- 金田 勝年氏(委員長)
ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長松崎朗君外九名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。御異議ないと認め、さよう決定いたします。
次に、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
- 浅尾 慶一郎
私、まず冒頭に、今のイラク情勢に関して幾つか質問させていただきたいと思いますが、特に生物兵器のテロの可能性等々が言われておるという状況の中で、まず最初にお伺いしたいのは、20日の安全保障会議での、特に今申し上げました国内テロ対策との関連で厚生労働省の役割について御答弁をいただきたいと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
おはようございます。今お話のございました20日の日に開かれました安全保障会議におきましては、今お話しございましたテロ対策に対しましてどのように対応をするかということがこちらが発言をいたしました中心でございます。いわゆる緊急対応方針でございます。
厚生労働省の中にも緊急テロ対策本部を作りまして、それに対応できるようにするということでございます。その中で、主なものといたしましては生物化学兵器、とりわけ炭疽菌でありますとかあるいはまた天然痘等に対します対応が十分にできている体制になっているかどうかということが中心でございまして、そうしたことが議論になったということでございます。
- 浅尾 慶一郎
今御答弁いただきました生物兵器についてお伺いさせていただきますが、炭疽菌については恐らく抗生物質ということになるのかと思いますが、その量が十分あるのかどうかということと、あわせて天然痘についてはワクチンを備蓄しておかなければいけないということでございますが、そのワクチンにかかわる、どの程度現在我が国として対応しているのか、金額並びにその人数という観点からお答えいただければと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
炭疽菌につきましては、これは抗生物質で対応できますし、それに対応する抗生物質は全国で十分に配備されておりますし、また地域的に見ましてもそれぞれの地域に配備をする、地域的な偏りがないようにということでこれはやっております。
もう一つの方の天然痘でございますが、元々持ち合わせておりました250万人分あるわけでございますが、これだけでは十分とは言えません。現在、26歳ですか、以下の方がいわゆる種痘を受けていないわけでございまして、そういたしますと全体の1/3ないし1/4ぐらいの人口の人たちが受けていないということになるわけでございます。そうしますと、3,000万ないし4,000万、それぐらいじゃないかと思いますが、一か所で大量に必要になるのをどのぐらいに見るか、1,000万人なら1,000万人ぐらい対応を一か所でできるということになればいいのかどうかというようなことが一番考え方の中心ではないかというふうに思っております。
そうしたことを念頭に置きながら今体制を整えているところでございまして、テロ対策上どれだけということは言わないということだそうでございますけれども、しかしその辺を目途にしながら着々と準備を進めているということでございます。
- 浅尾 慶一郎
今の御答弁でちょっと一点だけ確認させていただきたいんですが、種痘を受けられた方はこれはずっと有効なのか、それとも、ある年限を過ぎるとそうでもない可能性もあるんではないかということもあったものですから、その点について政府としてどういうふうに判断されておられるかということを確認させていただきたいと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
やはり高齢になってまいりますと抗体がだんだん落ちてくるということは考えなければなりません。若いときに抗体ができておりましてもだんだんなくなってきている人もあるというふうに思いますから、そうしたことも念頭に置いておかなければならないかもしれません。私なども大分抗体が落ちてきているのではないか、こう思っておりますが。
- 浅尾 慶一郎
そういたしますと、3,000から4,000万という前提とおっしゃいましたけれども、そうでない方も含めて対策を練っていただきますように御要請させていただきたいと思います。
次に、今般の戦争が早急に終了すればそれは当然いいわけでございますが、長期化した場合の景気への悪影響というのは民間のシンクタンク等の調査を見ても様々出てきておりますが、雇用への影響というものが当然考えなくてはいけない問題ではないかなというふうに思っております。
そこで、大臣はこのイラク攻撃が我が国の雇用失業情勢に与える影響ということについては現段階でどのように考えておられますでしょうか。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
