厚生労働委員会 会議録
平成15年04月22日
金田 勝年氏(委員長)

ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。雇用保険法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長戸苅利和君外七名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

御異議ないと認め、さよう決定いたします。次に、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。

浅尾 慶一郎

雇用保険法の質疑に入る前に、去る18日に木村副大臣が厚生労働省の中の臨床研修制度に関する懇談会のあいさつの中で、司法制度改革で医療をネタに稼ぐおかしな弁護士が増える、こうした問題に対応するためにも研修は重要というふうに述べられたというふうに報道がなされております。その発言の経緯についてまず伺いたいと思います。

木村 義雄氏(副大臣)

浅尾委員の御質問にお答え申し上げます。

まず、私が発言したことの意味を申し上げたいと思うわけでございますが。そもそも医療は患者と医師との信頼関係を基本に行われるべきものでございます。このような観点から、医師の臨床研修を必修化し、患者を全人的に理解することができる医師の育成を図ることが大変必要なことと考えているところでございます。

一方、昨今のアメリカにおきましては、医療をめぐる訴訟が大変多くなってきております。医療現場も萎縮して防衛的になっておりますとともに、これらのことが検査や医賠責保険料の増大に結び付き医療費が増嵩する理由の一つになっている、こういう問題が言われているわけでございます。我が国において、先ほど申しました観点に立った新たな臨床研修を進めることでこのような問題点を防ぐことができるのではないかと考えているところでございます。

去る4月18日に開催されました臨床研修制度と地域医療に関する懇談会における発言は、今述べたようなアメリカの医療に関連して伝えられていることを引用しながら臨床研修の重要性を述べたものでございます。新しい臨床研修は、医師個人の技術の向上ということを超えまして、患者と医師との望ましい信頼関係を構築することの重要性を身に付ける場であると考えているところでございます。両者の関係が、両者の信頼関係がより深めることができれば、訴訟の頻発というものをいささかでも防ぐことができるんではないかと考えているわけでございます。もし不幸にも、不幸にも医療事故が起こり、訴訟を提起されている患者、家族の方々の置かれました状況や心情について十分理解をしているからこそ、このようなことをより一層理解をできる医師を育てるこの臨床研修の重要性について発言したものでございます。また、現在の我が国の司法状況につき問題があるという発言をしているものではございません。

以上のことから、こうした発言の真意について御理解をいただきたい。よろしくお願いを申し上げる次第であります。

浅尾 慶一郎

臨床研修で患者さんとお医者さんとの間で信頼関係を築く、あるいは具体的な医療ではなくて人間的な側面あるいは人間的な交流を増していくということについて私は反対するものではありません。しかし、そのことと司法制度改革あるいはアメリカの例をとらえて、じゃ、臨床研修でしっかりとした信頼関係があれば訴訟がなくなるというふうにも取れるんですが、そういう意味で、要は信頼関係を築くということで、訴訟が起きやすいということとの因果関係というか、関係が今の御答弁だとよく分からないんですが、もう一度お話しいただけますでしょうか。

木村 義雄氏(副大臣)

医療というのは、何というんですか、特に医師の方々は非常に、何というんですか、ある意味で普通の方々がやったらそれは刑法に問われることなんですね。例えば、手術というとメスを使って体を切り開くわけでございます。医師はそのために刑法の除外規定としてそういうことが許されているわけです。そして、病気というものも、これは完全に治るものもあれば治らないものもあるわけであります。ですから、医者に掛かれば病気は全部治してくれると。ところが、今申し上げましたように、治らない病気もある。

その辺をやっぱり医師と患者の方々が、両者が本当に信頼関係を持って、お互い説明し合いながら進めていかないと、手術をして成功しない場合ももちろんあるわけでございますし、病気が思うようにならない場合もある。そこは病気としてやはりそういう元々の性格を持ったものでございますから、そこは相当信頼関係というものをこれから築いていっていただかないと、せっかくこの先生にお願いしたのに病気治らなかったと。治らなかったらすぐにまた何か別のアクションを起こすということでは、これはやはりとてもとても、あのアメリカのような防衛医療や萎縮医療につながってしまうと、結局それは大勢の患者さんにとっては決して幸せなことじゃないわけでございまして、やはりそこの、今のやはり医療のそういう置かれた特殊性というものを十分理解をお互いにしていかなきゃいけない、そういうことが大変重要なことでないかと、このように思っている次第ではあります。

浅尾 慶一郎

つまり、今のお話ですと、例えて言うならば、臨床研修と若干違うのかもしれませんが、インフォームド・コンセントをしっかりしておけば、結果が望むようにならなかったとしても、それは事前に患者さんにも伝えてあることであるから、したがって医療過誤ということで訴訟にならないというような御発言ではないかなというふうに私は理解をいたしました。

そうだとすると、前提として、そのことと医療をネタに稼ぐおかしな弁護士が増えるということとの関係というのは余りないんではないかなと思いますので、そこについては発言を訂正されたらいいんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

木村 義雄氏(副大臣)

先ほど申しましたように、昨今のアメリカにおいては非常に医療訴訟というのが頻繁をしている、そしてそのことによって医療費が増嵩しているという、そういう話を私はよくアメリカに行ってきた方々とか医療関係者の方々から聞くものでございますから、そういう話を例え話として引用さしていただいたような次第でございます。

浅尾 慶一郎

アメリカで訴訟が多いというのは、件数としては事実かもしれません。しかし、御案内のとおり、アメリカの医師の恐らく臨床研修の時間というのは、何というんですか、医師免許を取った後のレジデンシーの時間を入れると日本よりも恐らく長いんじゃないかというふうに思いますので、そこの因果関係というのが全くここで、今の副大臣の御答弁では明らかになってこないんではないかというふうに思いますね。

もう一つは、我が国の臨床研修制度というのは、その趣旨は副大臣御答弁されたとおりで、確かに人間性というんでしょうか、そうした側面をお医者さんの皆さんにますます磨いていただくということなんだと思いますが、そうした趣旨と今の訴訟というのは余り適切な例ではないんではないかなと私は思いますが、その点について大臣の方から何か御発言をいただければと思います。

