懲戒免職で逮捕された方が13名ということで、昨年が16名、懲戒免職で逮捕された方ということですね。

石川 重明氏(説明員)

懲戒処分として免職になった数が昨年は16名でございます。

先ほどの13名と申しましたのは、逮捕をされてそれで懲戒免職になった数を申し上げました。

浅尾 慶一郎

そうすると、逮捕はされていないけれども懲戒処分されている方がことしいらっしゃるということで、その方を足されると何人になりますか。

石川 重明氏(説明員)

先ほどの平成10年の16人と申しますのは、逮捕、逮捕されずにかかわりませず懲戒免職になった数でございます。そういう数字でございます。

浅尾慶一郎君 ですから、ことしの数字は何人でしょうか。ことし逮捕されていないけれども懲戒処分された方。

石川 重明氏(説明員)

この数字、今手元に持っておりませんので、後ほどお答えしたいと思います。

浅尾 慶一郎

それでは、多分逮捕されていないけれども懲戒処分をされている方がいられるということだと思います。例えば、話題になっております相模原の巡査長をされていた方も、まだ逮捕はされていないと思いますが、懲戒免職になっているということですから、13名に加えて何名かが免職になっているということだと思います。

比較のために、昨年の16名のうち逮捕された数字というのはお持ちですか。

石川 重明氏(説明員)

ただいまその数字は持っておりません。

浅尾 慶一郎

非常にふえているということなんだと思うんです。その16名のうちの何人かが恐らく逮捕されていなくて、しかし懲戒で免職されていると。

例えば、神奈川県警の場合でも、逮捕されていないけれども懲戒免職になっている。どういう基準で懲戒免職されるのか。先ほど諭旨免職、昨年は45名とおっしゃいましたが、どうも私なりにばっと見ている感じでは、言葉が適切かどうかお許しいただいた上で、迷惑行為、痴漢行為をした場合には諭旨免職である、それから何か金品を盗んだりした場合には逮捕、懲戒ということになるのかなということなんですが、その基準が余り明らかにはなっていないということなんです。そういった客観的な基準、警察庁として各都道府県警察に出されている基準というのはあるんでしょうか。

石川 重明氏(説明員)

特に明確な基準というものはございません。

ただ、懲戒免職というのは懲戒処分でも最も重い処分でございまして、退職時の退職金が支払われないとか、そういうことでありますから、非違行為によって許されざる行為を行ったという者について懲戒免職にする、こういうことでございます。

浅尾 慶一郎

私は、それはいろいろ議論があるかもしれませんが、客観的な基準をつくられて、そして内部統制を図られた方が世間にも受け入れられやすいんではないかなというふうに思います。

また、別の観点から申し上げさせていただきますと、どうも基準がないということは場合によっては、勘ぐれば仲間がかばえるうちはそういうような余り厳しい処分はしない方がいいんじゃないかというふうにとらえてしまうんじゃないかなと。それは多分本旨は違うところにあられるんだと思うんですが、そういう点から、客観的な基準をつくって、それをむしろ世間に発表された方が信頼回復につながるんではないかなと思います。

この点については長官に伺った方がよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。

石川 重明氏(説明員)

私の勉強不足かもしれませんが、よく調べてみたいと思います。

それから、基準についてもはっきりした形で処理をしていきたいというふうに思っております。

関口 祐弘氏(説明員)

ただいま懲戒処分につきましての基準云々というふうなお尋ねだったと思いますが、御案内のように、懲戒処分としましては免職、停職、減給、戒告というふうな段階になっているわけでございまして、それについて明確な基準というものを私ども持ち合わせておりません。

ただ、私ども、残念ながら過去に幾つかのそうしたものがございます。そうしたもののいわば積み重ねと申しますか判例法と申しますか、言葉は適切かどうかわかりませんけれども、そうしたものを一つのメルクマールとして処分いたしているということでございます。