イラク攻撃によります日本経済への影響についてでございますけれども、おっしゃるように、短期決戦か長期戦か、こういうことで見方も違ってくるだろうというふうに思います。
仮に、短期で終了する、こういうことになれば一時的には原油等も上昇するかもしれませんけれども、米国を始めとする世界経済への影響等はそれほど大きくないんじゃないか、こういう見通しが一般的でございまして、日本経済、雇用への影響も限られたものになる、このように考えておりますけれども、また長期戦、こういうことになりますと、やはり原油価格が高騰したり、米国経済が減速するような場合には我が国経済を、雇用にも影響が及ぶんではないか、このように考えておるわけでございます。
いずれにいたしましても、我が国の雇用失業情勢等への影響につきましては今後の戦闘の展開によるものと考えておりまして、事態の推移を注視していくことが必要である、このように認識をいたしております。
- 浅尾 慶一郎
確かにおっしゃるとおりですが、もう既に、特に旅行業界などではかなり影響が出ているのではないかなと思いますので、少なくとも業況調査をするべきではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
イラクの情勢が今後我が国経済にどのような影響を与えるか、こういうことでございます。その中でも、特に旅行業ということでございますけれども、今後の展開であるとかそれから産油国の対応など、様々な要因が作用するものと考えることから、関係省庁と密接な連携を図りながら事態の推移を注視して各方面への影響を見極めていくことが必要であると認識しております。
そこで、海外旅行でございますけれども、新聞等を見ますとキャンセル等が出ておる状況でございまして、特にやはり中小業者等に対しましては注視していくことが必要であるかなと、このように認識をいたしております。ただ、海外の方が国内の方にシフトしておると、こういうような報道もあるわけでございます。
- 浅尾 慶一郎
いや、注視いたすのは当然ですが、今私が申し上げたのは業況調査を厚生労働省としてやられるおつもりがあるかどうかということなんですが、その点についてはいかがですか。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
直ちに調査すべきかどうかということは、これ私として直ちに御答弁は申し上げられませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
- 浅尾 慶一郎
政府としても、先ほど申し上げましたテロの話と併せまして、経済への影響を少なくするという、極力そういうものが出ないというふうにもおっしゃっておられるところですから、それほど手間の掛からないことであれば是非とも調査なりをしていただければと思います。
加えて、これ長期化するのかどうかというのは今の段階では予断ができませんが、その影響を出さないというような方針であるというふうに承っておりますので、少なくとも、必要があれば一般会計による追加的な雇用対策というものが必要になってくる側面も出てくるんではないかと思いますが、その点についての認識を大臣に伺いたいと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
今、政務官から御答弁申し上げたとおりでありまして、これからの推移、早く決着着くのかそれとも多少長引くのかということによりまして経済に与える影響も違うというふうに思っております。ただ、原油が上昇するとかそうしたことが今後更にあるのかどうかというふうなことも大きな要素の一つではないかというふうに考えております。
不確定要素が非常に多いわけでございますけれども、まず取りあえず平成14年度の補正予算、通過をさせていただいておりますから、それを、早急にそれで対応をする。そしてまた、十五年度予算が成立をさせていただきましたならば、それを前倒ししてでも対応するということがまず手順としては大事ではないかというふうに思っております。
それでもなおかつそれでは十分でないということになりましたときにどう考えるかということはあり得るというふうに思いますけれども、現在の段階におきましては、14年度の補正予算並びに15年度の予算を早期に対応するということにしたいというふうに思っております。
- 浅尾 慶一郎