坂口 力氏(国務大臣)

今、木村副大臣の方から答弁ございましたとおり、医師のこの研修というものによって、いわゆる医師の技術の向上あるいは倫理面におきます向上というものを図るということが、これは最も大事なことでございまして、それによって患者の皆さん方との間の信頼関係を築いていく。今までもそうして努力はしておみえになったんでしょうけれども、研修が一つの分野に偏っていると申しますか、そういう全体を見るということが今まではなかったものですから、非常にベテランの先生におきましても自分の専門以外のことに突き当たると大変いろいろの問題が起こった。そうしたことをなくしていくという意味では、訴訟等が起こらなくなるということと私は結び付くのではないかというふうに思っている次第でございます。

したがいまして、これから先、技術の向上等を目指していく、そのことによって患者さんとの間でいろいろなことが起こるといったようなことがだんだん減っていくという方向に向かっていくということであれば、私はそれは一つの大きなプラスになるだろうというふうに思っております。そういう趣旨で木村副大臣が述べたとすれば、私は一つの考え方だというふうに思っている次第でございます。

浅尾 慶一郎

臨床研修と訴訟との関係というのは、臨床研修をした結果、冒頭私の方からも申し上げましたように、患者さんとの信頼関係が深まるという側面がある。結果として十分に、必ずしも100%の治癒するかどうか分からないことであってもそれに取り組むんだということで、事前に患者さんに告知をし理解をしていただいた上でということであれば、そこはその臨床研修とその部分とどういうふうに関係がしてくるのかというのももう少し私も専門ではありませんから分かりませんけれども、そういう側面もあろうかと思いますが、そのことと、じゃ司法制度改革で医療をネタに稼ぐということとは、必ずしもというか全く関係がないというふうに思いますので、そこは十分に御発言に留意をされるようにお願いを申し上げたいと思います。

次に、前回の駐留軍離職者等臨時措置法の質疑で積み残した問題がありますので伺ってまいりたいと思いますが、まず防衛施設庁は、前回、米軍との関係があるんで、労働基準法違反であるけれども、直ちには、変えていきたいと思うけれども、直ちにはなかなか難しいというような話を御答弁されたと思います。しかし、今日、外務省、外務副大臣お越しでありますが、日米地位協定にははっきりと駐留米軍には日本の法令の尊重義務というのが規定されておりますが、その点について間違いがないかどうか、副大臣、御答弁お願いします。

矢野 哲朗氏(副大臣)

一般国際法上、接受国に駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令が適用されず、このことは我が国に駐留する米軍についても同様と考えております。

しかしながら、同時に駐留を認められた外国軍隊が接受国の法令を尊重しなくてはならないことは、当該軍隊を派遣している国の一般国際法上の義務と考え、米国もこの尊重義務を負っていることは事実であります。また、我が国に駐留する米軍は、我が国の法令を尊重する一般国際法上の義務を負っていると同時に、日米地位協定第16条でありますか、このような考え方に基づいて米軍の構成員及び軍属による我が国の法令の尊重義務を定めているというところであります。

浅尾 慶一郎

今言われたのは、いわゆる日米地位協定の第16条にはっきりと、「日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である。」と。つまり、日本国の法令尊重義務が日米地位協定に規定をされているということであります。そうだとすると、日本国の法令で、なおかつ労働基準法には罰則規定もあるわけですから、その法令を尊重するように義務付けられているというふうに理解すればいいんだと思います。

そこで、外務省からも駐留米軍に駐留軍関係労働者について労働基準法が守られるように働き掛けるべきではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

矢野 哲朗氏(副大臣)

駐留軍等の労働者の労働条件についてでありますけれども、現在、防衛施設庁並びに米軍の間で話合いが行われているところであります。でありますから、当省としては、当面はその話合いを見守りつつ、必要に応じては協力をしていきたいと、こういう考えであります。

浅尾 慶一郎

先般の当委員会の質疑の中で、分かりやすい例の方から申し上げさせていただきますと、現在の例えば駐留米軍で労働されている方はマスターレーバーコントラクトという契約を結んでおられまして、その中で、例えば日本の法令では、現在、週の最低労働時間が、週の労働時間が四十時間というふうに規定されておるところが、一部44時間になっておると。これは労働基準法に反するということは、先般、当委員会で明らかになったわけであります。

今申し上げたように、その際に、防衛施設庁からは、それは、確かにそれは労働基準法違反だけれども、米軍との関係もあるのでというようなお話もありました。しかし、米軍との関係もある中で、私はむしろその米軍ということを理由にされておるんじゃないかなと。必ずしも米軍にとって不利益な変更にはならない、日本の労働基準法を守ることは不利益な変更にならないというふうに思います。

なおかつ、なおかつ日米地位協定において、しっかりと米軍についても日本の法令を尊重するということが第16条に書いてあるわけでありますから、そうだとすると単に不作為、今までずっとやってこられなかった不作為のことを相手側に責任を転嫁しているだけではないかというふうに私には聞こえるわけであります。

そこで、防衛施設庁長官、今日お越しでございますけれども、いつまでに労働基準法の違反状態を改めるのか、明言していただきたいと思います。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

先生御指摘の点、課題、私持っていると考えております。ただ、この問題が、累次申し上げているとおり、私どもの権限と責任のみにおいて解決が可能であれば、先生御指摘のような時期を明言することは可能だと思います。ただし、しかしながら、累次申し上げておりますけれども、米軍と話をしなければ解決できないという問題でございますので、残念ながら私のみの責任において時期を明言するということは困難であります。

いずれにいたしましても、御指摘の点はよく承知しておりますし、それらを踏まえて今後とも米側と鋭意折衝して解決を図っていきたいと考えております。

浅尾 慶一郎

米側と話をしなければということですけれども、先ほど申し上げましたように、米側には日米地位協定に基づいて日本の法令を尊重する義務があるということですから、外務省に伺いますが、じゃ、労働基準法という日本の法令を尊重しないでいいという理屈付けは米側はできるんですか、地位協定上。

矢野 哲朗氏(副大臣)

