予算委員会 会議録
平成13年10月9日
真鍋 賢二氏(委員長)

ただいまから予算委員会を開会いたします。政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

予算の執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

真鍋 賢二氏(委員長)

この際、米国等による攻撃に関する件について政府から報告を求めます。小泉内閣総理大臣。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

昨日未明、米国及び英国は、アフガニスタンにおけるアルカイーダのテロリスト訓練施設及びタリバンの軍事施設に対する攻撃を開始しました。

既に繰り返し表明しているとおり、米国で発生した今回のテロは、米国のみならず国際社会の自由と平和、民主主義に対する重大な挑戦であり、我が国としては、米国を初め関係諸国と協力しながら断固たる決意で立ち向かう方針であります。このため、私は米国等による今回の行動を強く支持するものであり、昨日は米国ブッシュ大統領と電話会談を行い、その旨をお伝えしたところであります。また、中国を訪問した際にも、私は、江沢民主席との会談においてテロ撲滅で国際社会が力を合わせることの重要性を確認いたしました。

今回の米国等による攻撃を踏まえて、我が国としては、テロリズムとの戦いに全力を挙げて取り組むため、私を本部長とする緊急テロ対策本部を設置し、そこで次のような緊急対応措置について決定したところであります。

テロ防止に向けて、出入国管理の強化、テロ関連情報の収集の強化、国内重要施設の警戒警備の強化など国内の警戒態勢を強化すること、パキスタン及びその周辺諸国の在留邦人の安全及び必要な退避を確保すること、テロ対策特別措置法等の早期成立を目指すこと、難民支援や関係諸国に対する人道的、経済的その他の支援を実施すること、マネーロンダリング防止等テロリストの資金源対策を強化すること、各国と協調して市場及び経済システムの安定を確保すること、国民に対し必要な情報を迅速かつ的確に提供すること。

国民の皆様におかれましては、このような政府の基本的考え方を御理解され、御協力いただきますようよろしくお願い申し上げます。

真鍋 賢二氏(委員長)

関連質疑を許します。浅尾慶一郎君。

浅尾 慶一郎

若干テロ関係の話をさせていただいて、あとは金融関係の質問をさせていただきたいと思います

まず、経済産業大臣に伺いますが、原子力発電所に対しても警備が必要だという発言をされておられますが、その御真意を伺いたいと思います。

平沼 赳夫氏(国務大臣)

お答えをいたします。従来、こういう同時多発テロが起きなくても原子力発電所の安全を担保するということは国民にとって一番大切なことだと思っています。

そこで、9月11日の同時多発テロが起こりまして、私も閣僚懇談会の中でやはりさらに警備態勢を強化する必要がある、こういうことを申し上げまして、そして村井大臣との話し合いを通じて、今、御承知かと思いますけれども、警察庁から各県警に連絡をとっていただいて、そして24時間態勢で安全が一番大切な原子力発電所の警備をしていただいておりますし、また国土交通省、海上保安庁の方々も、今全国に21カ所51基のそういう原子力発電所が稼働しておりますけれども、主に大半が沿岸部にございます。そういったところで巡視船が常時24時間海上の方からも監視態勢を敷いてくだすっていると、こういう形で私は原子力発電所のやっぱり安全を確保する、こういうことが一番大切なことだと、このように担当大臣として認識しております。

浅尾 慶一郎

そこで、警察の力だけで対応できるかということに関して具体的側面から伺わさせていただきたいと思いますが、私も柏崎の原子力発電所へ参りましたが、側面からの影響というのは余り、攻撃を受けてもある程度耐えられるというふうに伺っておりますが、上面ですね、上面に例えばボーイング757機がフルスロットルで入ってきたら、これは恐らく耐えられないと思いますが、その点について警察で大丈夫かどうか、もう一度伺いたいと思います。

平沼 赳夫氏(国務大臣)

御指摘のように、原子力発電所というのは、今お話にありましたように、大変横からのそういう防護態勢というのは2メートルの大変頑丈な側壁で守られています。ですから、同時多発テロのようなああいう大型の旅客機が燃料を満載にして垂直で落ちてくるというようなことを想定した場合には、やはりこれはIAEAの一つの見解、そういったところから見ても、基本的にそれに耐え得るような設計は、日本の原子力発電所のみならず世界の原子力発電所も、今、委員が懸念を御指摘されたそういう基本設計になっていると思っております。

村井 仁氏(国務大臣)

手短に申し上げますが、現在、警察といたしまして、全国16道府県にございます34施設につきまして厳重な警戒、警備を行っているところでございます。

ただ、今、委員お示しのような形でのテロでございますけれども、これに対しまして物理的に対応するというのはなかなかそれは難しいことだろうと思いますけれども、結局、テロリストに関する情報収集活動を強化するとともに、旅客機等への危険物の持ち込みやあるいは盗難、ハイジャックですとか、そういうものを徹底的に防止すると、そういう体制の方が結局有効だということになると私どもは考えておりまして、さような意味で、関係機関とも十分な連携をとりまして対応に万全を期したいと考えております。

浅尾 慶一郎

そうすると、今後議論される自衛隊法の改正においては、原子力発電所の警備は含まれないようにした方がいいというふうに国家公安委員長はお考えですか。また、防衛庁長官にも伺います。

村井 仁氏(国務大臣)

自衛隊法の改正という形で御提案を申し上げている問題でございますので、私からお答えするのが適当かどうかという点はございますけれども、私どもの整理といたしましては、やはりいわゆる治安に関すること、民間におけるさまざまの施設の安全に関することというのは第一義的に警察が責任を持つべきことであると、このように考えまして、原子力発電所につきましても、いろいろ御議論は確かにございましたけれども、これにつきましては、現在御提案を申し上げております整理では警察で責任を持つという対応で整理をしていると、このように承知をしております。

中谷 元氏(国務大臣)

本件に関しましてもいろいろと御意見があるところでございますけれども、基本的には国家公安委員長の認識と同じでございます。

浅尾 慶一郎

決してそういうことがあってはいけないわけでありますが、現に米国で四機がハイジャックをされておるという現実を考えた場合には、ある程度原子力発電所、大変大事な設備であると思いますが、これの警備を考えなければいけないと思いますが、経済産業大臣は担当大臣ではありませんが、どのようにお考えになりますか。

平沼 赳夫氏(国務大臣)

ちょっとお答えする前に、数字の訂正をさせていただきます。21サイト51基と申し上げましたが、17サイトでございました。大変失礼をいたしました。

私は、先ほども申し上げましたように、原子力発電所の安全を守るということは大変大切なことだと思っています。今、これはもうよく御承知だと思いますけれども、原子炉等規制法によりましてこれは事業者が対処する、こういう形で主体的にはガードマンが防備をしているわけであります。

