- 金田 勝年氏(委員長)
ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。まず、委員の異動について御報告をいたします。昨21日、木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。
次に、食品衛生法等の一部を改正する法律案及び健康増進法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
- 浅尾 慶一郎
まず、食品衛生法等の一部を改正する法律案について伺ってまいります。
さきに審議いたしました食品安全基本法案におきまして、食品供給の過程、行程ということについても、国外も含まれるということが明確化される修正が行われたことも踏まえまして、今回は主として対外的な関係について伺ってまいります。なお、答弁は簡潔にお願いしたいと思います。
まず、検疫所の問題について伺ってまいります。
検疫所につきましては、輸入食品の安全性を確保するかなめの機関であるということでありますけれども、このたび、情報の連絡体制について幾つか問題があるんではないかといったようなことも報道されておりますので、その点について伺ってまいりたいと思います。
まずは、先ごろ発症をいたしました、台湾に帰国した医師がSARSを発症したという情報が丸一日関西空港検疫所で放置されて、厚生労働省にその後報告されたということが報道されておりますけれども、事実関係と原因をどのように把握しているか、その点について簡単に御説明願います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
おはようございます。今回の台湾の医師のSARSの問題でございますが、今お話ございましたように、十五日の夜、大阪の開業なすっている先生から、台湾の医師の話によると、どうも日本を旅行して帰った後SARSらしき病気にかかっているらしいという情報が寄せられたということでございます。それが第一報でございます。
そのときに、その係官がもう少し詳しく、いつ日本を訪れられて、いつ日本を離れた方なんでしょうかとか、あるいはまたその人がどういう方なんでしょうかというようなことを詳しくそのときに聞けば良かったんだと思うんですけれども、忙しい検疫の真っ最中だったものですからそれを聞かなかったということが第一の問題であったというふうに思っております。
したがいまして、いつか日本にお見えになって帰られた方だぐらいに考えていて、この報告が翌日になったということでございまして、そして、夜の話ではありましたけれども、一夜明けてしまったということでございます。
翌日、大阪からそのお話が厚生労働省に入ったわけでございますが、厚生労働省の方の担当課のところにそれが伝えられるのが若干また遅れたということがございまして、忙しい中ではありましても、しかし一番大事な情報というのは何かということを常に注意をしていなければならないわけでございまして、反省すべきところは反省をし、そして今後に対応したいというので、関係者に対しましても、改めて、状況の判断というものを的確に行い、迅速に行うように命令をしたところでございます。
- 浅尾 慶一郎
今、大臣から御答弁いただきましたことでありますけれども、そのことに関しまして、昨日、全国の検疫所長を本省に招集して、言わばもう一度気を引き締め直すというための会議が開かれているということでありますけれども、たまたま昨日のその時間帯が国会開催の時間と重なってしまったということで、大臣も副大臣も、あるいは本来検疫所を直接指揮監督する立場にある健康局長も国会に来ておったということだそうでありますけれども、本来は時間設定を、国会の委員会の方はよく分かっているわけでありますから、いつからいつという、その委員会が開催されない時間にその検疫所長を呼んだ会議をやって、直接の指揮監督、少なくとも直接指揮監督する立場にある健康局長から綱紀もう一度締め直すというための指導をすべきだったんではないかというふうに思いますが、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
- 木村 義雄氏(副大臣)
おはようございます。先生御指摘のとおり、厚生大臣も私自身も国会の出席を求められていたわけでございます。また、健康局長も外務委員会の方に政府参考人として急遽出席を求められたために、当日は健康危機管理を担当いたします大臣官房厚生科学課長が代理となりまして指示を行ったところでございますが、なお所長会議自体は午前で終了いたしたわけでございますけれども、健康局長の日程が空いた午後一番に全所長を改めて招集いたしまして、健康局長より重ねて指示を行ったところでございます。
- 浅尾 慶一郎
その会議では、確かに口頭で重要情報を迅速に報告することといったようなことが指示されたようでありますけれども、実は口頭だけではなくて、本当に重要なことでありますから、紙でも、ペーパーを配るといったようなことがあっても良かったのではないかというふうに思いますが、なぜペーパーを配られなかったんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
