厚生労働委員会 会議録
平成14年12月3日
12月2日
辞任 補欠選任
江田 五月氏 堀 利和氏

12月3日
辞任 補欠選任
鴻池 祥肇氏 吉田 博美氏
堀 利和氏 岩本 司氏
小池 晃氏 筆坂 秀世氏

出席者は以下のとおり。

委員長
金田 勝年氏
理事
武見 敬三氏
中島 眞人氏
浅尾慶一郎氏
山本 孝史氏
沢 たまき女史
委員
狩野 安氏
斎藤 十朗氏
伊達 忠一氏
中原 爽氏
南野 知惠子女史
藤井 基之氏
宮崎 秀樹氏
森田 次夫氏
吉田 博美女史
朝日 俊弘氏
今泉 昭氏
岩本 司氏
谷 博之氏
風間 昶氏
井上 美代女史
小池 晃氏
西川きよし氏
森 ゆうこ女史
大脇 雅子女史
衆議院議員
厚生労働委員長 坂井 隆憲氏
国務大臣
厚生労働大臣 坂口 力氏
内閣官房副長官
内閣官房副長官 安倍 晋三氏
副大臣
厚生労働副大臣 鴨下 一郎氏
事務局側
常任委員会専門員 川邊 新氏
政府参考人
内閣官房内閣参事官 佐々木 真郎氏
内閣官房内閣参事官 小熊 博氏
警察庁警備局長 奥村 萬壽雄氏
総務大臣官房審議官 衞藤 英達氏
総務省自治行政局選挙部長 高部 正男氏
法務省入国管理局長 増田 暢也氏
外務大臣官房参事官 齋木 昭隆氏
外務省アジア大洋州局長 田中 均氏
財務省国際局長 溝口 善兵衛氏
文部科学大臣官房審議官 木谷 雅人氏
厚生労働省
医政局長
篠崎 英夫氏
厚生労働省
医薬局長
小島 比登志氏
厚生労働省
労働基準局長
松崎 朗氏
厚生労働省
職業能力開発局長
坂本 由紀子女史
厚生労働省
社会・援護局長
河村 博江氏
厚生労働省
社会・援護局障害保健福祉部長
上田 茂氏
厚生労働省
老健局長
中村 秀一氏
厚生労働省
保険局長
真野 章氏
厚生労働省
年金局長
吉武 民樹氏
環境大臣官房審議官 小野寺 浩氏


本日の会議に付した案件
  • 政府参考人の出席要求に関する件
  • 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律案(衆議院提出)
  • 独立行政法人労働者健康福祉機構法案(内閣提出、衆議院送付)
  • 独立行政法人福祉医療機構法案(内閣提出、衆議院送付)
  • 独立行政法人労働政策研究・研修機構法案(内閣提出、衆議院送付)
  • 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法案(内閣提出、衆議院送付)
  • 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
  • 独立行政法人雇用・能力開発機構法案(内閣提出、衆議院送付)
  • 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構法案(内閣提出、衆議院送付)
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案(内閣提出、衆議院送付)
  • 社会保険診療報酬支払基金法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)


田村 公平氏(委員長)

ただいまから総務委員会を開会いたします。参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。まず、委員の異動について御報告をいたします。

昨二日、江田五月氏が委員を辞任され、その補欠として堀利和氏が選任されました。

次に、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律案を議題といたします。

まず、提出者衆議院厚生労働委員長坂井隆憲氏から趣旨説明を聴取いたします。坂井隆憲氏。

坂井 隆憲氏(衆議院議員)

ただいま議題となりました北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。

本案は、北朝鮮当局による未曾有の国家的犯罪行為によって拉致された被害者が、本邦に帰国することができずに北朝鮮に居住することを余儀なくされるとともに、本邦における生活基盤を失ったこと等その置かれている特殊な諸事情にかんがみ、被害者及び被害者の家族の支援に関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、帰国した被害者及び帰国し、又は入国した被害者の配偶者等の自立を促進し、被害者の拉致によって失われた生活基盤の再建等に資するため、拉致被害者等給付金の支給その他の必要な施策を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

第一に、この法律において被害者とは、北朝鮮当局によって拉致された日本国民として内閣総理大臣が認定した者をいい、認定に当たっては内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとしております。また、被害者の配偶者等のほか、被害者の家族についても定義を置いています。

