金融経済特別委員会 会議録
平成14年3月29日
久世 公堯氏(委員長)

ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。委員の異動について御報告いたします。去る1月22日、大田昌秀君が委員を辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。





久世 公堯氏(委員長)

金融問題及び経済活性化に関する調査のうち、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第5条の規定に基づく破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告に関する件を議題といたします。まず、政府から説明を聴取いたします。柳澤金融担当大臣。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

昨年9月11日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、平成13年1月6日以降7月31日までを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。

本日、本報告書に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが、本報告の概要について御説明申し上げます。

まず初めに、長銀及び日債銀の特別公的管理後の諸措置につきまして、概要を申し上げます。

日本債券信用銀行につきましては、前回御報告申し上げましたように、12年9月1日、預金保険機構が保有する日債銀の既存普通株式約25億株をソフトバンク、オリックス及び東京海上火災保険を中心に構成される出資グループに対して譲渡することにより、同行に係る特別公的管理が終了しておりました。その際、12年8月31日、予備的基準日貸借対照表に基づき3兆2,428億円の金銭贈与、損失補てんが行われておりましたが、昨年2月7日、基準日貸借対照表の確定に伴い、あおぞら銀行より預金保険機構に対して金銭の贈与に係る特例資金援助及び損失の補てん額の変更の申込みがなされ、同日、内閣総理大臣等により金銭の贈与、損失の補てん額を3兆2,365億円に変更することが承認されました。

また、新生銀行及びあおぞら銀行からの預金保険機構による瑕疵担保条項に基づく債権買取りの状況についてでありますが、今回の報告対象期間中に預金保険機構が引き取った案件は、新生銀行については55件で債権額2,659億円、支払額1,557億円であり、あおぞら銀行については16件で債権額三百七十三億円、支払額二百十二億円となっております。

次に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた金融機関に関する措置につきまして御説明申し上げます。

管理を命ずる処分が行われていた幸福銀行、東京相和銀行、なみはや銀行及び新潟中央銀行の4行の受皿への営業譲渡については、各行の金融整理管財人により鋭意作業、検討が進められた結果、なみはや銀行が昨年2月13日に大和銀行及び近畿大阪銀行に、幸福銀行が2月26日に関西さわやか銀行に、新潟中央銀行が5月9日に第四銀行、同14日に大光銀行を始めとする5行に、東京相和銀行が6月11日に東京スター銀行にそれぞれ譲渡されております。

また、協同組織金融機関に対しましては、今回の報告対象期間中に、十二信用組合に対し金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われております。

なお、その後において、昨年12月28日に石川銀行、本年3月8日に中部銀行に対し、金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われたほか、31信用組合及び13信用金庫に対し、同様の措置が取られております。

続きまして、預金保険法に基づく金融機関の破綻処理について御説明申し上げます。

今回の報告対象期間中においては、破綻信用金庫の事業譲渡2件について、預金保険法単独適用案件として処理が行われております。

最後に、これらの破綻金融機関の処理に係る預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び公的資金の使用状況について御説明申し上げます。

破綻金融機関の救済金融機関への営業譲渡等に際し、破綻金融機関の債務超過の補てん等のために預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助額は、今回の報告対象期間中において2兆6,876億円であり、これまでの累計で16兆805億円となっております。

このうち、ペイオフコストの範囲内の金銭の贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で1兆3,699億円、これまでの累計で5兆5,659億円であり、ペイオフコストを超える金銭の贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で1兆3,177億円、これまでの累計で10兆5,146億円となっております。

また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産買取り額は、報告対象期間中で7,549億円、これまでの累計で5兆4,215億円となっており、金融再生法第53条に基づく健全金融機関からの資産買取り額は、報告対象期間中で64億円、これまでの累計で346億円となっております。

次に、特別公的管理銀行の業務の実施により発生した損失を補てんする金融再生法第62条に基づく損失補てんは、これまでの累計で4,500億円であり、81億円増額されております。他方、当該清算の結果、金銭贈与額が123億円減額されております。

さらに、預金保険機構による金融機能早期健全化法に基づく優先株式等の引受け等の額は、報告対象期間中で1,040億円、これまでの累計で8兆4,933億円となっております。