今回の会議は非常に緊急を要しましたものですから、急遽開催をいたしましたことから、指示事項はすべて口頭により行ったわけでございますけれども、伝達すべき事項は十分伝わったものと考えておるところでございますし、改めてその趣旨を文書として連絡をし、その実行状況につきまして後日報告を求める予定といたしているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
ということは、今後情報伝達のマニュアルを見直す、それはきちんとペーパーで徹底するという理解でよろしゅうございますか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
マニュアルのことにつきましてちょっと若干説明をさせていただきますと、各検疫所におきましては感染症患者等への対応マニュアルを作っているところでございますが、今回の事件の経験から、迅速かつ的確な情報の収集、連絡等が重要であると考えておりますわけでございまして、検疫所自ら国内外の健康危険情報の収集の報告、所内の連絡体制の整備、地方公共団体との連絡体制の整備、医療機関との連絡体制の整備、夜間、休日の連絡網の整備等の連絡体制のほか、機材整備、患者輸送等体制整備の再点検など、マニュアルの見直しを図ることといたしております。
これらを昨日急遽開催した全国検疫所長会議において指示をするとともに、見直し状況につきまして速やかに本省に報告をするよう求めたところであります。また、マニュアルの見直し後は搬送措置等の訓練を定期的に実施をし、その都度問題点を整理し、感染症の疑いのある患者の発見時の緊急事態に移行できるよう体制整備に努めてまいりたい、このように思っているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
是非マニュアルの見直しもしっかりとやっていただきたいと思います。
それで、今回はたまたま台湾に帰国した患者さんの知り合いの方が電話をしていただいたからこの患者の発生ということが把握できたわけでありますけれども、いつもそうなるとは、当然のことですけれども、限らないわけであります。
そこで、例えば中国や台湾との患者情報の連絡体制はどのようになっているんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
中国やWHO非加盟の台湾など、世界各地のSARS所見を呈する者の疫学情報はWHOに一元的に集約され、公表される体制となっているところでございます。直ちにメール等でまた報告を行ったり、入ってくるような体制になっているわけでございます。また、個別の国内のSARS疫学情報につきましては、外務省と連携いたしまして、在外公館等を通じて入手を行っているところでございます。
なお、今回の台湾人医師問題に関連いたしまして、台湾人医師の臨床所見、ウイルス検査結果等につきましては、財団法人交流協会を通じて必要な情報の収集を行ったところでございます。
- 浅尾 慶一郎
今御答弁いただきましたWHOに疫学的な報告があるというのは、例えば台湾で何件新たに発生したということしか報告は行かないはずでありまして、その人が発症する前にどこにいたかということはWHOの報告の中には入っていないわけであります。
ですから、私の質問は、本来WHOも、言い方はいろいろあると思いますが、物すごく簡単に言ってしまえば、患者さんがその前にどう行動していたかを把握して、そして感染を防ぐというのがWHOのマニュアルであります。それは多分正しいんだと思います。だとすると、WHOに、例えば中国で何件とか台湾で何件とかという報告、数が行ったとしても、今回のようにもしかしたら日本に来ている、あるいはその他の国の中にも来ているという人がいるかもしれない。だとすれば、それぞれの国との間で、発生をした患者さんの行動については日本国に対しても、仮に日本にその前後にいたと、後ということはないでしょうけれども、前にいたということであれば報告をしてくれというような体制を組むべきではないかというふうに思いますが、そうした働き掛けを外務省を通して外国政府に対してするおつもりはないんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
4月の26日にマレーシアのクアラルンプールにおきまして、ASEAM九か国と日本、中国、韓国及び香港特別行政区の保健大臣等がSARS対策特別会合を開催いたしました。坂口厚生大臣も、我が国から坂口厚生大臣も出席をしたところでございます。そして、SARSの制圧につきまして、必要な対策について協議をし、共同宣言を採択したところでございます。
共同宣言におきましては、各国が講じる手段として、各国の情報交換の窓口を設置し、感染の疑いのある旅行者等に関する情報を各国と迅速に交換する等が合意されておりまして、我が国もSARSの早期終息に向け全力で取り組むこととされているところでございます。
また、今回の台湾人医師の問題にかんがみまして、5月20日、台湾との交流窓口である財団法人交流協会におきまして、健康局から駐日台北経済文化代表事務所の代表に対しSARSにかかわる迅速なまた詳細な情報の提供要請を行ったところでございます。
今後とも、SARSの対応につきましては関係国との連携をより一層密にしてまいりたいと、このように思っているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
