金融経済特別委員会 会議録
平成14年7月5日
久世 公堯氏(委員長)

ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

金融問題及び経済活性化に関する調査のため、本日の委員会に金融庁監督局長高木祥吉君及び中小企業庁次長小脇一朗君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。御異議ないと認め、さよう決定いたします。

久世 公堯氏(委員長)

金融問題及び経済活性化に関する調査のうち、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告に関する件を議題といたします。

まず、政府から説明を聴取いたします。柳澤金融担当大臣。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

去る5月24日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第5条に基づき、昨年8月1日以降、預金等全額保護の特例措置期限である本年3月31日までを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出申し上げました。

本日、本報告に対する御審議をいただくに先立ちまして、簡単ではございますが、本報告の概要について御説明申し上げます。

まず初めに、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分等の状況について御説明申し上げます。

今回の報告対象期間中には、石川銀行、中部銀行の2行並びに13の信用金庫及び31の信用組合に対し、金融整理管財人による管理を命ずる処分が行われております。石川銀行については、昨年12月28日、同行より預金保険法第74条第五項に基づく申出がなされ、当該申出及び同行の財務状況を踏まえ、同日、管理を命ずる処分が行われております。また、中部銀行については、本年3月8日、同行より預金保険法第74条第5項に基づく申出がなされ、当該申出及び同行の資金繰り状況を踏まえ、同日、管理を命ずる処分が行われております。

これら二行の譲渡先については、それぞれ金融整理管財人において、地元の金融機関を中心に鋭意折衝が進められてきましたが、預金等全額保護の特例措置期限内に受皿金融機関と営業譲渡について合意するに至らず、3月28日、両行ともそれぞれ日本承継銀行と営業譲渡契約を締結しております。日本承継銀行は、本年3月5日の預金保険法第91条第1項第1号に基づく承継銀行の設立決定を受け、預金保険機構の子会社として設立され、3月19日に銀行業等の免許を取得していたものであります。

なお、石川銀行、中部銀行の日本承継銀行からの再承継先については、関係者において引き続き早期確保に向けた努力が継続されているところであります。

次に、破綻金融機関の受皿金融機関への事業譲渡等による処理の状況について申し上げますと、今回の報告対象期間中に、7信用金庫、24信用組合について事業譲渡等が行われ、管理を命ずる処分が取り消されております。

また、事業譲渡等が未了の破綻金融機関においても受皿金融機関は確保されており、日本承継銀行と営業譲渡契約を締結した石川銀行、中部銀行を含め、すべての破綻金融機関について、本年3月31日の特例措置期限までに預金等全額保護のための特別資金援助に係る所要の手続を済ませております。

次に、新生銀行及びあおぞら銀行からの預金保険機構による瑕疵担保条項に基づく債権買取りの状況について申し上げます。

今回の報告対象期間中に預金保険機構が引き取った案件は、新生銀行については113件で、債権額4,444億円、支払額2,869億円であり、あおぞら銀行については25件で、債権額332億円、支払額209億円となっております。

最後に、これらの破綻金融機関の処理に係る預金保険機構による主な資金援助等の実施状況及び公的資金の使用状況について御説明申し上げます。

破綻金融機関の救済金融機関への営業譲渡等に際し、破綻金融機関の債務超過の補てん等のために預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助額は、今回の報告対象期間中において4,450億円であり、これまでの累計で16兆4,589億円となっております。

このうち、ペイオフコストの範囲内の金銭贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で2,785億円、これまでの累計で5兆8,319億円であり、ペイオフコストを超える金銭の贈与に係る資金援助の額は、報告対象期間中で1,665億円、これまでの累計で10兆6,270億円となっております。

また、預金保険機構による破綻金融機関からの資産買取り額は、報告対象期間中で1,499億円、これまでの累計で5兆5,714億円となっており、金融再生法第53条に基づく健全金融機関からの資産買取りについては、報告対象期間中で債権簿価3,302億円、買取り額206億円、これまでの累計で債権簿価1兆3,035億円、買取り額549億円となっております。