そして、今こういう事態の中で、常日ごろも警察との連携は綿密にとっているわけですけれども、今非常にそういう体制が強化されました。しかし、これが警察の警備で及ばないような状況になりましたら、一つは治安出動、こういう形で自衛隊の応援を求める、こういうシステムもございます。そういう中で、やはり先ほど警察庁長官が言われましたように、そういう米国でも現実に四機ハイジャックされたとかそういう問題がありますから、私どもは情報活動を非常に密にしながら、不断のそういう努力を積み重ねながら、やっぱり情報をしっかりと把握しながら、そういうことが起こらない、そういう体制をでき得る限り私どもはとっていかなければならない。

そういう意味では、今の段階で私どもは、自衛隊というものは治安出動、こういう形で一つのシステムがございますから、そういう中で万全を期していくべきだと、このように思っています。

浅尾 慶一郎

現に、仮定の問題でありますが、ハイジャックが起きてから治安出動の発動までに時間的な余裕があるかどうか、その点はいかがお考えでいらっしゃいますか。

平沼 赳夫氏(国務大臣)

それは、確かにそういう時間というのは緊急を要するわけであります。そういう中で、今の体制の中では、私どもとしてはでき得る限りそういう情報を密にしながら緊急に対応する、こういう形で私どもは今のところは最善を尽くさなきゃいけない、そういうふうに私は思っております。

浅尾 慶一郎

米国のハイジャックのときは米軍が緊急スクランブルをいたしましたが、撃墜をしてもいいという許可がおりておりました。我が国の法規でそういった許可はとれるものでしょうか。

中谷 元氏(国務大臣)

米国ですら、今回初めてそのようなROEを設けました。しかし、どのように対処するかということは事の性質上明らかになっておりませんが、我が国でどうするかという点につきましても、一概に飛行機といっても、民間機であるのか、軍用機であるのか、外国の飛行機であるのか、無線のラジコン飛行機であるのか、それぞれ形態が違っておりますし、武装しているか否かという点もあります。

一般論として申し上げましたら、自衛隊は治安出動によって警備が可能となるわけでありますが、この武器の使用につきましては、あくまでも正当防衛または緊急避難の危害要件に該当する場合においてのみ許されるという点と、航空機の撃墜に至るような武器使用においては、通常航空機に一般の方が乗っておられる場合もございますので、こういう点は重々に考慮をしなければならないわけでございまして、単に法律上の問題のみならず、現実の政治判断の問題もありますので、極めて重くかつ困難な問題で、現在のところはその結論が出ておりません。

どのようにするか、今後検討してまいらなければならない問題だというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

そうすると、結論が出ていないということは、仮定の話ですが、現在、そうした事態があった場合には対応ができないということですか。

中谷 元氏(国務大臣)

一般の法律上の問題と、そして現実の政治判断の問題もございます。そういう意味で、現状におきまして仮定の御質問に対してお答えできる性質のものではないというふうに思っています。

浅尾 慶一郎

自衛隊法を読みますと、一応その治安出動の場合に武器を使用することはできることになっていますが、私が申し上げているのは、それまでの時間、タイムラグがあるのでなかなか使えないんではないか、したがって超法規的な行為をする前に対応した方がいいんではないかということを申し上げているんですが、その点についての御所見をいただきたいと思います。

中谷 元氏(国務大臣)

自衛隊の場合は、法律によって判断し運用されるものでありまして、超法規的な運用につきましてはでき得ないというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

それでは、別途、今度は入国管理の話を法務大臣に伺いたいと思いますが、現在の入国警備官の数とその職務の内容を教えていただきたいと思います。

森山 眞弓女史(国務大臣)

現在の入国警備官の数は1,017人でございまして、入国警備官の職務は不法入国者等の摘発、収容、送還等でございます。

浅尾 慶一郎

ちなみに、現在、我が国におります不法滞在者の数は何人ぐらいと思われますか。

森山 眞弓女史(国務大臣)

現在、不法滞在者と思われる人々の数でございますが、不法残留者の数が平成13年1月現在で約23万2,000人と考えられます。そのほか、我が国に潜伏する不法入国者というのも考えられるわけでございますが、その数が約3万人に上るのではないかというふうに考えられておりまして、両方を加えますと不法滞在者は約26万人というふうに考えられます。

浅尾 慶一郎

26万人の不法滞在者に成田の入管の人も含めて1,017人で対応できますか。

森山 眞弓女史(国務大臣)

それは、非常に数は足りのうございまして、少しでも数をふやしてできるだけ必要な措置をしなければいけないと努力しておりますが、決して十分ではございません。

浅尾 慶一郎

もう一点。今度は外務大臣に伺いますが、入国関係で、国外で日本人のパスポートが年間何件紛失あるいは盗難に遭っていますでしょうか。

田中 眞紀子女史(国務大臣)

国外における我が国のパスポートの紛失件数でございますけれども、例えば平成11年は10,417冊、平成12年11,129冊でございますが、そのうちの約6割は盗難でございます。

浅尾 慶一郎

盗難に遭うということは、日本人のパスポートが多分価値があるから盗難に遭うわけでありまして、今回の事態を考えても、偽造を防ぐためには本来はパスポートに所持人の指紋等を載せたらいいのではないかと私は思いますが、その点についていかが思われますか。

田中 眞紀子女史(国務大臣)

委員御案内のとおり、現在の日本のパスポートは全面をラミネート紙で覆っているほか、そのほかいろいろの、写真の張りかえができないように、偽造、変造ができないような工夫はされておりますけれども、指紋の問題につきましては本人の確認についてもいろいろの意見もございますので、国際的な例なども勘案しながら検討してまいりたく存じます。

浅尾 慶一郎

テロについて最後、総理に伺いたいと思いますが、いろいろな、可及的速やかにという言葉はあるんですが、今申し上げた質問の中でも対応ができていない部分もかなりあると思うんですが、その点も含めて今国会でやられるかどうか、御所見を伺いたいと思います。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

テロの対応はいろんな各方面にわたっております。そういう点について一つ一つ点検しながら、必要な措置に向けて適切な対応をとらなきゃいかぬと思っております。

浅尾 慶一郎

それでは、テロがなければ経済関係あるいは雇用、金融というのが今国会の主だったと思いますが、その問題に入らさせていただきたいと思います。

まず、金融担当大臣に伺いますが、足利銀行は政府が入れた優先株に対して配当をしないというふうに言っておるようでありますが、配当をしなければなぜ議決権を行使しないのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

足利銀行につきましては、先生今もおっしゃったように、公的資本が注入されているわけでございます。

そして、そのときに経営健全化計画というものを政府に提出をしてもらっているわけですけれども、その見直しの時期が本年八月に参りまして見直しをしたわけでございます。そして、本年度末、つまり来年の三月末の財務状況を想定いたしましたところ、優先株式に対しまして無配の見通しになったということでございます。まだ見通しの段階ということでございますので、商法の規定するところに従いまして、今段階で議決権を行使する云々という状況にはなっていないということでございます。