繰り返すようでありますけれども、防衛施設庁の努力を見守っていきたいと思います。

浅尾 慶一郎

私が伺っているのは地位協定の解釈でありますから、米側に日本の法令を尊重しなくていいと言うことができるんですか。

矢野 哲朗氏(副大臣)

先ほど浅尾委員が朗読されました16条の解釈は、先ほどのとおりだと私も理解しております。

浅尾 慶一郎

そうだとすると、米側は労働基準法を守らなければいけないということですね。

矢野 哲朗氏(副大臣)

第16条の解釈は、以上のとおりだと私も理解します。

浅尾 慶一郎

その解釈は守らなければいけないということになると、米側は労働基準法、防衛施設庁から申入れがあったことに対して拒絶することができないという理解でよろしいですね。

米側は拒絶することができないと。要は、労働基準法にのっとった形での36協定等々を結んでいくということについて、日本の法令に従わなければいけないということですね。

矢野 哲朗氏(副大臣)

さような問題意識の下に、るるこの話合いが行われているという善意に基づいての今は協議中だと私も理解をさせていただいているところであります。

浅尾 慶一郎

もう一度同じような質問を別の角度からさせていただきますが、16条というのは日本の法令を尊重しますというふうに書いてあるわけでありますから、そうすると、米側からほかのことを理由に、日本の法令に反することについて、それを守らないということには抗弁ができないということでよろしいですね、外務省の解釈は。

矢野 哲朗氏(副大臣)

16条の規定を理解しつつ、あるべき姿を協議されていると私は解釈しておりますから、ひとつ協議を我々としても見守って、しかるべき結論を見いだしていただきたい、そのように考えております。

浅尾 慶一郎

16条ということで日本の法令尊重義務というのが定められているわけでありますから、それを防衛施設庁としても米側に交渉の際に言われればいいんだと思いますが、いかがですか。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

先ほどから御答弁申し上げたとおり、私どももこの問題大変な大きな課題であるということで、鋭意米側と折衝しているところでございます。

浅尾 慶一郎

余りやっても平行線になりますが、そもそも日本の法令を尊重するということを地位協定に書いて、それで米側も納得して結んでいるわけですから、そのことも日本から申し上げた上で交渉を、交渉というか36協定を結ぶなり、日本の法令に従うような形にしていくのが正しい姿だというふうに思います。それをそういうふうに言わないというのは、まあこれ答弁求めてもきっと御答弁できないでしょうけれども、私はある面、法令あるいは条約、取決めというものを結んでおきながら、後はなあなあでやってきたという今までのそういう精神につながるんではないかと。

私は決して、アメリカという国は、自分で結んだ約束ということについて、しかもそれも明文化されたものであれば、そういうふうに指摘されれば、それはそれに従う国だというふうに思っていますので、そこは憶せずやられる方がいいんではないかというふうに思っております。ですから、即刻やっていただきますようにお願い申し上げたいと思います。

そこで、次の質問に移らさせていただきたいと思いますが、駐留米軍に従事する日本の人は大体2万5,000人ということなんですけれども、この職は障害者の雇用率というのは適用になるんでしょうか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

障害者の雇用の促進等に関する法律におきましては、国及び地方公共団体、民間事業者といった雇用主体別に雇用率制度等の障害者雇用責任を課しているところでありまして、駐留軍関係労働者については、日米地位協定に基づき在日米軍のために労務に服する者であって国が雇用するものであるが、日米安保条約に基づく国家公務員法の特別法において公務員でないとされておりまして、障害者雇用促進法上に規定されている国の雇用義務の対象となる職員に該当するものではないことから、雇用率制度は適用されていないというようなことであります。

浅尾 慶一郎

ちなみに、2万5,000人の企業で雇用率、あるいはそれ以上の企業で雇用率が適用されないケースというのはありますか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

現在の政令におきまして民間企業の法定雇用率を1.8%と定めているわけでありまして、56人以上の規模のすべての企業に障害者雇用率制度が適用されると、こういうような解釈であります。

浅尾 慶一郎

米軍、在日米軍、駐留軍で働いておられる方の様々な職種、もちろんあると思いますけれども、私はこの点で、必ずしも軍隊であるからそこは障害者雇用の雇用率を適用しなくていいというようなことにはならないんだと思います。

それからもう一つは、例えば米国本土の軍属にも恐らく障害者の雇用率というのが、アメリカのイコール・エンプロイメント・オポチュニティーという考え方、アメリカにもありますから、というか、むしろ向こうの方がその点においては多分進んでおるんだと思いますが、米軍の本土でもそういった率が適用されているんではないかと思います。

昨日、レクの中で外務省には、米国本土の米軍で障害者の雇用率あるいは数というのはどんなものか教えてくださいということをレクの中で申し上げたと思いますが、数字をお持ちであればお答えいただきたいと思います。

矢野 哲朗氏(副大臣)

米国の国防総省の関係機関によれば、米国国防省総数の障害者の占める割合でありますけれども、現在1.06%であるというふうに承知しております。

浅尾 慶一郎

ちなみに、これは施設庁に質問通告していないんですけれども、現在2万5,000人いる日本の駐留軍関係の方の中で障害者の方は何人ぐらいいらっしゃいますか。

嶋口 武彦氏(政府参考人)

どのくらいいるかという数字については把握しておりませんけれども、平成14年度の、年でしょうか、年末調整において障害者の控除を受けた方は130名おられるというふうに承知しております。

浅尾 慶一郎

そうすると、2万5,000人に対して130名ということは0.5%強ということであります。

法律が適用にならないというのは、私は別に米側としてもこれは法律を適用する職種にしても困らないと思いますし、現在アメリカ本土においても、1.8%には及びませんが、1.06%であるということからすると、法律で措置をすべきではないかというふうに、適用除外という部分を変えていくべきではないかと思いますが、厚生労働大臣はどのように思われますでしょうか。

坂口 力氏(国務大臣)

確かにこの問題、谷間になっていますですね。先ほどから議論ありますように、16条によりまして日本の法令を守るというふうに、米国が日本の法令を守るということになっている。ですから、その中に日本の法令の一つであります、何ですか、障害者雇用促進法、これもその一つでありますから、本当は守らなきゃいけないということになるわけですけれども、この雇われている皆さん方は公務員ではないと、公務員には当てはまらないと、こうなっているし、では民間かといったら民間でもないということで、何となく谷間になってしまっているということではないかということ、法律的には、そんなふうに思っております。

