地方公務員の給与制度の在り方に関する質問主意書
平成16年6月14日

政府は、いわゆる「聖域なき構造改革」を実際にはいくつかの聖域を残したままで進めている。その結果、国民には痛みばかり押し付け、将来への展望は開けないという、構造改革本来の趣旨とは明らかに違った方向へと進みつつある。

政府の「構造改革」の聖域となっている代表的な例が公務員制度である。公務員制度には、国民の目には触れにくい形で様々な民間との不均衡が存在する。公務員に労働基本権を付与した上で、これら公務員制度に隠された「歪み」を正し、民間部門との公平性を確保してこそ初めて真の構造改革が実現し、また、憲法第14条第2項にいう「全体の奉仕者」との趣旨が達成されるものと考える。

このような観点から、標記について以下質問する。


1. 地方公務員の給与については、先般閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(以下「基本方針2004」という。)においても「地方公務員の給与等について、その適正化を強力に推進する」とされているが、民間給与との格差の実態については明らかにされてはいない。
この点に関しては、政府は毎年、地方公務員給与実態調査により都道府県別に地方公務員の給与の実態を、賃金構造基本統計調査により都道府県別に主要産業の常用労働者の賃金の実態を、それぞれ明らかにしている。
  1. 地方公務員給与実態調査における都道府県職員の平均給与月額(男女計、全職種の平均額で諸手当を含めたもの)と、賃金構造基本統計調査における都道府県別の賃金(きまって支給する現金給与額で、産業計、男女計)を比較した場合、前者は後者を何%上回っているか又は下回っているか。直近の数値により、都道府県ごとに給与及び賃金の金額と併せて示されたい。
  2. 1.-1の比較において、賃金構造基本統計調査における都道府県別の賃金を企業規模100人以上(全産業、男女計)の場合に限定した場合にはどうなるか、1.と同様に示されたい。
  3. 1.-1の比較において、賃金構造基本統計調査における都道府県別の賃金を「金融・保険業」(企業規模計、男女計)に限定した場合にはどうなるか、1.-1と同様に示されたい。

1.-1についての回答
地方公務員給与実態調査における都道府県職員の「平均給与月額」と賃金構造基本統計調査における都道府県別の「きまって支給する現金給与額」を単純に比較すれば、別表第一のとおりである。

1.-2についての回答
賃金構造基本統計調査における企業規模100人以上に限定した場合の都道府県別の「きまって支給する現金給与額」については、集計していないことから、地方公務員給与実態調査における都道府県職員の「平均給与月額」と比較することはできない。

1.-3についての回答
地方公務員給与実態調査における都道府県職員の「平均給与月額」と賃金構造基本統計調査における「金融・保険業」に限定した場合の都道府県別の「きまって支給する現金給与額」を単純に比較すれば、別表第2のとおりである。

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2. 地方公務員給与実態調査では、特別区及び市町村の給与の実態も明らかにされている。
  1. 地方公務員給与実態調査における特別区及び市町村の平均給与月額(男女計、全職種の平均額で諸手当を含めたもの)の都道府県別の平均額と、賃金構造基本統計調査における都道府県別の賃金(きまって支給する現金給与額で、産業計、男女計)を比較した場合、前者は後者を何%上回っているか又は下回っているか。直近の数値により、都道府県ごとに給与及び賃金の金額と併せて示されたい。
  2. 2.-1の比較において、賃金構造基本統計調査における都道府県別の賃金を企業規模百人以上(全産業、男女計)の場合に限定した場合にはどうなるか、2.-1と同様に示されたい。
  3. 2.-1の比較において、賃金構造基本統計調査における都道府県別の賃金を「金融・保険業」(企業規模計、男女計)に限定した場合にはどうなるか、2.-1と同様に示されたい。

2.-1についての回答
地方公務員給与実態調査における市町村(特別区を含む。以下同じ。)の職員の「平均給与月額」の都道府県別平均額と賃金構造基本統計調査における都道府県別の「きまって支給する現金給与額」を単純に比較すれば、別表第三のとおりである。

2.-2についての回答
賃金構造基本統計調査における企業規模100人以上に限定した場合の都道府県別の「きまって支給する現金給与額」については、集計していないことから、地方公務員給与実態調査における市町村の職員の「平均給与月額」の都道府県別平均額と比較することはできない。

2.-3についての回答
地方公務員給与実態調査における市町村の職員の「平均給与月額」の都道府県別平均額と賃金構造基本統計調査における「金融・保険業」に限定した場合の都道府県別の「きまって支給する現金給与額」を単純に比較すれば、別表第4のとおりである。

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3. 政府は、現在、都道府県及び市町村の地方公務員給与と民間給与との格差を、どのような方法でどのように把握しているか。また、その把握の方法にどのような問題点があると考えるか。さらに、今後それをどのように改めるのか。

3.についての回答
地方公共団体の職員の給与については、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条の規定により、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して当該地方公共団体の条例で定めることとされている。
したがって、地方公共団体の職員の給与の決定に当たり考慮されるべき民間給与の状況は、まずは、各地方公共団体において適切に把握すべきものであり、政府においてこれを把握しているわけではないが、地方公務員の給与については、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)において、「地方公務員の給与等について、その適正化を強力に推進するとともに、地域の民間給与の状況をより的確に反映し決定できるよう、人事委員会機能の強化をはじめとしてその在り方を見直す。国はそのための参考となる指標を整備する。」とされており、この閣議決定に基づき、地方公務員の給与と民間給与との較差の把握方法の在り方等を検討することを含め、適切に対処してまいりたい。