浅尾 慶一郎

いえ、そうではなくて、商法の規定するとおり、無配になった場合には議決権を行使されるんですかどうですかという質問です。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

これは当然もう必要的に発生する事態でございますので、その議決権を行使するということになります。

浅尾 慶一郎

その場合には、二点ありますが、議決権を行使してそれを普通株に転換されますか。それから二点目の質問は、経営陣の責任を追及されますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

まず、ちょっと事態を明らかにしておきたいんですけれども、多分、来年度の直後のいろんな財務の方針について議決をする株主総会で議決権が発生する事態になろうと思うんですけれども、一応商法の規定では、優先的配当を受ける旨の議案が提出されない場合にはまさにその総会から議決権が発生しますけれども、この議案が、優先的配当を受けるという議案が否決されたという場合には、その次の総会からということになるというような若干技術的なことが前提になります。

そういう前提でお話を申し上げますと、まず一つ、転換権を行使するかということについては、現在、再生委員会当時、優先株の普通株への転換について方針が示されておりまして、これはただに配当がなかったということにとどまらず、著しい過少資本行にという状況に陥ったときに、普通株で公的資金を入れるということとのつり合いでそういう事態かなというような形での方針が示されているということがございます。それはもちろん方針不変というわけではなくて、改定すれば幾らでも改定できるわけでございますが、今のところそういう方針が示されているということをあえて申し上げておく次第です。

それから第二番目に、経営者の責任の追及があるかということでございますけれども、これについてはある意味で当然のことということで、そういう事態がかなり現実性を帯びてくるというようなことを控えまして、我々としては諸般の行動を進めているということを申し上げさせていただきます。

浅尾 慶一郎

最近の報道によりますと、かなりの数の破綻懸念先に該当するものが実は要注意先になっているというようなことがいろいろなところで報道されておりますが、その中で破綻懸念先になると貸し出しが行いづらいので要注意にしているというようなことも報道されておりますが、現実論としてそういうことはあり得ますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

破綻が懸念されるというようなところに漫然と貸し出しを続行するということになると、やはり刑事上の責任を追及されたりする可能性もこれは否定し切れないというふうに思います。そういうようなことで、今、先生が御指摘になられるように、融資を、特に残高維持以上の融資を行うということは非常に難しくなるという経営者がいらっしゃるということは私もじかに聞いたこともございます。

浅尾 慶一郎

次に、今のお話と絡めてですが、最近の不況の結果、不良債権がふえたというふうに認識をされておられるかどうか、その点をちょっと。ふえたとすれば大体、すごくふえたのか、いやちょっとふえたのかというのをちょっと教えていただければと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

不良債権の状況をいろんな切り口から分析することを我々当然のことながらやらせていただいているわけですけれども、例えば緊急経済対策等でオフバランス化の対象にするというのは、先生御承知のとおり、破綻懸念先以下ということにいたしておりまして、特にそのあたりの区分に分類される債権の動向についてはアンケート調査等でかなり詳しく見ているわけでございます。

そういうところからも明らかになってきたわけでございますけれども、12年3月末の破綻懸念先以下の債権は、ほぼ14兆であったものが13年3月末には12兆、ほぼ12兆というように見かけ上減っているわけでございますが、その中身を調べてみますと、オフバランスがほぼ7兆あったのに対して新規発生がほぼ5兆というようなことで、新規発生のレベルもなかなかのものでありますので、率直に言って、残高としては減少を見ているけれども、中身的に見て依然として、特にこの破綻懸念先以下ということになるとほとんど業況の悪化に起因するものが多いと私は思いますので、そういう意味では新規発生が絶えない状況にあると、こういうふうに認識をしているということでございます。

浅尾 慶一郎

新規発生が絶えないというのは会計上そうなんですが、私は実はそれをあえて、先ほど言われたように、要注意にしていたものが破綻懸念になっているケースが多いんではないかなというふうに思いますが、その点について、何かあれば伺いたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

この要注意になっていたものが事業の、その貸出先の事業の実態は変わらないんだけれども分類が変わるということを先生おっしゃっていらっしゃる…。

浅尾 慶一郎

破綻懸念を要注意にしていたのが…。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

いずれにしても、認識が変わる、実態は変わらないと、こういうケースでございます。

この点はどういうことで起こり得るかといえば、一番端的に起こり得るのは検査で指摘されるというケースがあるわけでございますけれども、これもまあないわけではないと。当然検査結果というのを我々最終的には報告を受けて知っておりますが、それがないわけではないんですけれども、しかし、さっき言った5兆近く、4.7兆の新規発生の主たる原因というのは、そういう認識の変化よりもむしろ実態の変化の方が我々は多いと、こういう認識を持っております。

浅尾 慶一郎

それでは具体的なケースに即して質問をさせていただきたいと思いますが、先般、マイカルが破綻をいたしました。そのマイカルに対して旧日本長期信用銀行あるいは日本債券信用銀行が貸出金を持っていたと思いますが、これが政府に戻ってくると思います。それぞれに対する引当金を教えていただきたい。政府が、これは引当金は税金で積んだお金でありますから、債権の元本額と引当金の額を教えていただきたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

マイカルは現在、民事再生手続の開始の申し立てを行っておりまして、当該手続が進行しているという認識でございますけれども、現時点で新生、あおぞら、今、先生の御指摘になられた、一度特別公的管理下に置かれた銀行がどういう経理処理をしておったかということでございます。これについて申しますと、新生銀行はマイカルに対して債権を所有しているということはございまして、その残高は約120兆円、大変失礼しました、120億円、もちろんのことでございます、120億円ということでございますが、あおぞらについては、私ども現時点で融資残高があるという認識をいたしておりません。

それから、それに対していかなる債務者区分であったか、あるいは引当金であったかということでございますけれども、これは、大変恐縮なことでございますけれども、新生、あおぞら銀行というのは現在まだ、まだではなくて、現在まさに蘇生をして生きて活動している銀行でございますので、それがどのような債務者に対して区分をしているか、引き当てをしているかというのは、やはり監督官庁の立場で、ある意味で勝手に開示をするというのは適切を欠く、したがって答弁は差し控えさせていただくほかない、このように存じております。

浅尾 慶一郎

実は、昨年そごうが破綻したときにはもう新生銀行になっておりました。政府がそごうに税金で引き当てた金額及びその想定元本額もすべて開示をしていただきました、破綻申請直後に。なぜ今回はできないんですか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

