金融経済特別委員会 会議録
平成12年11月15日
浅尾 慶一郎

当委員会におきまして、何回か長銀あるいは日債銀の譲渡に絡んで質問をさせていただきました。

その中で再三再四、長銀についてはゴールドマン・サックスとのFA契約の開示、あるいは日債銀についてはモルガン・スタンレーとのFA契約の開示を要求させていただいておりますが、なかなかいろいろとおっしゃって答えていただいておりません。

そこで、本日はまず最初に、そのゴールドマンという会社あるいはモルガンという会社が日本において、私はこれらの会社が世界的規模でいろいろなことをやっているということはきょうは申すつもりは全くありませんが、日本においてどういった行動をされておられるかということを、少し質問をさせていただく形で明らかにさせていただきたいと思います。

ゴールドマン・サックス社は他の三証券会社と同時に、NTTの先般放出されました第6次の株放出の主幹事となりましたが、ことしの4月20日に、きょうは宮澤大臣もお越しでございますが、フィナンシャル・タイムズ紙とかあるいはインターナショナル・ヘラルド・トリビューンといった新聞に、同社が主幹事から外れるという報道があったということを承知いたしております。

その段階ではまだ決まってはいなかったと思いますが、まずその外れるという報道が4月20日、木曜日だと思いますが、あったときに、同社の東京から大蔵省に対して何らかの申し入れはございましたでしょうか。

中川 雅治氏(政府参考人)

今、先生おっしゃいましたように、NTT株式売り出しに係る主幹事証券会社の選定は、7月17日に提案募集案内を各証券会社に送付したところからスタートいたしたわけでございます。

ただ、4月20日の段階でフィナンシャル・タイムズに、まだそのNTT株式売り出しに係る主幹事証券会社の選定に入っていない段階であったわけでございますが、大蔵省がゴールドマン・サックス社を主幹事から除外することを検討しているかのような報道がなされたものでございますので、ゴールドマン・サックス社の東京支店の方から私どもに、こういった報道はゴールドマン・サックス社の証券市場における信頼を傷つけるものであり、大蔵省としても対応してほしいという要請がございました。

浅尾 慶一郎

その東京支店からの申し入れに対しては、大蔵省としてはどのように対応されましたでしょうか。

中川 雅治氏(政府参考人)

これは、東京支店からの要請というのは確かにございましたが、実は20日にフィナンシャル・タイムズの記事が出ましたその日の事務次官の会見で、記者の方から質問が出たわけでございまして、そのときに事務次官の方は、4月20日の会見におきましては、これは理財局の問題でまだ聞いていないので…。

浅尾 慶一郎

東京支店の申し入れに対しては何も対応しなかったという理解でよろしいですか。

中川 雅治氏(政府参考人)

それで、四月二十四日の月曜日に…。

浅尾 慶一郎

それは聞いていませんから。

中川 雅治氏(政府参考人)

はい。その20日の段階ででございますか。20日の段階におきましては、特に対応はとっておりませんでした。

浅尾 慶一郎

そうすると、繰り返しになりますが、4月20日、ゴールドマン・サックスの東京支店から大蔵省に申し入れがあったが、その申し入れに対して、その日、ゴールドマン・サックス社の東京支店に対して何らの回答はしていないという理解でよろしゅうございますね。その他のことは答えていただかなくて結構ですから、その点だけ答えていただきたいと思います。

中川 雅治氏(政府参考人)

その日はそういう要請を承ったということでございます。

浅尾 慶一郎

さて、何らの対応はその日はしていなかったということだと思いますが、その翌日だと思いますが、ニューヨークにいられた榊原前財務官ですか、財務官から大蔵省にこの件に関して電話が入ったというふうに聞いておりますが、大蔵省のどなたに何回電話が入りましたでしょうか。

中川 雅治氏(政府参考人)

榊原前財務官からは、フィナンシャル・タイムズの記事が出まして、これは海外でいろいろな反響を呼んでいると、国際的な問題になるということで大蔵省としても対応をとったらどうかというアドバイスの電話が私とそれから当時の事務次官、財務官にそれぞれございました。