したがいまして、この問題は、そうはいいますものの、日本の中におきますこれは雇用の問題でございますから、これは米国に対しましてもできるだけ日本の、法律的にはなるほど谷間にはなっておりますけれども、守っていただくように、守っていただくということですから、日本の法律がこういうことですから、谷間ではありますけれども従ってもらうようにこれはお願いしないといけないと思います。

これはもちろん外務省もあるいは防衛施設庁も関係省庁でございますし一番中心ではございますが、しかし厚生労働省も雇用のことをお預かりしている省でございますから、やはり厚生労働省としましても、その雇用条件の問題でございますとか、あるいはまた障害者の雇用の問題ですとか、そうしたことはよく米側にも説明をして、私たちもその役割を果たさなければならないと、そういうふうに思っている次第でございます。

浅尾 慶一郎

是非、確かに障害者の雇用促進法については、今、大臣が御答弁されたように、谷間になっている部分があるんだと思います。ただ、是非そのお願いをいただければ、米側としてもこれは反対はできない話だと思いますし、確かに米本土においても1.06%、日本の1.8%に及ばないとしても、仮に1.06%であっても今の倍の障害者の雇用の職場がそこで確保できると。今日の本題であります今の日本の雇用状況を考えた場合に、特に障害を持っておられる方の雇用というのは大変厳しい状況だと思いますが、こういう特殊な、仕事内容が特殊ということではなくて職場が特殊なところであっても、そういう形で少しでも雇用の数を増やしていくことができれば私は非常に有意義だと思いますので、そういう点で大臣の是非とも働き掛けをお願いしたいと思います。

それからもう一点、これは谷間ではなくて、完全に前回の当委員会において基準法違反であるという話になっております労働基準法の方についても、日米地位協定において日本の法令尊重ということもありますものですから、大臣からの外務省、防衛施設庁に対する働き掛けについての決意を伺いたいと思います。

坂口 力氏(国務大臣)

両省ともよく相談をさせていただきたいというふうに思いますが、必要があれば、我々が米軍に直接、我々のこの状況、いわゆる法律の内容等について説明が必要ならばしたいというふうに思います。

浅尾 慶一郎

是非、アメリカとの関係、大変大事だと思いますが、やはり向こうの国は、恐らく皆様御存じのとおり、取決めで決めたことについては粛々と従う国だというふうに私は理解していますし、そのとおりだと思いますので、是非そういう方向で働き掛けをしていただきたいと思います。外務副大臣、防衛施設庁長官、結構でございますので。

次に、今回の雇用保険法の改正について伺ってまいりますが、まず改正自体が景気の低迷による雇用情勢の悪化に対応したものであるということは申すまでもありません。そこで問題は、そうは言いながらも、景気が、バブルが92年に崩壊したとすると10年間にわたって回復していないと。それはなぜ回復しないのかというのが一番大事な問題なんだと思いますが、厚生労働省からしても、景気がなぜ回復しないのかということについて、労働者の雇用あるいは新たな雇用を作っていくという観点から積極的に発言してほしいというふうに思います。

そこで、少し政府の経済対策についてお伺いをしてまいりますが、一部報道では、今の株価の問題から、いや株価がこんなに下がったのは時価会計を入れるからだと、あるいはまた土地についても減損会計を考えているからだというような話が出ておりますが、金融庁としては時価会計の停止についてどういう考えを持っておられますでしょうか。

伊藤 達也氏(副大臣)

お答えをさせていただきます。私どもといたしましては、やはり利用者を保護し、そして投資家を保護することが大変重要な使命だというふうに考えております。

会計制度の問題については、極めて専門性の高い分野でございまして、技術的な面もあり誤解が生じやすいのかなというふうに思いますが、例えば有価証券の分野についての会計ルールでございますけれども、すべてにおいて時価会計が導入をされているわけではございません。今議論になっております長期保有株の問題でございますが、これはバランスシート、つまり株価の時価というものを資産に正しく反映をさせるということで時価会計が導入をされておりますが、損益計算書につきましては原価法の世界でございます。しかし、商法におきまして、昭和37年に著しく株価が下落しましたときにそれを減損処理をするということを規定をしておりまして、これは実務上40年間定着をしているわけでございます。

また、こうした会計ルールが中小企業にも適用されているんではないかと、こういう御議論もございますけれども、こうしたルールというものは大企業一万社に対して強制適用され、そして外部の監査が義務付けられているわけであります。これは多数の投資家、そして中小下請企業を含む債権者、従業員というものが存在をし、そして債権者保護、投資家保護の観点から極めて重要であるからであります。現在、財団法人の財務会計基準機構におきまして、こうした会計ルールの問題について厳正かつ精力的に検討がなされておりますので、私どもとしましてはこの議論を注視をしていきたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

時価会計導入に至る経緯はるる、副大臣御存じのとおり、国際的な流れもあったことだと思います。私は、仮に変更をしたとしても、投資家は、特に大企業を見ているアナリスト及び投資家は、その時価会計を導入しなかった場合と比較して、結果としてバランスシートはそのとおりで見るんではないかなというふうに思いますので、かえって、もし仮に、今の御答弁ですと、今の議論の推移を見守るということでございましたけれども、仮に変えたとしてもそこは余り効果がないんではないかなと。むしろ変えなかった場合も含めた分析をされてしまってかえって逆効果になるんではないかと思いますが、その点についてどのように思われますでしょうか。

伊藤 達也氏(副大臣)

今、委員御指摘のとおり、証券市場に対する内外の投資家の信頼を高めて、そして証券市場の活性化、向上を図っていくためには適正な財務認識、そしてディスクロージャーというものが不可欠であるというふうに思っております。

会計基準の適用を仮に恣意的に操作することによって企業活動の実態というものを隠すようなことになってしまいますと、これは投資家の信頼というものを失いかねないわけでありますから、私どもとしましては一般に公正妥当な会計基準というものを尊重していかなければいけませんし、これからも引き続き尊重していかなければいけないというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