第二に、国は、安否が確認されていない被害者等の安否確認及び帰国等のため、最大限の努力をするものとすること、また、国及び地方公共団体は、有機的連携の下、帰国した被害者等の支援のために必要な施策を講ずること等としております。あわせて、国及び地方公共団体は、被害者の家族に対しても、安否情報の提供や相談に応じること等きめ細やかな対応に努めることとしております。

第三に、国は、被害者又は被害者の配偶者等の帰国等に伴い必要となる費用を負担することとしております。

第四に、国は、帰国被害者等が本邦に永住する場合には、帰国被害者等に対し、これらの者の自立を促進し、生活基盤の再建等に資するため、拉致被害者等給付金を五年を限度として毎月支給することとし、また、被害者が永住の意思を決定することにつき困難な事情があると認められる間は、当該被害者に対し、本邦に滞在している間の生活を援助するため、滞在援助金を毎月支給することとしております。また、これらの給付金等については、譲渡等を禁止し、かつ非課税としております。

第五に、国及び地方公共団体は、帰国被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、相談に応じることや日本語習得を援助すること等必要な施策を講ずるものとしております。

第六に、国及び地方公共団体は、公営住宅等の供給の促進、職業訓練の実施及び就職のあっせん、並びに就学の円滑化及び教育の充実等の必要な施策を講ずることとしております。

第七に、国民年金の特例として、拉致された日以降の期間であって政令で定めるものを国民年金の被保険者期間とみなし、国がその期間に係る保険料に相当する費用を負担すること等により年金額を改善することとしております。

なお、この法律の施行期日は平成15年1月1日とし、この法律の規定について施行後三年を目途として検討し、必要な措置を講ずることとしております。

以上が本案の提案理由及びその内容であります。何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

金田 勝年氏(委員長)

以上で趣旨説明の聴取は終わりました。これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。

浅尾 慶一郎

民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。ただいま提出者の方からお話がありましたこの法案の中身について伺わさせていただきたいと思いますが、法案はその目的の第一条におきまして、今回の拉致につきまして「未曾有の国家的犯罪」というふうに認定をいたしております。私も、平穏に我が国の国土の中において暮らしておられた方々をその日本の国土から連れ去って、全く縁もゆかりもないところに連れていくといった犯罪ということは正に未曾有の国家的犯罪だというふうに思いますが、そのように認定するに至った経緯について、まず提出者に伺いたいと思います。

坂井 隆憲氏(衆議院議員)

さきの日朝首脳会談において、金正日国防委員長が小泉総理大臣に対し、拉致問題について過去に北朝鮮の関係者が行ったことを率直に認め、遺憾なことであり、おわびすると述べたところであります。

拉致事件については、引き続きその事実解明に努めているものと承知しておりますけれども、今述べたとおり、北朝鮮の特殊機関の一部が拉致を実行したことについては北朝鮮も認めていることから、本案において「未曾有の国家的犯罪行為」と表現したところであります。

浅尾 慶一郎

未曾有の国家的犯罪という、これも提出者に伺いますけれども、国家的犯罪と言うからには、一部の妄動主義者あるいは冒険主義者の行為ということではなくて、もう少し幅広い北朝鮮の関与を認めているという理解、私もそのとおりだと思いますが、そういう理解で提出者、よろしゅうございますね。

坂井 隆憲氏(衆議院議員)

金正日氏が北特殊機関の一部が拉致を実行したということを言っておりますので、我々としてはそういうふうに認識しております。

浅尾 慶一郎

もう一回確認いたしますが、金正日氏の述べていることは一部の妄動主義ということでありますが、未曾有の国家的犯罪と。正に今回のは未曾有の国家的犯罪ですから、一部の妄動主義者、冒険主義者ということではなくて、もう少し国家的な関与のある犯罪というふうに提出者は認識しておるという理解でよろしゅうございますね。

坂井 隆憲氏(衆議院議員)

当時の犯罪としては、おっしゃるとおりだというように認識してはおります。

浅尾 慶一郎

正に一部の妄動主義、冒険主義ではなくて、国家的な犯罪だというふうに、この法案が衆議院及び参議院を通ると立法府の意思として認識するということで、提出者、理解、確認ですけれども、よろしいですね。

