金融経済特別委員会 会議録
平成12年5月20日
浅尾 慶一郎

今、櫻井委員の方から質問がありました件で関連して若干質問させていただきますが、まず、きょうは、情報公開法ということで、先ほど津野内閣法制局長官からのお話がありましたが、その所掌をされております総務庁の方にも来ていただいております。

先ほど、相当の利益を有する場合には国家公務員法上は開示しなくてもいいというようなことで、さらに、来年の4月ですか、施行されます情報公開法を見ますと、第五条に、法人の場合は例えば開示をすることによって利益を害される場合ということが出ておるんだと思いますが、その利益を害されるかどうかの判断については当該業界に、害されるかどうか当該個人、法人ではなくて業界に聞くという理解でよろしゅうございますね。

藤井 昭夫氏(政府参考人)

お答えいたします。

行政機関情報公開法上の法人等情報の取り扱いについてでございますが、御指摘のとおり、第5条第2号では、当該行政文書を公にすることにより、当該法人等の権利、それから競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものなどを不開示情報としているところでございます。これは、いわば行政文書にさまざまな法人あるいは団体に関する情報の中で営業の秘密やノウハウなどが含まれている場合、これを保護するものでございます。

それで、だれが判断するかということでございますが、これは、行政処分一般に第一義的には行政庁が判断するということになっております。したがいまして、行政手続法という法律がありますが、これに第五条で審査基準を設けるということが定められているんですが、各省庁におかれては今ちょうどこういう各条文ごとの審査基準をつくっていただいているところと思います。

それで、仮に紛争なんかが生じて、そういう場合は別途行政不服審査法で異議申し立て等がなされまして、それに対して不服審査会というのが別途審議会的な審査会が設けられておりまするから、そこで判断いただくとか、あるいは、これは権利でございますので、最終的には裁判所で判断していただくということになるということでございます。

浅尾 慶一郎

簡潔で結構ですが、各行政機関で判断をする場合に、その該当する業界に聞くということが基本的に総務庁の理解としてあるということでよろしゅうございますね。簡潔にお願いします。

藤井 昭夫氏(政府参考人)

これは、行政機関情報公開法では、第三者に支障が生じるにもかかわらず別途公益的観点から開示するという場合を認めておりますが、そういった場合は任意的あるいは必要的に意見を聴取するという手続を定めているところでございます。

浅尾 慶一郎

同様に、第六条には部分開示というものが認められておりまして、契約書、すなわち紙で書かれたものについては、これは紙ですから部分開示ができるということを事前に総務庁から伺っております。したがって、紙で開示する場合には、開示できないところは墨で消して開示するというふうなことを事前に総務庁から伺っておりますが、これもう時間がありませんからイエスかノーかだけで結構です。

藤井 昭夫氏(政府参考人)

紙に記録されている場合で区分できる場合は、そのように処理できるということでございます。

浅尾 慶一郎

では、再生委員長に伺いますが、当然この委員会で議論されてまいりましたゴールドマン・サックスとの契約あるいはモルガン・スタンレーとの契約は紙で書かれておるわけでございますから、もし再生委員会で開示できないと判断する部分、それはそのゴールドマン・サックスなりなんなりに聞かれるということですが、そこは今御答弁ちょっとはっきりしていなかったので後でまた聞きますけれども、本来は当該利害当事者だけではなくて、同じ業界のアドバイザリーをやっている第三者に聞くのが私は正当だと思いますが、聞いた上で、どうしてもここはおかしいんじゃないかというところは墨でなりなんなりで消して開示をするというのが情報公開法の趣旨であるということだと思いますが、墨で消して開示するおつもりがあるかどうか、御答弁をお願いします。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

情報公開法が実際に施行されましたら、それは私どもはもちろん情報公開法の趣旨にのっとって対応させていただくということであろうと思います。

浅尾 慶一郎

引き続いて質問させていただきますが、施行前に、先ほどの国家公務員法の守秘義務との関連で、相当の利益というものがあった場合にはそれは守秘義務にかかるということだと思うんですが、情報公開法で開示ができるものが、施行前であっても開示ができないという理由は成り立たないんではないでしょうか。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

現在は現在の法のもとで判断をいたしております。そして、情報公開法の施行はたしか来年だったと思いますが、来年その情報公開法ができればもちろん当然それを前提にして私たちは判断するわけですが、今その判断が違ってくるかどうか、私はそこのところはまだ十分詰めておりませんけれども、違ってくれば違ったように対応しなければならないと思っております。