ありがとうございます。次に、株の買取り会社について、金融庁、どのように考えておられるか、伺いたいと思います。

伊藤 達也氏(副大臣)

これにつきましても今様々な議論が行われているところでございますので、そうした議論、検討状況というものを私どもとしても注視をしていきたいというふうに思っておりますが、一般論といたしまして、やはり株の買取り会社の問題については様々な問題があるというふうに思っております。

その問題点というのは、例えば意図的に需給を調整するということになりますと、これはやはり市場に対する信頼というものを大きく失ってしまうことになるわけでありますし、また現在の我が国の証券市場の規模というのは時価総額で200兆円を超える極めて大きいものとなっておりますので、株価に影響を与えるということは大変限界があるのではないかというふうに思っております。また、買い取った株式というものが下落した場合に、その損失というものはだれが負担をするのか、どういう方法で負担をするのか、こうした様々な問題点があるというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

今御答弁いただきましたように、私は今のこの10年間掛かっている景気の低迷というのに対して、残念ながら多分余り小手先のことでやっても効果は薄いのかなというふうに思います。そういう意味で、厚生労働大臣からも何か雇用の安定を図る観点から政府の経済対策に対して発言をされたことがあるのかどうか、またはこれからどういう発言をされていかれるのかどうか、もし何かあれば伺っておきたいと思います。

坂口 力氏(国務大臣)

私は経済の専門家でもありませんししますから、なかなか総論的にどうするかというようなところまで私は議論が行かないわけですが、厚生労働省としての立場から、昨年来、経済財政諮問会議等で発言をいたしておりますのは、以前にもここで申し上げましたけれども、労働重視型社会というものを申しておりまして、それは一つは、私は労働生産性を上げる以外に日本の経済は元に戻らないというふうに思っておりますので、そういうふうに発言をさせていただいているわけでございます。

しかし、労働生産性を上げなきゃならないんですが、一方において余り労働時間が長くなってしまって、一人の労働者に対する労働時間を長くして労働生産性を上げるということになりますと、これまた大きな問題が起こるわけでありますので、いわゆる労働時間を守るということと労働生産性を上げるという、これはなかなか難しいことですけれども、双方、1つのことを同時に決着をしなければならないという難しいかじ取りに日本は迫られている、しかしそういうふうにやっていく以外にないということを強調しているところでございます。

浅尾 慶一郎

私も一人一人の労働生産性を高めること、結果としてそのことが多分企業収益の増加ということにもつながるでしょうから、長期的には株価の問題にもいい影響を与えるのではないかなというふうに思いますので、引き続きそれが実現するように御努力をいただきたいと思います。金融副大臣、結構でございます。

次に、今回の雇用保険の改正に関して、少し失業給付という観点から伺っていきたいことがありますが、民間の労働者の失業給付を切り詰めようとしている今回の改正でありますが、一方で国家公務員については、御案内のとおり、雇用保険料を払っておりません。払っておりませんが、実はハローワークで退職手当を受給している、支給されているという実態があるので、ちょっと民間に比べて不公平じゃないかと、そういう観点からお伺いをいたしますが、まず国家公務員退職手当法によりますと、懲戒免職になった職員は当然退職手当がもらえないというふうに書いてあるんですが、同じ退職手当法の10条を見ますと、ハローワークで失業の認定を受けると退職手当がもらえると。つまり、当然のことですが、懲戒免職になった人に退職手当、退職金を払うというのはおかしい話ですから、8条ではそれは出さないと書いてあるんですが、ただ10条を見ると、ハローワークで失業という認定を受けると退職手当がもらえると。そうした制度を設けている趣旨はそもそもどういうところにあるんですか。

若松 謙維氏(副大臣)

まず、国家公務員の失業者の退職手当、この制度の趣旨でございますが、退職手当が退職後の生活保障としての性格を併せ持つと、こういうことにかんがみまして、退職時に受給した退職手当額が極めて低額であった者又はいわゆる懲戒処分等による退職手当を受給しなかった者、こういった方々に対して退職後失業している場合に限り支給をするという、こういう国家公務員退職手当法に定められている制度でございます。

そこで、懲戒免職の処分を受けた者であっても、退職後失業している場合に、その方のいわゆる生活保障、そういった観点から必要であるというふうなことから失業者の退職手当を現在支給しているところでございます。

浅尾 慶一郎

じゃ、まず数字の方を伺いますが、懲戒免職で本来退職手当もらえないけれども、ハローワークに行かれて退職手当を受け取る職員の数というのはどのぐらいいるんでしょうか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

平成13年度において国家公務員退職手当法に基づく失業者の退職手当をハローワークを通じて受けた方々は3,617人でありますけれども、そのうち離職理由が懲戒免職等であった人たちの数については、制度上の問題もありまして把握はできていないというのが現実であります。

浅尾 慶一郎

把握するべきだというふうにまず申し上げた上で、民間企業の場合は、懲戒免職になったとして失業手当がもらえるとすれば、それは本人及びその会社が雇用保険料を払っているからなんですね。ところが、国家公務員は、御案内のとおり、本人が雇用保険料を払っていないと。払っていないにもかかわらず、なおかつ懲戒というような事由で退職になったというにもかかわらず退職手当がもらえるのはおかしいというふうに思いますが、その点についてどのように考えられますでしょうか。

若松 謙維氏(副大臣)

まず、国家公務員の失業者の退職手当につきまして、国家公務員を退職する際に支給された退職手当の額が雇用保険の失業等給付相当額を下回った者が退職後引き続き失業していると、こういった場合にその差額を、先ほども申し上げましたように、生活保障の観点から支給しているところでございます。

そして、失業者の退職手当は、失業等給付とは異なりまして、今申し上げましたような差額分をあくまでも退職手当として支給するものであることから、国が現在全額負担しているものでありまして、これは最低保障生活を守るという観点から必要な措置であると認識しております。