そして、そんなことではばらばらになってしまうんじゃないかということでございますけれども、各県におきまして本部長におきましてそうした統一的な処理をしておりますし、それから事案によりましては警察庁の方へ、私どもの方へ相談に来るというふうな事案もございます。そうした全国的な統一という斉一性を期するというような観点で始終御相談にも乗っているということでございます。

したがいまして、私どもはそれなりに適正な処理を行ってきているというふうに考えているところでございます。

浅尾 慶一郎

今のお答えを伺っていますと、警察庁としてガイドラインはつくらず、個別案件に応じて各都道府県警からの相談に応じて過去の例と比較考量して大体こんなところだろうというふうに聞こえるわけですが、そういうことでありますと非常に客観性に欠けると思います。また、今回の神奈川県警のケースが問題になっている半分ぐらいの理由というのは透明性に欠けるということが批判を受けているわけだと思いますので、重ねて長官に御検討をお願いしたいと思いますのは、客観的な基準をつくられて、そしてそれを全国の各都道府県警に通達を出されるということなのではないかなと思います。

加えて、説明をさせていただきますと、性善説に立てばそんなことはないんだから必要ないという御答弁もあろうかと思いますが、先ほどの官房長のお答えでも、どうも正確な数字をいただいておりませんけれども、これはまた別途いただければと思いますが、ふえているということは間違いないということでありまして、きょうの午前中の質疑でも、犯罪そのものが全国的にふえているわけですから、望むらくは警察組織はそこから無縁、絶縁のものであるということを望みたいわけですけれども、そうでないということであるならばやはり客観的な統制手段をつくられたらいかがですかということを重ねて申し上げさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

関口 祐弘氏(説明員)

委員の御指摘もむべなるかなという感もいたすわけでございますけれども、事案というのはいろんなケースがございます。それにつきまして一つの基準というもので果たして整理できるかどうかということが非常に難しい問題かなというふうな感じもいたしているところでございますけれども、私どもいろいろな工夫なり努力というものをさせていただきたいというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

一点だけ確認をさせていただきたいんですが、いろいろなケースがあるということであればそれはそういうことかもしれませんが、例えば逮捕をされた場合、あるいは逮捕はされないけれども起訴をされた場合というものについてはすべて懲戒処分をされているのか、それともそういう場合でも諭旨免職という形をとっておられるケースがあるのかどうか、もし手元でおわかりであればお答えください。

石川 重明氏(説明員)

先ほど事案事案に個性があるということで申し上げているわけでございますけれども、例えば懲戒処分ということでございましても、勤務放棄をみだりに行うといったようなことで懲戒処分を行ったりするようなこともあるわけでございまして、そういうようなものは懲戒免職になっておっても逮捕はされない、また逮捕をされた場合においてもその事案事案の軽重というものはあろうかと思います。よく研究をしてみたいというふうに存じます。

浅尾 慶一郎

私の理解では、少なくとも逮捕に至るということはそれなりに重い事案だと思いますので、それで逮捕に至っているにもかかわらず懲戒になっていないケースがあるとするならばそれは問題があるのではないかなと。問題がないとするなら何か理由があるのだと思いますので、それはぜひ、今手元に資料がないのであれば結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。

関口 祐弘氏(説明員)

委員御指摘の逮捕された事案あるいは起訴された事案というふうなものにつきましては、私どもの記憶ではまずまず懲戒免職という形になっていると思います。ただ、正確ではございませんけれども、おおむねそんな形で処理がされているということで御理解をいただきたいというふうに思います。

浅尾 慶一郎

きょうは、その警察を警察法上で管理すると定められております国家公安委員会の野田国家公安委員長にもお越しいただいております。

警察法上は、国家公安委員会は警察庁を管理するというふうに定められておりますし、国家公安委員会は都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならないと定められております。

警察に対する信頼を回復する1つの手段、方策として、国家公安委員会の管理の度合いを強めたらどうだろうかという議論も幾つかの新聞の社説で述べられておるところでございます。

