国家公務員宿舎に関する質問主意書書
平成16年4月6日

政府は、いわゆる「聖域なき構造改革」を実際にはいくつかの聖域を残したままで進めている。その結果、国民には痛みばかり押し付け、将来への展望は開けないという、構造改革本来の趣旨とは明らかに違った方向へと進みつつある。

政府の「構造改革」の聖域となっている代表的な例が公務員制度である。公務員制度には、国民の目には触れにくい形で様々な民間との不均衡が存在する。公務員に労働基本権を付与した上で、これら公務員制度に隠された「歪み」を正し、民間部門との公平性を確保してこそ初めて真の構造改革が実現し、また、憲法第15条第2項にいう「全体の奉仕者」との趣旨が達成されるものと考える。

このような観点から、標記について以下質問する。


1. 国家公務員の宿舎及び駐車場の使用料については、従来から民間の家賃や賃料に比べて不当に安いことが指摘されている。民間企業がその社員に社宅等を貸与する場合、所得税基本通達36−47等の規定により、土地・家屋の固定資産税課税標準額から算出した賃貸料相当額の50%を下回る金額で貸し出した場合には、その賃貸料相当額と社員から徴収する賃貸料との差額が給与所得とされ、所得税が徴収されることとなる。
  1. この通達は、公務員についても適用されるものと理解してよいか。
  2. 平成15年度において、東京都内及び横浜市内の国家公務員宿舎及びその駐車場について、この通達の基準で算定した賃貸料相当額と実際の使用料を、宿舎別及び駐車場別に示されたい。
  3. 平成15年度において、前項で掲げた国家公務員宿舎に居住する国家公務員のうち、この通達により課税すべき者はいないのか。いる場合は、当該宿舎名又は駐車場名を示されたい。いない場合は、課税すべきでないと判断する理由を明らかにされたい。

1.-1についての回答
所得税法(昭和40年法律第33号)第36条及び所得税法施行令(昭和40年政令第96号)第84条の2の規定により、給与所得者たる使用人が雇用主の資産を専属的に利用している場合において、雇用主に支払っている使用料がその資産の利用について通常支払うべき使用料より低い額であるときは、その差額である経済的利益の額は、その給与所得者の収入金額に含まれて課税対象となる。
給与所得者たる使用人が雇用主から住宅を貸与されている場合は、その住宅の貸与が職務と密接に関連しており安定性に乏しい点で一般の賃貸住宅の貸与と性格を異にしている面があること等を考慮し、通常支払うべき使用料の月額を別紙の計算式により算定する旨を、国税庁の所得税基本通達で定めている。
また、給与所得者が実際に支払っている使用料の額がこの計算式により算定した額の50%相当額以上であるときは、その給与所得者が住宅を貸与されることによる経済的利益はないものとする旨を、所得税基本通達で定めている。
この場合において、別紙の計算式により算定した通常の使用料の額は、全体としてみれば妥当な基準となっていると考えられるが、個々の家屋の老朽の程度、構造等の違いにより、必ずしもその利用価値を反映しない場合もあるため、雇用主が、住宅を貸与したすべての給与所得者から、その住宅の状況に応じて均衡のとれた使用料を徴収しているときは、住宅の貸与に係る経済的利益の有無を、個々の住宅ごとでなく、貸与している住宅の全部又は事業所等ごとの住宅の全部を基として判定して差し支えない旨を、所得税基本通達で定めている。
これらは、国家公務員の場合であっても同様に適用される。

1.-2についての回答
平成15年4月1日における、東京都内及び横浜市内の国家公務員宿舎について別紙の計算式により算定した通常の使用料の額、これらの国家公務員宿舎の実際の使用料の額及びこれらの国家公務員宿舎の駐車場の実際の使用料の額は、別表第一のとおりである。
なお、一般に、雇用主が住宅を貸与している使用人に対し、住宅の敷地の一部を駐車場として貸与する場合は、その駐車場を設置・維持するために要する費用を基礎として合理的に算定した使用料を徴収していれば、その駐車場の貸付けを受けたことによる経済的利益はないと考えられるが、これについては、その算定方法を所得税基本通達に特に定めていない。

1.-3についての回答
1.-1についてでお答えしたとおり、所得税基本通達では、雇用主がその貸与した住宅の状況に応じて均衡のとれた使用料を徴収しているときは、住宅の貸与に係る経済的利益の有無を、貸与している住宅の全部又は事業所等ごとの住宅の全部を基として判定して差し支えないこととしている。
個々の国家公務員宿舎の使用料の額は、国家公務員宿舎法(昭和24年法律第117号)に基づき、建物の経過年数、立地条件等の国家公務員宿舎の状況に応じて算定されており、維持管理機関ごとに平成15年4月1日現在で国家公務員宿舎に入居しているすべての者の実際の使用料の額及び別紙の計算式により算定した通常の使用料の額をそれぞれ合計した額は、別表第2のとおりである。これによれば、課税対象となる経済的利益は存在していないと言えるので、課税すべき者はいない。
駐車場については、1.-2についてでお答えしたとおり、駐車場を設置・維持するために要する費用を基礎として合理的に算定した使用料を徴収していれば、その駐車場の貸付けを受けたことによる経済的利益はないと考えられるが、国家公務員宿舎の駐車場については、同法第15条に基づき駐車場を設置・維持する費用を基礎として使用料を合理的に算定し徴収しているため、課税すべき者はいない。

|| 上へ戻る ||

2. 民間企業の役員に対する社宅等の貸与については、お手盛りを防止する観点から、所得税基本通達36-40等により、一般社員の場合の賃貸料相当額より2から数倍高い金額の賃貸料相当額を基に所得税が課税されるものと承知している。
  1. 本省庁課長級以上の国家公務員幹部職員は、事務次官等会議や省議等で宿舎等の使用料を決定する際の意思決定に参画する場があるにもかかわらず、民間企業の役員と異なり、この通達は適用されないと聞く。なぜ、そのような扱いがされているのか。
  2. 指定職以上の国家公務員幹部職員にこの通達を適用した場合、課税されることとなる職員数と課税金額について回答されたい。

2.についての回答
民間企業の役員に貸与する住宅については、昭和35年12月の税制調査会の答申において、現物給与の取扱いのうち、一部の会社役員等の高級住宅に対する取扱いのように行き過ぎと認められるものに対しては、その改善について検討すべきであるとの指摘がなされた。そのような住宅が出現するようになった要因としては、民間企業の役員が住宅の設置やその使用について実質的に決定できる立場にあることが考えられる。こうしたことを踏まえ、民間企業の役員に貸与される住宅の使用料の額について1.-1についてで述べた基準により評価することは、税負担の公平を図る観点から適当でないため、これを異なる計算式により評価する旨を所得税基本通達で定めている。
しかし、国家公務員宿舎の設置やその使用については、法律及び法律により委任を受けた政省令に基づき定められており、民間企業の役員が住宅の設置やその使用について実質的に決定できる立場にあるのとは事情を異にしているので、幹部職員である国家公務員についても、民間企業の役員に貸与する住宅に係る通常支払うべき使用料の額を定めた所得税基本通達は適用しないこととしている。
このように、国家公務員については、民間企業の役員と同じ基準で比較することは適当でないため、お尋ねの指定職以上の幹部職員である国家公務員にこの通達を適用した場合に課税されることとなる職員数と課税金額については、答弁を差し控えたい。

|| 上へ戻る ||