私には、不在のときを含めて数回電話があったと思います。私が話しましたのは1、2回程度だったと思います。

浅尾 慶一郎

榊原氏はそのときに、ゴールドマン・サックス社のニューヨークのどなたかに会って電話をしたんだという話はされましたでしょうか。

中川 雅治氏(政府参考人)

ニューヨークから電話をされてきたというふうに記憶しております。

それで、そういった海外での反響があるということを言っておられましたので、どなたかと会ったというふうには認識しましたけれども、それがどなたであるかということについては承知しておりません。

浅尾 慶一郎

ゴールドマン・サックス社のニューヨークにおられるマネージングダイレクターのコリガンという人と会って、そこで話が出たという話ではございませんか。

中川 雅治氏(政府参考人)

私が電話を受けたときには、そういう名前は直接私には出ませんでした。

浅尾 慶一郎

具体名は出なかったけれども、ゴールドマンのニューヨークのどなたかから依頼を受けたということでよろしゅうございますか。

中川 雅治氏(政府参考人)

ゴールドマンのどなたかから依頼を受けたというふうにはそのときは聞きませんでした。たしかニューヨークでどなたかと会って、この記事についていろいろな反響があるぞと、こういう話はございました。

浅尾 慶一郎

フィナンシャル・タイムズという新聞はどちらかというとヨーロッパ、特にイギリスの新聞でございまして、確かにニューヨークでも売られておると思いますが、いわゆる経済紙ということでいえば、ニューヨークで売られているのは申すまでもありませんがウォール・ストリート・ジャーナルでございます。そのニューヨークにおられる榊原さんが普通見られるのはウォール・ストリート・ジャーナルだというふうに私は考えるわけでありまして、ですからそこの依頼があったのではないかということに関して、私が聞いております情報では、さっき申し上げた名前の方から頼まれたというふうに聞いておりますが、その点の御確認はお願いできますでしょうか。

中川 雅治氏(政府参考人)

御確認というのは、榊原前財務官に確かめるという意味でございますか。─検討させていただきます。

浅尾 慶一郎

私は、不思議だなと思ったのは、4月20日の東京でのゴールドマン・サックス社に関する問い合わせに対しては、具体的には、基本的には何ら御返答をされていなかったと。その翌日、ニューヨークの榊原さんから電話があったらその電話は受けて話の内容は聞かれたと。そこは、財務官をやっておられた方の話ですからそこは聞かれるということはあるのかもしれませんが、そこに少しギャップがあるのではないかなという印象を持ちました。

そこで、その電話を受けて大蔵省としても対応しなければいけないということで、先ほど理財局長が少しおっしゃいましたが、木曜日の段階、木曜日の段階というのは、繰り返しになりますけれども、榊原さんからの電話がない段階での記者からの質問に対しては、そのFTの、フィナンシャル・タイムズの記事は確認していないということを記者会見の場でお答えになったわけでありますが、月曜日の記者会見では、ここにインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの当時の記事がございますが、月曜日の記者会見では、まず薄井事務次官の定例記者会見において、いろいろなお話をされた後で、特に記者の方々から質問がなかったけれども、実は先週こういう質問があったので、それに対してお答えをしていなかったので、私の方から現段階では主幹事の選定は決まっていないということをつけ足してお答えしたいという発言をされたというふうに書いております。

事実関係でございますが、月曜日の段階で記者から質問はなかったけれども、積極的に薄井事務次官の方から、FTの記事に関してはまだ決まっていないので、言うならば誤報であるというふうに言われたという理解でよろしゅうございますか。

中川 雅治氏(政府参考人)

4月20日の木曜日の午後5時ぐらいからの次官の会見で、今、先生がおっしゃいましたように、記者の方からこのフィナンシャル・タイムズの記事についての質問がございまして、当時の薄井事務次官が、これは理財局ですかねと、詳細については私は聞いておりません、コメントのしようがない状況にありますというお答えをしました。私どもは、フィナンシャル・タイムズの記事について当時の次官に御説明しておりませんでしたので、次官はこういうお答えになったと思います。

