厚生労働委員会 会議録
平成15年04月17日
金田 勝年氏(委員長)

ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。

駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長戸苅利和君外7名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。御異議ないと認め、さよう決定いたします。

金田 勝年氏(委員長)

次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります質疑のある方は順次御発言を願います。

浅尾 慶一郎

時間が限られていますので、的確にお答えいただきたいと思います。本法律の改正については基本的に賛成でありますが、しかし、現状、駐留軍関係労働者に対して我が国の労働法の適用がなされていないという重大な事案がありますものですから、それについて伺っていきたいと思います。

まず最初に、駐留軍関係労働者の雇用主として防衛施設庁長官にお伺いいたしますが、駐留軍関係労働者の労災保険、雇用保険の保険料は施設庁が払っていますか。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

お答えいたします。駐留軍等労働者に対する労災保険それから雇用保険の保険料の事業主負担分につきましては、当庁において予算要求し、措置しているところであります。

浅尾 慶一郎

労災保険あるいは雇用保険の保険料を払っているということは当然のことですけれども、長官は駐留軍関係労働者に労働基準法が適用になっているという認識をお持ちのことだと思います。

そこで、労働基準法の適用状況についてお伺いいたしてまいりますが、労働基準法におきましては、その36条に時間外労働や休日労働についてはいわゆる36協定を労働組合と締結しなければならないというふうにされております。それについて、またその中で、変形労働時間制を採用する場合には、その労働基準法の32条等によって変形労働時間協定を締結しなければならないと法で定められております。

駐留軍関係労働者について、まず端的に、36協定を結んでおられるかどうか、伺います。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

結べておりません。その状況を若干御説明させていただきたいと思います。御案内のように、駐留軍従業員につきましては、米側から採用要求が来まして、それを受けまして私どもが職業安定所等を介して名簿を提出する、米側が採用する、それの通知を受けまして私どもが雇用契約を結ぶという形態になっておりまして、極めて特殊な形態になっております。

もちろん、先生おっしゃるとおり、労働法は地位協定上当然適用されるべきものでありますけれども、基地従業員の方々は米軍の指揮命令の下で基地業務を行っているという特殊性を持っていまして、そうしますとどうしても、実際使用しているのは米軍ということでございますので、私どもも米側の意向はある程度尊重しなきゃいけない、しかしながら基地従業員の方々の労働条件というものはやはりきちんと確保しなきゃいけないということで、米側と話し合って労務基本契約という形で対処しているということでございます。

浅尾 慶一郎

今、施設庁長官がおっしゃったのは、結んでいないと。結んでいないその後については、言葉は悪いですけれども、ある程度言い訳という形に聞こえます。

なぜならば、これは後から質問いたしますが、労働基準法は、これは結ぶか結ばないかというのは形式要件でありまして、結んでいないというようなことに対しては、これは刑罰規定も適用されるということでありますので、そのことを付け加えさせていただきます。

なお、念のために申し上げさせていただきますと、日本の、日本国におきます例えば外国の大使館に勤務される労働者に対しても労働基準法は適用されるということでありますので、駐留軍だけが結ばなくていいということにはならないというふうに思います。

引き続き端的に伺ってまいりますが、36協定を結んでいないということですけれども、当然、時間外労働やあるいは休日労働、変形労働時間制はあると認識しておりますが、そういう理解でよろしいですか。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

そのとおりでございます。

浅尾 慶一郎

では、労働基準法はその89条において、10名以上雇用する場合には就業規則を作らなければいけない、これも定めておりますが、就業規則は、現在有効な就業規則はありますか。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

先生御案内のとおり、39年に結んでおります。ただ、不備の点があるということは事実でございますけれども、有効であると考えております。

浅尾 慶一郎

不備の点があるけれども有効ということは、その39年に結ばれた就業規則に従って労働していれば十分なのか、それとも、労働者の権利がそれでは保護されないのかということで大分違ってくると思います。したがって、それが有効だということには多分ならないんじゃないかなというふうに思います。