さらに、預金保険機構による金融機能早期健全化法に基づく優先株式等の引受け等の額は、報告対象期間中で1,020億円、これまでの累計で8兆6,053億円となっております。

これらの預金保険機構による資金援助等についてはいわゆる70兆円の公的資金枠が措置されておりますが、最後に、その3月31日現在における使用状況について申し述べます。

まず、特例業務勘定の特例業務基金に交付された13兆円の交付国債の償還額の累計は9兆548億円となっております。また、一般勘定、特例業務勘定、金融再生勘定及び金融機能早期健全化勘定における政府保証付借入れ等の残高は、各勘定合計で19兆9,784億円となっております。

ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講じることに努めてきたところでありますが、今後とも、金融庁といたしましては、我が国の金融システムの一層の安定の確保に向けて万全を期してまいる所存でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

久世 公堯氏(委員長)

以上で説明の聴取は終わりました。これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。

浅尾 慶一郎

今日は破綻金融機関の処理ということでございますので、先ほど柳澤大臣の方からペイオフ部分解禁というようなお言葉もありましたが、今年の4月1日以降と今までと、日銀と破綻金融機関との関係というのが若干変わってくるのではないかなというふうに思っていますので、その観点からまず質問をさせていただきたいというふうに思います。

どういうことかといいますと、昨年まではすべての金融機関が持っていた債務が実質上保護されていたと。つまり、破綻した金融機関に日銀が一時的に流動性を補給するということがあっても最終的にそのお金は返ってきたわけでありますが、今年の4月1日以降はそういうことにはならないということではないかなというふうに思います。

ただ、そうすると日銀として特融を実施する場合は、債務超過ではないということが担保されていない限り今後はできないということになってくるのではないかなというふうに思いますので、この観点から、まず過去の事例にさかのぼって、山一証券に対して日銀は、これは債務超過ではないということで総額当初1兆2,000億円ですか、特融を実施をされました。しかし、これが、その後のいろんな簿外の債務があったり、いろいろなことがありまして、結果として山一そのものが自主廃業後、東京地裁に破産の申立てをし、債務超過であるということが分かって、大体現段階で残っているお金、1,500億円ぐらい残っておるというふうに思いますが、まずその残っているお金について、まず日銀総裁に伺いたいのは、当初は債務超過ではないという認識でお金を出したけれども、現在、今申し上げました1,500億円ぐらい残っていて、これは債務超過だからそのうちの幾らか分かりませんが、返ってこないという認識を持っておられるかどうか、その点について端的に日銀総裁に伺いたいと思います。

速水 優氏(参考人)

山一証券に対する特融は、97年、平成9年の11月、破綻の直後に大蔵大臣の声明もございまして、その中にも書かれておるわけですが、当初はピークで1兆2,000億ぐらいございましたけれども、その後、返済が行われていって、7月4日現在では約1,500億円を残すことになっております。

先行きにつきましては、今のところ、どういうふうに進んでいくか分かりませんので、私どもとしてはそれに見合う引当金を積んではおりますけれども、今後の成り行きに注目しているのが私どもの現状でございます。

浅尾 慶一郎

少なくとも日銀としても当初は山一が債務超過ではないと、つまり貸したお金は、特融という形で貸したお金は全額返ってくるという認識でお金を貸されたわけでありますが、全額は少なくとも山一からは返ってこないという状況になったわけであります。

つまり、判断を間違えたと、日銀が判断を間違えたのか、債務超過ではないと当時言った大蔵省の責任なのかという部分が問題として出てくるわけでありますが、融資を、特融を実施した日銀の責任というものもあるんだと思いますが、その点についてまず日銀としての責任はどのように考えておられるか、総裁に伺いたいと思います。

速水 優氏(参考人)

この山一証券の特融の実施を決定しました時点では、日本銀行としましては、同社から報告を受けるとともに、当時の同社の監督官庁であります大蔵省との間で緊密な連携に努めました。それによって得られました情報に基づいて、同社は資産超過の状況にあるという認識を持っていたわけでございます。もとより、同社が廃業、解散に向けて事業、財産の整理を行っていく過程におきまして、同社の財務内容が変動していくことは十分予想されておりました。債務超過といった事態が生じる、予見するということは、しかし、そこまでは当時考えていなかったと思います。

