金融経済特別委員会 会議録
平成12年7月18日
浅尾 慶一郎

長銀のそごう向けの債権、99年2月に金融再生委員会で資産判定をされたと思いますが、そのときは要注意先のAということで、また多くの関連会社も要注意先であったという理解だと思います。

それから、それが2000年の譲渡時の資産区分では破綻懸念先になっていたと、こういう理解でよろしゅうございますね。

森 昭治氏(政府参考人)

そのとおりでございます。

浅尾 慶一郎

そうすると、なぜ破綻懸念先の債権を引き継いだまま長銀に譲渡をしたんでしょうか。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

旧長銀が一昨年の10月に破綻し、12月に金融再生委員会ができましてすぐに法律に基づきまして資産判定作業というものをしまして、約2ヵ月かかりまして適資産すなわち受け皿にそのまま承継するのに適当な資産とそうでない資産に分けたわけでございます。

そごうの債権について絞って申し上げれば、その際、そごうにつきましては、再生委員会におきまして一昨年の2月の決算に基づきまして、その後の金融監督庁の検査も踏まえた上のものを国が選任した経営陣のもとで長銀が自己査定をいたしまして、そこで出てきた資料等に基づきまして再生委員会が判定し、要注意先Aとしたわけでございます。その際の…。

浅尾 慶一郎

いやいや、破綻懸念先。

森 昭治氏(政府参考人)

はい。

その後、受け皿探しをしたわけですけれども、ではなぜ資産判定をし直さなかったかといえば、やはり一刻も早く譲渡をしなきゃいけなかったこと、さらに資産判定して破綻懸念先イコール不適というわけではございません。破綻懸念先であっても親銀行等の支援があれば適になるわけでございまして、そういうことをし直すこと自体が基本的には早期譲渡ということとは相反する方向にありましたもので、譲渡時におきましては破綻懸念先としてデューデリいたしましてそのまま相手に引き継いだわけでございます。

浅尾 慶一郎

今の森さんの御答弁、ちょっと納得できないところがあるんですが、譲渡時に破綻懸念先ということを判定したわけですから、もう既にそこで資産判定を、手続をしていないだけであって、実際にはやっているわけですね。間違いないですね。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

資産判定はあくまで再生委員会がすることになっておりまして、譲渡時での国側の監査法人のやるものは基本的に国側のいわば資産査定及びそれに対する適切な引き当てでございまして、資産判定ではございません。

浅尾 慶一郎

資産査定をして、そごうの場合は180億円ぐらいだった引当金を国側の税金として1,000億円ぐらい積み増したということは事実ですね。長く答えると時間がありませんから。

森 昭治氏(政府参考人)

破綻懸念先につきましては担保アンカバー分の70%でございまして、結果的に1,000億になりました。

浅尾 慶一郎

どうぞ資料をちょっとお配りいただきたいと思います。

〔資料配付〕

浅尾 慶一郎

実は、今お配りする資料でお話をさせていただきますが、平成11年の3月の段階では、そごうというのはこのお配りする「一般貸倒引当金」というところの中で180億円ぐらい引当金が積まれていたということだと思いますが、「予備的基準日貸借対照表」と書いておりますけれども、いわゆる譲渡時点での査定では個別貸倒引当金になっている。個別貸倒引当金というのは、申すまでもありませんが、破綻の懸念があるあるいは実質破綻をしているところに対して積む先であります。そごうがここに1,000億ぐらいふえておるということだと思いますけれども、そうすると、去年の平成11年の3月の末時点では大丈夫だったというところが、譲渡の直前になると大分危なくなっている。総額でいうと5,000億弱ぐらい個別の貸倒引当金がふえているわけです。5,000億というのは、これは税金なわけです。

この詳しい個別の貸倒引当金を積んだ先について明らかにしていただきたいと思います。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

従来も御答弁させていただきましたとおり、総額としてはこのように出させていただきました。ただ、これを件数、基本的には先生の御指摘は件数で出せということかと思いますけれども、それはそのグループとしてはかなり数が限られてしまいまして、個別の企業の信用に与える影響等も考えまして開示を控えさせていただいていることを御理解いただきたいと思います。