そこで、委員の御懸念のいわゆる民間の雇用保険との比較についてでございますが、民間の失業等給付につきましては、失業者が退職時に受け取った退職金とは別に保険金として支給されているということでございまして、なかなか、国家公務員の失業者の退職手当と民間の失業保険とこれは横並びで比較できる制度でもございませんで、そのような制度が異なることから一概にいわゆる比較が困難ではないかと、そのように考えております。

浅尾 慶一郎

ちなみに、地方公務員は同様な制度があるんでしょうか。それとも、地方公務員の場合は当該自治体が補てんをしている、直接支払っているんでしょうか。

若松 謙維氏(副大臣)

地方公務員の失業者の退職手当の支給のお尋ねでございますが、これにつきましては各地方公共団体の条例に基づき支給されております。

その内容につきましては、一般の退職手当と同様に、国家公務員の失業者の退職手当に準じて条例で定められているところでございます。また、その支給方法につきましては、条例に基づいて地方公共団体から直接失業者に対して支給する取扱いになっております。

浅尾 慶一郎

今の副大臣のお話で、地方公務員の場合は地方公共団体から直接失業者に対して支払われていると、国家公務員の場合はいったんハローワークを経由して支払われているという違いが明らかになったわけであります。

私は、失業、たとえ退職の事由が懲戒免職であっても最低限の生活は保障しなければいけないというもし考え方であるとしたとしても、それはあるのかもしれませんが、そういう考え方があるとしたとしても、それはそれぞれの国家公務員と地方公務員で差を付けるべきではない。つまり直接、国家公務員の場合であっても、元々の関係する省庁から払うような形にした方がいいんではないかというふうに思いますし、その方が恐らく透明性も高くなるんではないかというふうに思います。

つまり、懲戒免職という事由で退職した人がハローワークという直接本人とは関係ない機関に行ったとしたとして、そこから退職手当という名の下の失業給付を受けるという形よりは、直接元々の関係のあった省庁、地方自治体と同じように行かれた方が退職事由等々の関係もあるし、あるいはなぜ懲戒免職になったのかということの説明もはっきりするんではないかというふうに思います。

そこで、厚生労働省としてこの制度についてどう考えているかと。この機会に、今申し上げましたように、少なくとも厚生労働省あるいはハローワークが関与するという形ではなくて、地方公務員と同じように、直接当該雇用関係のあった省庁から支払われるように改めたらいかがかと思いますが、その点についてどのように思われますか。

坂口 力氏(国務大臣)

私も大変不勉強でございまして、今回、こういう制度があるということを先生御質問いただいて私も初めて知った次第でございます。

これは総務省の御担当でございますしいたしますので、よく御相談をさせていただきたいと思います。

浅尾 慶一郎

総務副大臣に改めて伺いますが、地方自治体所管されておられるんで、地方自治体と国家公務員と平仄が合うような形に制度を改められたらいいんではないかと思いますが、その点について御意見を伺えれば。

若松 謙維氏(副大臣)

幾つか今の御質問には論点があろうかと思いますが、まず、国家公務員がこの退職手当をハローワークに事務をお願いしているというのは、何といっても、失業者の退職手当を払う際にはその個々の対象者が毎月失業の認定をいわゆる行うことが必要なわけですね。その上で支給をしていると。この事務は、二点から今の制度が良いのではないかと理解しております。

一点目は、失業認定から支給に至る、こういった先ほどの事務を一貫して行うことは、当然これはハローワークの専門でもございますし、そういったところに依頼した方が国全体としての事務の効率化に資すると。これが一点目でございまして、二点目といたしましては、この支給に必要な会計上の負担ですね、これは地方公務員の場合と異なりまして、例えば退職時に所属していた会計、それぞれの省庁の会計ですね、それと、さらにこのハローワークが所管するいわゆる厚生労働省の一般会計、これはともに国の会計機関でありますので、いわゆるそこでの繰入れ等のやり取りが容易であると、こういったことで国の場合にはハローワークにお願いしております。

それで、それでは地方自治体でございます。これは3,200自治体がございまして、それと全国に約400あるハローワークとの関係、これをやりますと大変複雑な会計間のそれぞれの資金のやり取りがありますので、それはちょっと効率的にはいかがであろうかと、そんなことから地方公務員につきましては地方自治体にお願いしていると、このような理解をしております。

浅尾 慶一郎

地方自治体は数が多いから大変であると、国の方は元々国のお金だから右から左で後で調整すればいいということは、そもそもの制度の透明性という観点からするとそれはちょっと違うんではないかなと、こういうふうに思うわけであります。つまり、懲戒事由が発生したということについては、当該本人ということももちろんある、の責任だと思いますが、同時にそれを雇用していたその役所あるいは会計ということの責任もあるわけですから、そこを明らかにする必要性があるのではないかというふうに思いますので、是非そこは御検討いただくようにお願いをしたいと思います。

では、雇用保険法本体についてお伺いをしてまいりたいと思いますが、先ほど山本理事の方からもるる御質問させていただきました。私自身もこの今回の施行日が5月1日になっているということについてはなかなか難しいものがあるのじゃないかなというふうに思います。時間の関係がありますものですから幾つか質問を飛ばすかもしれませんが、まず厚生労働省としてはゴールデンウイークの連続休暇を指導しているというのは御案内のとおりであります。そのゴールデンウイーク期間中に結局周知をするということになるのではないかなと。このことは自己矛盾ではないかと思いますが、その点についてはどういうふうに御答弁されますか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

まずは本法案が一日も早く御可決をいただきますようにお願いを申し上げたいというふうに思いますが、その場合に、改正法の成立後直ちに周知をしていかなければいけないわけでありまして、一つはインターネット等を使いまして厚生労働省のホームページ、さらにしごと情報ネットワークなどの活用、さらに適用事業所への周知用のパンフレットの送付や安定所の窓口での配布等を含めて速やかに周知をしていきたいと、こういうふうに考えているわけでありまして、先生お尋ねのように、ゴールデンウイークの連続休暇を取れということをある意味で厚生労働省が指導しておきながらその期間に周知するのはと、こういうようなお話でありますけれども、今回の雇用保険制度の改正においては、法案の改正の趣旨は御理解いただいていると思いますが、平成17年度に保険料率の引上げがあること、さらに給付の見直しを早く実施して雇用保険全体の財政の収支改善を図ると、こういうようなことでありますので、早期施行が不可欠であるというふうに考えているわけであります。