私の質問は、現在のところ我が国においては幸いにしてSARSを発症したケースというのはないということになっておりますが、外国から入ってくる可能性が否定できないという現状の中において、仮に外国で発生した、それは、今台湾についてはもう少し情報がいただけるようになるという御答弁というふうに理解いたしましたが、例えば中国とかで発生したケースで、その方がその前に、潜伏期間中に日本にいた場合にも、そういうケースについては是非教えてほしいという体制を組むべきだと思いますし、もっと言えば、それはマルチの枠組みでWHOの中でも、単に件数ということだけではなくて、ほとんどそういう例はないということなのかもしれませんが、患者さんになった人の発症前の行動について、仮に海外に行っていたということであればそのことを報告するということも枠組みとして作るべきではないかと。
今のASEANの保健担当大臣の合意、共同宣言というのが果たしてどの程度の拘束力があるのかどうか分かりませんが、そうした体制の整備に努めるべきではないかというのが私の質問の趣旨でありまして、その点についての努力されるのかどうか、簡潔に伺いたいと思います。
- 木村 義雄氏(副大臣)
その部分もその会談において合意されておるということでございます。
- 浅尾 慶一郎
次の質問でありますけれども、今回は当該患者さんの宿泊先や交通機関に関する情報が公表されました。SARSの患者に関する情報は何を公開することに従来なっていたのか、そして今回は例外扱いであるということであるけれども、その理由はどういうことなのかということを伺いたいと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
一つは迅速に国民の皆さんに情報を提供しなければならないということと、患者さんのプライバシーをどう守るかということと二つあるものですから、その間で現在決めておりますのは、具体的には都道府県名、そして性別、それから年齢は何十歳代という年代、それから国籍、それから渡航地域あるいは渡航期間、どこかに、どこへどういう旅行をしていたか、あるいは向こうからお帰りになったか、それから病状と、どういう人に接触をしていたかということが分かればそれを公表するということに実はなっているわけでございます。
しかし、今回の場合には広範に移動をしていたということがございますし、あるいはまた都道府県をまたがって移動をしていたということがございました。したがいまして、接触者を特定することが困難であったということがございまして多くの皆さん方の不安が募ったというようなことで、ホテルやあるいはまた食事をされたところのそこにもお願いをいたしまして、そして公表に踏み切らさせていただいたということでございます。
- 浅尾 慶一郎
旅行者であるということで非常に広範な移動をされたということなのかもしれません。しかし、仮にこれ、我が国、日本の方、日本に住んでおられる方だったとしても、場合によっては仕事の関係等々で国内移動される、あるいはその移動に伴って多くの方が利用される交通機関とかが使われるといったようなことも当然考えられるわけでありまして、その扱いということについて、やはり国民が安心し、また同時に、パニックに陥らないような統一的な扱いを決めておいた方がいいのではないかなというふうに思いますが、その点についてはどのように考えられますか。
- 坂口 力氏(国務大臣)
それは御指摘のとおりだというふうに思っております。
あらあらの我々も考え方というのは先ほど申しましたようにまとめているわけでございますが、その人の行動が不特定多数の皆さん方と一緒になられるというようなケースがあります場合、例えばどこどこの駅から何時の電車に乗ってどこどこで降りられたかというようなことがあります場合に、それもやはり明らかにしなければならないんだろうというふうに思っております。
御本人のプライバシーを守るということは大事でございますけれども、一番大事なことは感染を拡大をしないということでございますので、感染拡大をさせないということを大前提にして、そしてプライバシーを最大限どこまで守るかということではないかというふうに思っております。
- 浅尾 慶一郎
次に、輸入食品の安全性についてお伺いをいたします。まず、先日の委員会でも問題になりました養殖のトラフグへのホルマリン使用の問題について、国内については対応がされたわけでありますけれども、海外から輸入されるものについてはこれがよくホルマリンが使われているかどうかというのが分からないケースも多いということでありますけれども、その点についてまず農水省にお伺いいたしますけれども、海外から輸入される海産物で養殖物はどのくらいありますでしょうか。また、うちフグはどのくらい輸入されておりますでしょうか。
- 渡辺 孝男氏(大臣政務官)
水産物輸入の件でございますけれども、財務省の貿易統計によりますと、昨年の我が国の水産物輸入量は合計で382万トンでありますが、貿易統計には天然物と養殖物との区別がないために、養殖水産物の輸入量は不明でございます。
他方、フグの輸入に関しましては、厚生労働省が輸入者からの届出をベースに取りまとめておりまして、これによれば、速報ベースで昨年のフグの輸入量は1万6,467トンであり、中国及び韓国から輸入されております。このうち、養殖物は11%に当たる1,749トンでございまして、ほとんどが中国産と聞いておるところでございます。