これらの預金保険機構による資金援助等についてはいわゆる70兆円の公的資金枠が措置されておりますが、最後にその使用状況について申し述べます。

まず、特例業務勘定の特例業務基金に交付された13兆円の交付国債の償還額の累計は、7月31日現在で8兆9,095億円となっております。また、一般勘定、特例業務勘定、金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定における政府保証付借入れ等の残高は、7月31日現在で、各勘定合計で19兆8,663億円となっております。

ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講じることに努めてきたところでありますが、今後とも、金融庁といたしましては、我が国の金融システムの一層の安定に向けて万全を期してまいる所存でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

久世 公堯氏(委員長)

以上で説明の聴取は終わりました。これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

浅尾 慶一郎

金融の3月危機に関連して幾つかお伺いをさせていただきたいというふうに思いますが、銀行が破綻する場合には、資本不足の場合、これはどちらかというと金融庁の御担当だと思いますが、の場合と、それから資金繰りによって突然倒れてしまうという場合と2通りあると思いますが、まず、そうした認識でいいかどうか、柳澤大臣にお伺いしたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

その認識で我々も進めております。

浅尾 慶一郎

それでは、その資本不足、つまり金融庁御担当の方についてお伺いさせていただきたいと思いますが、資本不足で破綻する銀行というのは石川銀行あるいは最近の中部銀行ですかで、もう今日が三月最終日でございまして、営業日ベースでは。来週の月曜日からはペイオフ解禁に正になるわけですから、資本不足で破綻するものはもうないという認識でよろしゅうございますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

中部銀行は過少資本ではありましたけれども、資金繰り破綻というか、むしろ流動性による破綻でございます。

そういう前提でお話でございますが、私ども、とにかく4月1日に店を開く銀行については資金不足に陥っているというようなものがあってはならないと、こういうことでその施策を講じてまいりました。各銀行におきましてもそういったことに努力をしてもらったと、こういうことでございます。

したがって、4月1日は皆基準に照らして健全性が確保されているという財務状況の下でその日を迎えることになると、こういうことでございます。

浅尾 慶一郎

特別検査というものも行っておられると思いますが、特別検査を行っているということから考えると、もしかすると引当金が十分積んでいないと、したがって、債務超過になるかどうかは別として、資本不足になるということも考えられるんではないかなと、理論上は考えられるんではないかなと思いますが、その点はどのように御説明をされますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

現在、特別検査をいたしておりまして、これは当然、大口というか、大口の債務者についての検査でございます。

この検査を展望して、各行は実は昨年の9月末の中間検査の発表時に見込みと申しますか、3月末の見込みをそれぞれ発表いたしておりますが、当然それには出入りが生ずるだろう、最終的な結果としてはそういう形になるだろう、こういうように思いますけれども、現在、私どもとしては、そのことの結果、過少資本に陥るというようなことを見通さなきゃならないと、こういう認識は持っておりません。

浅尾 慶一郎

確かに、銀行側は昨年の11月発表の中間決算のときにこの当3月末の処理予想というのを発表しておりますが、それがそもそも、大体そのとおりになるだろうということであれば、余り検査をする意味がないんではないかなというふうに思いますが、しかし、今までの対応で大体そのようになるということから、先ほどの3月末で過少資本になるところはないというふうにおっしゃられたという認識で、確認でございますが、よろしゅうございますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

ちょっと浅尾先生のおっしゃったこと、すっと、何というか、うまく理解できなかったんじゃないかという懸念もありますが、要するに、特別検査というものが発表されて、こういったものについてやりますよということで、10月の29日に相手方には予告と言っておりますが、実際には検査開始通知というものをいたしたわけでございます。それを受けて、それぞれに自分たちのところが今度の検査の結果、つまり検査というのがリアルタイム検査になったというところに今回の特別検査の一番大きなポイントがあるわけでございまして、そうだとすると、自分たちのこの処理というものがどういう影響を財務に与えるかということを考えたんだろうと思います。

しかし、それはそれでありまして、我々のある意味で言うと関知するところではないわけで、それとは全然関係なく検査に当たって、その結果が今回明らかになるということでございますが、今申したように、これも見通しの問題ですから間違っちゃうかもしれませんけれども、見通しとしてそういうことにはならないだろうという認識を持っていると、こういうことでございます。