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4. 「基本方針2004」では、地方自治体の人事委員会の機能強化と在り方の見直しが打ち出されている。しかし、人事委員会の給与勧告制度の実態については明らかでない。
  1. 人事委員会が設置され、その勧告を踏まえて職員の給与が改定されている地方自治体をすべて示されたい。
  2. 人事委員会の勧告は完全に実施されているのか、人事委員会勧告の給与改定率と実際の給与改定率を、人事委員会を置く地方自治体ごとに示されたい。
  3. 人事委員会の勧告は、その対象が一般行政職等に限られると聞く。人事委員会の勧告を踏まえて給与水準の改定がされている地方自治体の職員数は全国で何人か。
    また、その数は全国の地方公務員の総数の何%に当たるかを、全国の地方公務員の総数と併せて示されたい。
  4. 人事委員会の勧告がされない地方自治体では、どのような基準により職員給与水準が決定されているのか。

4.-1及び4.-2についての回答
平成15年において各人事委員会が行った給与勧告における平均給与改定率は、別表第5のとおりである。
人事委員会の給与勧告における当該平均給与改定率は、給料表のみならず手当を含めた給与全体の改定率として示されているところ、当該平均給与改定率に対応する「実際の給与改定率」については把握していないが、給料表の平均改定率については報告を受けているところであり、平成15年において人事委員会勧告が行われた地方公共団体における給料表の平均改定率は、別表第六のとおりである。

4.-3についての回答
お尋ねの「人事委員会の勧告を踏まえて給与水準の改定がされている地方自治体の職員数」については把握していない。
なお、人事委員会の勧告は、一般に、企業職員及び技能労務職員(以下「企業職員等」という。)以外の職員が対象とされているところ、平成14年4月1日現在の地方公務員給与実態調査によれば、人事委員会を設置している地方公共団体の職員のうち企業職員等を除いた職員数(以下「人事委員会勧告対象職員数」という。)は、177万8,911人である。また、平成14年4月1日現在の地方公共団体定員管理調査における地方公務員数は314万4,320人となっており、これらの数値を用いて地方公務員数に占める人事委員会勧告対象職員数の割合を計算すれば、56.6%となる。

4.-4についての回答
地方公共団体の職員の給与は、地方公務員法第24条第三項の規定により、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならないとされており、このことは人事委員会を設置しているか否かを問わない。

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5. 政府は、現在の人事委員会勧告による地方公務員の給与改定制度について、どのような問題点があると考えるのか。
また、今後それをどのように改めるのか。

5.についての回答
地方公務員の給与については、3.についてで述べたとおり、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」に基づき、適切に対処してまいりたい。

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6. 「基本方針2004」では、国が地方公務員の給与水準の参考となる指標を整備するとされ、それは地域の物価や生活費を反映したものとなると聞く。しかし、地域の物価や生活費の水準と公務員給与がどの程度乖離しているかは明らかではない。
他方、生活保護法においては、厚生労働省告示により「生活保護法による保護の基準」が定められ、物価や生活費に応じて六段階の生活扶助基準(級地)が設けられている。
  1. 「生活保護法による保護の基準」による3級地−1及び3級地-2に含まれる地方自治体の総数をそれぞれ示されたい。
    また、そのうち、直近の統計で、ラスパイレス指数百以上の地方自治体の総数並びに該当する地方自治体の名称及び同指数をそれぞれの級地ごとにすべて示されたい。さらに、同指数95以上の地方自治体についても同様に示されたい。
  2. 政府は、市町村職員の給与水準がその地域の物価や生活費の水準から大きく乖離している場合があることについて、どう考えるか。
    また、今後どのように是正を図るのか。

6.-1についての回答
生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)による3級地11及び3級地12に含まれる市町村の数は、平成15年4月1日現在で3級地11が744団体、3級地12が2,128団体である。
また、このうち、同日現在でラスパイレス指数が100以上の市町村の数は3級地11で185団体、3級地12で211団体となっており、ラスパイレス指数が95以上100未満の市町村の数は3級地11で373団体、3級地12で1,800団体となっている。
なお、これらの級地ごとのラスパイレス指数が100以上の市町村の名称及び当該指数並びにラスパイレス指数が95以上100未満の市町村の名称及び当該指数については、別表第7から別表第10までのとおりである。

6.-2についての回答
地方公共団体の職員の給与は、地方公務員法第24条の規定により、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して当該地方公共団体の条例で定めることとされているところであり、生計費の状況については、各地方公共団体においてこれを把握し、職員の給与の決定に当たり適切に考慮すべきものと考える。

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7. 給与水準の参考となる指標を示すだけでは実効性が疑わしい。そこで、地方交付税を交付する際に、給与費に相当する部分については、物価や生活費を基にした補正係数により補正して交付すべきと考えるが、この方策についてはどのような問題点があると考えるのか。

7.についての回答
地方交付税は、地方公共団体が合理的かつ妥当な水準における行政を行うために必要な標準的な経費を基礎として算定することとされている。国家公務員は全国各地で勤務し、その給与水準は全国各地の生計費、民間給与等を考慮した人事院勧告を受けて定められており、当該水準は標準的なものと考えられることから、地方交付税における給与費の算定においては国家公務員の給与水準に準拠した単価を設定して積算している。
なお、国家公務員の給与制度においては、「物価や生活費」の地域差を調整手当に反映させているので、地方交付税においても調整手当を反映させる補正を設けて算定しているところである。

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