そういう意味で、改正法の円滑な施行のため、ゴールデンウイークの期間中であっても成立日から施行日までの間に改正法の周知について、先ほども申し上げましたような様々な方法を取りまして、最大限の努力をして事業者へ若しくは労働者の皆様へ改正内容を一刻も早く知っていただくと、こういうようなことで御協力をいただきたいというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

ちなみに、例えば今月の25日に退職したケースとゴールデンウイーク明けの5月6日に退職したケースと2つあったといたします。当然、人によっては5月6日に退職した結果、失業給付の受給額が減額されているということになるんだと思いますが、この差額がありますと、その方がその5月6日だったら減るということを知らなかった、あるいはその当該企業においてそのことを周知徹底していなかったという場合に、政府の周知徹底義務の不作為とは言えないまでも、不完全ということが言えるのではないかと。そうだとすると、それは差額について国家賠償が請求できるんじゃないかと思いますが、その点について、できますとは言われないでしょうけれども、どのように考えられますか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

施行後に離職した場合には、基本手当につきましては今回の改正による引下げ後の給付率や上限額が適用すると、こういうようなことでございます。

法令の対外的効力は、当事者がその内容を知るか若しくは知らなかったかということにかかわらず、公布によって生ずることとされているわけでありまして、改正法が適正な手続によって公布施行され、これに基づいて適正に基本手当が支給された場合には、国に対して国家賠償というようなことはこれは当然できないというふうに考えるわけであります。

浅尾 慶一郎

法律は公布によって適用されるということであれば、先ほどの労働基準法であってももうとっくに公布しているわけですから、それはそのとおり適用していただければいいわけでありまして、相手がある場合にはいろんな事情があると、相手が一般の声なき声の場合には公布によって適用というのは余りに理不尽ではないかと、こういうふうに思いますが、その点について、大臣、いかが思われますか。

坂口 力氏(国務大臣)

原則的には副大臣がお答え申し上げたとおりだというふうに思いますが、今の御質問はあれでしょうか、裁判になったときにどうかという御質問でございましょうか。裁判になりましたら、それは裁判をお受けするという以外にないと思いますけれども。

浅尾 慶一郎

いやいや、私が申し上げたのは、例えば駐留米軍において50年間、労働基準法が本来適用されなければいけないにもかかわらず適用されてこなかったと、それは相手があることだというような御答弁を政府全体としてはされておると。しかし一方で、相手が見えない今回のようなケースであれば、それは公布によって適用されるというのは、余りにその御答弁としても理不尽な差があるのではないかと思いますが、どういうふうにお考えになるでしょうかという質問でございます。

坂口 力氏(国務大臣)

法律でございますから、周知徹底をしなければならないことは当然でございます。一方において、駐留軍の場合に周知徹底がされているのかどうか分かりませんけれども、関係者はもうよく知っている。例えば施設庁でありますとか外務省でありますとかというようなところはよくお分かりをいただいているというふうに思うわけでありまして、そちらの方の話はやはりあいまいなままで置いておいてはいけないというふうに思っておりますから、先ほど御答弁申し上げましたように、はっきりさせたいというふうに思っている次第でございます。

こちらの方の今度の法律の話はこれから周知徹底をしなければならない話でございますので、一生懸命に周知徹底をしたい、こう思っております。

浅尾 慶一郎

だんだん時間がなくなってまいりましたので質問を進めますが、是非、余りにもその5月1日ということについてはおかしいと思いますので、そこについて先ほど山本理事の方から質問させていただいたとおり、政府としても再考いただきたいと思います。

そこで、大変質問遅くなりまして申し訳ありませんが、内閣府は経済財政諮問会議に失業率は2005年から減少に転じるという試算を出しています。なぜ内閣府としてそういうふうに考えられるんですか。

根本 匠氏(副大臣)

経済財政諮問会議に、今回の改革と展望の2002改定に合わせまして、実は審議の参考資料として、先生御指摘の内閣府の試算を提出をいたしました。

その考え方でありますが、今、政府を挙げて構造改革、精力的に進めておりますが、構造改革の効果が発揮されるにはある程度の時間を要するだろうということも踏まえまして、2004年度までの集中調整期間中には厳しい状況が予想されると考えておりますが、現在、四本柱の改革、要は税制改革、歳出改革、規制改革、金融システム改革と、こういう四本柱の構造改革を加速することによって2005年度ないし2006年度ごろには経済の成長経路、これは中期的な成長経路に近づいてくるだろうと、こう予測をしております。2005年度ないし2006年度ごろには中期的な経済成長の経路に近づいていくということから、失業率についても2004年度までの集中調整期間の後には徐々に低下していくものと見込んでおります。

浅尾 慶一郎

一方で厚生労働省は、今回の法改正を含めても失業手当の受給者数を指標にして今後5年間は制度の安定的運営ができると。失業率としては減じるということになっているんですが、今回前提としている失業率を、内閣府の失業率を指標に前回の法改正ではしていましたけれども、今回からは受給者数ということで、ベースにする数字を変えています。これはなぜそういうふうに変えたんでしょうか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

前回の改正時は、言ってみれば一般的な分かりやすさと、こういうようなことを重視しまして、完全失業率と連動させた推計としたわけでありますけれども、受給者に占める特に中高年齢層の比率の高まりがありまして、完全失業率は前年改正時の想定の範囲内であるにもかかわらず、想定した収支改善が実現できていないと、こういうようなことが大前提にありまして、今回の改正には雇用保険受給者の動向を最も端的に示す、こういうようなことで受給資格決定件数について、バブルの崩壊後、それから雇用情勢の悪化した過去10年間の平均的伸び率を勘案しまして、年5%程度の割合で伸びが続くとの前提に立っても今後五年間程度は安定的運営が確保できるようにすると、こういうようなことで給付及び負担の両面にわたる見直しを行いました。