浅尾 慶一郎

今日は、竹中大臣もこの場にお越しでいらっしゃいますんで、経済財政諮問会議の立場から金融の問題についてもいろいろと御発言をされておられますが、今の検査について、大臣の御発言ではなくて、むしろこれは小泉総理の御発言ですが、銀行の体力を気にしないで検査しろという発言があったというふうに報道されておられますが、経済財政諮問会議の中でもそういうふうにした方がいいという議論があるかどうか、その点について大臣にお伺いしたいと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

これは、検査そのものに関しては検査局で大変厳しい厳格な検査が行われているというふうに私たちも、各議員も聞いておりますので、そのことそのものをそんなに明示的に議論したことはなかったのではないかと思います。いずれにしても、今申し上げた認識を持っております。

浅尾 慶一郎

それじゃ、柳澤大臣にお伺いしますが、総理の銀行の体力を気にせず検査しろという発言は、裏を返すと、今まで銀行の体力を気にしていたんではないかというふうにも多分取れるというか、普通はそう取ると思うんですね。今まで検査が厳格に体力気にせずにやっていたら、そういう発言にならないわけですから。

だとすると、その検査を預かる立場として、いや、今までもやっていたんですということは総理に対してその後申入れをされましたか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

当然、検査局が本当に一生懸命、あっちからこっちからいろんなことを言われるわけです。片っ方からは、今、浅尾先生が言われるように、検査が甘いんじゃないかと言われますし、またもうちょっと下手の人たちからは検査が厳し過ぎるじゃないかというようなことでいろいろ言われるわけでございますけれども、とにかく基準に照らして、もう本当に自分たちはきちっとした検査をしようと、それが金融監督庁から金融庁に、大蔵省から独立して金融部門が一つの部局を作ったゆえんだということで、そこに信用がなくなったらもう自分たちの存在理由はないんだと、そのぐらいの気迫でもってこの検査に当たってきたということでございます。

そういう中で、この小泉総理の御指示というかがあったわけですが、これはあくまでも言わば検査当局に対する激励、あるいは従来の態度を一層堅持するようにというある種の確認的なことだったというふうに受け止めさせていただいております。

浅尾 慶一郎

私が今御質問させていただいたのは、金融というのは、私が申すまでもありませんが、ベースは信用だと思います。信用は、当局に対する信用というのも含まれると思うわけでありまして、その当局に対する信用を、ある面、疑いを持たせるような発言、御発言だったんじゃないかなと。それが事実かどうかは別として、だとすると、もっと、いや、今までもやっていたんだということを大臣として言われないと、マーケットはやはりそうだったのかと思うんではないかなと思いますが、今後も含めて、何か総理に対して、その御発言に対して言われる予定があるかどうか、考えがあるかどうか伺わせていただきたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

率直に言って、私も内閣府の大臣という立場もありますので、これは総理の日程等で報道をされているところを見ましても、金融大臣はかなり行って念入りに話し込んでいるなという感じを恐らく世間は受け止めてくださっているだろうと思うんです。正直言って、私はかなり金融の状況については、頻度も割と多く、しかも時間もちょっと取っていただいてお話し申し上げているということで、総理との間で別に何か、何か私が言葉を強めて申し上げなきゃならぬようなことはないと思っておりますが、私は、そういったことについてあえて言えば、国会の中で我々、私が代表させていただいている金融庁及びその中の検査局の仕事ぶりについてはきっちり言うべきことは言わせていただいておるという次第です。

浅尾 慶一郎

では、次の質問に移りますが、資金繰りによる破綻については、どちらかというと、どちらかとというか、日銀の御担当だというふうに認識しておりますが、まず、日銀総裁お越しでございますので、4月1日ペイオフ解禁以降、資金繰りによる破綻は日銀としてもないという認識に立っておられるかどうか、お伺いさせていただきたいと思います。

速水 優氏(参考人)

現時点で、資金繰り破綻の懸念のある金融機関というのは、あるとは認識しておりません。ただ、繰り返し申し上げておりますように、我が国金融システムにとりましては、不良債権問題というのが依然として最大かつ喫緊の課題であると思います。したがいまして、金融機関は不良債権処理を迅速かつ適切に行って、内外市場や預金者からの信認の確保に努めることが必要であると思っております。