坂井 隆憲氏(衆議院議員)

立法者としてはそのように認識しているところであります。

浅尾 慶一郎

それでは、安倍官房副長官に伺います。そういたしますと、金正日氏が日朝首脳会談で申した一部の責任ということではなくて、立法府の意思としてはこれは国家的な犯罪だというふうな認識になるということだと思いますが、今後の交渉の中で、そのことも踏まえて交渉されるというふうに政府の立場としても考えておられるということでよろしゅうございますね。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

この立法の趣旨につきましては、提案者である坂井委員長から答弁されたとおりだと思います。

この犯罪につきましては、金委員長からこれは妄動主義、冒険主義という言及はあったわけでございますから、国家の機関の関与を認めているわけでございますから、私どもは北朝鮮に対していろいろな今要求をしているということでございます。

浅尾 慶一郎

先方は一部ということで責任逃れをしているということでありますが、我が国の立法府の意思として、本日この法案間違いなく可決されるものと思いますが、委員会で可決し、本会議で可決した際には、国家的な犯罪、一部ではなくて国家ぐるみの犯罪という、立法府は少なくともそういう意思になるというふうに私は認識をいたしますので、是非とも今後とも政府の中においてはそのことを踏まえて交渉をしていただきたいと、こういうふうに思います。

さて、平成12年の11月9日付けの当院の地方行政・警察委員会の質疑の中でも、こうした拉致というものは実行犯及び首謀者が海外にいるわけでありますから時効は成立しない、海外にいる限りにおいては時効は中断しているという御答弁をいただいたわけでありますけれども、そうした理解でまず警察庁よろしいかどうか、再度確認をお願いします。

奥村 萬壽雄氏(政府参考人)

刑事訴訟法第255条でございますけれども、犯人が国外に逃亡している場合には国外にいる期間は時効の進行が停止というふうに定めておるところでございます。

浅尾 慶一郎

それでは、現段階で北朝鮮側に引渡しを求めている犯人は何名おりますでしょうか。

奥村 萬壽雄氏(政府参考人)

今、2名、北朝鮮側に引渡しを要求をしておるところであります。

浅尾 慶一郎

辛光洙とよど号に絡む人という理解でよろしゅうございますか。

奥村 萬壽雄氏(政府参考人)

1名は原敕晁さん拉致の実行犯である辛光洙でございます。それから、いま1名は有本恵子さん拉致の実行犯である、よど号犯人の1人であります魚本公博、これは旧姓安部公博でありますけれども、この2人につきまして北朝鮮側に対して身柄引渡しを要求しております。

なお、そのほかのよど号グループのメンバーにつきましても北朝鮮側に引渡しを要求しているところであります。

浅尾 慶一郎

大変多くの方が拉致をされているということでありますから、今後ますますいろんな実行犯及び首謀者というものが明らかになってくると思いますし、明らかにしていかなければいけないというふうに思いますが、そうしたすべての人の引渡しを求めていくべきではないかというふうに思いますが、安倍官房副長官、どのように思いますか。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

ただいま警備局長がお答えをしたわけでございますが、今犯人として私どもが認定をしているのは、今、警備局長からお答えをした2人でございます。

今後、捜査の結果、犯人が、私どもが引渡しを要求すべき容疑者が確定していけば当然要求をしていくということになると思います。

浅尾 慶一郎

日本の当局の方で犯人であるという認定をしていかなければ要求はできないわけでありますが、具体的に考えれば、今お話の出た二人だけでとてもあれだけ多くの人を拉致することはできないわけでありまして、既に報道されておる中でも、日本に帰国をされている五人の方々も複数の人に取り押さえられたり囲まれたということでありますから2人以上ということだと思いますが、そういう理解に官房副長官も立っておられるかどうか、その点を確認さしていただければと思います。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

まだ実行犯につきまして、また犯行当時の状況につきまして捜査の解明が終わっていないという段階では予断を持ってお答えをするわけにはいかないわけでございますが、私ども、少なくとも10件15名の方々が拉致をされているという認定をしているわけでございますから、当然かかわった人たちはそれなりの人数に達するんであろうというようには考えております。