浅尾 慶一郎

私は、実はこの問題が最初は資産判定を甘くして、そして譲渡直前に引当金を積むのではないだろうかという懸念もあったものですから、昨年の7月9日の当委員会において、そういうことはないんでしょうね、仮に個別企業に対して引当金を多く積むということになったら、それについてその個別の事情についてはっきりお答えいただけますねということを当時の柳沢大臣に御答弁をお願いしたわけであります。

そのお配りしました資料の2枚目についておりますが、読み上げさせていただきますと、「その理由をその段階では個別のそのときは適とされた企業がなぜ悪くなったのかということを含めて明らかにしていただきたいと思いますので、その確約の御答弁をお願い」しますというふうに言いましたところ、「当然のことと心得ております。」と柳沢さんはおっしゃっておりますので、ぜひ答えていただきたいと思います。

森 昭治氏(政府参考人)

当時、この答弁につきまして事務方としてはもちろん今言ったことになりますので気になりまして、元の委員長に真意を、この「当然のことと心得ております。」という真意を私確認いたしましたが、個別の一件一件の企業についてどう、例えば要注意先から破綻懸念先におっこったという意味ではなくて、ただいまお示ししたようないわばマクロの個別貸倒引当金の額とかそういうものは事務方で出せるだろうと、そういう意味でおっしゃられたんだというふうに確認しております。

浅尾 慶一郎

大臣の答弁ですので、大臣、この答弁をどういうふうに考えるか。

久世 公堯氏(国務大臣)

ただいま事務局長が申し上げましたとおりでございます。(発言する者あり)

浅尾 慶一郎

この議事録にはっきりと「当然のことと心得ております。」というふうに書いてあるわけです。

森 昭治氏(政府参考人)

今すぐ議事録が出てこないのでございますが、(発言する者あり)当時の、当時の元委員長はほかの場では、個別企業のことについては開示は差し控えさせて、できませんということを申しております。(発言する者あり)

真鍋 賢二氏(委員長)

ちょっと待ってください。やりますから、ちょっと待ってください。

森事務局長、答弁を読んでいないという、議事録を読んでいないという答弁はないと思います。再度答弁願います。

森 昭治氏(政府参考人)

事前にこの議事録は読んでおります。

私が申し上げましたのは、その当時からこの議事録は取り寄せて読んでおりまして、その当時お答えになられました柳沢大臣に御真意を確認したところ、いわばこういうマクロの数字で出すという意味であって、個別の企業とかそういうことを出すという意味ではないと、そのようにおっしゃっておられました。(発言する者あり)

浅尾 慶一郎

個別に柳沢さんに森さんが確認されたこととこの議事録に書いてあることとは全然関係ないんです。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

ここで書かれております国務大臣の答弁、「当然のことと心得ております。」という内容は、私はややあいまいな点があるのではないかと思っております。(発言する者あり)

浅尾 慶一郎

私は直接柳沢大臣に質問をして、柳沢大臣が当然答えますと言っているんですから、その約束を果たしていただきたいと申しておるだけでありますので、ぜひ久世委員長答えていただきたいと思います。

時間をとめてください。委員長、時間をとめてください、時間をとめてください。

久世 公堯氏(国務大臣)

この点は個別の事案に関することであり、その内容を公表することで新生銀行に取引先との関係で不測の事態を招くおそれがあることから、答弁は差し控えたいと思います。

浅尾 慶一郎

私がなぜこういうふうに柳沢さんに聞かせていただいたかというと、税金を多く使うことになるからその理由について答えてくださいと、そうしたらちゃんと個別のことについてそういうことはないと思いますが答えますよという判断、御答弁をいただいているわけであります。今の答弁では納得できません。

ちょっと時計をとめてください。

真鍋 賢二氏(委員長)

それでは、速記をとめてください。

〔午前11時4分速記中止〕

〔午前11時20分速記開始〕

真鍋 賢二氏(委員長)

それでは、速記を起こしてください。

ただいまの浅尾君の質問に関しましては、時間の推移もございますので、その経過報告を金融再生委員会の森事務局長にお願いし、他の問題につきましては後刻理事会でお諮りをさせていただきたいと存じます。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

浅尾先生の昨年の2月時点で要注意先そして譲渡時の今年の2月で破綻懸念先についての内容の開示の件でございますけれども、我々といたしましては、ぎりぎりできることとして、その個別貸倒引当金、1,223億から5,899億になりましたという点と、そして資料にはございませんけれども、これに相応する債権の額面が約5,899億に対応するものとしては1兆600億円、これは金融再生法の開示基準、危険債権というところでとりますとそういうことになりますということは開示させていただきます。