そこで、少し具体的な質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず、公安委員会として警察庁の職員でない事務をつかさどる人というのはいない、要するに、公安委員以外はすべて警察庁の職員であるという理解でよろしゅうございますか。

石川 重明氏(説明員)

国家公安委員会は5人の委員の先生方で構成されているのは御承知のとおりであります。国家公安委員長がおられる。その管理のもとに警察庁が置かれております。そして、その警察庁の職員というのは、国家公安委員会の事務局の立場で事務を処理している、こういう関係になっております。

浅尾 慶一郎

今お答えいただいたとおりだと思いまして、多分5人の国家公安委員以外は事務もすべて警察庁の職員の方がやっておられるということだと思います。

それは先ほど申し上げました性善説、性悪説ということなのかどうかは別として、内部統制ということを国家公安委員会に期待をする場合に、私はむしろ国家公安委員会専属の事務局があった方が、あるいはそれがもし不可能だとしても先ほど話がありました監察官、監察官は組織上は多分警察庁の場合は官房長のもとにあって警察庁長官と直結はしていないということなんだと思いますが、そこを公安委員会と直結をさせた方が内部統制にもつながると思いますし、また信頼も高まるんではないかなというふうに思います。

具体的にちょっと例をかえて申し上げさせていただきたいと思いますが、恐らく警察庁にいられる監察官あるいは各都道府県警本部にいられる監察官は警察の職員の方であり、異動を伴うんだと思うんです。だとするならば、通常の人情として自分の同じ職場の仲間に対して厳しく当たるということはなかなか難しいんではないかなというふうに思います。

その観点から、きょう野田国家公安委員長がお越しでございますので、恐らく野田大臣は事前規制よりも事後規制に世の中の流れを変えるという議論を昔されておられたと思いますし、そういう論調の方だと思いますが、そうした中でやはり警察といったものも透明性を高めるためには別の統制機構が必要なんではないか、こういうふうに思います。

公安委員長として選択肢は2つあると思います。1つは、公安委員会の中に直属の監察官、それは警察と人事交流を伴わない監察の人を置くという選択肢か、あるいは直属にはしないけれども警察庁長官のすぐ下に独立した監察官を置くといったような形で、何らかの統制を高める方策を考えられたらよろしいんではないか、いかがかなと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

野田 毅氏(国務大臣)

ただいまの御提言については1つのお考えとして承りました。

ただ、これはなかなか難しい部分がございます。それは警察の世界のみならず、いわゆる国家公務員、いわば監察なり内部監査といいますか、そういったものをどういう形で仕組むのか、あるいは税務行政の職場なりあるいは郵政の職場なり、あらゆる公務員の職場においてそういった部内をどうやって監察するか、これをどういう仕組みでやるのか、それを全部外部監察的に持っていくのかという組織論というものは一方であろうかと思います。それはそれで勉強させてもらいたいと思います。

今回の問題については、本当にあってはならぬことでありますし、まことに遺憾な事態でございました。私は、この問題と公安委員会の制度という問題とは必ずしも直結しない部分なのではないかというふうに考えております。私自身、就任する前にイメージしておりましたより以上に、各公安委員の先生方も本当に毎週毎週きちんとした責任ある職務遂行をしていただいておりますし、そういう姿を見るにつけ、十分機能をしておるというふうに私は考えております。

もともと公安委員会という制度は、そういう意味で警察行政の民主的な運営ということを主眼としてつくられておるという背景も実はございます。この問題と監察という問題とを直結させるのはちょっといかがなものかと。また、果たしてそれだけの対応能力、委員会としてそれだけの事務体制なり執行体制というものが伴うのかどうかという逆の心配も一方で感ずるものですから、これは勉強させていただきたいというふうに思います。

浅尾 慶一郎

重ねて申し上げさせていただきたいと思いますが、警察法上、国家公安委員会は警察庁を管理する、都道府県公安委員会は都道府県警察を管理するというふうに書かれております。

