公的年金の時効特例と戦没者等の妻に対する特別給付金の時効特例に関する質問主意書
平成19年7月3日

間もなく会期末を迎える第166回国会(常会)においては、公的年金の時効消滅特例に関する与党衆議院議員提案による特例法が衆参両院における二度の強行採決で成立した。

この法律で消滅時効の特例が適用されるのは政府の年金保険料納付記録等の管理に手落ちがあった場合であり、そもそも政府の側から時効消滅を主張すべき事例ではない。

しかし、そのような場合に公的年金の時効消滅に特例を設ける法律が成立した以上、同じく政府の不手際で時効消滅した戦没者等の妻に対する特別給付金(以下「特別給付金」という。)についても時効特例を設け、法の下の平等を図るべきである。

このような観点から、以下質問する。


1. 特別給付金の時効消滅に関しては、平成10年3月19日の参議院国民福祉委員会で、当時の小泉厚生大臣は「これからは(中略)行政側で把握できる特別給付金の対象者に対しては、新たな措置として未請求者の方々に個別に制度の内容を送付する。」と答弁しており、また、平成15年3月27日の参議院厚生労働委員会では政府参考人(河村博江君)が「今回の特別給付金の対象者、(中略)該当される方に対して制度案内の通知を漏れなく通知したいというふうに考えておりまして、(中略)この請求漏れ防止に万全の体制を整えたい」とも答弁している。
平成15年支給の特別給付金に関しては、支給対象者の実数は何人だったか、また、政府が制度案内の通知を個別に行ったのは何人だったのか、都道府県別に明らかにされたい。

1.についての回答
戦没者等の妻に対する特別給付金支給法(昭和38年法律第61号)による特別給付金(以下「特別給付金」という。)の受給権の平成15年の取得者数については、把握しておらず、また、これを調査するためには膨大な作業を要することから、お答えすることは困難である。また、御指摘の「制度案内の通知」(以下「制度案内」という。)は、厚生労働省ではなく都道府県等において行ったものであり、お尋ねの都道府県別の通知者数については、把握していない。

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2. 平成15年の特別給付金支給事務において、制度案内の通知が特別給付金対象者全員に漏れなく出されたのではなかった場合、右の国会答弁に沿った対応をしなかった理由は何か、また、その結果特別給付金を時効消滅させてしまった方が多数生じたことに対して政府はどう認識しているか、それぞれ明らかにされたい。

2.についての回答
御指摘の平成15年3月27日の参議院厚生労働委員会における政府参考人の答弁は、同年から支給することとされた特別給付金の受給権者の多くは、平成5年から支給することとされた特別給付金の受給者(以下「前回受給者」という。)であると考えられることから、前回受給者に係るデータを活用して、そのうちの一定の者に対し制度案内を行いたい旨をお答えしたものである。
厚生労働省においては、その趣旨に沿った対応を都道府県に要請し、都道府県等においては、保有していた前回受給者に係るデータ等を活用し、平成15年から支給することとされた特別給付金の未請求者(以下「未請求者」という。)に対し制度案内を行ったものである。

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3. 特別給付金については、制度創設時の衆議院社会労働委員会(昭和38年3月20日)において、山本政府委員が「万一にも権利の上に眠るというようなこ とがあっては、せっかくの法律をつくった役割を果たし得ませんので、(中略)所定の時間に十分請求ができるように、御指摘の点は十分心して行政に当たっていきたい」と答弁している。かかる答弁に、1.で指摘した政府答弁も合わせ鑑みれば、政府は特別給付金の対象者に制度案内の通知を個別に送付すべき作為義務が制度創設時からあったのではないか、政府の見解を明らかにされたい。

3.についての回答
御指摘の答弁は、特別給付金の請求が所定の期間内に行われるように十分留意して対応したい旨をお答えしたものであり、本答弁等をもって、「特別給付金の対象者に制度案内の通知を個別に送付すべき作為義務が制度創設時からあった」とは言えないと考える。

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4. 公的年金の時効特例法については、平成19年5月30日の衆議院厚生労働委員会における内閣への意見聴取に対し、柳澤厚生労働大臣は「政府としては異議はありません」と答弁している。なぜ異議がないのか、政府の見解を明らかにされたい。

4.ついての回答
厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成19年法律第111号。以下「年金時効特例法」という。)は年金記録の訂正という事実に着目した特別な立法措置であり、同法においては、同法の施行日において厚生年金保険及び国民年金の受給権者等であった者について、年金記録の訂正がなされた上で当該受給権に係る裁定(裁定の訂正を含む。)が行われた場合には、当該受給権について5年の消滅時効が完成している場合でも当該受給権に基づく保険給付等が行われることとされており、この内容は、政府における年金記録問題に対する包括的かつ徹底的な取組みと整合性のあるものであると考えることから、政府として、異議はないものとしたところである。

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5. さきに民主党参議院議員が参議院に提出した「戦没者等の妻に対する特別給付金支給法による特別給付金の支給に係る時効の特例等に関する法律案」に対しては、政府は異議があるのかないのか、理由を付して政府の見解を明らかにされたい。
6. 公的年金の時効消滅も、特別給付金の時効消滅も、政府が被保険者や支給対象者に関する情報管理や該当者への通知という作為義務を怠ったことに原因がある点は共通すると考えられるが、それぞれの時効特例について政府の対応に差があるとすればどのような理由に基づくのか、政府の見解を明らかにされたい。

5.及び6.についての回答
年金時効特例法が年金記録の訂正という事実に着目して時効消滅の特例を定めるものであるのに対し、御指摘の「特別給付金の時効消滅」の問題は、特別給付金の制度の周知が十分ではなかったために裁定請求が行われなかったことを問題とするものであり、年金時効特例法が対象とする時効消滅とは、その原因となった事情が異なるものである。所定の期間内に裁定請求が行われず既に消滅時効が完成している特別給付金の受給権について特別の取扱いをすることは、時効制度の趣旨にかんがみると必ずしも適当ではなく、第166回国会に提出された戦没者等の妻に対する特別給付金支給法による特別給付金の支給に係る時効の特例等に関する法律案の内容は、適当ではないと考えている。

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7. 戦没者等の妻の方々は「夫への召集令状は漏れなく個別に配達され、戦死した。残された妻を見舞う給付金ならば丁寧な案内があって当然ではないか。」とご高齢にもかかわらず残念な思いをされている。政府は、特別給付金の通知が来ないことによりその受給権を時効消滅させてしまった戦没者等の妻の方々に、陳謝の意を表すべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

7.についての回答
平成15年から支給することとされた特別給付金については、政府広報や都道府県等の広報誌による広報、都道府県等によるリーフレットの配布等を行い、さらに、都道府県等による制度案内を行うことにより、その周知に努めてきたところである。しかしながら、未請求者の一部についてはこのような制度案内の周知が必ずしも徹底されなかったと考えられることから、今後、制度案内の方法の改善について検討してまいりたい。

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