ただ、日本銀行としては、山一証券向けの特融の実施を決定するに当たりましては、日本銀行の財務の健全性との関係で、山一証券が資産超過の状況であることを特融実施の条件としていたわけではございません。

当時の大蔵大臣の談話の中で、11月24日だったと思いますが、本件の最終処理も含めて、証券会社の破綻処理の在り方に関しては、寄託証券補償基金制度の法制化、同基金の財務基盤の充実、機能の強化等を図って、十分の処理体制を整備すべく適切に対処したいということを言っておられます。

万が一、同社が債務超過の状態に陥ったような場合におきましても、特融の最終的な回収に懸念が生ずることはないというふうに判断いたしております。

私どもとしましては、こうした大臣の談話や御答弁の趣旨に沿って適切な対応がなされるものと考えておりまして、特融の最終的な回収に懸念はないと考えておりますのが現状でございます。

浅尾 慶一郎

特融を実施した後、資産が劣化された可能性があるというようなお話を、今総裁の方から御答弁いただきました。特融実施後に日銀として、山一の資産が劣化しないようなそういう検査あるいは考査というようなことは山一証券に関して、限って実施をされましたでしょうか。

速水 優氏(参考人)

特融を実施しましたのが平成9年の11月でございますが、その翌年の平成10年になって考査をいたしております。その考査で同社に対する私どもの融資した資金等の監査も十分いたしましたし、この点は、どうして債務超過になっていったのかということは、当時、急速に景況が悪化していくし、金融システムの不安があちらこちらに起こってくるといったような事態の中で、所有していた資産あるいは不動産等の売却の価格が非常に安かったといったようなことで、初め資産超過であると言われておりましたのが、200億余りの債務超過になっているといったような情報が入ってき、そのうちにもう少しそれが大きいということが分かってきた次第でありまして、当時の経済情勢からいえばそういったことは十分起こり得たことではないかというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

私の質問の趣旨は、今総裁がおっしゃったように、資産を売却をしていく中で、いわゆる投げ売りというようなことが行われていたということだと思うんですね、総裁の御答弁のとおり。それは、売られる人の立場からすれば、それは山一の社員の方が売っておられたんだと思いますが、それがすべてそうだったかどうか分かりませんが、巷間うわさで言われている範囲で申し上げますと、例えば、ある資産を安く売ることによってそこに再就職で雇ってもらうというようなこともあったというようなことを言われておったわけであります。

質問の趣旨は、当然、債権者、日銀は特融の貸出しをした債権者として、そうした債権者の立場を危うくするようなことに対しては何らかの手だてを取るべきではなかったのかということでありまして、調べたらそういうことがあったということでは本来の債権者としての立場を取っていないんではないかというふうに思いますが、その点について総裁はいかが考えられますか。

速水 優氏(参考人)

考査に参りまして、それが平成10年11月でございますけれども、平成10年9月末のバランスシートを基に財務状況について査定を行ったわけでございます。当時、1,009億ぐらいの初めは資産超過ということでスタートしたわけでございますけれども、それが山一証券の平成10年3月期決算以降の経費や資産処分等の確定損失分に当時の市場環境等を踏まえました保有資産の評価を加えますと、平成10年3月期決算で約225億円の債務超過ということが分かりました。債務超過幅が拡大しつつあるという状況はそこで把握したわけでございます。

しかし、そういう状況の中で今後どういうふうにこれを見ていくかという、常時情勢はウオッチしていたと思いますけれども、平成10年11月に行った考査の時点では、なお顧客財産の返還とか約定済みの取引の決済等を進めている過程でありまして、日本銀行が同社向けに特融の目的の達成を期する上で特融実施を継続していく必要があるというふうに私どもは考えました。したがいまして、考査で債務超過であるということが確認した後も引き続き特融を実施していって、その後におけるこの返済を期待して、現に相当部分が返済されてきたわけでございまして、今まだ約1,500億円が残っているというのは大変私どもとしては残念ではございますけれども、今後の裁判の状況その他もよくウオッチしていきたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