これは、もう既にすべて明らかになった、つまり新生銀行の側もみずからがそういう状況を裁判所のかかわりのもとで明らかにしてしまっておったという状況であったというふうに存じます。まだ、今回の場合には新生銀行は別にマイカルについていかなる債務者区分であったか、あるいは引き当てが幾らであったかということをみずからは明らかにしていないという認識であります。

浅尾 慶一郎

私が当時の金融再生委員会の事務局からその数字をいただいたのは、そごうが民事再生法を申請した4日後であります。ですから、明らかになっているはずはないと思いますので、もう一度御答弁願います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

失礼しました。若干議論混乱いたしました。これは、開示をしたのが既に新生銀行が預保にいわゆる解除権を行使した後であったということで、両方ともが、片方は破綻の企業であった、片方は公的機関であった、こういうことで開示をしたということが経緯でございます。

浅尾 慶一郎

個別のマイカルの話云々よりも、もう少しこのグラフを使って説明させていただいた方がわかりやすいかと思います。(図表掲示)

これは旧長銀の財務諸表から抜粋したものでありますけれども、譲渡直前に税金で、一番下の右側ですか、4,675億円投入をしておるわけであります。この中には、この括弧で入っていますそごうグループも入っておりますが、そのほか今御質問させていただいた幾つか、巷間では要注意先と言われているものが入っているんではないかということで、別にその個別をのぞき見的に見たいということではなくて、その当時から政府は5割も積まなければいけないとわかっていたんじゃないですかということを質問させていただいているんで、ぜひお答えいただきたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

この表は平成11年3月末、つまり破綻の直前の期末の決算ということでございます。それに対して平成十二年二月末の見込みというのは、譲渡を目前にした、まあ譲渡時と言っていいかと思うんですが、その貸借対照表でございます。

これが、先生、きれいに整理していただいているように、一般貸倒引当金と個別貸倒引当金に分けまして、そしてむしろ11年3月末は一般貸倒引当金が少なくて、つまり債務者区分からいえば要管理先以上の残高が少なくなって、破綻懸念先以下の個別貸倒引当金に対応する部分が多くなったと、こういうことであるわけでございますが、これはどうしてこのようなことが起こったかといえば、一つには、もちろん時期による資産の劣化ということも起こったと思うんですが、それと同時に、ここで本当に、やや時日的なことになるわけですけれども、11年3月末はまだ検査マニュアルというものができていなくて、いわゆるこれは一斉検査が行われたというものでございます。それに対して12年2月末は、11年の7月にできた検査マニュアルに基づいて、したがって厳格化という意味ではより厳格化されたものですけれども、そういうもので見たときに、このように個別貸倒引当金を積まなければならない債権の額がふえたと、そしてマニュアルに従って個別貸倒引当金が積み上げられた結果、このような状況になったと、こういうふうに認識をいたしております。

浅尾 慶一郎

その当時ですね、その当時というか平成11年7月9日ですか、まあ2年前、当院の金融問題及び経済活性化に関する特別委員会で質問をさせていただいております。これは何回か柳澤さんに質問させていただいておりますからよく御存じだと思いますが、つまり、マーケット、先日、総理もおっしゃいましたが、マーケットが信用していないんだと。だから、問題のあるものは引き継ぐべきではないというような議論もありましたが、もしかしたら問題のあるものをリップルウッド等に買ってもらうために税金でもって持参金をつけるようなことはありませんね、引当金に該当する持参金をつけることはありませんねと質問をさせていただきました。そんなことはないと。だったら、仮に引当金が、個別貸倒引当金というのはおっしゃるように破綻懸念先にしか該当しませんから、ふえるようなことがあったら、破綻懸念先は引き継いじゃいけないわけですから、そのときは適とされた企業が不適となった理由を個別の企業名も含めて明らかにしてくださいというふうに申し上げたんです。これは「当然のことと心得ております。」というふうに御答弁をいただいておるわけです、柳澤大臣に。

私は、これ聞きたいのは、その当時から政府はわかっていたんじゃないですか。それを明らかにしないと、もしそうでないのなら、それを明らかにしないとマーケットは決して信用しませんよというふうな思いがあるものですから、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

これは、浅尾委員が御自身でも今おっしゃられたとおり、もう何回も議論をしている箇所でございまして、ある意味で私のフォールトもあるわけでございますけれども、あえて申し上げますと、そのときの議論の、私ここに議事録持っておるわけですけれども、議論の焦点というのは、ある新聞が報道したものが、浅尾先生、きっかけとされまして、1兆円ぐらいの根拠のない引当金を積んで、それを持参金に持たせるんではないかということが論議の焦点でございました。

そこで、何回かの浅尾委員とのやりとりが確かにあるわけでございますけれども、私といたしましては、要するに根拠のない引当金を積んで、そして持参金にするというようなこと、あるいは貸し倒れに対して甘い査定の、それこそ貸し倒れに対して予備的に引当金を積んでおくというようなことはもうありませんと、そういうことも当時は言われていたんです。

つまり、二次ロスに対してどういう対応をとるかというのが専ら我々の関心の的でして、一つは持参金方式があるじゃないか、あるいはロスシェアリング方式があるじゃないか、あるいは、私どもは最終的に選択したんですが、瑕疵担保責任の法理を応用するというようなことがあるじゃないかというようなことで、いろんな議論がそこで行われていたときに、持参金方式の可能性があるのかという議論が専らそのときのテーマでございました。

それに対して、私はそういうことはしないと。つまり、引当金というものは一般に公正妥当と認められる会計基準、それからまた新しくつくられた検査マニュアル、そういうようなものに基づいてきちっとやりますということを申し上げたわけでございます。

そして、ただそれを余りにも申し上げ過ぎたら、浅尾先生はもう非常に血のめぐりのよろしい方なものですから、先回りをされて、じゃふやさないんですねと、こうおっしゃられそうだったものですから、それは私はあの当時の議論から、大変失礼な言葉を使いまして、訂正もし必要だったらいたしますけれども、あの当時から現実の譲渡の時点までというのは若干の日にちがあるわけでございまして、この時間の経過に従う資産の劣化、経済状況の変化による資産の劣化であるとか、たまたまその間で起こってしまったんですが、いわゆる検査の基準の変更というようなものというものが、そこまで私は想定しておりませんでしたけれども、そういうことになると引当金がその一斉検査の対象になった年度の末のままでいるということにはなりませんよと、こういうふうに御答弁を、ちょっと私も用心が深かったかもしれませんが、そう申したんです。