- 浅尾 慶一郎
では、例えば海外のフグ、養殖物のフグへのホルマリン投与についてどのような規制になるんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
厚生労働省では、養殖トラフグに寄生虫駆除の目的でホルマリンが使用されているという情報を得まして、平成九年に調査を実施いたしましたところ、天然トラフグとホルマリンを使用した養殖トラフグの可食部のホルマリン濃度には差がなく、ともに安全性に問題のないレベルであったわけでございます。
このように、養殖時のホルマリン使用とフグ可食部のホルマリン濃度の間に明確な関係が見られないため、輸入時検査の対象項目とはしておらず、輸出国における使用状況についても特段の情報収集を行っていないところでございます。
- 浅尾 慶一郎
しかし、御案内のとおり、薬事法が改正されまして、ホルマリン等動物用医薬品の使用について規制が強化されたわけであります。その改正の趣旨は、御案内のとおり、可食部においては関係がないということではなくて、やはりこれは問題があるだろうと。もちろん、そのホルマリンが使われることによって海洋全体への影響ということもありますが、しかし、その食品においても問題があるということで改正されたというふうに理解をいたしております。ですから、今の副大臣の御答弁だと、そもそもそんな改正は必要なかったんだということになりますが、そうではなくて、やはり食品の安全性上、やはりこれは問題があるということではないかなというふうに思います。
そうだとすると、海外における使用について状況すら分からないということでは、これはやはり問題ではないかなという点もあろうかと思いますし、また同時に、生産の観点からいいますと、これはホルマリンを使えば寄生虫が駆除できるということで、恐らく、ホルマリンを使っているということになりますと、国産物と海外物との競争条件も変わってきてしまうという問題もあるんじゃないかと。
ですから、様々なことを勘案すると、輸入物であっても、輸入の養殖物であってもこれは規制をすべきではないか、あるいはそういうことを考えるべきではないかというふうに思いますが、その点についてどのように考えておられますでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
食品衛生上の問題がないにもかかわりませず、なぜ薬事法の規制が強化されたかという質問だと思うわけでございますけれども、今回の薬事法の改正は農林水産省所管の動物用医薬品についての改正でございまして、直接お答えする立場に私どもはありませんが、今回の改正は水産用医薬品の適正使用の徹底に取り組まれるものでありまして、養殖場におけるホルマリンの投与につきましては、一義的には漁場の保全、他の魚や貝への影響とか環境保護の観点から対応されるべき問題と、このようにとらえているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
漁場保全というのはそのとおり、そういう側面もあろうかと思いますが、これはどちらかというと農水省にかかわるものかもしれませんが、後段の日本の生産者と海外の生産者との同じ条件ということを考えると、そこは何らか考える側面もあるんではないかということだけ指摘をさせていただきたいと思います。
時間の関係で次の質問に移らさせていただきますが、輸入食品と先ほど来伺っておりますSARSとの関係を伺ってまいります。
そこで、新型肺炎の原因となりますコロナウイルスは人間の体外で2日から4日ほど生存するという研究があるようですけれども、まずこれは、最適な条件であれば2日から4日生存するという理解でよろしいでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
5月4日にWHOはSARSコロナウイルスが体外で生存する期間についてのWHO研究ネットワークによる研究結果を発表いたしたところでございます。
これによると、生存期間は培養条件、研究が実施された施設により多様でございましたが、栄養分を補給した培養液中などでは2日から4日間生存したという結果を得られております。
- 浅尾 慶一郎
実は、当委員会で先日、築地の市場を見学する機会がありました。その中に、例えば水産物でも、例えば中国産のアカガイとかいろんな海外産のものが現に市場に並んでいるわけでありますけれども、中国や台湾からの生鮮輸入食品で生産から2日から4日以内に日本の消費者の手に渡るものというのはどのぐらいあるんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
中国や台湾から輸入された食品について現地での生産から我が国の店頭に到達するまでの日数を輸入者の団体でございます社団法人日本輸入食品安全推進協会や社団法人日本青果物輸入安全推進協議会に照会をいたしましたところ、航空輸送では最短約二日、船舶輸送では最短七日程度要するとの報告を受けているところでございますが、航空輸送でこれらの地域から輸入されるのは一部の活魚介類等に限定されていると聞いているところでございます。
なお、航空輸送で最短2日で輸入されるものは主にパイナップル、カニ。中国産活アカガイにつきましては最低四日要するということでございました。
- 浅尾 慶一郎