それで、事務次官は記者の方との関係においては中途半端な状況になっていて、いわばきちっと説明をした方がいいという宿題を負ったような意識を持っておられまして、それで先ほどのゴールドマン・サックス社の東京支店の方からの要請などもございまして、どういうふうにしたらいいのか、この点についてその後相談をしておりました。土日もどういうふうにしたらいいのか考えておったところでございます。それで、月曜日に、今お話がありました榊原前財務官からのアドバイスなどもございまして、それでこの点につきましては、記者の方との関係においてもこの点きちっと御説明をしておいた方がいい、こう判断をいたしました。

それで、一つは、現時点においてはNTTの主幹事証券会社の選定手続は開始していないということ、したがいまして主幹事については何ら決定も検討もしていないということが一つ。それから、したがいまして現時点で大蔵省が特定の証券会社を次回のNTT株式売り出しに係る主幹事証券会社の選定から除外する必要があるかどうかを検討している事実はありませんということ。それから、いずれにしましても今後主幹事選定手続が始まれば、予断を持つことなく主幹事選定基準に従って公平公正に審査する予定ですということを記者会見の終わりに次官の方から申し上げたということでございます。

浅尾 慶一郎

通常、何かマスコミが誤ったことを伝えた場合に大蔵省として訂正をされるということは通例としてございますか。

中川 雅治氏(政府参考人)

そこはケース・バイ・ケースだと思いますが、本件につきましては、フィナンシャル・タイムズの記事が当局に対する国際的な信用といいますか、そういう問題にかかわると、こういう認識できちっと事実関係だけは申し上げておいた方がいいと判断したところでございます。

浅尾 慶一郎

では、先ほどちょっと週刊文春の記事で出ていましたので、森事務局長にお尋ねいたしますが、その幾つかの企業が私の債務者区分が違うということで訂正してくれと言われたら、それは訂正をされますか。

森 昭治氏(政府参考人)

御質問の趣旨は、当委員会が判定した債務者区分と先生がお触れになった週刊誌にある債務者区分が違っていた場合に、当債務者から再生委員会に違うと言ってくれといった場合にどう対応するかという意味でございましょうか。

浅尾 慶一郎

はい。

森 昭治氏(政府参考人)

それにつきましては、当委員会といたしましては、適、不適をした個々の債務者名というのは、いいものであれあるいは余りよくないものであれ個々の企業の信用にかかわることでございますので、当再生委員会はそれについては対外的に言わないこととなっておりまして、確かにそういう場合だったらその債務者は大変気の毒な立場には立つわけでございますが、当再生委員会からこの債務者は実はこれじゃないんだということはなかなか言えない。そうしたらほかのものはみんな言ってくれということにもなりますし、そうしますと個々の企業の債務者区分というものが、ある銀行について特公管時代にどういう債務者区分をしていたかということがわかることになりますので、それはやはり企業の信用ということを考えますとなかなか難しいのではないかと思います。

浅尾 慶一郎

ですから、私が申し上げたかったのは、今回のゴールドマンの件に関してはかなり、はっきり言えば相当特別な取り扱いをされたと。通常であれば、単にゴールドマン・サックス証券社に対して、主幹事の選定はまだ決まっておりませんということを返答するのが恐らく大蔵省ないし他の省庁のとられることであって、それをあえて記者会見の席でそこに触れるというのは、特殊な取り扱いをしたのではないかなというふうに思います。

そのことはそういうふうに申し上げるという形で、御答弁をお願いしてもきっとお答えになりづらいでしょうし答えられないと思いますので、そこのところはそういうふうに申し上げておきたいと思います。

さらに、私が本件に関しておかしいなと思ったのは、このインターナショナル・ヘラルド・トリビューンの記者の方は、ゴールドマン・サックス証券から、当日の事務次官の記者会見においてそういうことが話されるからぜひ聞いてくれ、来てくれと事前に連絡をもらっていたということが書かれているんです。

事前に大蔵省から榊原さんなりに、当日五時に行われた事務次官の会見の中で本件について話をするということは伝えたんですか。

中川 雅治氏(政府参考人)