浅尾 慶一郎

資金繰りによる破綻は、私が申すまでもなく、日銀が無制限、無期限に流動性を付ければ、これは資金繰り破綻というのは起きないと思います。

ただ、その前提は、バランスシート上は健全であるという前提がないと日銀としてもそういった行動には出れないというふうに思いますが、そうだとすると、日銀による考査ですか、というものもあると思いますが、そこで確認した段階では、今総裁がおっしゃったように、少しバランスシート上の問題があるんではないかという認識も持っておられる、若干、金融庁の認識とは違うんではないかなというニュアンスを受け取ったんですが、そこの点についてもう少しお話しいただければと思います。

速水 優氏(参考人)

金融機関としましては、ペイオフ解禁後も不良債権問題を始めとして重要なこの経営課題に一層前向きに取り組んでいっていただきたいと、これは不可欠なことだというふうに思います。また、そうすることが金融機関に対する預金者からの信任の向上につながっていくんだというふうに考えております。

日本銀行としましても、現段階で具体的な事態とか方策を想定しているわけではありませんが、万が一の場合には、政府の対応と併せて、金融システムの安定を確保すべく、流動性供給の面から適切に対応してまいるつもりでおります。

今御質問の無期限、無制限と。適切に対応してまいるということをもう少し詳しく言わせていただきますと、一つは、私どもとしてはまず、単なる風評だけの問題であって、健全性に問題がない、一時的な流動性支援で問題が解決できるということが明らかな金融機関につきましては、十分な流動性をそのとき供給していく方針であります。

こうした場合には、風評の解消によって短期間で当該金融機関が自力で資金調達力を回復して、日本銀行からの流動性供与も不要となるというようなことが起ころうと思います。

ただ、現下の金融システムが抱えております本質的な問題は、単なる風評リスクではなくて不良債権の問題であると思います。こうした状況も十分踏まえながら、万一が金融システム全体の安定に疑問が呈されるような事態になった場合には、政府の対応などに併せて日本銀行として必要な対応を取っていく所存でございます。

こうした中で、日本銀行が流動性の供与を行った場合でも、政府による一連の対応策が効果を発揮して金融システムの安定に対する疑問が解消していくことによって、日本銀行の流動性供与の必要性も消滅していくはずだと思います。したがいまして、日本銀行としては、いわゆるこの特融というものを無期限、無制限に行っていくといったようなことは考えておりません。

浅尾 慶一郎

それでは、もう少し細かい話で伺ってまいりますが、コール市場で流動性を付けていくということもあるんだと。流動性を付けられるということであれば、コール市場でのデフォルトというのはかつてあったわけでありますが、今後は起きない、起こさせない。まずは、起きないかと言うと起きないというふうにお答えになるんでしょうから、起こさせないのかどうかという観点から質問させていただきたいと思います。

速水 優氏(参考人)

浅尾先生の御指摘になっておられますのは、97年に起こりました三洋証券、わずかなコールでありましたけれども、それが返せなくて、それが直ちに北拓あるいは山一等に拡大していったという嫌な経験を御心配になっておられるんだろうと思います。

コールなどのインターバンクの取引は、制度という意味では、金融危機のおそれから、おそれが存在するというような例外的な場合を除きまして、4月以降には原則として預金保険法の保護の対象外になっていくと承知しております。

ただ、重要なことは、ペイオフ解禁後でデフォルト発生といったような事態を避けますためにも、金融機関は不良債権処理と並行して収益力と資本基盤を強化していくという必要が絶対にあると思っております。

浅尾 慶一郎

収益力を強化するというのはもちろんそのとおりなんだと思いますが、恐らく、二つの当局、つまり金融庁と日銀という二つの当局がもう少しお互いに連携を取っていただくなり信用をしていただいて、つまり、仮に日銀の考査ということが補完的な形でしか行われないという前提で申し上げますが、だとすると、金融庁の検査を第一に一義的に信用すると。したがって、金融庁の検査の結果、バランスシート上は問題ないと。だから、コールで仮に風評として何か問題があった場合でも、そこに流動性を付けるんで、コール市場でのデフォルトは起きないというふうにおっしゃっていただいた方が恐らく世の中の方々は安心をするんではないかなというふうに私は思います。