数字を総裁の方からもさっきおっしゃっていましたけれども、1,500億円ぐらい今特融残高が残っていると。今、山一の破産財団に残っている帰属先が分からない債権等の多分総額で50億円ぐらいしかないわけですから、1,450億円は穴が空いているという状況なんだと思うんですね。

それは最終的に、さっき、先ほど日銀総裁がおっしゃったように、それは過去の国会答弁でも宮澤大蔵大臣が、最終的な責任は当時の大蔵省、大蔵大臣にありますと言っておられるんで、お金は大蔵、財政から返ってくると、あるいは先ほどおっしゃった現在で言えば投資者保護基金から返ってくるんだと、返ってくるからいいんだという認識なのかもしれませんが、しかし、一義的に融資を、特融を実施した、なおかつその考査の段階で債権者の立場を弱くするようなことが分かっていて、それに対して止める手だてが取れなかったというのは大変残念なんではないかなというふうに思うわけであります。

山一のことについて総裁に今伺っても多分それ以上の踏み込んだお答えをいただけないと思いますので、じゃ、当時の大蔵省、現在これは金融庁に移っておるのかもしれませんが、債務超過ではないというふうに間違えた少なくとも認定をしたわけでありますが、その責任について柳澤大臣はどのように思われますでしょうか。

村田 吉隆氏(副大臣)

山一証券でございますが、平成9年の11月24日に自主廃業に向けての営業休止の届出がなされまして、そういうことを受けまして、9年の11月以降に特別検査を実施したと、こういうことになっております。

具体的に申しますと、その特別検査の対象が、まず第一に簿外債務の状況がどうなっているか、それから顧客の預かり資産の保全状況がどうなっているかということを主として実態把握を行ったということになっておりまして、保有資産の処分価格とか関係会社の整理に伴う費用とか、不確定な資産、負債の変動要因がありますけれども、当時の大蔵省による検査においても最終的な債務超過額を確認するということは至らなかったというわけでございまして、今、その後におきまして、三月期決算において225億円の債務超過の状態にあるということを六月に把握したと、こういうことでございます。

浅尾 慶一郎

私が伺っておるのは、先ほども申し上げました、現段階でいうと約1,500億円ぐらい最終的にだれかがその穴を埋めなければいけないということになるわけでありますが、その前提として、入口の債務超過ではないという間違った認定をしてしまったと、間違えたことは間違えたことなんだと思いますので、その点について責任を認識されないのかという質問であります。

村田 吉隆氏(副大臣)

私どもは、今申しましたように、当時の特別検査の対象が先ほど申しました二点にございまして、その後の資産の劣化状況とか、いろんな要因に基づいて最終的にそういう債務超過の額が生じていると、こういうことでございます。

浅尾 慶一郎

責任認めないんですかと言うと、いろいろ答えられないので、違う角度から聞きますが、これ最終的に1,500億円ぐらい今残っているわけでありますが、日銀総裁としてはこれどうやって返していただこうというふうに思っておられるんですか。投資者保護基金と財政の出動、合わせ技によって返していただきたいというふうに思っておられるのかどうか、その点について伺いたいと思います。

速水 優氏(参考人)

私どもとしては、今の現状で、今後のことも十分考えて、必要な引当金を積んで1,464億ですか、積んではおるわけでございますけれども、今後の裁判の方向等を見た上で手段は考えていかなきゃいけないかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、最初に三塚大臣が非常にはっきりと言われたこと、そしてまたその後も国会の答弁において、私もそのとき席におりましたけれども、宮澤大臣等が、これは私どもで保証をしてお返しすべきものだと思っているということをおっしゃってくださっております。そういうことを考えて、私どもとしては成り行きは慎重にウオッチしてまいりますけれども、私どものところには返ってくるべきものだというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

返ってくるべきものというのはそのとおりだと思いますが、だれが返されるんですかというのが質問で、投資者保護基金とそれから財政からの穴埋めという理解でよろしいですか。

速水 優氏(参考人)