榊原前財務官には、事務次官が事実関係を記者会見で説明するということは伝えました。

これは一つは、申し上げたことは、まだ主幹事の選定手続は始めていないということで、これは関係者だれでも知っている事実でございます。それから、始まれば公平公正に審査をすると、これまた当然のことでございまして、特に新しい事実を発表するとか個別の企業のことを発表するということではございませんので、榊原前財務官に伝えることについて特に問題はないと考えておりました。

浅尾 慶一郎

伝えることについて問題はないということですが、先ほど来の御答弁でかなり特殊な取り扱いをされたのではないかなというふうに思います。

〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕

では、榊原さん以外には恐らく話をされていないということでしょうから、榊原さんからゴールドマン・サックス証券に対して、当日の記者会見でこの話が出るよと伝わったというふうに理解して間違いはございませんか。

中川 雅治氏(政府参考人)

そういうふうに推察されますが、これは榊原氏からアドバイスをいただきましたのでこういう対応をとるという回答をしただけでございまして、またその内容も特段問題があることではございませんので、仮に第三者に伝わったとしてもそれも問題はないというふうに考えておりました。

浅尾 慶一郎

それでは、大臣に伺いますが、類似の事案が今後も出ることというのは当然あると思うんです。類似の事案というのは、行政側がまだ決めてないことについて決まったかのように報道された場合に、それを行政側が積極的にその報道に対して否定をするという理解でよろしいのか、それともそれについては、そういう場合はその当該不利益をこうむる事業会社に対して個別に伝えるだけで行政として関与しないと、それはどちらでしょうか。

宮澤 喜一氏(国務大臣)

今のことは私、具体的に存じませんでしたが、違う報道をされることはしょっちゅうありまして困っておりますが、一々訂正することはいたしません。ただ、恐らく、ファイナンシャル・タイムズがかなり読まれている新聞ですから、ここは直しておいた方がいいなと思ってやったんだろうと思います。

浅尾 慶一郎

かなりゴールドマンに対して特別な取り扱いをしたということなんだと思います。

私がるる申し上げておりますのは、日本の同じような金融関係の事業会社に対する取り扱いと、どうも外資系に関して、いろんな近来の金融の問題が起きてから外資系に対する対応が少しダブルスタンダードの部分があるのではないかなという印象を持っておりますので、その一例として今の議論の中でそれを明らかにさせていただいたわけでございます。

そこで、実際にはゴールドマンは結果として主幹事に選ばれました。選ばれましたが、そのNTT株、売り出しがたしか95万円だったと思いますが、これ、九月の中旬ぐらいまでは120万円前後であったと思うんですね。125万円ぐらいだったと思うんです。そこで、売り出しの決定日というのは9月29日なんですが、その日に売り出しを決定したと。その売り出しの決定日の9月29日、あるいはその前日ないしはその前々日ぐらいをずっと見ていきますと、9月の26、27ぐらいなんですが、そのときのNTT株の売りの手口、売っている人たちが、売っている株数が一番多い会社はどこでしょうか。東証でも証券監視委員会でも結構ですが。

土田 正顕氏(参考人)

私どもは株の売買の状況は専門の職員を置きまして観察はしておりますが、そこで若干問題意識を持ったときは調査に入ることもございますが、ただ、いかなる場合でありましても、申しわけありませんが、その売買の手口、手法、そういうものについては申し上げないことにしております。

浅尾 慶一郎

東証の立場として申し上げられないということなんですが、売買の手口というのはこれは調べればすぐわかるので、私の手元にありますが、9月26日は、ゴールドマン・サックス証券、それまで別に売りの一位でも何でもなかったんですが、いきなり第1位、3,753株。9月27日、同じくゴールドマン・サックス証券、第1位、3,433株。

ちなみに申し上げますと、それまで1日大体平均8,000株ぐらいの出来高だった会社なんですよ。ところが26、27、大変売りが多くて、1万2,000株ぐらいの出来高になったんじゃないかなというふうに思っておりますが、出来高も相当ふえている。