是非ともその点よろしくお願い申し上げたいと思います。そこで、今度は大臣所信について承ってまいりたいと思いますが、その中では雇用重視型社会ということを大臣は言っておられます。特に時間当たりの労働生産性を高めるということで、私もこの点については大変賛同をいたすところでございまして、日本がイタリアの約2/3であると、生産性が。時間当たりの労働生産性にすると三分の二であるということは、何とかしてイタリア並みに1.5倍にしていければというふうに私自身も賛同をするんですが、残念ながら11月20日に行われました経済財政諮問会議でのやり取り、議事録を拝見いたしますと、竹中大臣の方は、「坂口大臣は」、議事録をそのまま読ましていただきますと、「坂口大臣は「雇用重視型社会」と言われたが、結局は、従来から問題になっている需給ミスマッチの解消だと思う。」というふうに竹中大臣の方は経済財政諮問会議の中では発言をされておるわけでございまして、これは質的に全く違うものなんではないかな、需給のミスマッチという側面は短期的な側面であって、大臣がおっしゃっているのはもう少し長期的な目標として時間当たりの労働生産性を高めていきたいということなんではないかなというふうに私は理解をしておるんですが、そういう観点からすると大臣の趣旨が同じ閣内の竹中大臣に伝わっていないんではないかなというふうに思いますが、その点についてはいかが思われますでしょうか。
- 坂口 力氏(国務大臣)
雇用重視型社会という考え方を示しまして、その中で労働生産性を高めるということが何よりも大事ということをかなりこの今お配りをいただきましたペーパーの前のこの会議のときに私は述べたつもりでございます。
その中で、一つは雇用、生産性を高めなければならないし、一方におきましては労働時間というものを守っていかなければならないと、その二つが成り立たないことにはやはり日本は駄目なんだということをかなり言ったつもりでございます。それは、一つは雇用問題でございますし、一つは少子高齢化の問題を取り上げまして、少子高齢化の立場からするならば、やはりその時間設定というものがちゃんとできていない国は駄目なんだということを申し上げて、一方におきましては労働生産性を上げなければならないんだ、そして、これから労働力人口がどんどん減っていきますので、その労働力人口とそしてこの労働生産性とを掛け合わせたものがGDPになるんですから、よほど頑張ってやらないことにはこれからGDP上がりませんねということを申し上げて、喚起を促したつもりでございます。で、ミスマッチの方で話、確かに出されて、それはちょっと次元の違う話だと私も思っております。
それで、もう少しここは私も時間を指して言わなきゃならないんだろうなというふうに思っておりますが、じゃ、労働生産性を上げるために何をどうしていけばいいのかという議論をもう少ししてもらわないといけないんじゃないかという気がいたします。そういう意味では、いわゆる日本の中の研究開発などももっと進めるようにするためには一体どうしたらいいのかといったようなことに議論が向いてこないと、いつまでたちましても労働生産性上がってこないという気がいたしまして、そうしたこともこれから強調していきたいというふうに思っている次第でございます。
- 浅尾 慶一郎
中長期的展望について私も正にそのとおりだと思っておりまして、是非、今、大臣が言われたことと短期的なミスマッチという側面とを閣内で、あるいはその経済財政諮問会議の中でうまく平仄が合うように話を進めていただければというふうに思っております。
そこで、雇用重視型社会というふうに今御答弁いただいたわけでありますが、これは中長期的な提言だというふうにおっしゃっておりますが、来年度の予算あるいは法律改正にこれを反映したものというのはございますでしょうか。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
雇用重視型社会の実現のためには、おっしゃられるように、中長期的な取組が必要であると、このように考えております。
そこで、お尋ねの平成15年度の予算や今国会に提出している法律案についてでございますけれども、一つは、学校等と連携をいたしまして、中高校生の職業体験機会の促進等、若年者の総合的な雇用・職業能力の開発対策の推進でございます。いわゆるインターンシップと言っております。
それから、二番目としまして、長期連続休暇の取得促進や多様就業者ワークシェアリングの導入に向けたモデル開発事業の実施、これを行うことにいたしております。
それから、働き方に応じました適正な労働条件を確保するための労働基準法の見直しや、多様で柔軟な働き方を可能とする職業安定法及び労働派遣法の見直しを提案することにいたしております。
それから四番目として、労働者のメンタルヘルス対策や過重労働による健康障害防止対策の推進など、安心して働ける環境作り、さらには将来にわたりまして雇用のセーフティーネットとしての安定的な運営を確保するための雇用保険制度の見直し等でございます。
それら各般の施策を盛り込んでおるところでございます。
- 浅尾 慶一郎
では、雇用重視型社会の具体的な中身、特に労働生産性の向上の観点から伺ってまいりたいというふうに思いますが。