具体的な方法について現時点で予断を持っているわけでございませんが、いずれにしましても、今後の破産手続の進展を踏まえながら、最終的には大蔵大臣談話の趣旨に沿って適切な対応が図られるように、引き続き関係者と十分に協議してまいりたいというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

1,500億円、千四百六十四億円というのは、多分1,500億円マイナス現段階で残っている帰属先の不明の債権ということなんだと思いますが、約1,500億円の穴が空いていると。それは大蔵大臣が、当時の三塚大蔵大臣ですか、そして宮澤大蔵大臣も過去の委員会答弁において、今おっしゃったように、大蔵大臣に責任があると、私はそういうふうに考えていますというふうに答弁を、1999年の7月6日の衆議院の大蔵委員会ですか、御答弁をされておられるわけですから、それを基にして、日銀総裁としてはそれに期待をしているということなんですが、責任があるということと、したがって財政が出てくるということとは御案内のとおり違うんだと思いますが、日銀総裁はそういうふうに期待をされておるというふうに御答弁されたわけでありますが、その点について、まず財務省としてはどういうふうに考えておられますか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

日銀総裁からもお答え申し上げてございますように、この問題、まだ今後の進展がございますので、これを見極めざるを得ない。したがいまして、今日この時点で確たることを申し上げられる段階でないことを御理解いただきたいと存じます。

浅尾 慶一郎

じゃ、伺いますが、今後の進展というのは、1,500億円の特融が残っていて、あと破産財団に残っている資産というのは総額は決まっているわけですから、そうすると、どういう進展があるんですか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

今仰せのようなことも含めて、いろいろまだ確定したわけでないのでと、こういうことだと御理解いただきたいと存じます。

浅尾 慶一郎

残っている資産が突然増えて全額返るというふうに理解されておるということですか。

尾辻 秀久氏(副大臣)

先ほど来先生がお述べになっておられる数字は当然私どもも承知をいたしておりますので、お話しの数字はもうそのとおりでございますけれども、しかしまた同時に、申し上げておりますように確定しておるわけでございませんので、今ここで確たることを申し上げるわけにいかないということをどうぞ御理解いただきたいと存じます。

浅尾 慶一郎

一部に、投資者保護基金というものを使ってこの1,500億円を返そうと。投資者保護基金というのは、御案内のとおり、まずこの性格を伺ってまいりたいと思いますが、証券会社が預かっているいろんな資産、ありますね、株券とか債権。これが分別管理が本来されていなければいけないんですが、されてないで流用されてしまって投資者に迷惑を掛けてしまった場合に、その投資者保護基金でもって、その損失があった証券会社、迷惑、分別管理がなく流用されて迷惑を掛けられてしまった投資者を保護するためという理解でよろしいですか。その存在がそういうためにあるという理解でよろしいですか。

村田 吉隆氏(副大臣)

先生おっしゃる面、一つございます。証取法の79条の21の規定がございまして、その目的としては、「一般顧客に対する支払その他の業務を行うことにより投資者の保護を図り、もつて証券取引に対する信頼性を維持することを目的とする。」という、そういう規定がございまして、今先生が御指摘なさったように、保護預かり、タイムラグによって現金とかそういう保護預かりの証券について毀損の状態が生じたときに発動するというそういうことと、それから79条の59という規定がございまして、その規定によりまして、「顧客資産の返還に係る債務の迅速な履行に必要」とあり、そういうケースにおきましても発動できると、こういう規定がございます。

浅尾 慶一郎

先ほど、いろいろな検査をした結果、簿外の債務が多分山一証券としては債務超過になった最大の理由でありまして、預かり資産を流用していたというようなことが理由ではないと思いますが、その点の確認、そういう理解でよろしいでしょうか。

村田 吉隆氏(副大臣)

債務超過になった分につきまして、保護基金としては、金融システム改革法の附則43条に基づきまして、その基金の発足前に行われた貸付けのうち、投資者の保護に資すると認められるものを当該貸付けを行った者から譲り受けることができるという規定が附則にありまして、本件の場合には、保護基金の発足前のケースでございますから、この附則の規定に基づいて、従前行われた貸付けについて譲り受けることができるということで、それに基づいて保護を行うかどうかということが発動されると、こういうことになるのではないかと思います。