本件のようなことが再発しては困るわけでございまして、まさに再発しないような大綱、方針を都道府県あるいは国家公安委員会が定めるのだと思いますが、では、現状で十分再発防止の大綱を定められる体制があるとお考えになられるか、それともそこは少し工夫をして、あるいは人員の増員も含めてでしょうけれども、考える余地があるのかどうか、重ねて御答弁をお願いいたします。

野田 毅氏(国務大臣)

このところいろいろ不祥事案が表面化してきている、あるいは発生しているということで、非常に残念な状態にございます。

今回、一連の神奈川県警に関連する不祥事案が出まして、私の承知いたしておりますところでは、直ちに警察庁として県警本部を呼んで具体的な5項目にわたる指示をし、そして必要な処分も私どもとしても行ったところでございますが、同時に、全国の警察に対して改めてきちっとした通達を発出いたしました。そういう体制の中で、今回の事件を契機に、神奈川県警のみならず全国の都道府県警察に改めてきちんとした対応の見直し、そういった通知を発出して見直しをいたしておるところでございます。

私としては、襟を正して、気持ちをもう一遍引き締めて対応していただく、これに尽きると思っておりますし、いろんな各レベルにおける会議を、管区警察の会議をやったりさまざまな会議を重ねて、警察官の教養等に対しても徹底した対応、浸透を今やらせているということでありますので、私はその成果を期待いたしたいと考えております。

浅尾 慶一郎

ちょっと私の質問がわかりにくかったのかもしれませんが、申し上げたかったのは、何かが起きた後の事後体制として襟を正すということはもちろん必要だと思いますが、起きないような体制を考えていただくのが多分公安委員会のお仕事だというふうに思いまして、そのためにどういう施策をとられるおつもりかということを改めて、どういう組織体制にしたらこういったようなことが起きにくいのかということを考えられるかどうかということをお答えいただきたいと思います。

野田 毅氏(国務大臣)

組織体制という角度ではなくて、今回の事案の発生を契機として改めて教養等の徹底を今行っておるということは申し上げたところです。

組織体制として、そういうような形での対応をどういう対応にすればいいのかということについては少し研究させてもらいたいと思いますが、あえてそういうことを否定するつもりもありませんが、ただ、組織論という形の中で解決できるのかできないのかという問題もあるわけでありまして、実際どんな組織をつくっても動かすのは人間でありますから、そういったことを踏まえて対応していかなきゃならぬ。組織的体制をどうするかということについては、なお勉強させてください。

浅尾 慶一郎

警察庁長官もお越しでございますので、警察庁として全国の都道府県警察に対する、事後の対応ということではなくて、再発防止策として何かお考えであるかどうか、その点をお答えいただきたいと思います。

関口 祐弘氏(説明員)

このたびの神奈川県警察におきます不祥事案を初めといたしまして、最近全国警察におきまして不祥事案が相次いで発生しているということをまことに遺憾に存ずるところでございます。

特に、神奈川県警察における一連の不祥事案の発生につきましては、警察庁としてもこれを重く受けとめているところでございまして、去る9月9日付で「不祥事案の未然防止と適正な処理について」という官房長名の通達を全国警察に対して発しているところでございます。

その内容でございますけれども、その1つとしましては、不祥事案の未然防止を期するために、各級の幹部がそれぞれの段階で十分なチェック機能を発揮して業務管理というものを徹底するということ。そしてその2は、すべての職員に警察は国民のためにあるという基本理念に基づいたところの職業倫理教養を徹底するということであります。そしてその3つ目には、部下職員の身上監督を徹底するということ。その4としまして、事案発生の場合の適正な処理。5番目には、取材に対する真摯な対応等適切な報道対応に努めることというふうなことを警察庁の方針として示したところでございます。