ただ、具体的な中身につきましては、企業名等も含めまして破綻懸念先としても今生きている企業でございまして、そのようなことを開示いたしますと企業の信用あるいは新生銀行の顧客基盤の毀損ということにもつながると考えまして、新生銀行の御同意が当然得られないものと思いまして、それを差し控えさせていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。

浅尾 慶一郎

私が去年の7月9日に柳沢大臣に質問をさせていただいたこの議事録、るるあるわけでございますが、その流れを申し上げますと、資産査定というものを厳密にやるというのが今回の金融再生法の趣旨であり、したがって後段、3枚目にも出ていますけれども、ロスシェアという考え方はだからとらないんだというのが柳沢大臣の考え、哲学であったわけであります。

だとすると、資産査定をとりあえず甘くやっておいて譲渡時に少し厳しくすると税金を多くつぎ込まなければいけないということも当然想定されるわけですから、そういうことはないんでしょうね、仮にあった場合にはなぜそれだけ多く積まなければいけなくなったかということを個別企業名も含めて明らかにしてくださいということで質問させていただいて、それに対して「当然のことと心得ております。」というふうに柳沢大臣が御答弁いただいたわけでありますから、今の森事務局長の答弁は全く納得ができないわけであります。

それで、もう少し別の角度から言いますと、そごうに1,000億円、これは今私が追及しなければわからない、そごうの1,000億円はたまたまそごうがああいう状況になりましたから明らかになったわけでありますが、残りの4,899億円ですか、はどこの企業に隠れた損失補てんをしているかというのがわからないわけであります。

今回のそごうの問題で一番問題になっているのは処理の不透明性ということでありまして、これは要するに個別名を言えないということは逆に言えばその個別の企業に対して隠れた税金のプレゼントをしている、そういうふうに解釈できると思いますが、その点はいかがでしょうか。隠れた税金のプレゼントだということです。

久世 公堯氏(国務大臣)

経緯のあることでございますので、事務局長に答弁をさせていただきたいと思います。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

確かに5,900億のうちの1,000億、残り4,900億は幾つかの企業に属しておりまして、それについてはその引当金そのものが税金であることは確かでございます。

ただ、これを積みましたのはあくまでセーフティーネットの中の預金者保護、全額保護という趣旨で、これが国民の税金が使われているというその趣旨を強調させていただきたいと思います。

浅尾 慶一郎

別の観点から聞きますと、資産判定のときに破綻懸念先あるいは実質破綻先で規模の小さいところは、これはRCCに送っておられるはずなんです。大きいところは、これは問題があるからということで、多分最初は要注意先Aにしておいた。そうはいっても、これは実際よく調べてみると危ないということで破綻懸念先に落として税金を4,000億円強積み立てたということだと思います。

それはどういうことかといいますと、逆に言えば規模の小さいところと大きいところで扱いの不公平があるということも言えると思うんです。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

資産判定基準につきましては、一昨年の12月15日の再生委員会で議決いたしました告示がございまして、それはもう浅尾先生中身は御承知のとおりでございます。これにつきまして、相手先の規模という点は勘案されてございませんし、再生委員会の場におきましても大きいのはとりあえず要注意で、あるいは小さいところは破綻懸念、そういうような判定は全く事実に反しております。

浅尾 慶一郎

それでは伺いますが、今おっしゃった資産判定の基準に従いますと、債務超過というのは不適当なんです。そごうを何で引き継がれたんですか。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

そごうと一言で申しましても、いわゆるそごう本体と申しますものは上場会社であるそごうとそれ以外のグループ会社に分かれます。グループ全体としては確かに債務超過になっておりますが、まずそごうそのものについて判定いたしまして、それは債務超過ではございませんし、繰欠もございませんし、延滞等もございませんし、条件緩和もございません。したがいまして、要注意先Aとしたわけでございます。そして、その他のグループについては、いわば親会社と一体という判断のもとでやったものでございまして、グループのほかの中には正常もございますれば確かに破綻懸念もあったかと思いますが、親会社と一体ということで判定いたしました。