浅尾 慶一郎

その点はよく分かっておるんですが、私が伺っておるのは、そもそもその投資者保護基金の目的というのは、証券会社というのはいろんな方から、債券や株券の売買をやってそれを保護預かりをされると、それを目的外に流用したときに、それで破綻してしまったら困るから作られたわけでありまして、山一の場合は、いわゆる自己勘定で行っていたいろんなものを簿外債務として持っていたということですから、そのそもそもの対象として違うんではないかということを伺っておるわけであります。

村田 吉隆氏(副大臣)

したがいまして、私が申し上げたように、山一のケースにおきましては、この金融システム改革法の附則の規定がございまして、そういう意味でそれを引き受けてやるんだと、こういう立法がなされているということだと私は解釈しております。

浅尾 慶一郎

それではもう少しその点について詳しく伺っていきますが、その附則の中では、内閣総理大臣及び財務大臣は、認可基金に対し、前項の規定による債権の譲受けを行うことを要請することができると書いてありまして、要請したことに対して、それを総会で議決をするわけですが、議決をして否決されてもこれはしようがないという理解でよろしいわけですね。

村田 吉隆氏(副大臣)

御指摘のとおりだと思います。

浅尾 慶一郎

ちょっと、もう少し分かりやすい聞き方をいたしますと、山一証券の場合は、自主廃業が決まった後、しかし債務超過ではないと当時の大蔵省が発表をしました。自主廃業を発表された後、これは転換社債、山一証券が出した転換社債というのが市中で流通していましたが、大変暴落をいたしまして、最安値は幾らぐらいになっておりましたか。

村田 吉隆氏(副大臣)

何本か転換社債が出されているわけでございますけれども、一番低いものにつきまして、山一証券の第八回転換社債でございますが、平成9年11月19日時点において51円40銭と、こういう値が、最安値が付いております。

浅尾 慶一郎

そうした転換社債を一部の投資家の方は、もう政府が債務超過でないと言っているんだから、50円でも幾らでもいいですけれども、買われて、当然繰上償還の100円で返してもらっていると。莫大な利益を上げている人も、これは資本主義の社会ですから当然ですけれども、上げられたわけであります。その一方で、結果として債務超過だったということで、先ほど来だれが返すのか分かりませんが、日銀が負担しても、財政出動になったとしても、1,500億円近い穴が生まれてしまったわけでありまして、それを埋めなきゃいけないわけでありますが、そうしたことについて、これは仕方がないことなんですが、ですから、先ほど来、責任はどうなんですかということを申し上げたのは、本当は債務超過であればその転換社債はゼロ円になるはずなんですが、50円で買って100円で繰上償還してもらっているということについてどのような感想をお持ちかということを担当の柳澤大臣に伺えればと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

山一の自主廃業ということで、ずっと廃業のための資産の処分等を行った段階で、ある段階で債務超過ということで破産の申立てをしたわけですけれども、今から考えると、何と申しますか、事態の把握というものをより的確にすべき方法はなかったかという思いも、これはいつも結果から見るとそういうことというのはあるわけですけれども、しかし、そういうことで何がしかの資産が最終的な処分をした段階でも残ると、こういうことを念頭に置いて、それぞれのケースについて法律の定めるところによって処理をしていったということでございまして、これはもう極めて残念な、遺憾なことでありますけれども、やむを得ないことだったのではないかと、こう私の立場から言わざるを得ないということでございます。

浅尾 慶一郎

私が申し上げたいのは、結果から見れば確かにそういうことなんだからやむを得ないんだという言い方もあろうかと思いますが、1,500億円というのは結構かなり大きな金額でありますから、そこはやはり責任を明確にしていかないと同じ過ちを起こすんではないかなということを申し上げたいわけであります。

その結果という言葉がありましたが、それでは、先を見据えた場合に、冒頭申し上げましたように、仮に、現段階である金融機関がその流動性が足りなくなったと、したがって日銀が特融を出しましたと、出した後、債務超過で破綻しましたという場合、日銀特融に当然穴が空くような事態になるわけでありますが、その場合の責任はどなたが取られるんでしょうか。まず、日銀総裁に伺います。