ちなみに、価格がこの26、27が終わった段階で約15万円ぐらい下落をいたしております。市場のことですから彼らがやったからどうなったかということは特に問題にできないかもしれませんが、少なくとも主幹事としてNTT株を市場に放出をします、売りますというときに、主幹事の務めとしては市場に余り悪いインパクトを与えるような行動はとらないというのが一般的な理解なのではないかなというふうに私は思っております。

このNTT株をどうやって売られたかというのがちょっと詳しくはもちろんわからない。どうやって売られたというのは、ゴールドマン・サックスさんがどこかから借りて売られたのか、それともそうでないのかというのはよくわかりませんが、いずれにしても大量の売りを出したというのがマーケット、そしてしかも株については生命保険会社から借りておられたというのがマーケットのうわさというか、言われておることであります。

ちなみに、空売りをする、あるいは借りて売った場合には当然その株を買い戻さないと株が返せないわけでありますから、どこかでその株を買い戻しているんだろうなと思って調べてみましたら、ちょうど10月24日、売り出し期間が始まってから大量にまた買いの1位でゴールドマン・サックスさんが出てこられておるということが手口から明らかになっておるわけでございます。

質問は、主幹事が知り得た情報をもって仮に空売りを事前にした場合には、これは証券取引上いかなる事項に抵触するのかということをまず質問させていただきたいと思います。

五味 廣文氏(政府参考人)

個別具体のケースがございませんと一般論としてお答えしづらいものでございます。恐らく議員の念頭にはインサイダー取引あるいは株価操縦ということがおありかと存じますが、インサイダー取引の場合には、当該会社、その株式を発行しております会社の関係者というものが行為者ということになります。その他、あとは重要事実、会社の経営に関します重要事実、これは法律、政令に列挙されておりますが、それに当たる情報であったのかどうか、またその公表の時期、決定の時期との前後関係、こういったようなものが問題になります。

株価操縦の場合には、株価を操縦させる、あるいはその取引が非常に繁盛であるというようなことを誤認させる目的を持って取引を行うといったようなことがその要件となっておりますが、いずれにしましても具体的な案件ごとにそこは判定される問題でございます。

浅尾 慶一郎

それでは、どういうことかということを御説明申し上げた方がわかりやすいと思いますが、先ほど、大体30万円ぐらい株価が九月の下旬ぐらいから実際に売り出し価格まで下がっております。30万円で今回100万株、政府が売っておりますので、3,000億円納税者は懐が痛んだということになるんだと思いますが、しかも主幹事証券でございますので、重要な働きをされたのではないかなというふうに思っておりますということだけをその点に関しては申し上げさせていただきたいと思います。

それから、もう一点加えて申し上げさせていただきますと、主幹事証券というのは当然いろんな社内の情報を知り得る立場にございます。30万円下がって、仮にそこで1万株の売りをするとそこは30億円もうかるというのは申すまでもないわけでありますが、彼らが主幹事として実際の仕事はどれぐらいやったかというと、引き受けた株に対して需要を集めてくるんだと思いますが、他の主幹事証券会社、日興、野村あるいはメリルリンチといったようなところは引き受けた株以上に需要を集めてきた。これは単純に言えば、主幹事として成功したということなんだと思いますが、数値だけ申し上げさせていただきますと、日興証券は引き受けた株が23万2,000株強、野村も23万2,000株強でありますが、それぞれそれ以上の、日興は23万2,000株強に対して、日興ソロモンが138%、野村が130%、そしてメリルリンチは114%の需要喚起ができたわけでありますが、ゴールドマン・サックスは、残念ながら、引き受けた株数が5万6,000株強でありますが、それに対して62%しか需要喚起ができなかった。

言葉をかえて言えば、これは仕事を余りしていなかったという理解でありますが、その点についてもし理財局長の方から何か、事実関係に誤認があるかどうか、あるいは仕事を余りしていないんじゃないかという指摘に対して何かあれば御答弁いただきたいと思います。

中川 雅治氏(政府参考人)

まだ私どもも実際の数字につきましては中途の報告しか受けていないということで、最終段階の報告はこれからということのようでございます。大体、今、先生御指摘のような数字になっているということは聞いております。