そこで、話を今度、金融庁の方に戻さしていただきますが、銀行が健全であるためには不良債権処理をしなければいけない、処理というのは間接償却か直接償却であるかは別として、しなければいけないというふうに思いますが、一部言われていることには、不良債権処理の限界というのはバランスシートの問題ではなくて、むしろ当期の利益の問題であるという説がありますが、その説について柳澤大臣はどのように思われますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

率直に言いますと、どっちの天井が低いのかといいますと、これも過去もうばらばらでございますけれども、中には配当原資の方、天井の方が低いという銀行があるということは、私もそういう認識持っております。

浅尾 慶一郎

ところが、配当原資を気にしてそこから逆算して不良債権処理をするという計算でいきますと、年間の多分銀行の業務純益は三兆円ぐらいだと思いますから、10年間掛けて30兆円処理できると。それは、バブル崩壊してからもずっとかなりの業務純益の範囲内では処理をしてきたというのは現実問題あると思うんですね。しかし、時間を掛ければそれは処理はできる可能性はあると思います。しかし一方で、先ほど来竹中大臣にも議論をしていただいておりますが、時間を掛けることによって日本の経済全体を弱めてしまうという可能性があるんで、そうだとすると、その今の柳澤大臣の御発言を文字どおり受け取ると、配当可能利益というものに縛られて不良債権処理をやっていないというのが金融機関の中にあるというふうに聞こえるし、そういうことなんだと思いますが、そのことについて、それをそのまま、金融庁もそれでいいんだということなのか、いや、もう一歩踏み込んで、配当可能利益を超えてでもやはり引き当ては積ませるんだと。それはどちらですか、金融庁の立場は。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

これはもう申すまでもないことで、先ほどの浅尾委員が引かれた総理の言葉の中にもあるように、体力なぞということとかかわりなく、やるべきことはやれと、こういうことでございまして、当然のことながら我々はそういう不良債権の処理を的確に行うということを第一義の目的にしております。

ちょっとだけ付け加えて、大変時間取って恐縮ですが付け加えさせていただきますと、現実にその天井に頭をぶつけていろんな処理をして苦労をしているようなところもあるし、それからまた現実にもう配当はできませんというところもあるというところが出ておるわけで、そこを、それは逆に言うと、そういうようなことで上限を画しているものではないということの証左としてお受け取りいただければ有り難いと、こういうように思います。

浅尾 慶一郎

その配当可能利益が問題になるのは、特に政府が取得している優先株との関係で、優先株の議決権が復活するからということだと思いますが、私は、そこは今大臣がおっしゃるように粛々とやると。やった上で優先株の議決権も復活をさせて、そして配当ができなかったというのは経営責任があるわけですから、経営者には退陣をいただくとか、さらに配当可能利益を超えて不良債権処理をした結果、減資が必要になってくるという場合には、当然普通株主から責任を取っていただくという必要性があると思いますが、その点の御認識はどのように思われますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

おおむね委員のおっしゃるとおりであると、このように考えております。

浅尾 慶一郎

後段の方が多分一番問題になると思うんですね。つまり、経営者の責任というのは恐らく取るという形になると思いますが、後段のその普通株主の減資を先に優先株に先じてするべきだということは、議論は再三大臣とさせていただいておるんですが、私は、これは当然普通株主というのは一般の方が投資をしていると。経営との距離でいうと優先株の方が遠いわけでありまして、優先株はもちろん国民の税金がバックにあると。税金がバックにあろうとなかろうと、それは経営との距離で測るべきだと思いますが、経営との距離が遠くて、なおかつ国民の税金がバックにある優先株より先に普通株を減資するということも含めておっしゃるとおりというふうに言われておるのかどうか、そこの点を確認させていただきたいと思いますが。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

おおむねということを使わせていただいたのは、その点よく私どももいろんな学説等も調べておるわけでございますけれども、そうしたある意味で訴訟リスクも処理の仕方によってはあるんだろうと思いますけれども、そういったことをよく念査した上でそういう事態になったら結論を出してまいりたいと、このように考えております。