速水 優氏(参考人)

私ども、今、特融、レンダー・オブ・ラスト・リゾートとしてどこの中央銀行もやっていることなんでしょうが、これを貸すにつきましては4つの原則を作っております。

一つは、システミックリスクのおそれがあるとき。そして二つ目は、ほかに方法がない、これしかないと、それこそラストリゾートなんだということを確認すること。それから三つ目は、そういうことをやって貸出し先にモラルハザードを起こすようなことにならないように、それを防ぐ必要があるということ。そして最後、これが一番大事だと思うんですけれども、日銀の財務の健全性という立場からいって、債務超過のところへはやはり分かっていれば貸せないと思っております。

そういうことをよく審議、決定会合で政府からの御依頼があったときにもよく検討して決めていきたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

債務超過であれば、分かっていれば貸さないというのはそのとおりなんですが、先ほど、山一の場合も、当初は分からなかったわけです、結果として債務超過になってしまった。

今、先ほどのペイオフ部分解禁ということになった状況において、仮に、金融機関に対して特融を実施するとまた穴が空くということもあるわけでありますから、その場合の責任は日銀が今後は負うという理解でいいのかどうか、その点を端的に伺いたいと思います。

速水 優氏(参考人)

特融の依頼は、政府の方から依頼が来て、それを私どもが検討しておこたえすることにし、お貸しすることにしておるわけでございまして、それぞれの情勢が変わってくると思いますが、基本的には、私どもとしては今申し上げた4つのことをよく考えて、これは新しい日銀法の下でこういうことを私どもの中で決めたわけでございまして、よく検討をして、私どもの資産の健全性というようなことも十分考えて決めてまいりたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

余りお答えいただけないんで、次の質問に移ります。金融機関の財務の健全性ということを考えた場合に、現在、繰延税金資産というものがバランスシート上認められておるわけでありますが、そもそもその税効果というものが出てくるのは、金融機関が間接償却をしようとしたものについて国税庁がそれは税金として損金扱いとして認めないということが原因だというふうに思いますが、まず金融庁としては、本来金融機関が金融庁のガイドラインに従って間接償却をするという場合には国税に対して無税償却を認めるように要請をしたらいいのではないかなと、そうすれば繰延税金資産というものは出てこないと思いますが、その点についてどう思われますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

繰延税金資産が生ずるというのは、基本的には今委員が仰せられたとおり、税務の会計と銀行の会計、これは一般的には企業会計ですけれども、それのそごが起こってくると、これはもう、起こってくるわけですが、この中には、そのそごが永久的に起こって全然これ将来修正されないというものはこれはもうあきらめるわけですけれども、例えば交際費なんというのはもう永久的に起こっちゃうわけですけれども、そうでないものについてはこれは一時的な差異であると、一時的なそごであるということで、それぞれ適切な税務の処理と企業会計の処理との調整を企業会計の方でやらざるを得ないと、こういうことでございます。

その非常に大きな部分が、今御指摘のように貸出しの引き当てについてそれを損金に認めてくれないというところから起こっているということは御指摘のとおりでございまして、これが非常にジェネラスに認められてくれたらこういうことは大きな部分が生じないで済むということは御指摘のとおりでございます。

浅尾 慶一郎

私の質問は、金融庁としてあるいは金融担当大臣として、財務当局、税務当局にそういうそごが生じないように要請したらどうですかという質問なんですが。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

正に私もそうした考え方を持っておりますが、現段階というか現在の状況において、要請はするということはこれはただですけれども、自由でございますけれども、しかし、要請する以上やっぱりある程度の実現可能性というものもどうしても税制改正要望のときは考えますので、そうすると優先順位からいって、もちろん緊要性ということもありますが、実現可能性ということも考えながら税制改正要綱を作る関係で、気持ちとしては浅尾委員と負けず劣らずの気持ちを持っているわけですけれども、現実の税制改正要望ということになると、やっぱりもうちょっと優先して実現したいものがこれまでにもあったし当面あると、こういう状況にございます。