ただ、主幹事の仕事といたしましてはドキュメンテーションの問題とかいろいろございまして、単にその引き受けをしてそれを販売するということ以外にいろいろありますので、総合して判断をしていく必要があろうかと考えております。

浅尾 慶一郎

それでは次の、今インサイダーといったような話をさせていただきましたが、また別の観点からインサイダーについて伺わせていただきたいと思います。

昨年のGDP第一・四半期の数字が発表時間よりも早目に漏れていたということが報道されておりますが、経済企画庁小野次官お越しでございますけれども、6月10日の3時に発表されたというふうに伺っておりますが、その三時前の時点にどういう方に事前にその数字について御説明をされましたでしょうか。

小野 晋也氏(政務次官)

先ほど浅尾委員が御指摘のとおり、この問題に関しましては、確かに一部報道機関に公表前計数の一部が漏えいしていたといいますか、報道されていたことは事実でございまして、これはまことに遺憾に思っている次第でございます。

これに関連いたしまして、事前に説明をした者ということでございますが、これにつきましては、現在、直前には内閣総理大臣、内閣官房長官、大蔵大臣、通商産業大臣及び内閣官房副長官に説明を行うことになっておりまして、当時も同様の事情といいますか、事前に説明をしておく必要性があるということでございまして、こういうことがあったと認識をしているところでございます。

浅尾 慶一郎

発表されたのは6月10日の午後3時10何分ということでよろしゅうございますか。

小野 晋也氏(政務次官)

この発表は、6月10日木曜日の15時30分公表ということでございます。

浅尾 慶一郎

そこで、昨年の6月10日の国債の先物のマーケットというのは15時で閉まるという理解でよろしゅうございますか。

土田 正顕氏(参考人)

そのとおりでございます。

浅尾 慶一郎

6月10日の値動きを見ますと、平成11年6月限りのものは前日比19銭、これは高くなったというか、下がっていますね。というか、その翌日で見ないといけないんだと思いますが、6月11日の国債は非常に大きく動いておりまして、きのういただいた数字ですが、2円値段が変わっておるということなんだと思いますが、そうだとすると、事前に国債を先物マーケットで売っておくとかなりの収益が出ると思いますが、基本単位を売った場合に、2円の値動きがあると幾らぐらいの収益になりますか。

土田 正顕氏(参考人)

1単位は1億円ということでございますので、2を掛けますと2億円でございます。

浅尾 慶一郎

その6月10日及び11日のそれぞれの売りが多い証券会社1位というのは、私が聞いております話では、それまでは出てこなかった会社が急にその日出てきているというふうに伺っておりますが、そういう理解でよろしゅうございますか。

土田 正顕氏(参考人)

その辺につきましても、先ほどちょっと申し上げたようなことでございますが、個別の手口、内容は申し上げないことにしておりますので、御容赦いただきたいと思います。

浅尾 慶一郎

日本のGDPの数字を事前に知って大変な収益を上げている可能性があるということでありますので、ぜひ当委員会に資料提出をお願いしたいと思います。

須藤 良太郎氏(理事)

はい、検討します。

浅尾 慶一郎

もう少し申し上げますと、別にどこの証券会社が売りが多いとか買いが多いということだけではその証券会社に対して特別のダメージを与えるということも特にないわけでありまして、ですからその点はぜひ東証の理事長としても御考慮をいただきたいと思います。

きょうは、証券取引等監視委員会の五味事務局長がお越しでございますが、私は、いろいろとマーケットが複雑になってくる中において、こういったような情報が事前に漏れることによって不当な利益を得る人が出てきているということもありますので、ぜひその辺の監視の強化をお願いしたいと思いますし、また今の証券取引等委員会の体制ではなかなか難しい部分もあろうかなと思いますので、場合によっては、これは五味さんにお聞きするよりかは直接の担当の御大臣であります相沢さんにお聞きした方がいいと思いますが、事務局の体制を拡充する方向で御検討いただきたいと思いますが、まず体制拡充で御検討いただけるかどうか、御答弁をお願いしたいと思います。

相沢 英之氏(国務大臣)