浅尾 慶一郎

私は、情報公開法の条文で、これはもう国会で決まったことでありますし、開示義務が部分にしろ全部にしろあるわけでございます。それが来年の4月になったら開示ができるようになって、今の段階で国政調査権に基づく開示ができないというのは余り理屈が成り立たないと思いますので、もし現段階で部分開示というものができないということであれば、それは当委員会に対してその理由をしっかりと説明していただきたいと思います。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

現在は現在の法にのっとって解釈をしているということでございます。

それで、まだ私は十分検討していないので、情報公開法になったらこうなるこうならないというのを今余り責任を持ってお答えできないんですが、今お話を伺っていてそんなにえらい違いが出てくるかなという気はいたしております。

ただ、ここは今余り責任を持ってお答えできませんので、これ以上は差し控えさせていただきます。

浅尾 慶一郎

確認のために総務庁の方に伺いますが、情報公開法、紙の場合には部分的に契約書を開示できます、開示できない部分は墨で塗りますということでいいわけだと思うんですが、その理解でよろしゅうございますね。

藤井 昭夫氏(政府参考人)

行政文書にいろいろ企業の情報が記録されております。その各記録が分離されるかどうか、それを分離した上で、そのパーツ、パーツが公開することによって支障が生ずるかどうか、それを判断していただいた上で、しかも支障が生ずるものを分離して不開示として、残りを出すことによって支障がなければそれは出していただく、こういう処理になるということです。

浅尾 慶一郎

同じ情報公開法の第七条には、先ほど審議官の方で早くに御答弁いただきましたが、読みますと、「行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる。」と書いてあります。

私は、今回のように4兆円の国費を使って金融的な処理をしたということの経過を開示するというのは非常に公益上必要があるというふうに考えておるわけでございます。これは来年の四月にならないとお答えになれないということなのかもしれませんが、今申し上げたとおり書いてあるわけでございますが、まずその点について、公益上の必要性ということは認識されておるかどうか、その点だけで結構でございます。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

当然、その時点その時点で判断をするわけでございますし、またこの公開の問題はいろんな側面があるんだろうと思うんです。相手方の同意が要る場合、要らない場合、あるいは時を経て公開できるようになるもの、いろんなものがあろうかと思いますが、当然のことながら、情報公開法が施行されましたときはその精神にのっとって対応していきたいと思っております。

浅尾 慶一郎

それでは、公開に関してもう1つ、先般、森事務局長に質問させていただいて、預金保険機構の弁護士事務所はどこだったか、お答えいただけますか。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

長銀の売却の際に預金保険機構が契約した法律事務所は西村法律事務所でございます。

浅尾 慶一郎

それでは、長銀の売却関係で当委員会でいろいろと質問させていただきましたので、引き続きの質問をさせていただきますが、質問に当たって、今般、新しい業態による銀行の参入について、いわゆるイトーヨーカ堂銀行ですとかソニー銀行というんですか、に関して金融再生委員会で指針をまとめられました。

私、その指針を読ませていただいて、なるほどこういう考え方でやっておられるんだなといろいろ思ったわけでございますが、例えば、新しい銀行についてはいわゆる親会社等に対する融資規制があるわけでございます。翻って、長銀ないしは今度売却される日債銀について、親会社あるいは親会社等ということは、ですから主要株主に対する融資規制がまず契約書上はないということだと思いますし、それからこの指針もどうも新規参入する銀行のみを対象にしておるということなのでありますが、そこに整合性がないのではないでしょうか。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

今、新規参入といいますか新しい形態による銀行業参入に関して見解を取りまとめたとおっしゃいましたが、もう少し正確に申し上げますと、こういう銀行業への事業会社等異業種の参入の問題は、再生委員会、金融監督庁でいろいろ議論をしてまいりました。まだ最終的な結論は出ていないんですが、現行銀行法の枠内で運用上の指針というものの基本的な骨格は固まりつつある状況でございまして、今後最終的な詰めを行って、そして大体今月末までに策定、公表をして、パブリックコメントにかけた上で最終的に取りまとめることにしたい、こう考えております。

ですから、まだ最終的な成案というわけではないんですが、今のような前提のもとで申し上げますと、長銀の株式譲渡の最優先交渉先の選定とかあるいはニュー・LTCB・パートナーズ社との最終合意は、それぞれ昨年9月、あるいは本年2月に実施されたものでありまして、今の指針そのものを適用して検討したわけではまずございません。また、株式譲渡契約においても本指針に掲げる項目が記載されているわけでもありません。