そうしたら、そこにまた浅尾委員は非常に鋭く切り込んでこられまして、結局、それではということで、「その理由を」と、こうおっしゃったんですね。そのふえた理由はどういう理由か、今、私、まさに言ったわけですね、理由を明らかにするんですねと。ただ、そのときに浅尾委員がどのぐらいの音量でこれを言われたかというのまでは議事録からはあらわれていないんですが、「その段階では個別のそのときは適とされた企業がなぜ悪くなったのかということを含めて」という挿入句を入れられたわけでございまして、私はそこを聞こえていたのか、多分聞こえていなかったので、非常に短い言葉で「当然のことと心得ております。」というふうに言ってしまった。この「含めて」に注意を払わなかったということは何回もおわびを申し上げますが、ここでもさらにおわびを申し上げる次第でございまして、それは開示することが適切というふうには私ども認識しておらないのでございます。

浅尾 慶一郎

今、検査の基準が厳しくなったというふうにおっしゃいました。(図表掲示)

この当時、元本、個別貸倒引当金を含んでいる元本が1兆円ぐらいですね。総貸し出しが8兆円です。その前が2,140億円ですから、貸出金の一割が、ほかの銀行で1年間で劣化したところはありますか。あるいは検査の基準が厳しくなったから劣化したところはありますか。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

今、突然の御質問ですから、私、全部のデータを見ることも当然できないわけでございますけれども、そういうことはないだろうというふうに思います。

ただ、最近において非常に目立ったことが一つ起きましたので、それをちょっと御参考にまで申し上げておきますけれども、これは、要管理先、つまり要注意先から要管理先への遷移、移りかえでございますけれども、区分がえでございますけれども、こういうことが、たった要管理先の条件変更の、基準というものを若干変えただけで、かなりの数字、金額でもってその評価がえと申しますか遷移が起こったということはありまして、私もそういう対象になる取引がそもそも多かったということの反映でもあろうかと思うのですけれども、そういったことでその金額の多さに驚いたということはございます。

浅尾 慶一郎

要するに、私が申し上げたいのは、政府は長銀の譲渡のときにはこれは何としても売らなきゃいかぬ、だから引当金を多く積んでいる、しかしながら、ほかのケースの場合には引当金を多くするとこれは困ってしまうからダブルスタンダードでやっているんじゃないですかと。それをそうじゃないと言うのだったら具体的にわかりやすく国民の皆さんに説明してくださいという話です。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

そういうふうに思っていただきたくないということが結論でございます。というのは、長銀というのはかなりある意味で貸出政策ということについて申しますと特異な面を持っておったようでございまして、非常に大口の債務者、数社の大口の債務者の融資比率が非常に高かったということでございまして、これらの債務者の悪化によりまして金額的に非常に今、先生御指摘のように一割ものというお話でございますが、そういうことが起こったということでございます。

通常の金融機関というのは、これはもう大口規制等のリスク管理のシステムも守られているわけですけれども、同時にそういうことに気をつけた貸し出しをしているというのが通常の形だと思います。

浅尾 慶一郎

わかりました。それでは総理に伺いたいと思いますが、今担当大臣、問題ないということでありますから、ペイオフの延期はありませんね。

柳澤 伯夫氏(国務大臣)

つまり、この前から非常に議論になっておりまして、これは衆議院でございましたか、民主党の委員の方から、長銀、日債銀、あるいはその他地方銀行、第二地銀が倒れた中で、預金者あるいはその他の債務者を守るために、欠損の補てんのためにいかに巨額の、まさにこの場合には税金です、税金が費消されたかということの御指摘があったわけでございますけれども、私どもは、そういうことというのはまさにシステム全体が揺らぐというような極めて異例の事態に対する対処策でなければならない、このように考えております。

やはり、金融機関といえども一般の民間企業でございます。もちろん預金者は保護されなければならないということで、預金については預金保険というものも制度として組み込まれているわけでありますけれども、もしそういうものが経営に失敗した場合には債務者も一定のその損失の負担をするという原則がなければ、これはもういろんな面で私は弊害だらけのシステムになってくるだろうと、このように思いまして、私は、経営者の皆さん、それからまた預金者の皆さんも同様でございますけれども、あと半年を切ったわけですが、皆さん厳しい認識を持たれて経営に当たる、また預金者の方も用心なされるというようなことでペイオフの時代に入っていくべきであると、このように考えております。

浅尾 慶一郎

わかりました。それで、ペイオフの時代に入る前に、もし問題があるとすれば私は思い切って経済構造改革、不良債権処理と経済構造改革は多分コインの裏表だと思いますが、それを進めるべきだと思いますけれども、竹中経済担当大臣、その点について御所見を伺いたいと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

今、浅尾委員御指摘のとおり、経済に対して政府がさまざまな形で介入するということは排除すべきであって、そういう形を通して市場の活力を通じた構造改革を進めるべきであるというふうに考えておりますので、今、柳澤大臣が申し上げたことに全く同意しております。

浅尾 慶一郎

ぜひ、同時に、マーケットが持っている不信と私は思いますが、今のような数字を見てもおかしいんじゃないかというようなことも含めて、解決していただけるようにお願いをしたいと思います。

もう一点、日銀総裁もお越しでいらっしゃいますので、今、経済が悪くなっている原因の一つにデフレだと言われておりますが、デフレの原因は、例えば中国が世界の工場になっているというようなこと、世界の全体のグローバルマーケット化の要因と、それから日本の不良債権あるいは土地の資産デフレの部分と、その要因としてはどちらがどの程度の比重にあるかという点をお答えいただきたいと思います。

速水 優氏(参考人)

お答えいたします。いろいろ見方があると思いますけれども、日本でここ数年来、物価の下落の背景に需要面と供給面の原因があると思います。

供給面と申しますのは、例えば経済のグローバル化を背景にして、アジアなどから安い輸入品がどんどん入ってくる、また、これを受けて国内の輸入競合の商品が価格を低下せざるを得なくなってきている。それから、流通がかなり合理化されて、従来のしにせがむしろだめになって、新しくできた若者向きの輸入品を直接売るような店が非常にはやってきて価格が低くなってきている。そういう商品やサービスの価格が低下しているということは、数字でもかなりはっきり出ております。

消費者物価の動向をここ数年チャートで見ますと、平成11年の終わりぐらいから少しずつ下がり始めて、それまでは大体ゼロだったんです。少しずつ下がり出してきて、ここへ来て生鮮食品を除く消費者物価は0.5から0.8、0.9%ぐらい前年比、下がってきたわけですね。そのうち、いわゆるサービス部門、サービス産業では価格は横ばいでございます。

商品、これは農水産物を除きますけれども、商品が0.8から0.9ぐらい下がっているわけです、前年比。この商品の中で、物の中で、輸入とそれから輸入の競合商品というのが前年比マイナス2.3、下がっております。その他の商品はマイナス0.5ぐらい。ですから、物価が下がっている、この表で見る限りでは、主な原因は、輸入ないし輸入競合商品が物価を押し下げているということが言えようかと思います。