浅尾 慶一郎

訴訟リスクというのは両方ありまして、普通株主からの訴訟ということもありますし、国民からの訴訟というのも当然あるはずであるというふうに申し述べさせていただきたいと思います。

次に移らさせていただきたいと思いますが、日本の金融機関は15兆円のセーフティーネットがあるから大丈夫だというような議論もありますが、私は、これは大臣もおっしゃっておる、いろんなところでおっしゃっておると思いますが、この15兆円を使うときには当然その経営者あるいは株主、普通株主ですね、減資をしてからでないと15兆円は使うべきではないと思いますが、その点について御認識を伺いたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

ここもなかなか難しいところでして、つまり、過少資本行になる場合に、どの程度かというようなこともかかわりが出てくるのではないかというようにも考えます。その辺りのことについては、私どもやはり前の健全化法に定められたこととの、何と申しますか、これを簡単に、それはもう局面が違う、制度が違うということで、それと違う扱いができるのかできないのか、その辺りのことが少し詰めなきゃならない問題であると、このように認識しています。

浅尾 慶一郎

しかし、普通に考えると、15兆円というのは、これはもう税金になるわけです。それから、前に入れたのもそこで毀損する可能性もあるわけですね、優先株で入れた。そこはもう完全に納税者の負担になると。納税者に負担を強いていながら、それよりも責任が重い普通株主に負担を強いないという理屈は成り立たないと思うんですね。普通株主を保護するだけの十分な理由が、それを超える理由があるとは私には思えないんです。

強いて普通株主の方々が反論するとするならば、私は単に株を持っていた、持っていたけれども経営にはタッチができなかった、だから責任がないんだという理屈構成になるんだと思いますが、それは資本主義社会においては多分成り立たない理屈なんじゃないかなと。ですから、もしそれを認めるとすると、私はこれはある種修正資本主義というか社会主義に限りなく近くなってしまうんじゃないかなと思いますが、その点はどのように考えられますでしょうか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

浅尾委員の指摘される点も理解できないわけではありません。率直に言って、理解をするということで聞いておるわけでございますけれども、私がちょっと今この気にしているというか、そういうことは、要するにこの前の健全化法のスキームというのがついこの前まで有効だったわけですね。それとこれとをどのように考えて処置に当たるべきかということをやっぱり考えなきゃいけないんじゃないかということなのでございます。

浅尾 慶一郎

私、そこの部分は大臣と大分違った意見を持っております。つまり、そこはやはり責任を明確にしていかないと同じ過ちを繰り返してしまうんじゃないかなというふうに思います。

今日実は、かつて、2000年の9月ですから二年前ほどに文芸春秋に載せさせていただいた、まあタイトルは自分が付けたわけではありませんで、私で。申し上げさせていただきたいと思いますが、論文を配らさせていただいたのは、今大臣がおっしゃったことは一つの考え方としては認識をいたします。ただ、私はその立場に立ちませんが、一つの考え方としては認識をいたします。

しかし、一方で、今回新生銀行が誕生した。その新生銀行は全く違う理屈で動いている。動ける理由は、瑕疵担保という特別のカードを持っているから、彼らにしてみると、企業が仮に3年間であれ、つぶれれば全額損失がなく国に戻せると。で、もっといいのは、かなり引当金を積んでいただいていますから、それを国ではない第三者に買ってもらえればそこで特別利益が出るかもしれない、あるいは企業からお金を全額回収できれば、そこで特別利益が出ると。

したがって、そういう特別なカードを持っている銀行を生んでしまったことが、かなりいろいろと、今の一つの一貫した理論構築ではマーケットを動かせなくしてしまっているんではないかなというふうに私は思っております。

一方で、大臣は、この論文の1ページ目の、115ページのところに書いてありますが、中段で書いてありますけれども、「外資系に買ってもらい、日本の金融システムに刺激を与える存在になってもらうのもいい」と、リップルウッドに売却する前におっしゃっておられたと思いますが、今でも、刺激という言葉をどういうふうにとらえるかは別として、日本の金融システムにいい刺激を与える存在になったというふうに認識をされておられますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

ここで言っているのは、あの当時に新しいビジネスモデルというようなものを我々非常に求めておりました。伝統的なバンキングビジネス業態、業務だけで右から左に資金を動かせれば大きな利益が上がる。したがって、金融機関の優劣というのは預金の高によるんだといって、預金高で順番を付けたりしたのを随分我々見てきて育ったわけですね。