航空輸送では最短2日ぐらいで入ってくるものがあると。今、アカガイの例は最低四日ということでありましたけれども。
例えば、輸入食品が中国や台湾の生産現場でコロナウイルスに汚染された場合、その輸入食品からの経口感染の可能性ということも否定はできないというふうに思います。SARSそのものは経気道感染ということだと思いますけれども、それは疫学的にそういった経口感染の情報がないということで今一応経気道感染というふうにおっしゃっておられるんだと思いますが、一方で、口の中に入れたものがそのまま気道に何らかの形で入るという可能性も否定はできないわけだと思いますけれども、輸入食品がウイルスの感染を媒介する可能性ということについては、今申し上げましたような理由で可能性は否定できないというふうに思いますが、その点についてはどのように思われますか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
WHOが本年4月の11日に発表したWHO加盟国へのSARS伝播確認地域から到着する物品及び動物に関する情報によりますと、WHO、FAO、これは国連食糧農業機関でございます、そしてOIE、国際獣疫事務局は、SARSの伝播に関して受け取った報告を詳しく検討をいたしました。本日までのところSARSの伝播確認地域から積み出された物品や製品や動物との接触がヒトのSARSの感染につながったという疫学的な情報はございません。このような理由から、WHOはSARS伝播確認地域からのどのような物品、製品又は動物との接触も今のところ公衆衛生上の危害はないと考えているとされているところでございます。
このように、現在のところ生鮮食品や冷凍食品を含めました輸入食品を通じてSARSが感染する危険はないとされているところでございますが、今後とも、輸入食品の安全性確保のため、SARSに関する情報の収集を図り、必要に応じて適切に対応をしてまいりたいと、このように思っているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
今言われたのは、WHOの報告では疫学的情報として食品による感染というものがないということでありますけれども、これは病理学的に見てそうなのかというとちょっと違うのかなというふうに思います。
なぜならば、現に厚生労働省のホームページにSARSに関するQ&Aのところで、「感染はウイルスが口や鼻の粘膜につくことで起こります。」と書いてあります。これ、もし鼻から吸い込まなければ感染しないのなら、口ということは書かなくてもいいわけでありますし、また鼻から吸い込まなければ感染しないということであれば、患者の触ったようなものを消毒するようホームページで呼び掛けているのは理屈に合わないということになってくるんじゃないかなというふうに思います。そうすると、その可能性ということはやはりあるんではないかなというふうに思いますので、厚生労働省として自ら調査研究に乗り出す必要性もあるんではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
- 坂口 力氏(国務大臣)
御指摘のとおり、このSARSのウイルスにつきましては現在研究途上にあるわけでございまして、先ほど副大臣が申しましたように、現在整理をされております情報によりますと、物品やあるいはペット等からはうつらないだろうということを言っているわけでございますが、すべてのことがそれじゃ食べ物からは否定できるかといえば、これはやはり、今後もう少し研究が進んでいかないと、そう完全にそこを言い切るということもなかなか今はできない状況ではあるんだろうというふうに思っております。
こうした面につきましてはかなり各国ともに研究を重ねておりまして、全国、全国と申しますか、世界の13に及びます研究所が、それぞれの研究を毎日連携を取りながら、そして研究結果をお互いに発表し合っているという状況でございます。
日本におきましてもいろいろの研究をいたしておりますが、やはりこれだけ多くの食べ物を輸入をしている国でございますから、そうしたことにつきましてもできれば日本の国自身もやはり検討をしていかなければならないんだろうというふうに思っております。
一応、総務省の同意も得ましたので、研究所におきましても15名増員をすることにいたしまして、そして早急にこの研究体制も強化をしたいと、こういうふうに考えているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
是非、まだよく分からない部分の多い病気でありますから、様々な可能性について積極的に日本の国としても、今、大臣が御答弁されましたように、研究をしていただきますようにお願いをしたいというふうに思います。
そこで、例えば日本向けの輸出食品の生産工場でSARS患者が発生したようなところはないと言えるんでしょうか。今報道されていますところでいいますと、日本との合弁の例えば電器の会社であればSARS患者が出たということは報道されていますが、直接不特定多数の人の口に入る可能性がある食品の生産工場等でSARSの患者が発生したところがあるかないのか、その点について伺いたいと思いますが。
- 木村 義雄氏(副大臣)
各国におけます患者の発生状況につきましては、WHOや発生国政府のホームページにおいて発生者総数や地域別の発生者数について公表されているところでございます。