浅尾 慶一郎

私が伺っておりますのは、譲渡直前に破綻懸念先にされたのは、明らかに再生委員会としてもそごうがやはり債務超過であるということをその段階で1年たったらわかったということなのではないかということを申し上げておるわけでありまして、同じような会社が、同じような企業グループ群が幾つかある、それが4,899億円になっていると。これは逆の見方をすれば、あえて資産査定のときには甘くしておいて、そして譲渡直前に多目に税金を積んだと言われても仕方がないのではないかということであると思います。

それで、先ほど資産判定というお話が出ましたが、資産判定は金融再生法に基づきますと預金保険機構から政府に対して要求することができるわけになっております。預金保険機構としては当然、今回の長銀の売却の当事者でありますから、貸倒引当金が多く積み増されているということは資産判定にそごがあったということが判定ができたわけであります。にもかかわらず、なぜもう一回資産判定の要求をしなかったんですか。

松田 昇氏(参考人)

先生御指摘の資産判定についての求めというのは、御案内のとおりでございますけれども、金融再生法の72条の三項にございまして、これは預金保険機構が当該特別公的管理銀行の株式を取得しましたときに、その「特別公的管理銀行の貸出債権その他の資産の内容を審査し、その保有する資産として適当であるか否かの判定を行うよう求めなければならない。」と書いてございまして、これで一度行ったわけでございます。それによって先ほど来の資産判定が行われたわけでございますが、再生法そのものを見ますと、私どもが資産判定について求めねばならないのはこれ一回だと、このように認識をいたしております。

浅尾 慶一郎

確かに、ねばならないのは一回かもしれませんが、国民の税金を少なくするあるいは効率的に使うという観点からは求めていくというのが善良な預金保険機構の理事長としての立場ではないかなと私は思います。

さて、その資産判定の話についてなぜこれだけ詳しくさせていただいたかといいますと、金融再生法というのはロスシェアの概念を含まない、あるいは逆に言えばロスシェアのかわりに資産判定を厳しくしてその適とする資産と不適という資産をしっかりと分けるというふうにも柳沢委員長はお答えをいただいておるわけであります。したがって、ロスシェアの概念を入れなかった。

私は、去年の7月の段階で、もしそういうグレーのものを引き継ぐのであればロスシェアというものを入れたらどうですかということも提言をさせていただいております。にもかかわらず、ロスシェアを入れられなかったその理由というのをお答えいただきたいと思います。

久世 公堯氏(国務大臣)

最初からロスシェアリングの問題につきましては、こういう問題については必ず考えなければいけない問題と理解をいたしております。

現にアメリカにおきましては、これは保険等の約款かもしれませんが、そういうところにこのたぐいの契約については入っておるわけでございますので、我が国においても当然それは考えるべき問題ではありますけれども、だから先般の預金保険法の改正におきましてロスシェアリングの規定が入ったわけでございます。このときにやはり法律的な根拠が必要であるということから、金融再生法の中にそれを入れるべきであるかということは当時も議論の対象になったようでございますが、やはり旧長銀という大型の破産管理になりましたこの銀行におきまして、これをやはり一定の期間、できるだけ早くこれを処理しなければいけないという当時の要請から、ロスシェアリングの規定を入れるための金融再生法の改正を行っている到底時間がないというところからこのロスシェアリングの規定を入れなかったというふうに承っております。

浅尾 慶一郎

実は、ロスシェアリングは法律の制定がなされる前から、政府は例えば住専の処理のときにロスシェアリングの概念を入れております。したがって、法律を新たに制定する必要もないということも当然再生委員会としては理解をしていたんだと思います。

にもかかわらず、ロスシェアという概念を入れなかった。入れないということは、今申し上げましたように適資産と不適資産をしっかりと分けるという、そういう考え方に基づいて行政を行わなければいけなかった、また行うという決意も過去の議事録からは読み取れるわけでありますが、それをやられなかった。やられなかったというのは、結果として適とした資産が、そごうもそうでございますが、第一ホテル、ライフと次々と破綻をしていくわけでございます。

この責任、その資産判定の責任については再生委員長どう考えられますか。

久世 公堯氏(国務大臣)

今御指摘のありました適の資産が時間を経過する中において不適の資産になるということはあり得ることでございまして、それがまたメーンバンク等がそう指定をした企業につきましていろいろ配慮することによってそれがまた劣化が進んだものがまた価値が上がるということだってありましょうから、そういうことにつきましてはやはりそれは全体として考えなければいけない問題だろうと思っております。

