公務員の共済年金及び退職金に関する質問主意書
平成16年4月2日

政府は、いわゆる「聖域なき構造改革」を実際にはいくつかの聖域を残したままで進めている。その結果、国民には痛みばかり押し付け、将来への展望は開けないという、構造改革本来の趣旨とは明らかに違った方向へと進みつつある。

政府の「構造改革」の聖域となっている代表的な例が公務員制度である。公務員制度には、国民の目には触れにくい形で様々な民間との不均衡が存在する。公務員に労働基本権を付与した上で、これら公務員制度に隠された「歪み」を正し、民間部門との公平性を確保してこそ初めて真の構造改革が実現し、また、憲法第15条第2項にいう「全体の奉仕者」との趣旨が達成されるものと考える。

このような観点から、標記について以下質問する。


1. 国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金において、退職年金の平均額(受給総額を受給人数で除したもの)はいくらか。また、厚生年金における退職年金の平均額(受給総額を受給人数で除したもの)はいくらか。

1.についての回答
平成14年度末現在において、国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金における退職年金(以下単に「退職年金」という。)の平均月額並びに厚生年金における老齢年金(以下単に「老齢年金」という。)の平均月額は、別表のとおりである。

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2. 公務員の共済年金における退職年金の平均額は厚生年金における退職年金の平均額をかなり上回っており、民間準拠という公務員の勤務条件の原則に反すると考えるが、政府の見解はどうか。

2.についての回答
実際に個々人が受給する退職年金又は老齢年金の額の多寡は、給付の仕組みの違いのみならず、受給者の組合員期間(被保険者期間)の長短や組合員(被保険者)当時の雇用形態等の影響を受けるものである。退職年金と老齢年金とでは、受給者の平均組合員期間(平均被保険者期間)や組合員(被保険者)当時の雇用形態等が異なっており、こうした事情を捨象し、1.についてで述べた平均月額を単純に比較して、退職年金の給付水準を論ずることは適当でないと考える。

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3. 政府は国家公務員の退職金額を決定するに当たり、民間の退職金の水準を調査している。この調査では、民間の退職金額としていわゆる企業年金を一時金に換算した額も含めたものを用いている。
国家公務員の退職金額には、企業年金に相当する共済年金の職域加算分を含まない金額を用いる一方で、民間の退職金額として企業年金を含めた金額を比較対象とするのでは不均衡であると考えるが、政府の見解はどうか。
また、この政府調査によると、民間の退職金額の四割が企業年金を現在価値に置き換えたものだが、平成14年度及び平成15年度の国家公務員及び地方公務員の退職金支給総額の四割に当たる金額はいくらになるか。

3.についての回答
国家公務員の退職手当は、勤続報償を基本的性格とするものであり、その支給水準については、官民均衡を図る観点から、民間企業の退職金の支給水準を調査し、これを参考にして決定しているところである。民間企業の企業年金の多くは、退職一時金と代替的であるなど、退職金制度の一環として機能していることから、民間企業退職金実態調査においては、退職金に相当する企業年金の企業負担分もその対象に含めている。一方、国家公務員共済年金の職域加算部分は、公的年金の中で、公務の能率的運営に資するという観点から、国家公務員に様々な身分上の制約が課されていること等を踏まえて設けられたものであり、その給付水準は民間企業の企業年金の支給水準との関係で設定しているものではない。このように、国家公務員共済年金の職域加算部分は、勤続報償を基本的性格とする国家公務員の退職手当とは異なる性格のものであることから、これを退職金の支給水準の官民比較の対象に含めていない現状は妥当なものであると考える。
なお、民間企業退職金実態調査において民間企業の平均退職金額に含めている企業年金(企業負担分)の額は、受給形態を年金とするか一時金とするか選択できるものも含め、制度上年金の形態で設計されている退職金の現価額であり、その平均退職金額に占める割合は約35.2%である。平成14年度の国家公務員の退職手当の支給総額は約8,876億円であることから、35.2%に相当する額を単純に計算すると約3,124億円となる。また、平成14年度の地方公務員の退職手当の支給総額は約2兆1,385億円であることから、35.2%に相当する額を単純に計算すると約7,527億円となる。平成15年度については、現段階において決算が取りまとめられていないため、これらと同様の額をお答えすることは困難である。

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4. 去る3月23日の予算委員会において、公務員は労働三権や守秘義務等の点で民間労働者と比較して制限があるので、退職金で民間の企業年金に相当するものを一時金で支払った上で、共済年金の職域加算があっても仕方ないという趣旨の政府答弁があった。
  1. 公務員に労働三権を付与した場合、かかる退職金の優遇措置は撤廃するのか。
  2. 民間労働者でも個人情報保護法等により一定の秘密を守る義務のある場合もあり、守秘義務の存在が退職金優遇の根拠として説明されるのは不適当と考えるが、政府の見解はどうか。
  3. 職域加算が存在する理由について、国家公務員共済年金の掛金率が厚生年金の保険料率よりも高い部分で給付がまかなわれていることがあると聞く。他方、地方公務員共済年金については、掛金率が厚生年金の保険料率よりも低いのにもかかわらず、運用収入で職域加算に必要な財源を捻出していると聞く。これらの認識で誤りはないか。
    これらの認識が正しいのであれば、国家公務員共済年金についても、職域加算部分の財源を運用収入でまかなえるよう資金運用を改善し、掛金率を引き下げて事業主負担分に当たる一般会計支出を削減すべきと考えるが、政府の見解はどうか。
    さらに、厚生年金についても、地方公務員共済年金と同等の運用実績を上げることで、保険料率の引上げを阻止すべきと考えるが、政府の見解はどうか。

4.-1及び4.-2についての回答
国家公務員の退職手当の支給水準については、官民均衡を図る観点から、民間企業の退職金の支給水準を調査し、これを参考にして決定しているところであり、国家公務員の労働基本権の制約及び守秘義務とは何ら関係ない。
なお、本年3月23日の参議院予算委員会において、総務大臣が国家公務員の身分上の制約について言及した趣旨は、国家公務員共済年金の職域加算部分が退職手当と異なる性格のものであり退職金の官民比較の対象にはなじまないことについて述べたものである。

4.-3についての回答
保険料率は、職域加算部分の有無等の給付の仕組みの違いのみならず、年金の成熟度、組合員(被保険者)及び受給者の年齢構成、受給者の組合員期間(被保険者期間)、積立金の状況など様々で複雑な要因の影響を受けるものである。したがって、国家公務員共済年金、地方公務員共済年金及び厚生年金の間の保険料率の差と職域加算部分の有無とは直接対応するものではなく、お尋ねの認識は当たらないと考える。

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