浅尾 慶一郎

先ほども申し上げましたが、実行犯の引渡しということもそうでありますが、例えて言いますと、例えば地下鉄サリン事件のときに、今裁判をされておりますオウム真理教の教祖である麻原彰晃は、実行犯でありませんが首謀者ということで裁判にかかっているということから考えますと、未曾有の国家的犯罪というふうに立法府として認定するわけでありますから、実行犯にかかわらず首謀者の引渡しということも当然求めていくべきだというふうに思いますが、官房副長官、いかがお考えですか。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

日朝首脳会談におきまして、金正日国防委員長より小泉総理に対して、拉致事件に関連した責任者らは処罰を受けた旨の説明がございました。また、北朝鮮側からは、9月末に訪朝した我が国の事実調査チームに対しまして、拉致事件の責任者として2名が処罰された旨の説明を行ったわけでございます。

また、この点も含めまして拉致問題に関する事実関係につきましては、その詳細を判断し得る材料がないというのが実情でございまして、現在、被害者の御家族から出されました疑問点及び警察当局から提出がございました再調査事項を踏まえて作成をいたしました追加照会事項を北朝鮮側に手交し、速やかで誠意ある回答を求めているところでございます。

拉致問題につきましては、今後とも国交正常化交渉の場で北朝鮮に対し追加情報の提供を求め、事実の解明に努力をしていきたいと、このように考えている次第でございます。その上で、北朝鮮に対して具体的にいかなる対応を求めていくかにつきましては、事実関係の調査結果を踏まえながら総合的に検討していきたいというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

今の未曾有の国家的犯罪であるということが認定されたわけでありまして、首謀者が2名だけということになると、金正日の説明どおり一部の盲動主義、冒険主義者が行った犯罪ということで先ほどの議論と矛盾をしてまいるというふうに思うわけでありますので、引き続き首謀者ということの引渡しを求めていくべきではないかと、このように思いますが、その点について、今日は田中アジア局長もお越しでありますので、アジア局長に伺ってまいりたいと思います。

田中 均氏(政府参考人)

ただいま安倍副長官から御答弁をされたとおりでございまして、私どもとしては、事実関係が十分解明されていない、正にこれから十分な事実関係の究明をもって実行犯、責任者も含めきちんと解明をしてまいりたいと、かように考えております。

浅尾 慶一郎

事実関係が解明されていないのはそうかもしれませんが、法案で、未曾有の国家的犯罪というふうに立法府はこれから断定をすることになるわけでありまして、そうだとすると、先ほど来申し上げていますとおり、一部の盲動主義者の犯行ではないと少なくとも日本の三権の一つである立法府は判断をするということになるわけですから、再三申し上げていますとおり、そのことを、引渡しを求めていくことが必要だと思います。

別の観点から伺いますが、少なくとも実行犯そして首謀者の引渡しを応じるということが国交正常化の条件にしていくべきではないか、あるいは最低限、法治国家としてそうした断定を立法府においてすると、あるいは日本の国家主権が踏みにじられたということを考えると、友好国に対して経済協力ということは行うわけでありますから経済援助の条件とすべきではないかと思いますが、その点について官房副長官の考えを伺いたいと思います。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

今、私ども国交正常化に向けて交渉を、再交渉をスタートしたわけでございます。しかし私どもは、ただいま5人の被害者の方々が国内に帰国を果たされた後、この方々の御家族の1日も早い帰国について先方に要求をしているところでございます。さらには、8名、亡くなられたと言われている8名の方、また不明である2名の方についていろいろな調査、私どもが確認できる材料、資料の提供を今求めている最中でございます。さらには、今、委員が御指摘されました、実行犯がだれなのか、また責任者がだれなのかということは当然はっきりしていかなければならないと、こう考えているところでございます。これは場合によっては正常化交渉の中で、あるいはいろいろな場で我々は求めていかなければならないわけでございますが、こうした懸案が処理されなければ当然正常化はないというふうに私は考えております。

浅尾 慶一郎

そうだとすると、少なくとも、現在政府として氏名も含めて認定をしております、先ほど警察庁の方から御答弁いただきました2名の方の引渡しがなされない限り正常化はないという理解でよろしゅうございますね。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

