法律条文の過誤訂正の法的性格に関する質問主意書
平成16年12月2日

政府は、平成16年8月10日付けの「法律条文の過誤訂正の在り方に関する質問に対する答弁書」(以下「本答弁書」という。)において、法律条文の過誤 訂正について一定の見解を示しているが、憲法第四一条は、国会は「国の唯一の立法機関」であると規定するところ、国会が議決した法律を政府限りで訂正し得 るとする政府の見解は未だ説得力に欠ける。

憲法第99条により、公務員は憲法尊重擁護の義務を負うのであって、政府が行う行為の憲法上の疑義については、国民に対する不断の説明責任を果たすべきものと考えられる。 このような観点から、標記について以下質問する。


1. 政府は、本答弁書において、官報正誤について「法文の表記上の誤り」を訂正するものとしており、これは法文の表記を実質的な法規範の内容を変更しない 範囲で変更できるとの立場を採るものと思われる。そうであれば、憲法第五九条は「法律案は両議院で可決したとき法律となる」と規定するところ、ここにいう 「法律」とは、実質的な法規範の内容を表現した文書に止まるようにも思われる。同条にいう「法律となる」とは、法律の条文が形式的にも確定することをいう のではないかと考えるが、政府の見解はどうか。

1.についての回答

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2.

2.についての回答

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3.

3.についての回答
お尋ねの官報正誤とは、法文の「表記上の誤り」、すなわち、実質的な法規範の内容と法文の表記との間に形式的な齟齬があることが客観的に明らかであると判断されるものについて、法文の表記を実質的な法規範の内容に即したものに訂正するものであり、実質的な法規範の内容を変更するものではない。
憲法上、内閣は、法律の公布について責任を負い(第3条及び第7条第1号)、また、法律を誠実に執行することを職務としている(第73条第1号)ことから、実質的な法規範の内容と法文の表記との間に形式的な齟齬が生じている場合に、法文の表記を速やかに実質的な法規範の内容に即したものに訂正し、それを広く国民に知らせることは、内閣の当然の責務であるということができ、従来から官報正誤によってこれを行うことが慣例上認められてきているところである。

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4. 過去に政府は、政府提出法案が国会で可決成立し公布された後に形式的な条文の過誤が見つかった場合、度々、法律改正を国会に求めることによってそれを訂正してきている。例えば、証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律(平成14年法律第65号)の条文過誤を、所得税法等の一部を改正する法律(平成15年法律第8号)で訂正したもの、中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)の条文過誤を大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成16年法律第56号)で訂正したもの、刑法の一部を改正する法律(平成13年法律第97号)の条文過誤を刑法の一部を改正する法律(平成13年法律第138号)で訂正したもの等である。
かかる先例にかんがみると、形式的かつ些細な条文過誤の訂正であっても、法律改正によって訂正する必要があるのだから、憲法第41条にいう「国の立法」に当たる国家行為と考えられる。 そこで、官報正誤により、国会で成立した法律の形式的な条文過誤を公布後に訂正し得ると考えるのであれば、官報正誤は「国の立法」に当たる行為となるものと考えるが、政府の見解はどうか。また、「国の立法」に当たらないと解するのであれば、同じ条文の過誤訂正が「国の立法」に当たる場合と当たらない場合があることになるが、その区別基準は何か。

4.ついての回答
官報正誤は、3.についてでお答えしたとおり、法文の「表記上の誤り」が客観的に認められるものについて、法文の表記を実質的な法規範の内容に即したものに訂正するものであり、実質的な法規範の内容を変更するものではないことから、お尋ねの「国の立法」に当たる行為ではない。
一方、法文の「表記上の誤り」を訂正する方法は官報正誤に限られるとは考えておらず、当該「表記上の誤り」が判明した法律に関連して、別途実質的に法律の改正を要する事項があり、当該法律の改正案を内閣として提出する機会に、当該「表記上の誤り」の訂正を当該法律の改正案に加えるという方法によることも許されると考えてきており、これまでにもそのような方法によった例があることは御指摘のとおりである。

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5. 憲法第41条は国会が国の唯一の立法機関であることを規定し、これは、国会中心立法の原則と国会単独立法の原則を定めるものと解されている。そして、その2つの原則の例外は、憲法に明文規定がある場合(内閣の命令制定権、地方特別法等)のみ許されるとするのが通説的見解である。
官報正誤が「国の立法」に当たるとすれば、憲法上内閣にその権能を付与する明文規定がない以上、憲法第41条に反するのではないか。政府の見解はどうか。

5.についての回答
4.についてでお答えしたとおり、官報正誤は、お尋ねの「国の立法」に当たる行為ではないことから、憲法第41条に反するものではない。

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