しかし、それだけでなくて、やはりここへ来て、最近物価の下落については、需給のアンバランスといいますか、需要不足による影響が大きくなっていることをやはり認めざるを得ないと思うんです。

日本銀行は、物価が継続的に下落することを防ぐべく、断固たる決意のもとで思い切った金融緩和策を講じているわけですが、さまざまな構造問題が残っている状況では、金融緩和だけでは物価の下落を回避することは困難でございます。物価の下落を防止するためには、経済の構造改革を通じて、企業の前向きな設備投資活動とか家計の消費意欲というものを引き出していって需要が喚起されていくことが必要だと思います。こうした取り組みが進んでいけば、これと、日本銀行が行ってまいりました思い切った金融緩和策との効果が相まって、デフレ対策として大きな力を発揮していくものと考えられます。

もっとも、端的に申せば、物価というのは、世の中にある財とサービス、これと、これに対して金回りといいますか、流動性と言っておりますが、財・サービスと流動性との交換比率で決まってくるものですね。流動性をふやし続けていけば必ず流動性が過多になって、いずれインフレになる時点が来ることは間違いないと思います。その時点がいつ来るかということは、なかなか今この時点で見ることは難しい。

私の戦中戦後の体験から見ても、これだけ大量の流動性を供給しているということは、いずれ何らかを契機にしてインフレに火がついて燃え広がる、スピードが速く燃え盛るということも起こり得るわけなので、このような懸念をも十分頭に置いておくのが中央銀行の責任であると考えております。

浅尾 慶一郎

今の総裁のお話を私なりに理解いたしますと、前向きの経済構造改革というのは、日本の中において国際競争にさらされている自動車や電気はこれは生産性も高いと思いますが、そうでない業種において前向きの構造改革をやるべきだというふうに理解いたしましたが、そういう理解でよろしいでしょうか。

速水 優氏(参考人)

おっしゃるとおりでございます。

浅尾 慶一郎

ここで竹中大臣、所管だと思いますが、伺わさせていただきたいと思いますが、旧経済企画庁ですね、内閣府経済社会総合研究所のデータでありますけれども、産業分野別の一人当たりの雇用者所得、お配りしてあると思いますが、見ていただきますとわかると思うんですが、最大、一人当たりの雇用者所得が一番大きくなるのが公務員、これはちょっとかなり大きいと思うんですが1,018万円、一番低い小売・卸売、403万円、あるいは輸送機械、電気機械の方でも600万円とかいう数字が出ておりますが、この点について、大臣の御持論の構造改革も含めて御答弁いただきたいと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

持論の構造改革を論ずると長くなると思いますので手短に申し上げますが、この格差をどう考えるかという御指摘だと思いますので、一人当たりの雇用所得という言い方は必ずしも正確ではないかもしれません。雇用者の報酬全体を雇用者の数で割っているわけですから、この中には、例えばパートの方も含まれるし、働き方が全く違う人が含まれると。さらには年齢が違う、属性が違うと。その結果としてかなりの開きが出てくるということだと思います。

したがって、この表だけから構造改革を云々するというのは、ちょっとなかなか難しいのではないか。自動車、例えば家電、同じような業種の中でも、このような形で実は平均の給与所得を出してみますと、これはびっくりするほど違います。これは1.5倍とか2倍とか、すぐ会社によっては違ってくるものでありますので、そういったむしろ数字の見方としては留意が必要なのではないかと思います。

浅尾 慶一郎

お伺いしているのは、トレンドも出しておりますが、ずっと伸びているわけです。構造改革は、今、総裁言われたように生産性を高める、確かに生産性が上がった結果、高い給与をいただけるのはそれはもう全然いいことだと思いますけれども、平均して、今この数字を見てどう思われるかということを伺っております。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

今申し上げましたように、一人当たりの所得と、こう書いていますけれども、その持つ意味が違いますので解釈は難しいんですが、その他のことも含めて言いますならば、やはり競争にさらされているところはその改革が早い、賃金の調整も早い。そうじゃない、競争にさらされていないところはその調整が遅いという印象は持っております。

浅尾 慶一郎

総理はよく改革に伴う痛みということをおっしゃいますが、具体的な痛みについて伺ってまいりたいと思いますけれども、今、この数字が正しいかどうか、これは政府が出している数字ですから私は正しいと思いますが、総理のお手元にもあると思いますけれども、具体的な改革に対する痛みということで、国際競争にさらされている業種、貿易立国と言われている我が国を支えている業種に比べて、守られている業種が、正直言って私はこういうことを余り言いたくないんですが、あえて言えば、余りに高いんじゃないかなと。

それについて、構造改革に伴う痛み、21兆円ありますが、ということについて、総理としての御所見を伺いたいと思います。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

具体的な指標はともかく、政府から余り保護の恩恵を受けていないとか規制の恩恵を受けていないところの方が変化に見事に対応していますね。保護する、あるいは補助金を出すにはそれなりの理由があるんですが、そういう分野においての世界、グローバル化時代になりますと、各国ともに世界の競争市場にさらすということを嫌がりますから、そういう点において規制改革、どう取り組むかというのも一つの構造改革でしょう。

また、これから具体的に新しい産業に生き残れない企業に勤めていた方は失業を余儀なくされる場合が出るでしょう。そういう際に、私は、一人一人、失業したからこの人はどこ行ってくださいというのはこの自由市場経済では無理であって、幾つか雇用の機会を与えて本人の努力によって新たな職を見つけてもらう、あるいは失業をした場合には失業期間、生活できる程度の手当はどの程度が必要だろうか、あるいは新しい職場につけるような訓練なり給付はどの程度が必要かというのも考えていくのが一つの政治の大きな役割であって、私は今の経済指標から具体的な質問でなく漠然と答えろと言われればこの程度の漠然の答えしかできないなと、そう思っております。

浅尾 慶一郎

それではもっと具体的に質問いたします。ここに、総理の手元にも数字が出ておりますが、先ほど変化に対応できるのが国際競争にさらされている業種である、対応しづらいのはそうでない業種だと。だとすれば、構造改革の痛みをみんなで分かち合うんだということであれば、総理の決断で市場ではなくて政治の力で何かするんですか、しないんですかということを伺います。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

それもケース・バイ・ケースで、完全な市場経済というのはないと思うんです。あるときには政府が介入しなきゃならない場合もある。社会保障なんかのは市場経済にはなじまない部分が随分ありますから、ある程度規制で保護しなきゃならない面もあるでしょう。しかし、同時に、逆に、市場機能をうまく発揮させようとして政府が介入する、税金を投入するという場合があるわけですよ。ペイオフなんかも、金融機関が倒産すると、倒産したら預金者とかみんな困るという場合には、経済秩序、金融秩序を維持するために税金を投入しなきゃならない場合もある。今まではそうやってきた。来年4月からはそうじゃなくなる。そういう面において、私は両面があると。