浅尾 慶一郎

何でこういうことを申し上げるかというと、金融庁あるいは柳澤大臣はオフバランス化を推進しようと言っておられるわけです。オフバランス化すればこれは税の問題は解決するということなんですが、オフバランス化をするということは、場合によっては企業をつぶすということにもつながるわけでありまして、必ずしもつぶす必要もない企業、十分な引き当てを積んでおいて、時間の経過とともに再生ができるということであれば、オンバランスで十分な引き当てを積んだ方がいいということもあるわけでありますから、それは税金が取れなくなるから要請するべきではないという観点よりかは、もう少し広いマクロ経済的な意味で重要性があるんではないかなというふうに思ってこういうふうに申し上げておるわけでありますけれども、オンバランスとオフバランス、あるいは間接償却と直接償却において、直接償却の方がいいんだという理由は何かほかにありますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

これは常識論でございますけれども、一つは、率直に言って世の中の人というのは不良債権の残高のことにやはり着目しておられるという現実がございます。

今回も、特別検査の結果、不良債権の残高が増えました。しかし、特別検査の結果ということになれば、もう通常以上にこれは十分な引き当てが行われるということが片っ方で行われているわけですが、それにもかかわらず、そういうふうにはお取りにならなくて、いや、やっぱり不良債権の残高が増えて、こんなに不良債権の処理に7兆7,000億も使いながら不良債権が増えちゃった、これはどういうわけだと。

これは一般の人たちの認識というのはそういうことなんでございまして、本当に何ともかんとも、私はもう本当にどうして分かってくれないかということで切歯扼腕することが多いわけでございます。そういうことが実際問題としてございます、現実にはございます。

それからもう一つは、もうちょっと実質的な話で、やっぱりこれをいつの段階で債務者企業との間で話をして、そこの間の何というか、不良化した部分の事業というものの立て直しをしていくか、あるいはそこをあきらめて別途の元気なところを伸ばしていくような、そういう体制にしていくかということがもう一つあろうと、こういうように思います。

私どもはまた、そういうふうにした方が実は金融仲介機能も働きやすくなるし、また率直に言って収益も上がってくると。こういう銀行経営の立場からいってもその方がメリットが大きいと、こういうように考えておりまして、できるだけ債務者企業と話し合ってその立て直しを図っていく。ただ銀行内の会計処理だけでひっそりと手当てをしておく、こういうことでないようにした方が我々にとってもメリットがあると、このように考えているということであります。

浅尾 慶一郎

今日は、経済にお詳しい竹中経済財政担当大臣もお越しですので、ちょっとこれ質問通告していないんですが、金融不良債権とか金融の問題について、諸外国の例とか考えた場合に、その一番の問題は、銀行が不良債権に対して十分な手当てをしていないんじゃないかという不安が一番の問題ではないかなというふうに思うわけでありますので、その点について間接的な引き当てでも、むしろその諸外国の例をお話しいただきたいんですが、まず間接的な引き当てを全部積み終えて、その後それを証券化して売るなりなんなりというのが一般的な例ではないかと思いますが、その点について経済学者として何か御意見いただければと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

久しぶりに経済学者として話す機会を与えていただいたような気がいたしますが、基本的にはまず間接償却をしっかりと行って、引き当てを行って、それによって資産査定をするというのが、もうおっしゃるとおり、私も原則だと思います。

ただし、二点、それでも更に付け加えるべきことがありまして、一つは、そこで引き当てで行ったことはこれまだマーケットでは決済されていないわけですから、それが更に変わる可能性があるという意味で、またリスクが含んでいますねということなんだと思います。オフバランス化するという意味は、ある意味で決済されるということでありますから、そこで確定する、その問題がある。

もう一つは、今正に柳澤大臣がおっしゃったことで、決済して返ってきたものを更に有効な貸付運用を行うことによって収益を高める。これは同時に、資産の有効利用という意味で社会的にも意味のあることである。この点では間接償却が勝る点があるということも事実であろうかと思います。

浅尾 慶一郎

時間が参りましたので終わりますけれども、間接償却の意味というのはかなりあると思いますので、是非、税務との整合性を取っていただきますように御要請したいと思います。



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