私は、特に労働集約的な、今後、短期的には少なくとも、長期的にもそうだと思いますが、雇用が増えると言われておりますサービス産業でどうやって労働生産性を高めていくかというのが一番大きな課題ではないかなと、こういうふうに思っていますが、そこで、二つ今日ちょっとその例を挙げて、こういうものだとなかなか日本では難しいのかなと。そういうものでは、じゃどういう、そういう実例があるけれども、どのようにサービス産業の労働生産性を高めて海外にも対抗していくかという観点から伺ってまいりたいと思いますが。
一つは、最近テレビでも出ておりますが、骨なし魚、要するに魚の骨を全部取って加工していると。これは中国などで病院や老人ホーム向けに作られているというものでありますが、こうしたものの需要は多分日本の中でも相当あるんでしょうけれども、日本で骨を取っていくのができるかというと、これはなかなか難しいだろうなというふうに思うわけであります。
それからもう一つは、当委員会に直接関係あることでございまして、たまたま私の知り合いの歯科医師の先生から伺ったんですが、最近では、歯科の技工ですね、いわゆる入れ歯等々を作るときに、歯科医師の先生が直接インターネット等の発達もありまして海外に資料等をコンピューター等を使って送って、そして中国等で技工、加工された歯を作ってまた日本に送ってくるというケースもあると。そうすると、国内でやる分には、これは国内の技工所が直接海外に頼むと法律違反、技工士法上の対応、問題になるということで承っておりますが、歯科医師の先生がやられる場合にはこれは対象外であるといったような部分も報告を受けておりまして、骨なし魚と全く次元の違う話でありますけれども。
様々、ある種労働集約的な部分、あるいは歯科技工士というような様々な技術の必要な部分においても、そういったもの、側面においても海外との競争、サービス産業においても競争が行われていると。そういう中でどうやって労働生産性を高めていかれようとしておるのか、その点についてお伺いをさせていただければと思います。
- 鴨下 一郎氏(副大臣)
今、先生がおっしゃっていたような高付加価値の商品をどういうふうに作っていくかということが国際競争力の上で不可欠だという、こういう問題意識は正に先生と共有しているところでありまして、特にサービス産業等はこれから更に比重が高くなっていくわけでありますから、そういう中における労働生産性を高めていく、こういうようなことは国の施策の中でも最重点課題の一つになるんだろうというふうに思います。
そういう意味におきまして、厚生労働省の中でも、例えば、サービス経済化が極めて我々よりも先んじて行っている例えば欧米諸国の経験をできるだけ参考にしつつ、更に規制改革を含めた民間の知恵もかりながら構造改革を進めていくと、こういうようなことでありまして、一つは、高付加価値的なサービス提供を行うために必要な教育訓練コースの開発や試行的な実施を行いまして、その成果を民間へ普及していくと、こういうようなこととか、それからさらに、それぞれの労働者がスキルアップしていっていただかないといけないわけでありまして、そういう意味でのキャリア形成促進助成金や教育訓練給付制度による能力開発の支援を行っていく。それから、もう一つの観点としましては、多様就業型のワークシェアリングを普及しまして、いろんな働き方があるわけでありまして、従来型の働き方だけではなく、サービス産業においてはある意味で在宅で働く方もいらっしゃるかも分からないし、短期的な働き方もあるかも分かりません。こういうようなことを含めた様々な多様な働き方の環境整備をしていこうと、こういうようなことで進めてまいりたいというふうに思っております。
- 浅尾 慶一郎
今の御答弁を伺っておりまして、是非推進していただきたい側面がかなり多いんですが、その中で他省庁所管の産業政策とも密接に絡み合っている部分というのもある、相当あるんではないかなと。そうなってきますと、これは密接に絡み合っているからやるなということではなくて、厚生労働省的な観点からどういったことを訴えていかれるのか、特に教育訓練ということなのかなと思いますが、そのことと併せて、どのような場で世論や他省庁にそのことを訴えていかれるのか、併せて御答弁いただければと思います。
- 鴨下 一郎氏(副大臣)
先生、今おっしゃったように、他省庁の産業政策というのは、例えば労働生産性を向上するために新規産業を起こしていくと、こういうようなことで、一つはライフサイエンスやIT技術を利用したような科学技術による新規産業の創出だとか、それからもう一つは、不良債権処理を加速して、金融を再生してシステム開発を進めるというようなこういうような趣旨だとか、我が国の市場が世界的に開かれたものになるような物流拠点をどういうふうに整備して、その物流に対する高コスト構造をどういうふうに是正していくか、こういうような趣旨は他省庁が中心にやっていただかなければいけないわけでありますが。
先生御指摘のように、厚生労働省としてやらなければいけないのは、それに加えまして、そこで働く方々の言わばキャリアアップといいますか、高付加価値のサービスを担えるような人材をどう育てていくか、こういうようなことに集約されるんだろうというふうに思っておりまして、それに関してはあらゆる面から、例えば国民の皆さんにも訴えないといけないし、好事例があればそういう好事例を御紹介しなければいけませんし、さらに先ほど申し上げましたような各種助成金等を使って企業にインセンティブを与えていくと、こういうようなことでやってまいりたいと、こういうふうに思っております。