しかしながら、現在のところ食品を介してSARSが人に感染する危険はないと考えられているところから、輸出食品の生産工場でのSARS患者の発生状況につきましてはWHO等の調査は行っておらず、我が国としても情報収集を行っていないところでございます。
- 浅尾 慶一郎
今の副大臣の御答弁は、先ほど来の議論の中でありますように、今まで食品を通して感染した例はないと。しかしながら、同時に、そのSARSについてまだよく分からない部分もあるし、現に口や鼻の粘膜を通して感染するんだということもホームページで言っておられるわけですから、そうだとすると、先ほどのケースと若干似ておりますけれども、件数がどれくらいということだけではなくて、どういったところで働いていた人がどうなったかという、症状を発したのかということについてもお互いに情報交換をする体制は作っておいた方がいいんではないかというふうに思いますが、政府間でそうした情報交換を協議するつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
- 木村 義雄氏(副大臣)
御指摘の輸入食品の安全確保対策におきましては、輸出国における対策が重要となる場合には、従来より、二国間協議や現地調査等を行いまして、輸出国における生産、製造過程を含めた対策を輸出国政府や輸入業者に求めているところでございます。
現在のところSARSが食品を介してヒトに感染するとの疫学的知見はWHOの共同研究でも報告されていないところでございますが、今後、万が一食品を介した感染について知見が報告された場合には、食品衛生法に基づきまして汚染食品が輸入されないよう措置をするとともに、二国間協議を通じ、輸出国に対し安全対策を強く求めていくこととしているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
今の副大臣の御答弁ですと、今のところそういうケースは出ていないと、一方で、先ほど来も申し上げておりますように、可能性は100%否定できないけれども、今のところそういうケースは出ていないから、ケースが出たら考えたいというふうな御答弁だと思いますが、本来はそうではなくて、もちろんできる範囲というものもあるでしょうけれども、情報収集についてはしっかりとやっていくべきではないかなというふうに思いますので、その点は指摘をさせていただきたいというふうに思います。
もし大臣の方で今の点について御答弁があれば伺います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
先ほど副大臣申したとおりでございますが、特に熱を加えて造りますものにつきましては、この菌は熱に非常に弱いですから、それは私は問題ないというふうに思うんですが、そうでないもの、これは輸入されるものもございます。非常に湿度の高く、そして人の手を煩わすもの、そうしたものがないとはこれ言えないわけでありまして、そうしたものにつきましての注意というものはやはりしていかなければならない面があろうかと思います。そうしたこともよく、これは厚生労働省だけではなかなか把握のできないところございますので、農林水産省なりあるいはまた経済産業省なり、よく連携取りまして、念には念を入れてという意味で、そうしたものにつきましての関心というものも十分に持っていきたいと思っております。
- 浅尾 慶一郎
是非お願いをしたいと思います。
次に、SARSとの関連で、ちょっと若干その今の法律案とはずれますけれども、労災認定という問題が出てきておりますので、これについて伺っておきたいと思います。
御案内のとおり、今海外にいられる日本人、もちろんいろんなケースがあると思いますが、大きく分けますと、海外出張の場合とそれから海外の現地法人等に派遣されている場合と二くくりあると、もちろんその他もありますが、二くくりあるというふうに思いますが、その場合で、SARSに仮に海外出張で感染してしまった場合とそれから海外の現地法人に派遣しておられてSARSに感染した場合で労災の認定が違うというふうに伺っております。その点についてまず御説明をお願いしたいと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
海外出張中と海外に派遣をされている場合でございますが、海外に出張を命じられて出張中に罹患をいたしましたときには、これは業務上の疾病といたしまして労災補償の対象になります。
それで、海外に派遣をされておりますときには、これは長期にわたるわけでございますから、その中で例えば土曜や日曜日、御家族と一緒にどこかへ出掛けられるというようなこともあるわけでございますので、そうした海外派遣の場合にはすべてが対象になるわけではございません。ただし、ある企業にお勤めになっていて、そして企業の中でそういう発生が明らかになりまして、そして罹患をしたといったようなときには、これは対象になるわけでございます。
疾病のことでございますから、どこで罹患したかということを決め難いこともございますけれども、比較的SARSの場合には、近くにそういう人がいたときに罹患するわけでございますので、比較的分かりやすいだろうと思います。これがインフルエンザ等になってまいりますと、どこで罹患したのか分からなくなってしまいますが、この場合には分かります限りそうした対象になるというふうに思っております。