そういうようなことでなくなったということですが、それを新しいビジネスモデルを生み出してもらうということ、これは日本の金融機関もまあ独自に内発的な開発をすべきだという考え方もありますが、同時に、外国の人たちが現実に入ってきて商売するところを見て、またそこに倣っていくということも十分あり得ると、こういうふうに考えてそういうことを申しました。

そういう一般的な議論と、新生銀行が、いろいろと我々も業務改善命令なぞも発していますけれども、そういう問題を生んでいるということとは一概に結びつかない、つながらない問題でして、我々としては新生銀行に対して個別に問題があればそういうような個別の対応をするということで対処していきたいと考えているわけです。

浅尾 慶一郎

今日お配りいただきました資料の中でも、国内の貸出し状況の増減のところだったと思いますが、新生銀行だけが、848ページだと思いますが、突出して債権の回収に走っていることが明らかになっております。

私は、その彼らの経営の中身について批判をするつもりはありませんが、金額だけ申し上げますと、新生銀行だけ1兆円を超える回収、要するに貸出しが減になっている。他の銀行でもちろん減っているところもありますが、1兆円を超えて減っているところというのはない。増えているところもそこそこあるわけであります。

申し上げたいのは、それは彼らの一つの経営の戦略なんだと思いますが、そういう戦略に走るのは、私は一つは瑕疵担保という、先ほど来申し上げております特別のカードを持たせてしまったことに起因すると。当時、ロスシェアリングがいいんではないかといろんな議論もありましたが、それはこちらの論文にも書かせていただきましたが、厳格な査定をするからロスシェアリングでなくていいんだというような御答弁もいただいたと思います。

申し上げたいのは、このような結果として、政府の意図するところと違う行動を取っているわけです。それは、取るのは民間の経済主体ですから、繰り返しになりますが自由なんですが、その際に、過去も質問させていただきましたが、政府が仮になれていなかったとするならば、せめてアドバイザーとして雇ったゴールドマン・サックス等にも責任があるんじゃないかなと私は思いますが、その契約の中身ぐらいは国会にお示しをしていただいて、我々にもそれを検証していただくような機会を与えていただきたいということは再三再四申し上げさせていただいておりますが、大臣も同じような事態が発生するおそれがなくなった場合には契約を公表しますという御答弁もいただいておると思います。先ほど来御答弁にありますように、もう破綻する懸念があるところはないということですから、そろそろ書類を出していただいたらいかがでしょうか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

ないということはないんでございますけれども、しかし、法律では依然として国有化というものが預保法百二条にもうたわれております。運用の見通しというのがあるのかといえば、ないということでございますけれども、法律がうたっている以上、やはりそれだったら、本当に制度的にもないんでしたら法律から削ればいいわけですけれども、そういう訳にはいかないということでございます。

浅尾 慶一郎

議論してもそこの部分は出てこないかもしれませんが、やっぱり一言だけ申し上げさせていただきますと、一つの考え方、それは護送船団から変えていくんだけれども、急には変えないという考え方で恐らく金融庁の行政をやっておられると。しかし、そこに新生銀行という全然違う理屈で動くものが出てきた結果、様々なあつれきを生んでいると聞いています。

この3月末で、場合によってはロールオーバーをしないというようなところも、企業も出てくるんじゃないか、それがまたほかのところにも波及するというようなことも十分考えられると思いますので、是非、そこの問題を起こした責任ということもやはり議論をしていかなければいけないと思いますので、少なくともその契約書出すこと自体は、委員長にお願いしますが、何ら、再三再四申し上げておりますが、ビジネスには影響を与えるものではありませんので、是非、当委員会で御検討いただきますようにお願いしたいと思います。

久世 公堯氏(委員長)

ただいまの件につきましては、後刻、理事会において協議いたします。

浅尾 慶一郎

それで、今日はあと外為法について少し質問させていただきたいと思いますけれども、先般、予算委員会でも質問をさせていただきました。

鈴木宗男さんの送金について、これは外為法で言うところの報告の義務にかかわる問題であると思いますが、まず、一般論として、ある人からお金を預かった、例えば私が預かって銀行に行って海外送金をしたという例で申し上げますが、その場合、その報告書を提出する義務があるのは私でしょうか、それとも私にお金を預けたある人でしょうか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