- 浅尾 慶一郎
是非、人材育成ということがこれからの21世紀においても重要なキーワードになってまいりますので、この点について積極的に取り組んでいただければと思います。
そこで、雇用重視型社会では、大臣の所信にもあったと思いますが、労働時間の短縮というものが重要課題ではないかなと思います。労働時間の短縮といったときに、名目上の労働時間と実質的ないわゆるサービス残業を含めた労働時間というものが両方あるんだと思いますが、一つはサービス残業、残業手当が付かない残業の是正あるいは撲滅というものが急務ではないかなというふうに思いますが。
私の地元の神奈川でも、電話相談を実施いたしましたところ、毎日の帰宅が11時とか12時だけれども、残業手当は一切付かないとか、あるいは月百時間の残業をしているにもかかわらず16時間分しか手当が一律出ないといったような深刻な状況を訴える電話相談があったというふうに聞いております。
こういったことについて、大臣はサービス残業の撲滅にどのように取り組んでおられるか、お伺いしてまいりたいと思います。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
いわゆるサービス残業でございますけれども、これは労働基準法に違反すると、釈迦に説法でございますが、あってはならないものでございます。
これを解消することは重要な課題であるわけでございますが、そのためには、使用者に適正な労働時間管理を図らせるために、平成13年4月に労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準、こういうものを策定をいたしまして、その周知徹底を図っておるところでございます。
また、平成13年4月から14年の9月まででございます、1年半でございますか、この間に監督指導によるサービス残業の是正結果を取りまとめまして公表を行い、サービス残業の解消に向けた厚生労働省としての姿勢をお示しをしたところでございます。
今後とも、引き続き的確な監督指導を実施することにより、サービス残業の解消に努めてまいりたい、このように考えております。
- 浅尾 慶一郎
サービス残業の撲滅については、具体的な対策としては、労働基準監督署の監督官が積極的に企業を訪問して点検をしていただくのが一番だと思いますが、具体的に監督官は全国で何人いらっしゃいますか。それで、年間の監督実績は何件でしょうか。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
平成14年度の労働基準監督署における監督官の定員でございますけれども、2,763人でございます。これはまず、正に第一線の監督署ということでございます。それから、13年度の監督の実施事業数でございますけれども、17万3,691件、このようになっております。
- 浅尾 慶一郎
そういたしますと、監督官一人当たり年間で大体63件、週にしますと1回か、多くて2回ですね、程度の監督ということになってくると思いますが、もう少しその監督に回る件数を上げられないものでしょうか。仮にもし上げることが難しいとすると企業に啓発活動をするということになると思いますが、具体的にどんなことをやっているのか、併せてお答えいただけますでしょうか。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
労働基準監督署において事業場で行う監督指導というものはそれだけ、サービス残業だけではございません。解雇の問題であるとかまた賃金の不払等にかかわる申告・相談が増加をしておるわけでございまして、これらにも的確に対応していかなければならぬわけでございます。
また、監督に行きまして、問題のある事業場に対しましては具体的な改善指導を行い、その改善状況について時間を掛けて改善の確認を行っておるところでございます。さらに、重大かつ悪質な事案につきましては司法処分も含めた厳正な対処を図っておるところでございます。
厚生労働省といたしましては、今後とも、直面する諸課題の迅速、的確な処理に努めるなど、国民の期待にこたえるべく最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
- 坂口 力氏(国務大臣)
大事なところでございますから一言だけ私も発言をさせていただいておきたいというふうに思いますが、雇用重視型社会というふうに言っておりますけれども、現実の問題といたしましては、非常に国際化の中で企業がリストラ等を行い、残った人が長時間労働をするという形になってきておりまして、必ずしも良好な方向に向かっているとは思っておりません。むしろ逆の方向に向かう可能性があるということを心配をいたしているわけでございます。