- 浅尾 慶一郎
今お答えいただいたとおりでありまして、単純に言ってしまえば、海外出張でSARSにかかった場合はすべて労災の対象になる、海外派遣の場合は、土日にかかった場合はこれは因果関係が違うということでならない、ところがそうでない場合は、因果関係が立証できれば労災の対象になるということでありますけれども、確かに因果関係が立証されるケースもあろうかと思いますが、通勤途上でSARSに、海外の通勤途上でSARSの菌に感染したのか、それとも土日にデパートにでも買物に行って感染したのかというのは、これは因果関係はほとんど説明するのが難しいような事例もあると思います。
一方で、今御答弁いただいたのは労働基準局長の通達でありますから、また非常に関心も高い問題でもあり、なおかつ出張と海外派遣とで差を付ける合理的な理由というのはこの問題については余りないんではないかというふうに思いますし、また、今申し上げましたように、繰り返しになりますが、因果関係の説明、立証というのもなかなか困難だというふうに思います。
そこで、この点について、出張と海外派遣の場合の取扱いのSARSにかかわる部分、せめてSARSにかかわる部分についてはこれを見直しをすべきだというふうに思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
労災の場合には業務に起因するということが大原則でございますから、海外に派遣をされております人が罹患をいたしましたときに、それはどこでしたかということが問われるわけでございます。
そのときに、今御指摘になりましたように、通勤途上でかかることもこれはあるわけでありまして、その場合には、これは通勤のときというのは業務の中に入るわけでございますから、特別にどこかにバカンスか何か取って旅行に行って、そこで近くに居合わせてなったというようなことが明確でない限り、これはやはりできるだけ幅広く取るということになるんでしょう。そこはしかしケース・バイ・ケースでございますから、そこでしっかりとお聞きをして決定をするということでございます。
- 浅尾 慶一郎
繰り返しになりますけれども、例えば長期出張の場合であっても、出張であればこれはすべからく労災認定の対象になる。一方で、派遣ということであって、土日にかかったのか平日の通勤でかかったのかというのがなかなか本当のところは分からないんだと思いますので、そこを幅広く取るという形で通達を扱っていただければ海外での労災に関しても不利益にはならないんではないかと思いますので、是非そうした取扱いをしていただきたいというふうに思います。
もし、その点について御発言があれば伺いたいと思います。
- 坂口 力氏(国務大臣)
よく分かるお話でございますので、よく検討させていただきます。
- 浅尾 慶一郎
次に、健康増進法の一部改正について伺ってまいります。
5月1日から施行されております健康増進法第25条の受動喫煙の防止措置について4月30日に通知が出されておりますけれども、小さな飲食店や遊技場などでは分煙といってもなかなか無理な面があるんではないかなというふうに思います。その場合にはどのように対応したらいいんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
健康増進法第25五条は、多数の者が利用する施設につきまして、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨規定をしているところでございます。
これは画一的な受動喫煙防止の措置を取ることを義務付けるものではなく、各施設の規模や利用状況に応じ受動喫煙を防止するための措置を取るよう努力をしていただく、努めていただく趣旨のものでございまして、具体的な取組内容につきましては、今後、事例集の作成等を行うこととしているので、飲食店等につきましても、これを参考とするなど規模や利用の状況に応じた取組を行っていただければと、このように考えているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
次に、少し時間がありますので、輸入ホウレンソウについて伺っていきたいと思いますが、また残留農薬が検出されております。輸入業者に対して輸入自粛を通知したようですけれども、こうした通知には強制力はあるんでしょうか、ないんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
冷凍ホウレンソウに係ります輸入自粛の通知につきましては、輸入業者に対し当該品の輸入を自主的に控えるよう指導を行うものでございまして、法的な強制力はございませんが、これまで大部分の輸入業者は指導に応じているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
一方で、今回のケースでいいますと、中国側においては、中国側は当然輸出になるわけでありますけれども、個別業者について、輸出禁止のための措置を取らなかった場合、食品衛生法の第4条の3による輸入禁止措置は取るんでしょうか、取らないんでしょうか。
- 木村 義雄氏(副大臣)