別の観点からまた労働基準法に従って伺ってまいりますが、いわゆる駐留軍労働者の契約上の所定労働時間は週何時間ですか。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

警備関係などの業務、一部を除きまして40時間から44時間ということでございまして、逐次これを40時間に近付けるように米側と鋭意折衝しているところであります。

浅尾 慶一郎

現在、労働基準法におきましては週の所定労働時間は40時間と定められておりまして、契約で40時間を超えるというのは、労働基準法の定める基準を時間数では超えるわけですけれども、基準を下回るということになると思いますが、基準を下回る契約上の労働条件はほかに何かありますか。労働基準法を下回る契約上の労働条件。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

若干補足させていただきます。上回っている部分も一部ございますけれども、90%は所定の40時間以内ということで米側との交渉結果も終わっています。

それから、適用はないといいましょうか、適用状態が達成されていないというものは臨時従業員に対する有給休暇の付与、それから妊産婦の時間外勤務の問題、これにつきましても鋭意米側と折衝して、法の適用、そのまま行われるよう交渉しているところでございます。

浅尾 慶一郎

つまり、現段階で労働基準法が定めている基準に従っていないところが幾つもほかにもあるということであります。36協定が事実上昭和39年に定められて、その後変更されていない就業規則ということはないというふうに考えられると思いますが、就業規則がない、あるいは所定労働時間が四十時間を超えている契約が結ばれているということは、こういう状態は完全に労働基準法に反するというふうに思いますが、労働基準法を所管される厚生労働大臣、坂口大臣に、そういう反するという理解で正しいと思いますが、そういう理解でよろしいですか。

坂口 力氏(国務大臣)

結論を先に言えば、この労働基準法が適用されているわけであります。この地位協定の第12条第5項におきましては、「合意をする場合を除く」というふうに書いてありまして、それ以外のものは日本国の法令で定めるところに従うと、こういうことになっておりますから特別に定められておりませんしいたしますので、これは労働基準法が適用されているというふうに思っております。

されております以上、就業規則の作成、それから届出義務というのもこれもございますし、使用者は36協定の締結、届出義務があるものというふうに考えているわけでございます。

今、長官からお話しございましたとおり、非常に特異なケースであることは私たちも十分に存じておりまして、そこをどういうふうにしていくかということにつきましてはよくお話合いをしていきたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

ですから、今、大臣が言われましたように、労働基準法が適用される職場であり、労働基準法が定める様々な協定が結ばれていないというのは、大臣としても労働基準法に反しているという側面で認められたということだと思います。

特異な職場であるということでありますけれども、特異な職場であるとするならば、だから法律違反をしてもいいということには私は当然のことですけれどもならないというふうに理解をしておりまして、その解決策としては、特異な職場のための特別措置をする法律を作って、これから以降のものについてはカバーするという案がありますが、しかし、御案内のとおり、法律は不遡及ですから、新法を作ったとしても今までの部分についてはカバーをされないということですから、早急にこれは対処をしていただくしかないと思います。

念のために伺いますが、駐留軍の労働者大体2万5,000人いらっしゃいますが、2万5,000人もの労働者を抱える組織、企業がほとんど労働基準法を守っていなかったという事例はありますか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

労働基準法は、企業の規模にかかわらず、すべての企業に適用されると、こういうのが原則でありまして、したがって大企業そして企業の規模に応じてどうこうということではありませんので、すべての企業が労働基準法を遵守する義務がある、実際にはそういうようなことだというふうに理解しております。

浅尾 慶一郎

それで、先ほどお話しされて、例えば労働基準法の基準を下回る労働条件については労働基準法においてはこれは無効と定められております。ですから、例えば週44時間ということであるとすると、40時間までは有効だけれども、40時間を超える部分についてはこれは無効というふうになると。そのほかの例えば妊産婦に対する対応とか無効の部分があるわけでありますが、その無効の部分についてはどのように措置をするつもりか、金銭的な手当等も含めて施設庁長官に伺いたいと思います。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