先ほどからお話をいただきましたとおり、限られた人数でやっているものでございますから、この人数で日本国じゅうの企業を全部当たっていくということは、これはもう到底不可能な話でございますので、企業に対する啓発ということをやはりもっともっと取り組んでいかなきゃならないんだろうというふうに思います。中には、このサービス残業が違法だということが分からない経営者も中にはあるわけでございますので、いやこれは違法なんだと、やはりサービス残業はやらしてはならないんだということをもっともっとやはり積極的に進めていかなければならないんではないかというふうに思っている次第でございます。
そうしたことと、そうした予防策と申しますか、起こさないためにどうするかということと併せて、そして、それでもなおかつ起こっておりますところに対しましてはそれを取り上げていく、そして罰すべきものは罰していくということでないといけないだろうというふうに思っております。
- 浅尾 慶一郎
是非そういう方向で取り組んでいただければと思いますが、特に労働生産性、我が国は、先ほど冒頭申し上げましたように、イタリアと比較して大体2/3であるということですが、サービス残業も含めて考えると実はもっと低い可能性もあるんではないかと。
ですから、その労働生産性を高めるという企業の中での啓発をして、結果としてサービス残業にならないということももちろん必要だと思いますし、そして今おっしゃいましたようにこれは違法であると。これからの私は日本の社会というのは、規制を掛けてやっていくというよりかは、あるルールを事後的にその審判である当局がしっかりと守らせる社会に変えていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう観点からいいますと、正にこの労働基準監督署の監督官などはルールを守らせる役目、アンパイアの役目ではないかなと思っていますので、定員の規制等々いろいろ厳しい状況あると思いますが、そうした観点においては、ここは増やすべきところは増やしていくことも必要なんではないかなと、こういうふうに思っておりますので、そういう側面からも是非大臣に頑張っていただければと思います。もし何か御発言があれば。
- 坂口 力氏(国務大臣)
雇用重視型というのはなかなか、口では言うんですけれども、非常に難しい話でございます。
サービス、サービスじゃありません、サービス業ですね、サービス業を更に拡大をし、そしてその生産性を上げていくということ、これは大変大事なことでございますが、私はそのサービス業の中でも諸外国にかなうものとかなわないものとがあると。私は、分かりやすい言葉で箱に入れて送ることのできるようなものは負けると、こう言っているわけでございまして、サービス業はだから箱に入れて送れないようなものをちょっとやらなきゃいけないと。それはやはり二次産業と三次産業をどう連結させるかというところにあるんだろう、そこに雇用も生まれるんだろうというふうに思っています。
例えば、自動車ならば自動車を売りますときに、その中の色をどういう色にするとか、あるいはまたどういういすにするとか、あるいはまたバックミラーをどんな形にするとか、それぞれ皆希望があるわけでありまして、そうしたそれぞれの個人が要求します希望を聞いて、そしてそれに合った自動車を売るということになれば、製造業プラスそこにサービス業が出てくるわけでありまして、それはまたそうすることによってその人だけしか乗っていない車、自分だけしか乗っていない車ということでありますから少々高くても買うんじゃないかというふうに思っておりまして、そうしたことを考えていくこと以外に私は日本のこの中でサービス業というものを伸ばしていくということはなかなか難しいように思っておりまして、経営者の皆さん方にお会いをするごとにそのことを申し上げているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
本日は、実は自閉症協会の方も少し傍聴に来ていただいておりますので、残りの時間で厚生労働省として自閉症の方あるいは知的障害を持っておられる方に対する雇用対策について伺ってまいりたいと思います。
まず、大臣は自閉症の方の雇用問題についてどのように認識をされておられますでしょうか。
- 坂口 力氏(国務大臣)
自閉症の皆さんあるいは知的障害者の皆さん方の雇用につきまして、現実問題といたしましては非常に心を痛めているわけでございます。自閉症の皆さん方はもうそれぞれ状態も違うわけでございますので一概になかなか言えないわけでございますが、自閉症のお子さんやそれから、お子さんといいますか、自閉症の方やそれから知的障害者の方をより積極的にやはり雇用しようという方も最近は出てきていただいておりますことを大変心強く思っております。