私が委員長に就任をいたしまして、証券取引等監視委員会について、今おっしゃるように非常に人間が少ないので手薄になっていると、これをひとつふやしてもらいたいというような形での話を実はよく聞いておりませんでしたものですから、お話がございますればよくまた検討させていただきます。

浅尾 慶一郎

ぜひお願いしたいと思います。

というのは、実は6月10日で売りが一位になっている、これは2種類ありますが、6月限りと、そして9月限り、それぞれ先ほど来問題になっておりますゴールドマンとモルガン・スタンレーでございますので、ぜひそういうことも含めて御検討いただきたいというふうに思います。

また、そういう部分もございますので、当委員会で申し上げております契約書の開示ということを積極的に行うことによって、そのさまざまな疑問に対して積極的にとらえる、向かっていくという姿勢を示していただきたいと思いますが、その点については委員長、いかがですか。

相沢 英之氏(国務大臣)

証券取引等監視委員会も、御承知のように電算システムの開発とか活用、そういうことで事務の効率を上げる努力をしてまいりましたから、責務を適切に果たしているとは存じますが、なおお申し越しの件についてはよく検討させていただきます。

浅尾 慶一郎

では、私、きょうはあと生命保険会社の破綻について質問させていただきたいというふうに思っておりますが、改正前の保険業法においては、特別の事情がある場合は予定利率を既契約者に対しても引き下げることが認められるという記述がございました。その保険業法のその記述に従って実際に予定利率を引き下げたケースは具体的にどういうものがあるか。また、そのケースに対して裁判になっておると思いますが、最高裁の判決も出ておると思いますが、その判決はいかんと。さらに、その判決に対して学説がそれに対して反対することを述べておると思いますが、その3点についてお答えいただきたいと思います。

乾 文男氏(政府参考人)

お答えいたします。

委員が御指摘になりましたとおり一例ございまして、昭和21年に戦後の激しいインフレーションの進行による保険会社の事業費の高騰、それから運用資産の利回りの低下、死亡保険金の支払いの増加、それから戦時補償の打ち切り等によります生命保険会社の事業経営の窮迫を打開するために、当時の保険業法の規定に基づきまして、大蔵大臣の命令によりまして各社一斉に既保険契約に対する保険料の引き上げ、保険料の引き上げイコール予定利率の引き下げということでございますけれども、それが実施された例が一例ございます。

それで、この措置につきましては、保険契約者から保険会社に対し、その増額部分の保険料債務不存在の確認を求めた訴訟が提起されまして、昭和34年に最高裁判決が出ております。

その判決におきましては、第一に、保険業法第10条3項に言う保険契約者等の利益の意義については、既存契約の保険料の増額は、単に当該契約を個々的に観念すれば一見不利益のごとくであっても、保険事業の維持、経営の破綻を救う道が保険料の増額以外には存在しないと主務大臣が認めて第10条第3項の処分をした場合には、結局は契約者等の利益を確保するゆえんであり、また新契約と既存の契約との間に負担の公平を期することができるとされ、第二に、憲法判断につきましては、原告の主張の前提について事実誤認があるといたしまして、旧保険業法第10条第3項の合憲性についての判断はされなかったという判決の内容であると承知しているわけでございます。

この判決に対しましての学説等でございますけれども、これに対しましては、契約の安定性からこの判決の内容は問題はないかという学説あるいは学者の意見がありますし、また他方、終戦直後の特別な事情にかんがみると、その当時、その法体系のもとではやむを得ない措置だったのではないかとの意見もあるなど、さまざまな御意見があるというふうに承知をしております。

以上でよろしゅうございますか。

浅尾 慶一郎

いずれにしても、終戦という大変な事態のときに唯一発動をされたというふうに理解をしております。

だとすると、今仮に、今国会はとてもということですが、無理だというふうに思いますが、その保険業法を再改正してそういったようなことを認めるという場合には、終戦のときと同じような特殊な事情があるということを政府として認めない限り私はその理論構成上おかしくなってしまうんじゃないかなというふうに思いますが、相沢大臣の御認識では、今のこの異常な低金利というのは、マネー敗戦という言葉もございますが、終戦と同じような異常事態であると、そういう認識を持っておられますか。