一般論として申し上げると、預けた人ということになります。

浅尾 慶一郎

そうすると、これはちょっと別の銀行、大和銀行の証書でありますが、送金依頼人というところに本当は、そこの、何というんですかね、鈴木宗男さんのお名前が入った形でないと報告はできないと思いますが、鈴木宗男さんの場合は、送金依頼書は外務省の職員のお名前で書かれております。これは、今のお答えでいうと、適法だったか適法でなかったか、それはどちらでございましょうか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

今申し上げたように、本当に送った人、御本人の名前で報告されるべきである、このように考えております。

浅尾 慶一郎

それでは、別の質問をさせていただきますが、仮に私がある人から預かって、代理でやるということで窓口に行った場合に、本人の確認と代理人の確認の手続はどのような手続でございましょうか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

今の外為法の規定では、そのことを明確に確認するという義務を課してはおりません。

浅尾 慶一郎

外為法上の規定はそうだと思いますが、その下の政省令あるいは通達のレベルではどのように確認をされておりますか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

通達においてもそのようなことはいたしておりません。

浅尾 慶一郎

それでは、まず、今後マネーロンダリング等々の法律が出てくるわけでありますから、その代理人が送金を行う場合の確認ということについて、政省令、通達でどのように改めていくおつもりでしょうか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

現在の外為法では海外送金が原則として自由になっておりますために、今おっしゃるようなことがございました。

なぜ、では、支払報告書だけは求めていたかといいますと、これは、実態把握の観点からこの統計、はっきり言いますと統計を取るために支払報告書を出してもらうことにしておりましたために、規定が大変緩やかでございました。したがって、今後はしかし、今先生の御指摘のようなこともあります。それからまた、今度の予算委員会、今日を通じて御指摘いただいたようなことがあることは私どもも十分認めますので、法律そのものも変えたいと、このように考えております。

浅尾 慶一郎

鈴木さんの送金の場合は、さっきおっしゃったように、もし仮にその支払等報告書に送金をした人の名前が鈴木さん本人の名前でない場合は、これは外為法の71条2号の罪に当たるというふうに思いますが、そうした理解でよろしゅうございますか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

今、先生お示しになった送金依頼書と私が持っているのはほとんど同じものだと思いますけれども、銀行に、じゃ実際に窓口に来られてもし本人が代理で来たんですと言った場合にこの送金依頼書をどういうふうに書かすんですかと聞いてみましたら、左下のところにこう送金人の名前を書くことになっている、そこに預けたその人の名前を書きなさい、括弧をして代理で来た人の名前を書きなさいと、こういうふうに頼んでいると銀行は言っております。

今度の場合、その支払報告書が残っておりませんから、支払報告書に本当にどう書いてあったかというのが分からないので、ぎりぎり違法であるとかなんとかということはなかなか言いづらいんですが、一般論で、依頼書を元にして支払報告書を書いていますから、この紙に、上の方にはフロム鈴木と。送金した人も、事実、これは鈴木さんから頼まれて来ていますということを正直に言っているわけですね。隠す意図も何もないわけです。

その辺のところをこう、さっき申し上げているように、そもそも外為法が緩やかな規定になっているものですから、違法なのかどうなのかということを判断するというのは一面難しいところもあります。もう司法の判断を待たなきゃならないということにもなりますが、今、私どもがこれを告発するほどのことではないというふうに考えておるということだけを申し上げておきたいと思います。

浅尾 慶一郎

時間が参りましたので終わりますが、今おっしゃった外為法の71条にかかわる部分の保存期間、報告書の保存期間は1年でありますが時効は3年であります。したがって、時効の方が長いと。したがって、1年たっちゃうと罪があったのかなかったのか分からなくなってしまうという、非常にそこはいい加減な、言葉は悪いですけれども、いい加減な法律、法体系になっているので、是非そこの改正も含めて御検討をいただきたいと思います。

尾辻 秀久氏(副大臣)

今おっしゃったことはそのとおりでありますから、そのように変えます。



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