そうした皆さん方は、やはり企業というのは、ただ単に物を生産するだけではなくて、社会的貢献というものがやはりプラスされた企業でなければならない。自閉症の皆さんやあるいは知的障害者の皆さん方、あるいはまた身体障害者の皆さんもそうでございますが、そうした方々の個々の能力をどう伸ばしていくかということが大変大事な時代に来ているということを言われている方がございまして、私は大変敬意を表しているわけでございますが、やはり企業経営の中にそうした思いで障害者の皆さん方を始めとする方々の雇用というものを積極的に考えていただく方が一人でも多く出てくることが大事だというふうに思います。
厚生労働省といたしましても、そういう皆さん方が少しでもやりやすくしていくためにはどうしたらいいかといったようなことも実は考えております。幸いにいたしまして厚生省と労働省が合併したわけでございますから、今まで別々にやっておりましたことを一つにまとめて、そして皆さん方と雇用とをどのように連結をしていくかということに、今様々なことに取り組みつつあるところでございますが、決してまだ十分と言えるところまでは至っておりません。また、現在こういう経済状況でございますので、障害者の皆さん方の失業ということも一般の方々以上に大きな問題になってきていることも承知をいたしております。
したがいまして、この雇用を、これはもう障害者全般についてでございますけれども、雇用を十分にしていただいていない企業というのがあるわけでございまして、そういったときにはその名前を公表するといったところまでやはり行わないといけないというので、その辺のところまで現在来ているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
具体的に伺ってまいりたいと思いますが、その前に、今おっしゃっていただいた中で、厚生行政としてやってこられた部分と労働行政としてやってこられた部分を一つにまとめるということは多分大きな要請があると思いますので、是非早急に進めていただければと思います。
それからまた、雇用の進んでいない企業の名前の公表ということもおっしゃっていただきましたが、併せまして積極的に進めておられる企業を推奨するという観点から、そうした部分も公表していただければというふうに思います。
そこで、具体的な質問をさせていただきたいと思いますが、ハローワークでは自閉症の方に対してどのような対策を講じていらっしゃいますでしょうか。これは知的障害として認定を受けた人と、そしてそうでない人と分けてお答えいただければと思います。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
ハローワークにおきましては、障害者の方の職業相談を専門に行う窓口を設置をいたしまして、知的障害者専門の職業相談を、相談員を置きまして、きめ細かな相談を行っておるところでございます。また、事業主の方に対しまして、障害者の方の就職後の職場定着指導も行っておると、こういう状況でございます。さらに、障害者の方の個々の状況に応じまして、トライアル雇用や職場適応援助者を活用しながら自閉症や知的障害者の方々の就職の促進を図っております。
これらの施策を効果的に活用することによりまして、今後とも障害者の雇用促進を図ってまいりたいと、このように考えておるわけでございますが、あと、他の障害者も知的障害者と同じような形でいろいろと施策を行っておると、こういうことでございます。
- 坂口 力氏(国務大臣)
今、森田政務官が述べたとおりでございますが、その中の一点を少し強調して言わせていただければ、ジョブコーチの話がございました。私は、自閉症等の場合には、やっぱりジョブコーチがしっかりとして、そして対応をしていくということがとりわけスタートのときには大事ではないかというふうに思います。
ただ、その企業における経営者と、そしてそこに働く人たちとの間の仕事の割り振り、あるいはこうしてほしい、ああしてほしいというようなことだけではやっぱりうまく進みにくい。やはり、自閉症の皆さん方の心の中をやはりよく察して、そしてそのことが、仕事が円滑に進むようにどのようにしていったらいいかということの、少しその辺の、心の中を翻訳すると申しますか、心の中の状況を十分に経営者に伝える、また経営者の言っていることを十分にまた働く人たちに伝えるということが大変大事でありまして、その辺のところがやはりこれからの雇用にとりましては非常に重要になってくるというふうに私は感じております。
- 浅尾 慶一郎
今、大臣御答弁いただきましたジョブコーチは是非推進していただきたいと思いますが、先ほどの質問でちょっと伺いたかったのは、それを推進するに当たっても、自閉症という症状を持っておられる方でも知的障害として認定を受けておられる方は窓口でそれは把握ができる。しかし、そうでない場合についてはハローワークではなかなか、具体的な対策として今のところ統計立ててはなかなか対策が取れていないというふうな認識を持っておりますが、その点について、現状はどうなっておるのか。あるいはそれを、先ほど厚生行政、労働行政一緒にするという観点からどのように変えていく可能性があるのか、その点について、ジョブコーチを進める上でもどういうふうに考えておられるか、御答弁いただければと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