完全な市場経済はないし、完全な国家が何でもやるという社会主義、共産主義の時代でもない。その辺のさじかげんというか、あるときにはむしろあるべき市場経済の機能がうまく発揮されるように行政介入も必要な場合もあると。それはケース・バイ・ケースじゃないかなと私は思っていますが、本来、その関与はできるだけ少なく市場経済がうまく機能するような環境が整えればそれが一番いいと私は思っております。

浅尾 慶一郎

質問に余りストレートにお答えになっていただいていないと思うんですが、今、世の中の方はリストラの問題とかあるいはデフレの問題で非常に苦悩されている方も多いと。その方に、今私が申し上げた数字、例えば輸送機械であれば平均雇用者所得が629万円、公務員であれば1,018万円。その数字をストレートに言ったら、そこは理由はいろいろあると思いますよ、理由はいろいろあると思うけれども、ストレートにその数字を聞いたらやっぱり怨嗟の声が起きるんじゃないか。それに対して、総理として率直にどう思われるかという質問です。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

そういう具体的な質問ならある程度具体的に答えられますよ。それは、みんな一般の人が見れば、公務員というのは恵まれているな、失業のおそれもないし安定しているし、おれたちは一生懸命努力しているのにいつ首を切られるかわからない、公務員はおくれず、休まず、働かずでいいんじゃないかと怨嗟の声が一部にはある。

しかし、逆に言えば、公務員というのはやっぱり大事な仕事をしているんだから、ある程度給与を保障しなきゃいけませんよと。いろいろ活動にも制約があるから、民間の給与と、いろいろ人事院勧告等、そういう面を配慮して、公務員たる仕事に誇りを持ってやってください、また国民のために努力してくださいということで安定した給与なり地位を保障するという面があるわけですから。人によって公務員にもっと給与をやれと言う人も中にはいるかもしれないが、こういう実際の状況を見ると、ああ高過ぎじゃないか、恵まれている、何とかしてくれという声が多いのが率直なところじゃないですか。

浅尾 慶一郎

それは、普通の人は率直にそう思うんだと思うんですが、総理大臣はだからどうするの先の部分が答えられるわけですから。だから、何もしないのか何かするのか、構造改革としてやるのかどうかということを伺っているんです。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

私の改革は、税金を使っている部分、補助金をもらっている部分、規制の恩恵を受けている部分が一番構造改革がおくれている、だから行政改革。役所の仕事、民間でできるものはないか。民間にやった方がいい、地方にできることはないのか。地方にやった方がいい、行政改革。特殊法人、民間よりも能率的で、しかも公共的なものでつくった。公共的でもない、能率が悪くなっちゃうわけだ。逆の悪いところばかりとっているのも結構ある。だから、そういう今まで役所関係の仕事でむだな部分が多いのではないかというところに一番手を入れている構造改革を目指しているのが小泉内閣なんですよ。それを御理解いただきたい。

こういう税金で保護されている、税金を使っているところ、規制の恩恵を受けている、ここの構造改革が足りないから今おかしくなっちゃったんです。これ不思議な現象なんですよ。これだけゼロ金利で、お金じゃぶじゃぶ。これだけ借金して、財政もこれ以上借金しようがないというぐらい、普通の国だったら、借金している。本来だったら今大インフレが起こって不思議じゃないんですよ、今までの経済学者の経済現象からいえば。大インフレが起こってもいい状況にもかかわらず、デフレで苦労しているんですよ。

まさに今までにない経済現象。これをどうやって正常な経済に持っていくかというのが現下の最大の課題であって、今までの経済理論からも当てはまらない。ここを何とか努力して、今までの潜在力、経済成長の潜在力が眠っていると思う、日本は。これを何とか構造改革によって活力あるものに取り戻して、世界の競争力に太刀打ちできるような経済に再生することによって日本の力が世界にも発揮されるのではないかと思っております。

浅尾 慶一郎

私が伺っておるのは、例えばこの総額が、税金です、21兆円ありますと。財政再建ということであれば、それの例えば一割に切り込むのか切り込まないのか、その中身を調べてやるのかやらないのか、簡潔にお答えいただきたい。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

税金はこれは有効に使うように今徹底した見直しを進めていますし、これから、改革なくして成長なし、構造改革をどうやって進めていくか。私は別に構造改革が目的じゃないんですよ。経済再生のために今やらなきゃならない改革をやっている。そして、それが未曾有の、今までの経済理論からは理解できないような現象が起こっている。なおかつ、今回のテロを見ても、こういう形で世界同時不況が起こっていることはだれも想像していなかった。そういうときには、私は、原則は原則として堅持しますが、いろいろな方のを聞きながら、この変化の時代にどう対応できるか。それは、大胆かつ柔軟に対応していかなきゃならないというのは私も十分認識しているつもりでございます。

浅尾 慶一郎

お答えいただけないので次の質問に移りたいと思いますが、構造改革、弱い人にしわ寄せがあってはいけないと思いますが、例えば、きょうは坂口厚生大臣に質問通告させていただいておりますけれども、女性やあるいは子育て世代の方々に痛みが行かないようにどういった取り組み姿勢をとっておられるか、お答えいただきたいと思います。

坂口 力氏(国務大臣)

確かに、雇用状況が悪くなってまいりますと、これは女性だけではなくて、いわゆる障害者の皆さん方でありますとかあるいは高齢者の皆さんでありますとか、そうしたところにややもいたしますとしわ寄せが行く可能性があるということを私もよく認識をいたしておりまして、その辺にやはりしっかりと目を向けていかなければならないというふうに思っています。

女性の問題につきましては、これはやはり男女雇用機会均等法ができまして、そして、結婚ですとか出産でありますとか、あるいは育児あるいは介護といったようなことをやらなければならないそういう人たちに対して、そのことが雇用に対してマイナスにならないようにやはりしていかなければならない。これはもう法律もでき上がったところでございますので、ここは徹底をしていきたいというふうに思っております。そして、経営者の皆さん方に厳正な指導をしたいというふうに思います。

また、先ほど申しました障害者やあるいは高齢者の皆さん方にも十分な配慮をしなければならない、雇用に対しても配慮をしていかなければならない、そう思っております。

浅尾 慶一郎

あと財政の関係で、公共事業のあり方がいろいろ問われていると思いますが、先般、小田急線、経堂の辺だと思いますが、線路の高架化をめぐって訴訟があって、結果として、国土交通省がなした都市計画法の事業認可が裁判所によって取り消されるという判決が出ましたが、それを受けて原状回復義務などの法的義務は生じるのか生じないのか、国土交通大臣に伺いたいと思います。

扇 千景女史(国務大臣)