私どもは、また正常化交渉の中で先方といろいろな議論をしていくわけでございます。引渡しにおきましては、法的な枠組みの整備ということも他方必要であるわけでございます。そういうことを総合的に判断をしながら結論は出していかなければならないと、こう考えております。

浅尾 慶一郎

確かに、日朝間で犯罪引渡条約といったようなものはございません。しかし、私の理解では、任意に自首をされる人を我が国の捜査当局が逮捕するということを妨げる、そうした条約がないことによって妨げるものではないというふうに理解しておりますが、そうであれば法的な整備は必要ないのではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

この点につきましては、ただいま私ども交渉をしていかなければならないという状況でございまして、犯人の引渡しについてのお互いの理解を深めていくことも当然今後必要であろうと、こう考えております。

浅尾 慶一郎

申し上げたいのは、現在既にその2人の引渡しを求めているということであります。それは別に新たな法整備というものがなされているわけではないという理解ですけれども、その点の確認を、どなたかお答えいただける方、答えていただけますか。

田中 均氏(政府参考人)

現に引渡しを求めているわけでございますが、これは当然のことながら我が国として引渡しを求めることができるということであって、先方が国交がない段階において国際法上引き渡す義務が生ずるかどうかということについては種々検討を要する必要があるところでございます。

通常であるならば、法的な枠組みの中で先方が引き渡す義務を作るということが必要であろうというふうに考えます。

浅尾 慶一郎

警察庁に伺いますが、警察庁の理解は、先方に義務が、今の段階で条約がないということであれば義務がないということですけれども、当然我が国の主権として求めているということでよろしゅうございますか。

奥村 萬壽雄氏(政府参考人)

私ども、外務省を通じまして2人につきまして引渡しを求めておるところでございます。これは日本として引渡しを要求しているという理解であります。

浅尾 慶一郎

それでは、法案の中で政府の責務を定めておる部分がありますけれども、政府の責務として、本来、この未曾有の国家的犯罪の被害者は個々人でありますけれども、個々人がそうした犯罪によって被った様々な損害に対する損害賠償ということを今後求めていくということになってくると思いますが、個々人対国家ということを考えた場合に、政府がそうした国家賠償に対する支援をしていくことも当然していかなければいけないと思いますが、提出者はなぜその責務の中に拉致被害者が北朝鮮に対して行う損害賠償ということに対する政府が支援をするということを法案の中に盛り込まなかったんでしょうか。

坂井 隆憲氏(衆議院議員)

この法案に目的の規定を設けておりますが、この目的の規定にも掲げているところでありますけれども、この法案は、将来に向けて被害者等の自立、拉致により失われた生活基盤の再建を支援するものであり、個々の被害の補償ないし賠償的な観点ではありません。

また、給付金の支給については北朝鮮に代わって補償しているものではなく、したがって北朝鮮に対して直ちに求償をするというようなことを考えているわけではありません。

浅尾 慶一郎

まず、前段の損害賠償については、この法案にかかわらず、政府として拉致被害者が北朝鮮に対して損害賠償を求めていくということを支援していくべきだと思いますが、その点について安倍官房副長官、どのように考えておりますか。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

拉致問題につきましては、事実関係の解明とともに、生存者の御家族の帰国の実現など、御家族を始めとする関係者が納得する形で問題が解決をされることが重要であると、このように考えておるところでございます。

その上で、北朝鮮に対し、具体的にいかなる対応を求めていくかということでございますが、事実関係の調査結果を十分に踏まえながら、国際法の観点からも十分に考えながら検討を行って、必要があれば当然求めるべきものは求めていかなければならないと、こう考えているところでございます。

浅尾 慶一郎

24年間、拉致によって自由を奪われていたということは当然損害賠償の対象になると普通考えればなるわけですから、これは別に拉致という犯罪でなくても国内における犯罪においても損害賠償の対象になるわけですから、先ほど申し上げましたように、国対個人ということになるとなかなか交渉も難しいというふうに思いますので、その点については十分な支援を日本の政府としてしていくべきだというふうに私は考えます。