浅尾 慶一郎

この99年の資産査定をしてからことしまで、日本の経済はようやく実質で0.5%プラス成長しております。にもかかわらず、さっきもお配りした資料でありますように、大変不適の資産がふえている。ということは、もともと変なものが入っていたとしか言いようがないんではないかなと。もともと適資産に該当しないものを甘い資産査定をやったか、あるいはもともと適資産じゃないけれども、それをあえて入れるために資産査定を甘くしたかというふうにしか考えられないというふうに思います。

私は、再三ロスシェアということを入れていったらどうですかということを申し上げたんですが、あえてロスシェアはされなくて、瑕疵担保特約という形をとられたわけでありますが、これは瑕疵担保ということは、損が出た場合には国が引き取りますよということなんです。だとすれば、瑕疵担保でやっている限りにおいては、本来引当金は必要がないはずなんです。なぜかというと、破綻をした場合には国が補償をするわけですから引当金は要らない。にもかかわらず、なぜ引当金を積んでおられるのでしょうか。

森 昭治氏(政府参考人)

お答え申し上げます。

まず、瑕疵担保というものがどういうふうに、まあ当方から考え出して提案したわけでございますが、先方はいずれにしても二次ロスの補てんということについて何かなければ交渉は難しいということでございましたので、当方は瑕疵担保という民法の法理念を使ったものを提案いたしました。そのときの考え方は、先方に対しては適資産全部を一括譲り受けることというのを一つ私らは条件としていました。もう一つは、デューデリジェンス、資産査定及び金融検査マニュアルに基づくそれに対する適切な引当金、こういうものも国の監査法人にさせていただく。そちらについてはそれをそのまま受け取ってほしいと。こういう二つの先方からすればリスク、大きなリスクを当方はいわば強いたわけでございます。

それに対するものとして、売り手と買い手の立場を公平にするものとして我々は瑕疵担保条項というものを提案したわけでございますが、その意味するところは、二次ロス全部ではなくて、売り手の責めに帰属するものについてのみ担保しますということを言ったわけでございます。売り手の責めとは何かと申しますと、資産査定の根本になる資産判定、これは国がやっておりますので、国の見込みに違いがあれば解除して引き取らせてもらう、そういうことを約束したのが瑕疵担保責任でございます。

浅尾 慶一郎

私が聞いておりますのは、瑕疵担保ということで、もしその債権に瑕疵があった場合には国に売り戻せるわけです。だとすれば、そこに引当金というのは要らないんじゃないですかということを申し上げているわけであります。

森 昭治氏(政府参考人)

最終的に譲り渡す貸出金というものは、資産判定基準をごらんいただければおわかりのとおり、単に要注意先A以上、つまり正常先と要注意先Aのみならず、最初の項目で仮に破綻懸念先になりましても、親の保証とかあるいはメーンバンクの強固な支援とかがあれば適資産にできるわけでございます。したがって、破綻懸念先を先方に譲り渡すということは十分想定されるわけでございまして、譲り受け先といってもいわば旧長銀がそのままの形で株のオーナーがかわるだけでございまして、そのまま銀行として生きるときに、破綻懸念先に引当金を積んでいないということは、銀行経理からいって、あるいは新しく生きる新生銀行からして余り考えられないことだと思った次第でございます。

浅尾 慶一郎

森事務局長、いい御答弁いただいたんですが、国の保証がついているんです、瑕疵担保というのは。国の保証がついているものは破綻懸念先じゃなくて正常先というふうに考えるんじゃないですか。

森 昭治氏(政府参考人)

先生、百も御承知かと思いますけれども、先ほど申しましたとおり、瑕疵担保条項というのは二次ロスのすべてを我々が責任を負うわけじゃございません。売り手の責めに帰属するものだけでございます。したがって、譲渡後に追い貸し等によって、あるいは融資管理が悪くてその分ロスが出ましても、当方といたしましてはその解除に応じるわけではございません。

浅尾 慶一郎

譲渡後の損失のために引当金を積んだとすると、譲渡後の損失は新生銀行が責めを負って引き当てを積むはずなんです。関係ないわけです。

今申し上げているのは、国が瑕疵担保、損が出た場合には国が全部保証しますということは、これはいわゆる正常先の債権でない限りおかしいわけであります。にもかかわらず、その引当金を多く積んでいるということがおかしいんじゃないですかということを質問させていただいております。