率直に申し上げまして、こういった部分だけは無効なのか、全体が無効になるのか、有効なのか、今この段階ではしかとは申し上げられませんけれども、オーバー分についてはきちんと賃金を払っております。

浅尾 慶一郎

どういった部分が無効かというのは、今申し上げましたように、労働基準法の基準を下回る契約については無効だと法律に書いてあるわけですから、これはもうちゃんと質問通告しているんで、その程度は是非読んでおいていただきたいと思います。

基準法によって求められる協定とか就業規則というのは、法律にあるように、これは労働者の意見も聴いて作るということになっておりますが、これは、今、大臣が言われましたように、労働基準法が適用されると。そして、今は基準法にしたがって違反しているという状態であります。

違反していると、これは労働基準法の例えば36条、36協定なしに時間外労働とか、時間外というのは今申し上げましたように40時間を超える部分の労働ですね、休日労働をさせた場合には、労働基準法の32条違反で、「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と書いてあるわけですけれども、そういう刑罰規定もある強制法規でありますけれども、基準法によって求められる協定や就業規則を作っていくという決意があるかどうか、施設庁長官に伺いたいと思います。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

先ほどから累次申し上げておりますけれども、米側と鋭意全力を挙げて交渉してまいりたいと思っております。

浅尾 慶一郎

米側と交渉されるということと日本の法律に違反するということは別の次元の話だというふうに思いますし、今、大臣が言われましたように、法律自体には罰則規定もあるということだと思いますが、その点についてどういうふうに施設庁長官は考えられますか。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

先ほど申し上げましたように、この基地従業員の皆様方のステータスというのは極めて特殊な使用形態となっているということでございまして、そういうことも考えながら、結局は米側に納得してもらうという方法しかございませんので、したがいまして、粘り強く交渉してまいりたいと申し上げた次第であります。

浅尾 慶一郎

アメリカ、特殊な就労形態であるから法律を無視していいということにはならない。もし本当にそうであれば法律を変えなければいけないということだと思うんですね。それをやってこられていなかったわけですから、それは行政の怠慢ということになるわけでありますので、先ほど大臣が言われましたように、労働基準法は適用されるわけですから、これは適用するようにきちっとやっていけばいいだけの話だと思います。

米側云々という話を再三再四おっしゃいますが、冒頭私が申し上げましたように、アメリカも含めて雇用主が外国の大使館である場合でも労働基準法は適用されると。したがって、日本の法律は当然のごとく適用していくというのが当たり前のことだというふうに思っております。

そこで、厚生労働大臣に伺いますけれども、これは日本の法律を適用するようにきちっと防衛施設庁を指導するなり厚生労働省としても適切な措置を講じてほしいというふうに思うわけであります。つまり、法律違反、現に法律違反という状況をいつまでも放置しておくというわけにはいかない。ですから、それは法治国家という観点に立ちますと、法律がいけないということは、当然政府の人間として、自分は特殊事情だから法律の適用はなくていいんだという姿勢は私はこれは間違っているというふうに思いますが、厚生労働大臣に、是非労働基準法に基づいて防衛施設庁を指導していただくように思いますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。

坂口 力氏(国務大臣)

防衛施設庁とよくお話合いをさせていただきたいというふうに思っております。ただ、施設庁と私たちの話合いだけで済む問題ではなくて、やはり米国側を説得しなきゃいけないわけでございますから、大変難しい問題も含まれているというふうに思っておりますけれども、しかし、よく相談をし、そして前進できるようにしたいと思っております。

浅尾 慶一郎

仮に前進ができない場合は法律違反という状況が続くということになりますが、その点について大臣はどういうふうに認識されていますか。

坂口 力氏(国務大臣)

前進できるように努力したいと思っております。

浅尾 慶一郎

時間が参りましたので、次回以降も、これ法律違反というのは、しかも刑罰法規伴う法律ですから、特殊事情があるからいいということにはならないということで、今、前進できるようにするという大臣の言葉を私は信じていきたいと思いますので、また引き続き、前進ができるか、できたかどうか、確認をしてまいりたいと思います。終わります。



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