昨日、5月21日でございますが、中国政府から在中国大使館を通じて提供された情報によりますと、基準値を超えたクロルピリホスを検出した冷凍ホウレンソウを輸出した現地の二次業者に対しましては、中国政府により輸出停止の措置が既に講じられたところでございまして、当該二次業者に対しまして直ちに法律に基づく輸入禁止措置を取る必要はないと、このように考えているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
今回が輸入ホウレンソウについて2回目ということになりますが、前回問題になったときに日中間で対策をまとめたということでありますが、この対策は厚生労働省の食品保健部長と中国の食品安全局長がサインしたものにすぎないわけでありますけれども、こうした文書の法的拘束力については外務省としてはどのように考えておられるでしょうか。
- 日出 英輔氏(大臣政務官)
先生今お尋ねのお話は、経緯も十分御承知の上でのお尋ねだと思いますので、経緯につきましては答弁を省かせていただきます。
お話しのように、一般的に、こういった討議の記録という形で整理をし、両当局の責任者がサインをしている、これは当然法的拘束力はないわけでございます。ただ、これは、こういった残留農薬の問題につきましては極めて科学的知見がきちっとしておりますので、その上で、両国の当局責任者が取るべき措置を話し合った上で整理をしたということでありまして、これは事柄の前進に大いに寄与するものというふうに考えております。
- 浅尾 慶一郎
両国の当事者が十分話し合ったものであるから、信義則にのっとって、法的な拘束力はないけれども、それに従ってやってもらえるんではないかという御答弁だというふうに理解をいたします。
しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、2回目の残留農薬が検出されているということで、その個別の業者については輸出禁止の措置が取られたからいいんだということかもしれませんが、しかし2回目があれば3回目もあるかもしれないということも言えるんではないかなというふうに思います。
そこで、今後、例えばホウレンソウについてはどのようにその安全性を確保するつもりか、政府としてどういうふうに考えているか、あるいは政府間で再度協議するつもりはあるかないか、その点について伺いたいと思います。
- 木村 義雄氏(副大臣)
中国産冷凍ホウレンソウにつきましては、今回の問題を受けまして、中国政府に対し、違反企業の中国衛生当局への登録の取消し及び当該企業からの輸出の禁止、すべての冷凍ホウレンソウに対する中国衛生当局からの衛生証明書の発行停止、衛生証明書を発行いたしませんと、これは輸出が不可能になるわけでございます。それから、原因究明及び改善措置の検討を行った上、二国間協議を行うための担当官の来日を要請したところでございます。
また、我が国の輸入業者に対しましても、5月20日付け食品保健部長通知によりまして輸入自粛の指導を行っているところでございます。
今後、中国側から原因究明及び再発防止に関する改善措置につきまして報告を受け、二国間協議を行うこととしておりまして、これも踏まえて、第4条3の規定の発動の要否を含め、冷凍ホウレンソウの安全性確保の具体策についてしっかりと検討してまいりたい、このように思っているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
是非、何というか、いろんな事柄が起きてからの対応ということではなくて、枠組みとして対応を考えていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
少し時間が残っておりますので、通告した問題の最後、一度一部飛ばした部分、戻らせていただきまして、健康増進法の一部改正について、最後の一問伺わせていただいて、私の質問を終えますが。
先ほど、小さな飲食店や遊技場などでは、なかなか分煙についても、これは努力義務であって無理な部分があるということは分かるというような御答弁でありましたけれども、努力義務であっても、一方で換気扇を付けていくとか様々なことを飲食店等に推奨はしているんだというふうに理解をいたしております。そうだとすると、現在は国民生活金融公庫の制度融資等を使って、その換気扇等の費用の一部、そうしたことが促進できるような制度があるんだと思いますが、もう少し何らかの、国としての分煙が促進できる、あるいはそうした飲食店等々において分煙が促進できるような支援制度ということは考えるつもりがあるのかないか伺って、私の質問を終わります。
- 木村 義雄氏(副大臣)
厚生労働省といたしましては、助成制度の創設はなかなか難しいと考えているところでございまして、健康増進法の趣旨を踏まえ、本年度から、飲食店などの生活衛生関係営業者が受動喫煙防止のための施設や設備を設置する際に国民生活金融公庫による融資を利用できる制度を創設し、これらの営業者等の自主的な取組を推進しているところでございます。
この融資制度のほか、施設の規模や利用状況に応じた取組事例を紹介することも考えており、これらの取組などにより営業者等の自主的な取組を支援してまいりたいと思っております。
なお、これ以上のことは、御承知のように我が国には財務省という役所もございまして、その辺も含めて、これからなかなか先生の御期待にこたえられるかどうかはその辺の動向も懸かっているのではないか、このように思われるところでございます