逆の言い方をしますと、そごうが持っている債権は3年間は国が全部保証しているわけです。国が全部保証しているということは、それに対して引当金を積むということ自体がおかしい。9,000億円強の税金をプレゼントしたということ、それと同値なんではないですか、同じことなんではないかということを言っているんです。

森 昭治氏(政府参考人)

それは瑕疵担保の決め方かとも思いますけれども、我々が決めましたのは実質価値で2割まず瑕疵というものに当たるかどうかを一つの要件にいたしまして、例えば債権放棄の要請があった場合は瑕疵と推定するというのも入れました。いずれにしても、瑕疵であるかどうかという要件とともに2割減価しているかどうか。その2割減価の定義を実質価値、すなわち額面マイナス引当金で考えたわけです。

したがって、破綻懸念先をたとえ譲り渡したといたしましても、そごうのように2,000の額面に対して1,000の引当金がついている場合は、売ったときの実質価値は1,000でございます。その1,000が800以下になったときに解除して引き取りますということを約束しているのが瑕疵担保条項でございます。

浅尾 慶一郎

それでは、きょうは新生銀行の八城頭取も来られていますので、別の観点から八城さんにも含めてお伺いをさせていただきます。

これは個別の融資契約にプットオプションをつけたようなものなんです。国の保証をつけたようなものですから、その契約の組み方によっては、当然3年間は国が全額保証しているんだから、新生銀行の責めに帰すべき事由は別ですよ、もともとあった融資債権について、それは戻ってくるというふうにすれば引当金はなしでできたんじゃないですか。それでもよかったんじゃないですか、八城さん。

八城 政基氏(参考人)

お答えいたします。

銀行の経営というのは、先生も十分御承知のように、どんなに健全な銀行であっても引当金が必要であります。

浅尾 慶一郎

ですから、国の保証がついている債権を引き当てる場合、その結果としての引当金は積まれますか。

八城 政基氏(参考人)

3年間の間、国の保証があっても、3年後にゼロの引当金という経営は全く考えられません。

浅尾 慶一郎

もう一度念のために確認しますが、3年間は引当金はあるということであれば、3年後にある程度の引当金が来ればそれは同じことだという理解でよろしいですね、今の答弁。イエス、ノーで結構です。

八城 政基氏(参考人)

違います。その理解は間違っていると思います。

浅尾 慶一郎

では、どう違うか。

八城 政基氏(参考人)

なぜかと申しますと、私どもの銀行は現在は民間の銀行であります。そして、金融検査マニュアルによって自己査定をすることを義務づけられています。したがって…。

浅尾 慶一郎

国の保証がついている場合は。

八城 政基氏(参考人)

たとえ国の保証がついていても、3年後にどうなるかということは先ほど申し上げたとおりであります。

浅尾 慶一郎

三年後にお金が戻ってくれば。

八城 政基氏(参考人)

いえ、そのお金が戻っているじゃなしに、すべての資産についてちゃんとした引当金が3年後に新たに出なければならないということであります。その引当金は利益から出すことになります、その場合には。

浅尾 慶一郎

それでは、すべての引当金について、3年後に新たに引当金が積まれれば全く問題ないという理解でいいわけだと思うんです、今の御答弁で。

八城 政基氏(参考人)

理屈の上ではそうですが、その…。

浅尾 慶一郎

今、理屈の上ではそうだというふうにおっしゃいました。なぜそういうことを…。

(「だめだよ、それは。ちゃんと答えようとしているんだから」と呼ぶ者あり)今、理屈の上ではそうだというふうにおっしゃったんですが、なぜそういうふうにしなかったかということを再生委員会にお伺いしたいと思います。

というのは、国が3年間保証したということは、3年間国が保証しているわけです。その後に引当金相当額を新生銀行に振り込んだ方が国の負担としては当然少なくなるはずであります。なぜかというと、3年間の間に回収される部分というのはそれだけ引当金を積まなくて済むはずであります。それをなぜしなかったのかということを伺います。

真鍋 賢二氏(委員長)

八城参考人。

浅尾 慶一郎

いや、八城さんじゃなくて。

真鍋 賢二氏(委員長)

委員長が指名した人に答弁願います。八城参考人。

八城 政基氏(参考人)

重ねて申し上げますが、先ほどは先生からそれでいいということで十分説明ができませんでしたが、どんな銀行であっても、それは国営銀行であろうと民間銀行であろうと、引当金というのは常識であります。常識のない銀行はその日から、たとえ国の保証があっても、国の保証は通常債権であって、やはり0.5%とかそういう引き当てをしますから、引当金は絶対必要なんです。