警察庁としましては、こうした方針に基づきまして全国警察を指導しているところでありまして、各都道府県警察におきましては、これを受けまして全力を挙げて不祥事案の未然防止というものに取り組んでいるところでございます。

浅尾 慶一郎

時間の関係で次に移らさせていただきたいと思いますけれども、先ほどの官房長の御発言でもありましたけれども、どうも不祥事が全国的にふえておるという中で、重ねて申し上げさせていただきたいと思いますけれども、不祥事をなくしましょうという形の訓示はもちろん大事だと思いますが、それに加えて、ある面、起きるものだという観点に立って、どうしたらそれがより起きなくなるような体制になるか。要するに、訓示型の行政ではなくて、チェックができるような体制というようなこともぜひ警察庁としても御検討いただきたいということを申し上げさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

そこで、警察の問題から今度は法律の問題に入らせていただくわけでございますが、現在盛んに司法制度改革ということが議論をされております。

今、事後管理の行政といったようなことを申し上げさせていただきましたが、規制がなくなる、規制が撤廃されるに従って、どうしてもルールに基づいた行政に変更していく必要性がある。ルールの解釈については、民事は、場合によっては参加当事者がそれぞれが言い分があろうというケースがふえてくるでしょうと。そうすると最後は、この決算委員会の中にも多くの専門家の方がいらっしゃいますが、法曹の場において解決をしていくということがかなりふえていくのではないかなというふうに私自身も思っております。それが理想的な社会かどうかという議論は別として、そういうケースがふえてくるであろうという感じを持っております。そうした中で、それに対応するための司法制度改革というふうに理解をいたしております。

そこで、2つの観点から質問をさせていただきたいと思います。

1つは、では最後にどうしても法曹の場において決着をつけなければいけないということになった場合に、資力のない方、余りお金を持っておられない方でも裁判を受けられるようにしておいた方がいいのではないかなというふうに私自身は考えるわけでございます。現行、法律扶助制度というものが恐らくあって、これをかなり拡充していくということを今法務省としても御検討されておるということでございますが、その拡充の概要について、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。

横山 匡輝氏(説明員)

法務省では、この民事法律扶助制度の果たす役割は非常に重要であるということで、これまでも財団法人法律扶助協会が行う民事に関する法律扶助事業に対しまして補助金を交付し、特に近年では毎年補助金を増額するなど本制度の充実を図ってきたところでございますけれども、さらにこの制度、裁判を受ける権利を実質的に保障するという非常に重要なものということでありまして、現在、法制度化を含めてさらに一層の拡充をしてまいりたいと思っております。

浅尾 慶一郎

裁判を受ける権利を含めて法律の中でうたわれることを検討されておるという理解でよろしいんですか。

横山 匡輝氏(説明員)

ただいま申し上げましたように、民事法律扶助制度を充実させるため、現在、民事法律扶助に関する法案を次期通常国会に提出すべく鋭意検討を進めているところであります。

その概要といたしましては、御指摘の裁判を受ける権利の実質的な保障の視点も踏まえまして、民事法律扶助事業の実施主体の事業運営の方法やその財政等に対する監督などについて定めまして、この事業の運営体制が統一的に整備され、全国的に均質な事業遂行ができるような制度にしてまいりたい、そのように考えておるところであります。

浅尾 慶一郎

その民事裁判について、きょうは裁判所の方もお越しいただいていますので、少し御質問をさせていただきたいなというふうに思っておるのでございます。

民事裁判、最近とみに複雑な案件もふえておるということだと思いますが、そのときに、あってはならないことだと思いますし、恐らくそういうことはないんだと思いますが、例えば法律扶助を受けられるような方というのはどちらかというと資力が乏しい方である。したがって、なかなかそういう人たちが言っていることを、その人たちがだれと争うかというケース、具体例が今手元にありませんからわかりませんけれども、例えばそういったような人たちが社会的にエスタブリッシュされた、確立された会社と争った場合に、どうも私の感じでは、何となくエスタブリッシュされた人の方に、お仲間も多いでしょうし、そちらに何となく同情をしたりシンパシーを感じたりする部分もあるのではないかなというふうに思います。そういうことがあるかないかということをお聞きしても、そういうことはあってはいけないことですから、ないというふうにお答えになられるんだと思いますが。