相沢 英之氏(国務大臣)

数字が必要ならばまた申し上げますけれども、私、御案内のように、最近の生保が相次いで破綻を来したという実情をつらつら見てみますと、これは御案内のように、損保と違いまして、契約期間の長い生保におきまして、保険料率を算定する際に当然運用予定利回りというものを設定しているわけですけれども、その運用予定利回りと現実の運用利回りとの間には相当な開きがある。2%から1%、それぞれ各社によって違いますけれども、また保険の種類によっても違いますけれども、そしてそれがもう大きな逆ざやとなって、各社によって違いますけれども、年間で何百億というところのロスを生じているわけなんですね。

ですから、御承知のように、最近相次いで千代田生命また協栄生命がつぶれましたけれども、さらに巷間どこが危ないとかなんとかというようなこともしきりに言われております。私は、やはりそういうような、世の中に保険をかけるという言葉がありますけれども、危ないから保険をかける、その保険がつぶれるようじゃこれは保険にならない。

第一、やっぱりこういう生保のそういうような状態が、生保各社のその経営努力が足らない、あるいはそれだけの事情で何するのは別ですけれども、やっぱり低金利という政府といいますか日銀のそういう政策のもとにこの金利が、運用利回りも下がっているということもありますから、そういう必ずしも生保会社の責めに帰すべからざる事由で逆ざやを生じている、そのままほっておいていいのかしらと、こういうようなことでその間の調整を考える必要があるんじゃないかというわけなのであります。

浅尾 慶一郎

今、生保会社の責めに必ずしも帰さない理由で逆ざやが拡大しているということは、一理あると私もそういうふうに思っています。ただし、じゃその低金利が続いてしまったのは別の理由があって、それは端的に言えば経済政策を失敗したから低金利が続いてしまったんだと。経済政策がうまくいっていて、そして実質金利、2%ぐらいの仮のインフレがあったとすれば5%ぐらいの金利というのは通常あるはずなのであって、低金利というのは逆に言えば銀行救済の側面もあって、生保を傷める部分もあるということだと思いますが、じゃその生保に責任を負わせないとするということで保険業法を再改正するのであれば、だれかがその低金利になった責任というのはやっぱりはっきりしておかないと、私はその責任、一億総無責任ということにつながってしまうんじゃないかなと。

そういう意味で、相沢大臣として、もしそういうことを考えて提唱されるのであれば、それは政府の経済政策の失敗だったというところまで踏み込んで改正を提案されるのかどうかということを伺いたかったわけであります。

相沢 英之氏(国務大臣)

なぜこういうような金利政策になってきたかということは、これはもうあなたも御理解いただけるように、やっぱり景気対策ということ一つを考えても、投資意欲の促進等々、これは金利政策上そういう考え方が出るのは私は当然のことだと思いますし、またそれなるがゆえにそういう政策をとってきたんだと思うんですね。

ですから、これはもう失敗があったとかなかったとかいうことではないので、もしそういうようなことが議論されるには、やっぱりこれは後世歴史の批判を待たなきゃならぬなというふうに私は思っております。

浅尾 慶一郎

私が申し上げたいのは、仮に予定利率引き下げを政府の命令によって行えるようにした場合に、だれが守られるかということを冷静に考えていただければ、今、例えば破綻した千代田生命なり協栄生命の契約者は減額されるわけですよ。破綻しようが、それから仮に法律を変えても、減額される。だから、契約者にとってみればそれはどっちでもいい。

ただ、破綻した場合には経営者は責任をとらなければいけない。その経営者に責任を負わせるのがかわいそうだ、経営者は、先ほどまさにいみじくも大臣が言われたように、その経済政策の犠牲になっているからかわいそうだと。したがって、経営者を守るため、その部分はじゃだれかが責任をとらなきゃいけないから、政府が経済政策を失敗したんだということをはっきりとお認めにならないと、その法律を改正するということにはならないんじゃないかなと。

確かに、その経営者の予見できない部分というのがあると、私自身もそれは思いますので、それだけの覚悟を持って、もし法改正に取り組まれるのであればぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。



|| 上へ戻る ||