浅尾 慶一郎

正確に言うと、0.5%積まれるということは、今、長銀の資産に対して11.何%積んでいるというのは国の保証から考えれば積み過ぎだという理解になるんではないかなというふうに思います。再生委員会の事務局長に伺わせていただきます。

森 昭治氏(政府参考人)

引き渡す資産が譲渡時で、最後の譲渡時において国側の監査法人が正常先として引き渡すのでしたら浅尾先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、先ほど来申し上げましたとおり、破綻懸念先を破綻懸念先として先方、譲り受け先も承知の上で渡すわけでございますので、それは適正な会計に基づいて国の監査法人が資産査定し、破綻懸念先であるとするならばそれに対してアンカバー分70%を積んで引き渡す、それが正当だと思うわけでございまして、その後の瑕疵担保と申しますのは、そのときの実質価値よりか二割さらに下がった、あるいは実質破綻先になった、そういう場合に当方がいわば解除という形で当初の契約がなかったものとして引き取るということを定めたのが瑕疵担保条項でございます。

浅尾 慶一郎

私がなぜこういうことを伺わさせていただいているかということは、費用最小原則で今申し上げたようなクレジットを期間に応じて分けるというのは、これは当然の考え方としてあるわけであります。そういうことを政府は、ゴールドマン・サックスというところを雇って当然アドバイスとして出てくるはずなんです、彼らは専門家ですから。出てこなかったということはおかしいんじゃないですかと。今申し上げたようなことは20分、30分考えればすぐわかる話なんで、それが出てこなかったというのは、私は、ゴールドマン・サックスのアドバイスというのはちょっとどういうものなのかなと。

再三再四契約書というものを開示してもらうように要求をさせていただいておりますが、改めて当委員会におきましてその契約書の開示を要求させていただきますとともに、専門家であるゴールドマン・サックスの持田さんを当委員会に参考人として招致することも委員長に要求をさせていただきます。

真鍋 賢二氏(委員長)

ただいまの件に関しましては、後刻理事会においてお諮りをいたします。

浅尾 慶一郎

それで、ゴールドマン・サックスの関係者であります元パートナーであったフラワーズさんという方は、今、新生銀行の社外取締役でいらっしゃるということは事実でございますか。

八城 政基氏(参考人)

お答えいたします。

事実であります。一昨年の11月27日までゴールドマン・サックスにおりましたが、その時点で辞任をしておりまして、この新生銀行の買収については全くゴールドマン・サックスとも関係はございませんでした。

浅尾 慶一郎

売り手と買い手と両方にいたということだと思いますが、そのコリンズさんあるいはフラワーズさんの関係で、デリバティブの専門家を新生銀行が譲渡、旧長銀の時代ですね、譲渡直前に雇われているというふうに聞いておりますが、デリバティブの外人の専門家の方を雇われているかどうか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

八城 政基氏(参考人)

全く事実ではございません。

浅尾 慶一郎

ということは、デリバティブの専門家を雇われていないということですか。

八城 政基氏(参考人)

デリバティブの専門家は雇っておりません。ゴールドマン・サックスに限らず、日本人も外国人もデリバティブだけの専門家は雇っておりません。

浅尾 慶一郎

デリバティブをやっておられる方はいると。

別の観点から質問させていただきますが、それでは、譲渡の前にデリバティブの取引というのは国有化されて、基本的には縮小していくことだと思いますが、縮小をしないで少し新しい取引をされたことはございませんか。

八城 政基氏(参考人)

デリバティブの取引は特別公的管理のもとで非常に減りました。金額的には二種類ございまして、一つは格付がA以上の相手との取引であります。これは主として外国銀行であります。あとは日本の事業法人でありますけれども、これは想定元本と申しますが、これは3兆円弱であります。これは普通の銀行に比べますと10分の1、20分の1であります、規模にいたしまして。またすべて旧長銀が行ったものであります。したがって、それに伴う信用リスク、顧客の信用リスクによって考えられる損失は全体で20億円ぐらいです、25億円ぐらいです。契約の中では50億円までは新生銀行が全部持つことになっております。

浅尾 慶一郎

時間が参りましたので、同僚の櫻井議員と交代させていただきます。



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