そこで、裁判官と弁護士ということでいえば、弁護士さんの方が一般論で言えばより世間の人と接しているケースが多い。裁判官は、むしろ裁判官であるうちは接しない方が客観的に見られるということもあろうかと思います。そういう観点から、司法制度改革の一環として法曹一元化、弁護士の方が裁判官になるケースがふえてくるのかなというふうに思いますが、その点についてどのように計画をされておられるのか、あるいは考えておられるのかお伺いしたいと思います。

金築 誠志氏(最高裁判所長官代理者)

法曹一元についてお尋ねでございますが、御承知かもしれませんが、法曹一元制度につきましては、昭和39年に臨時司法制度調査会の意見書というものが出ておりまして、法曹一元の制度はこれが円滑に実現されるならば我が国においてもひとつの望ましい制度であるとしました上で、その制度が実現されるための前提として弁護士の地域的分布の平均化などのいろいろな多くの条件を掲げまして、これらの諸条件はいまだ整備されていないというふうにしたわけでございます。

今日におきましても、今申しました弁護士の地域的分布の平均化などの条件についてはなお整備すべき課題があるものと思われますが、これに関連いたしまして最高裁の方で進めております施策といたしましては、いわゆる弁護士任官ということをやっておるわけでございます。

弁護士の経験を持たれた方が裁判所の中で裁判官として活躍していただくということは有意義でありますことから、弁護士から裁判官への登用を積極的に行うことが望ましいということで、今から11年余り前になりますけれども、昭和63年3月に判事採用選考要領というものをつくりまして、広く弁護士から裁判官任官希望者を公募することにしたわけでございます。

その後、平成3年10月に選考要領を改正いたしまして、選考の対象を、5年以上弁護士の職にあって裁判官として少なくとも五年程度は勤務できる者であればいい、年齢も55歳ぐらいまでというふうに対象を拡大いたしまして、任期とかその他の採用条件についても柔軟に対応することにいたしました。その結果、この選考要領に基づきましてこれまで合計で40名弱の方が任官しておられます。

必ずしも多い数とは申せないと思いますけれども、現在のところは、弁護士事務所の共同化が進んでいないというふうなこととか、弁護士から裁判官に転出するということが仕事の中身の上でもなかなか難しいという点がございます。

その点、具体的にちょっと申し上げますと、弁護士任官された方の任官後の状況を見ておりますと、人にもよりますけれども、裁判官として職務に習熟するのにかなり時間がかかる。長年弁護士として活躍された方であっても、審理の進め方とか判決についてなかなか苦労されておられる方の例も少なくないように聞いております。

したがいまして、要は優秀な人材がどれだけ裁判官への任官を希望されるかということになるわけでございまして、最高裁といたしましては、できるだけ多くの裁判官にふさわしい方が任官を希望されるように期待している、そういうことでございます。

浅尾 慶一郎

ありがとうございます。

時間の関係で次に移らせていただきますが、きょうは自治大臣である野田大臣にも、国家公安委員長兼務でございますが、お越しいただいておりますので、ちょっと市町村合併と地方交付税制度について伺わせていただきたいと思います。

新年度の予算の中でも要望されたというふうに伺っておりますが、市町村合併をされた場合にボーナス的な地方交付税の制度を考えておられるということですが、その点について簡潔にお答えいただければと思います。

嶋津 昭氏(説明員)

お答えいたします。

先ごろ成立させていただきました分権一括法の中におきます市町村合併特例法の改正におきまして、合併における環境整備といいますか障害除去、それから合併に向けての環境整備という観点で交付税の重要な改正を3点しております。