これは、御指摘いただきますように、なかなかそこの統計を取るところまで至っておりません。
自閉症の皆さん方の中にも、一層この治療といいますか、治療というよりもケアと言った方がいいのかもしれませんし、やはりふだんから手を差し伸べる何らかの措置が必要な方もおみえでございますし、それからもうその必要性のない方もおみえだろうというふうに思います。また、知的障害というふうに認定されている人も中にはおみえだろうというふうに思いますが、決してそうではない方もおみえでございます。
そうした皆さん方の場合に、初期の段階におきましては、もちろんお仕事をしていただくということも大事でございますが、あわせて、社会に適応していくためにどのような手の差し伸べ方があるのか。それは、ジョブコーチという範囲を少し超えて、治療と言うと少し言い過ぎになるかもしれませんが、もう少しケアをするというやはり立場も加えたことが必要になってくるのではないかというふうに思います。
その辺のことがこれからスムーズにいけるようにするためには、そうした立場の人たちというものをどう養成をしていくかということも大事な問題になりますし、また全国のそうした皆さん方におこたえをしていくためにどういう体制を作り上げていくのかということも真剣に考えていかなければならないというふうに思います。
- 浅尾 慶一郎
人に優しい雇用重視型社会を作っていくという観点から考えましても、今申し上げましたように、自閉症の方といっても様々な方がいられるわけで、そのうちの一部の方は知的障害ということで認定を受けておられまして、そういう方は障害者雇用率制度の下で、大臣が先ほど御答弁いただきました法定雇用率の中でカウントされると。しかし、そうでない方は当然その認定を受けていないから障害者ということではないんで法定雇用率にカウントされないということであります。どちらがどうかということはなかなか分かりづらいんでしょうけれども、今のような経済状況、雇用情勢を考えますと、自閉症を持っておられて、自閉症であって、そして障害者という認定をされていない方の雇用もなかなか難しいのかなと。
ですから、そういう中でジョブコーチということは幅広く自閉症の方に役立つと思いますが、しかしそれに加えて先ほど申し上げましたような企業の啓蒙活動も是非進めていただければと、このように御要望させていただきたいと思います。
時間の関係で恐らく最後の質問になろうかと思いますが、その中で、少なくともハローワークの職員においても、障害者に対してのきめ細かい対応ができるように、ハローワークの職員の研修ということもやっていくことが必要ではないかなと、こういうふうに思います。
現状を伺いましたら、知的障害者相談窓口ハンドブック職員用というものが厚生労働省の、これは旧の労働省職業安定局が作られたものだと思いますが、こうしたものを渡しておられるということですが、ただ単にその窓口職員に渡すということではなくて、障害者といっても、大臣御存じのように、様々な、個々の方が持っておられる様々な態様があるわけですから、その窓口の方についても十分な理解が足りないと、せっかくの窓口であっても相談に来られた方に十分説明ができないというような事例も見られると思います。
例えば、分かりやすく説明をしなければいけないときに分かりやすく説明し切れていないといったような事例も聞きますものですから、そうした観点から、まずは灯台の下から是非とも自閉症や知的障害者あるいは身体障害者の方との接し方について周知徹底をしていただきたいと思いますが、その点について御答弁をいただければと思います。
- 森田 次夫氏(大臣政務官)
御指摘のとおりでございまして、障害者の職業紹介に当たりましては、障害種別、程度ごとにきめ細かい対応が必要であると、このように認識をいたしております。
このため、ハローワークの担当職員に対しましては、障害者の職業紹介のための、ただいまお話ございましたハンドブックを配布するほか、毎年、厚生労働省の研修所におきまして障害者雇用専門研修を実施をいたし、それから障害者の職業問題、障害者の雇用管理等について研修を行っているところでございます。
また、より専門性の高い知識につきましては、地域障害者職業センターと連携を図りながら習得を図る、このようにいたしておるわけでございます。
さらには、ハローワークにおきましては、このため、すべてのハローワーク職員が受ける基本研修に障害者向けの職業紹介業務についてのメニューを盛り込んでいるところでございまして、これにより知的障害者の方に対する理解の徹底を図っているところでございますが、今後一層の徹底を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。