ただ、金融再生委員会においては、パートナーズ社を長銀の株式譲渡先に選ぶに際しましては、金融再生法の枠組みのもとでいろいろ検討を加えてやったわけでありますが、今後、新生長銀に対しては健全性の確保の観点から本指針を踏まえた監督、これはこれからの監督とか新しい免許を与えるときとかいろんなことが書いてございますが、これからの監督ということにつきましてはこれが適用される、決まりましたらですが、こういうことで適用されるということであります。

浅尾 慶一郎

そうしますと、長銀の方は契約をもう結ばれたわけでございますが、日債銀はこれから売却の最終契約を取り結ぶということになるんだと思います。日債銀の親会社はソフトバンクグループとオリックス、東京海上ということだと思いますが、特にソフトバンクグループの場合はいろいろと今度ナスダック・ジャパンというような形で親会社等の関連会社、いわゆるソフトバンクが出資している会社が数多くこれから店頭公開その他していくという形になるんだと思いますが、それに対する融資規制というのが、いわゆるイトーヨーカ堂銀行ですとかソニー銀行に対してはこういった形で指針としてあるわけでございまして、これを素直に読むと、これは事業会社を親会社等に持つ新規の銀行に対する対応という形なんで、必ずしもそれがソフトバンクと今度の日債銀との交渉に当たるのかどうかわからないので、わからない場合はむしろ私としては契約の中に入れた方がいいんじゃないか、それが恐らく金融再生委員会として1つの考え方につながるんじゃないかと思いますが、その点いかがお考えになりますでしょうか。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

その辺をどう詰めていくかというのは実はこれからの議論だと思っておりますが、ただ、1つ申し上げたいことは、こういう特別公的管理のもとで金融機関をどこかに売却しようという枠組みと、それから銀行法のもとで新たに設立される銀行に免許を付与しようという場合は、やっぱり問題状況が若干異なってくるのではないかなと思っております。

浅尾 慶一郎

今の委員長の見解と私は見解を異にいたします。

すなわち、新たに参入する銀行ともともとある銀行と監督行政が違ってもいいというふうに聞こえるわけでございますが、そうすると公平性の観点からおかしなことになってしまいませんか。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

免許の観点とそれから今までのこの特別公的管理を新しく買うという観点は今申し上げたように若干違うと思っておりますが、ただ、できた後にこういう指針をつくって、この指針のもとで監督をしていくという場合には当然この指針の適用があるというふうに考えます。

浅尾 慶一郎

そうすると、この指針は、確認ですが、新たにできた銀行のみならず既存のすべての銀行が対象になるという理解でよろしいんですね。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

監督について書いてありますところは、そういう考え方で既存の銀行にもこれからの監督には適用されるというつもりで書いてございます。これは、最終的な結論はまだでございますが、そういうつもりで書いてございます。

浅尾 慶一郎

そうすると、免許付与の条件の部分は違うよという理解でよろしいんですか。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

それは当然、これから免許を付与する場合に使われるわけでございまして、既往にさかのぼって今までの銀行にそういうことをつけ加えるということはないわけでございます。

浅尾 慶一郎

一点、細かい点になるかもしれませんが、例えば「資産構成が国債等の有価証券に偏っている形態の銀行」という部分があります。これは恐らくいわゆるイトーヨーカ堂銀行を想定して、融資をしない銀行を想定して定められたんだと思いますが、例えば長銀を例にとりますと、引当金不足の結果、4兆円国費が入っていますね。4兆円、これはキャッシュであるはずなんですが、キャッシュで4兆円あるということは、当然それは国債等に偏ってしまうんではないかなと。そうすると、ここと矛盾があるのではないでしょうか。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

浅尾先生おっしゃるとおり、正確には3.6兆円でございますが、3.6兆円のロス埋めはキャッシュでしております。

基本的には、そのキャッシュは急速に減らすように、つまり調達について期限が来たところにどんどん返済して、全体のリスクアセットを小さくしていくということでございます。

ただ、その間におきましては確かに国債運用の比率が他の大手行に対しては割合的には大きいかもしれませんけれども、それを現在長銀はいかに早く小さくするかということについて努力しているものと認識しております。

浅尾 慶一郎

具体的にお伺いいたしますが、その3.6兆はいろいろな、経営健全化計画の中でこういう形で減らしていきますよというプランも出させているんですか。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