浅尾 慶一郎

数字が違うということになるのかもしれませんが、厚生労働省の方は失業給付の受給者が毎年5%ずつ伸びていっても安定的な運営ができるということで今回の制度改正をやっていると。一方、内閣府が出されております失業率そのものは2005年から改善をするということになっておりまして、同じ内閣でありながら違う見解を持っているということになってくると思いますが、内閣府として、もっと失業率良くなるんですよと厚生労働省に言われれば今回のような無理な改正をしなくてもよかったんじゃないかと思いますが、その点について、副大臣、せっかくお越しでございますから、御意見をいただければと思います。

根本 匠氏(副大臣)

私も、今、鴨下副大臣の話を聞いていて、要は失業率というのはストックの水準で見ますから、ダムの水みたいなもので、放流したやつでまた新たに入ってくると、水準は変わらないんだけれども中身がどうも変わるという話なのかなという感じがいたします。つまり、失業率と受給件数の件数の関連が、受給件数の方は毎年この十ヶ年のトレンドで5%伸びている、そのときに失業率はどうかという関連が、そこのところが必ずしも失業率と実際の受給件数の伸びが連動していない。失業率だけでは説明できない、高齢化比率が高まっているとか、そういう構造的な要因もあるので今のような御答弁になっていると思います。

我々の方は、その意味では矛盾しているとは考えておりませんで、我々は2005年、2006年度にかけて中期的な経済成長経路に近づいていくということから、失業率はその意味では改善していくだろうと予測しているところであります。

浅尾 慶一郎

直接100%連動はしないでしょうけれども、当然失業率があって受給者というのがある中で、大きなトレンドとして2005年からは失業率が減少しますよという大変明るい話をされておるわけですから、それを当然前提に、受給者も5%増えるということでなく考えるのが筋ではないかなと、こういうふうに思います。これ、御答弁は結構です。次の質問に移りますので、根本副大臣、結構でございます。

ちょっと時間がありませんので一つ飛ばしまして、今回の改正については、雇用保険料の事業主負担分の引上げと労災保険料の引下げがセットになるはずだったと聞いておりますが、それは事実でしょうか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

今回の雇用保険制度の見直しに係る審議会の議論の過程においては、例えば将来にわたる雇用のセーフティーネットとしての安定的な運営を確保していくと、こういうような観点から、給付の見直しとともに雇用保険料率の引上げについて議論をいただいてきたわけでありまして、一方、労災保険料の引下げは、これは厳しい経済状況を勘案して、最近における労災事故の発生状況等を踏まえて検討してきたわけでありまして、その雇用保険料率の引上げと労災保険料率の引下げをセットで行うと、こういうようなことを決めたわけではございません。

浅尾 慶一郎

労災勘定は今でも、労災そのものは件数減っているんですけれども、7兆円の積立金があると。これは将来の労災を今受けられた方の確定した年金額だという御説明をいただいておりますが、それとは別に、各地の労災病院等福祉事業の予算というのが入っておりますが、それは平成15年度、どのぐらいあるんでしょうか。

鴨下 一郎氏(副大臣)

平成15年度の労災保険特別会計の労災勘定は、歳入の予算額が1兆4,159億円で、歳出予算額は1兆2,106億円となっておりまして、この中で労働福祉事業においては、これは2,131億円となっております。

浅尾 慶一郎

積立金の部分については確定した債務だというふうに御説明いただきました。しかし、労働災害にかかわる福祉事業をこの委員会でも議論させていただいた中で、例えば労災病院はなくしていく方向だというようなことを考えれば、これは減らしていけるんじゃないかなというふうに思います。

雇用保険も、先ほどセットではないという話をされましたけれども、雇用保険も労災保険も基本的には労働保険料という名目で一括して徴収されているわけであります。そうだとすると、雇用保険がこれだけ財政が逼迫しているわけですから、労災保険からあるいは労災勘定から資金を融通してもらうことを考えたらいいんではないかなというふうに思いますが、大臣はいかが考えられますか。

坂口 力氏(国務大臣)

労災保険の方には積立金が多いものですから、いろいろな御意見、正直言ってあるわけでございます。しかし、よくよく調べてみますと、現在いわゆる年金をもらっている皆さん方が終生それをもらわなければならないわけでありまして、そうした方々の積立金、これは積立年金みたいなものでございますので、今はありますけれども、将来はこれなくなっていくものでございますから、これがあるからといってそう使うわけにはなかなかいかないというふうに今思っております。

雇用保険、労災保険、それぞれ近いところに存在することは私もよく分かりますけれども、いずれにいたしましても、労災病院等の問題は早く決着をして、そしてもう余分にいるということはなくしていくということが大事だというふうに思っておる次第でございます。

浅尾 慶一郎

時間も参りましたので、最後、質問させていただきますけれども、年金、積立金の部分についてはおっしゃるとおりだと思います。

ただ、今申し上げましたように、福祉事業を果たして本当にやっていく必要性があるのかどうかということは考えなければいけないと思いますし、今回の保険料率で五年間は大丈夫ということでありますけれども、5年後にもう一回再設計をしていくということになると、制度そのもの、つまりはセーフティーネットであるという制度そのものに対する信頼感を失っていくんではないかなと。

そこで、その5年間の間にもう少し、例えば、これは財務省当局との関係もありますけれども、一般会計で支えていくのか、あるいは今申し上げましたように労災保険の中の福祉事業からもお金を回すのか、あるいは合わせ技なのかもしれませんが、いずれにしてもしっかりとした制度設計を付けていく必要性があるんではないかなと思いますが、5年間の間にどういう制度設計を付けていくのか、大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

坂口 力氏(国務大臣)

様々な角度からこれから検討していかなければならないというふうに思います。だんだんと働く人たちの数も少なくなってくる時代に向かうわけでございますから、これからの雇用保険、あるいは労災保険もそうでございますが、とりわけ雇用保険につきましての財政というのは厳しくなることだけは間違いがございません。そこを乗り切っていくためにはどういうことを気を付けていかなければならないのか。これは雇用保険だけではなくて社会保障全体の中でどう位置付けて、どのように考えていくかを決着を付けなければならない問題だというふうに思っている次第でございます。

浅尾 慶一郎

終わります。



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