その3点は、まず第一に、合併市町村について交付税の算定をばらばらにする、合併前の算定をしてそれを合計したものと、それから合わせて新しい一団体として合併をしますとその交付税の総額は変わってくるわけでございまして、その有利なものをとれるという意味で、事前の、合併する前の団体の総合計をとることができるという、合併算定がえと申しておりますけれども、その制度を、今まで五年間でございましたのを10年間に延長すること、それが第一点でございます。

それから第二点は、合併する場合には、庁舎をつくることから始まりまして、市町村の一体性を確立するためにいろいろな行政投資が必要となるわけでございまして、いろいろな施設整備をしたりするために地方債を発行いたします。それを合併特例債と申しておりますけれども、それの元利償還金の一部につきまして、これを基準財政需要額に算入すること。

さらに三点目でございますが、合併直後に必要となる行政の一体化とか、あるいは端的に申しますとコンピューターを入れかえるとかいろいろあるわけでございますが、そういうような事務的な経費につきましても、新たに合併補正というものを設けまして普通交付税の基準財政需要額に算入する。

こういうふうなものを主な点とする三点の交付税の算定の変更をいたしまして、改正をいたしまして、今委員御指摘の、さらに来年度の予算におきまして、我々といたしますと、そういう合併を準備する市町村あるいは合併をする市町村に対する国としての交付金のようなものを予算要求したいと考えて現在準備を進めているところでございます。

浅尾 慶一郎

地方分権が進みまして、なおかつ今のように市町村合併が進んでいくと、中には中核市、政令市のような形で大きな都市ができていきますと、今度は都道府県といったようなものも、すぐにはないとしても近い将来において機能を考え直すべきときが来るのかなと。

それはもちろん住民発議だと思いますが、都道府県合併について、近い将来ということでなくて遠景で結構でございますが、自治大臣、何かございましたら御所見をいただきたいと思います。

野田 毅氏(国務大臣)

御指摘のとおり、これからさらに地方分権が進んでいく、あるいは市町村の合併も進んでいく、さらにそういった中で都道府県自身の合併についても視野に入ってくるのではないか。私は御指摘のとおりだと思います。

現在の都道府県は明治21年以来、基本的に変更はないままで今日に来ております。そういった点では、地方分権推進計画、これは昨年の5月に閣議決定されました計画でありますが、この中でも、「都道府県合併も視野に入れ、地方自治の仕組みについて、中長期的に検討を行う。」ということでありまして、これも十分視野に入れてこれからさらに検討を進めなければいけないというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

その都道府県合併あるいは市町村合併の中で議論になります地方交付税について。

財政力が均衡ではない、財政力の弱いところもあるし強いところもあるから地方交付税があるんだということがあると思いますが、その財政力ということに関して、時間の関係で最後になってしまうかもしれませんが、ちょっと一つだけ伺いたいんです。

例えば、私がおります神奈川県では、今、法人が大変赤字であるということで外形標準課税といったようなことを神奈川県としては非常に検討したいということを申しておるわけでございますが、企業について外形標準課税といったような応益的な課税があるとするならば、自治省として一つの可能性として研究されているのかどうかわかりませんが、個人について、例えば均等割という部分がありますが、それを拡充するとか、要するに法人ではない自然人に対する応益課税というものをどのように考えておられるのか、最後に伺いたいと思います。

野田 毅氏(国務大臣)

基本的な考え方として外形標準課税という言葉が個人に関していいかどうかという問題はありますけれども、少なくとも、おおよそ住民としてその自治体からいろんな行政サービス、便益を享受する立場にあるわけですから、負担分任という意味からもやっぱり均等割という役割を私は軽視してはならないと考えております。ただ、これが余り過重ということになりますと、また一方で担税力という側面の問題も出てこようかと思いますが、やはり適時適切に見直していくというスタンスは必要なことである、私はそう考えております。

浅尾 慶一郎

終わります。



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