今、ちょっと経営健全化計画そのものが手元にないのでございますけれども、毎年毎年のポジションは平成15年度決算期まで出させております。

浅尾 慶一郎

きょうは法務省の方にも商法の優先株の消却についていろいろ伺おうということでお越しいただいております。

先般、東大の神田先生からいただきました意見書も法務省にお渡しをしておると思いますが、この意見書について具体的に何か御意見、法務省としてございますでしょうか。

細川 清氏(政府参考人)

意見書は拝見いたしました。ただ、こういった問題は最終的には裁判所で有権的解釈をされるわけでございまして、確立した判例のない現在の状況におきまして私どもが断定的な見解を申し上げるのは適当でないと思っています。

ただ、さまざまな神田先生の意見と違う意見も有力な学説としてございますので、そういったものを考慮した上でいろいろ物事を決められるのが適当ではなかろうかと、このように考えているところでございます。

浅尾 慶一郎

具体的に伺いますが、先般、金融再生委員長が法務省からということで2つの学説を、これがどなたの学説かということは別途答弁の中で答えていただきたいんですが、申されましたが、1の学説というのは、「数種の株主の間で、これらを平等に扱う「技術的困難が全くないのに、客観的に明白に実質的衡平に反する格別の定めは、たとい不利益を受ける種類の株主総会の議決があっても、その瑕疵は治癒されないというべきである。」」と書いてありますが、これは要するに定款に定めがない場合を定めてあるんでしょうかということが質問であり、かつ、これがどなたの学説かということです。

細川 清氏(政府参考人)

谷垣大臣の御見解のうちのただいま浅尾先生が朗読された部分は、新版「注釈会社法」の3に記載のある菅原菊志教授の御見解でございます。

2番目の御質問は、222条の第3項は定款の定めがない場合の規定ではないかという御質問でございますけれども、確かに222条第3項は、直接的には数種の株式を発行している場合においては定款の定めがないときでも株式の併合、消却等について株式の種類に従い格別の定めができるものとするものでございますが、この文言は「定款ニ定ナキトキト雖モ」と規定しておりますので、定款によりこれらの格別の定めをすることができることを当然の前提としているものと考えられます。そして、商法第222条第3項は、定款で株式の併合、消却について格別の定めをする場合の根拠規定と言うこともできるというのが有力な見解だろうと思っております。

それで、222条の第1項では定款で定めることを要する各種の株式の内容を定めているわけでございますが、この中には、消却等については定められるわけでございますが、そのような種類株式について株式の併合、消却について実質的な公平を保つために調整できる方法等を222条第3項で定めておりますので、ここで言っている調整の限界に関する学説の見解というものは、定款で定めがあるときでもないときでも同じような問題として妥当するんだというのが一般的な有力な学説であろうと、このように考えているところでございます。

浅尾 慶一郎

いずれにしても、再生委員会としては優先株と普通株とを減資の場合は平等に扱うというのが一番安全なんだ、正しいんだという理解でよろしゅうございますね。

谷垣 禎一氏(国務大臣)

大分当委員会で何回も浅尾委員とこの問題、議論させていただきましたけれども、今委員が要約されましたように、やはり減資の際に普通株だけというのはいろいろな法律上も解釈上も問題があるだろう、実務上も問題があるので、今にわかにその見解にはくみしがたいというのが私どもの考え方でございます。

浅尾 慶一郎

そこで、この学説に従ってやっておられるということなんですが、長銀との株の売買契約を見ますと、逆に優先株のみが四分の一消却、減資されていまして、普通株は100%残っておるわけです。これは契約に書いてあります。ですから、やっておられることに矛盾があるのではないでしょうか。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

日本長期信用銀行が破綻いたしまして、普通株と優先株、いずれも株価がゼロになりました。ゼロになりました…。

浅尾 慶一郎

細かい話はいいです。その扱いだけ。

森 昭治氏(政府参考人)

はい。それを、その優先株のうちの佐々波の分の4分の3はこちらの方の要請で、本来は100%減資するところを減資しないでほしいということで、向こうと、先方と合意いたしまして4分の3を残したわけでございまして、通常の場合と、譲渡に係る契約の関係でございますので、そういう事情があったということを御理解いただきたいと思います。

真鍋 賢二氏(委員長)

浅尾君、時間が来ております。

浅尾 慶一郎

時間が来ましたので終えますが、事実として学説に反する取り扱いをされておるということですから、再三当委員会で申し上げておりますように、私が申し上げたいのは、国民の利益に立つ立場に立って、ぜひ、実際に柔軟にもうやっておるわけですから、日債銀の場合にもやっていただきたいということであります。

終わります。



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