それから、後段の給付金のところについて、先ほど提出者、これは考えようによっては、我が国として単独に行うものだから給付金について求償を北朝鮮に求めるものではないというふうな趣旨の御答弁があったと思いますが、そもそもそうした拉致というものがなければそうした給付金も発生しないわけでありますから、本来は日本の政府が払う、払ったものを北朝鮮に対して求償をしていく、請求していくということは当然だと思いますが、そのようには考えられないんですか。

坂井 隆憲氏(衆議院議員)

先ほど御答弁したように、この法案自身が北朝鮮に対して直ちに求償することは法案の趣旨からして考えておりませんが、ただいまの御質問については、今、安倍官房副長官からお話がありましたように、事実関係の調査を踏まえつつ、国交正常化に向けた過程の中で総合的に検討されるものと承知しているところであります。

浅尾 慶一郎

事実関係の調査を踏まえてというふうにおっしゃいましたが、事実関係の調査が普通あって未曾有の国家的犯罪ということを法案の中で書き込むはずなんです。それがない段階で書き込むというのはおかしいと。私はこれは未曾有の国家的犯罪だと思いますけれども、だからこそ、とりあえず政府が給付金を払っている、それを北朝鮮に対して求償を請求していくということは当然のことだと思いますが、安倍官房副長官、そのように考えられませんか。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

これは、この法案は衆法ということで議員提案でございます。私どもの政府の理解といたしましては、この被害者の方々が失われた年月によって本来であれば当然持っているべき生活の基盤を持っていない、その生活の基盤を私どもが国として支援をしていくということで、給付金あるいは将来の年金について定めたものでございます。

一方、この方々が与えられた苦痛というものに対してどうするかという議論が当然あるわけでございまして、そういう慰謝の部分についてはこの法案は含んでいないんだろうと、こう思うわけでございます。それは恐らく、私どもは、また御家族の皆様はこれは北朝鮮に対して求めるべきものなんだろうと、こう考えておられるということを私どもお伺いをいたしております。

浅尾 慶一郎

北朝鮮に対して当然いろいろと求めていかなければいけないと思いますが、我が国としても、その求めるに当たって外交カードを作っていかなければいけないと思います。

現行の外為法では、我が国独自の判断で我が国の安全保障上の理由によって外国送金を止めることができない仕組みになっております。

時間の関係で、財務省来ていただいておりますが、そうした外為法の改正をすることが別に直ちに送金を停止するということではなくて、改正をすることによって、我が国の安全保障上の観点からの判断によって送金を止める権限を政府に与えるというような法改正案ということも当然考えられるわけでありまして、そうした考えについて官房副長官のお考えを伺いたいと思います。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

かつて北朝鮮がテポドンを発射したとき、浅尾委員とともに外為法の16条を改正すべきではないかということで草案も一緒に作ったことがあるわけでございます。

ただいまの御指摘でございますが、一般論として申し上げれば、もう委員御承知のように、外国為替及び外国貿易法上、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、国際平和のため国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるときには海外への送金を停止するなどの措置を講ずることができるとされております。

外為法第16条第1項前段の、条約その他の国際約束を誠実に履行するために必要があると認めるときとの要件については、例えば国連安保理決議1,373、平成13年9月28日採択は、国連加盟国に対してテロ行為に対する資金供与を防止するなどを求めておりまして、この決議に基づきテロリストに対する送金等を我が国が我が国単独で停止することは可能であると、このように考えているところでございます。

ただし、我が国が単独で送金等を停止すべきかについては、我が国の国際社会の一員としての義務を果たすとの観点から、具体的な事案に応じて関係省庁間で協議の上、国際社会の動向、我が国への影響等を勘案して我が国が総合的に判断することであると、このように考えております。

浅尾 慶一郎

時間が参りましたので終わりますが、今の御答弁ですと、北朝鮮という国家がテロリストという認定をすれば我が国として送金を停止できるというふうに御答弁されたという理解でよろしいですね。

安倍 晋三氏(内閣官房副長官)

ただいま我が国が交渉をしております特定国を念頭に置いた仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、送金等を停止すべきかについては、実効的な資金凍結措置を行う観点からは主要国と協調しつつ検討していくことが望ましいこと、そして安全保障上の問題を含めて我が国の外交上の判断、そして国際社会の動向等の具体的な状況に応じ我が国が総合的に判断していくこととなると考えております。



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