今、浅尾先生の御質問のとおり、過日の連続立体交差、これを解消しようということで、少なくとも今71%仕上がっておりますし、先生御存じだと思いますけれども、あの小田急線の中でボトルネックがございまして、一番ひどいときには一時間に40分以上踏切が閉鎖したままだという、それを一日も早く解消してくださいという多くの皆さんの御要望でこれは着手したことでございますけれども、少なくとも私はこの工事が、今、判決が出たということですけれども、最終判決ではまだございません、それはもう先生御存じのとおりでございますので。

私たちはできれば、これだけの多くの都民、そして一般サラリーマンの皆さん方が、これは正式に今回原告の資格がある方は9名でいらっしゃいますね。そういう中で私どもは、現在の工事の維持、先ほど私が申しました71%というものは、少なくとも平成16年度には事業が完成するというそのような目標で行っておりますので、できれば私は、この事業の完成を多くの方々が望んでいると私は認識しております。けれども、本判決がまだ確定しておりませんので、現段階では法的には都市計画の事業の認可は引き続き効力を持っていると、こう判断せざるを得ないわけでございます。

そして、国として今後どうするかという、関係省庁間でこれは協議いたしますけれども、最終的には法務大臣が決定されることでございますけれども、私は、本当に庶民の皆さん方の願いは完成していただきたいという願いが私は大多数であろうと認識しております。

浅尾 慶一郎

小田急線の渋滞のことは私もよくわかっております。ただ、本当は地下に最初から住民の方の声を聞いてやっていればこういった裁判にならなかったんではないかと、住民参加の仕組みがうまく機能していないんじゃないかなと思いますが、その点についていかがですか。

扇 千景女史(国務大臣)

今、浅尾先生のおっしゃるまでもなく、公共工事というものはすべからく私は住民参加であるべきだという基本線はおっしゃるとおりだと思いますけれども、るる私は、高度成長期に、あれもしてくれこれもしてくれと、いろんなことがあって、それは皆さん、高度成長期には、あれもしてあげましょうこれもしてあげましょうと、そういうことがあったことは否めないと思いますね。

ですけれども、私は、最初から地下にして、まだこのときには大深度地下法も通っておりませんけれども、今、大深度地下法も昨年皆さんのおかげで通りましたし、少なくとも41メートル以下にすれば私はこういうことも起こらなかったかもしれませんけれども、この当時にはまだ大深度地下法もございませんでしたし、また、この方が早くできると。大深度地下にすれば、地下に通ればこの3倍の費用と年月がかかるということで、一刻も早くボトルネックの解消というのが住民の皆さん方の大方の御意見であったと。しかも、高架をするところではなくて、その側道の皆さん方の御意見であるということも先生御承知のとおりでございますので、私は、現段階で71%の工事をもとに返せということは、今私の考えの中にはございません。

浅尾 慶一郎

いや、そうじゃなくて、ちょっと工事がいずれにしてもおくれてしまったことに対する責任はどういうふうに思われますか。

扇 千景女史(国務大臣)

まだ結論が出ておりませんで、ですから、私は工事差しどめの決定ではないと先ほど申し上げたとおりでございますけれども、住民参加が必要であるという御意見に関しては、私は公共工事の原則だということを冒頭に申し上げております。

浅尾 慶一郎

時間の関係で次の事案に移りますが、高祖さんの選挙違反の事件について質問をさせていただきたいと思います。

ここに一応パネルを用意いたしてまいりましたが、関係者が逮捕されました大阪府、京都府というのは千人当たりの得票率で見るとむしろ全国的に低いところにあるんですね。(資料を示す)あとまあ神奈川県が一番低いのは、総理のおひざ元だからかどうかわかりませんが。

なぜもっと高いところ、高い得票のあるところもいろいろあると思いますが、そういったようなところについて自主的に総務省として調査されるおつもりはあるのかないのか、お伺いしたいと思います。

片山 虎之助氏(国務大臣)

この件につきましては、捜査当局が公選法違反ということで解明を始められましたので、そこは専門家で捜査権のある当局にお任せして、我々は全面的に協力しようと。ただ、それはそれとしながら、全部の管内で服務規律の違反の事実がどういうふうにあったかなかったか、あるいはよく問題になります特推連ですね、公的組織の特推連と任意団体の特定郵便局長会の活動が混同したというような指摘もありますので、その辺は各郵政局長さんや郵政監察局長さんに状況を聞いたんですよ。

極めて顕著な服務規律の違反や公私混同はなかったというふうな報告を受けまして、それは今後とも、しかしそれは我々はチェックしていかなきゃいけませんから、例えば郵政監察局には特別考査をやってくれとか、特推連と特定郵便局長会はきちっと分けろとか、そういうことをやったわけでありまして、公選法違反の調査そのものについては捜査当局にお任せいたしたわけであります。

浅尾 慶一郎

特定局長会であれば問題なかったと、いろんな選挙活動をやっても問題ないということですか、任意団体であれば。

片山 虎之助氏(国務大臣)

特定郵便局長も一般職の国家公務員ですから、それはやっぱり国家公務員法や人事院規則を守らなきゃいけませんし、それから、公選法そのものを守るというのはすべての皆さんの義務でございますので、その意味で今回の事件は大変遺憾と思いますのは、その辺の認識の徹底がなかったんではなかろうかと、こういうふうに思っているわけであります。

浅尾 慶一郎

じゃ、今回、公選法違反で逮捕された者は16人だというふうに聞いていますが、容疑事実を御説明いただきたいと思います。

吉村 博人氏(政府参考人)

お尋ねの公職選挙法違反事件について申し上げます。本件は、本年7月に施行されました参議院議員通常選挙に関しまして、近畿郵政局長らが職務上の地位を利用して選挙運動を行ったものであります。大阪府警及び京都府警において近畿郵政局長ら16名を逮捕するなどして、公務員の地位利用による選挙運動の禁止違反事件として検挙しております。

大阪府警において検挙した事案は、近畿郵政局長、特定郵便局長らが、本年2月上旬から3月上旬にかけて開催をされました近畿郵政局管内の大阪堺特推連、三島特推連等、15の特推連の会合におきまして、職務上の地位を利用して、それぞれ傘下の特定郵便局長に対し、後援会への入会勧誘依頼や投票及び投票取りまとめの依頼をしたというものであります。

京都府警において検挙した事案は、当時の近畿郵政局総務課長らが職務上の地位を利用して、昨年9月、普通郵便局副局長らに対し、後援会の入会を勧誘するとともに部下職員に対する後援会への入会勧誘依頼をしたほか、本年6月ころ、普通郵便局の局長らに対し、投票及び投票取りまとめの依頼をしたというものでございます。

浅尾 慶一郎

この公職選挙法違反の事案と、それからきょう人事院の方来られておりますが、国家公務員法上で定めるところの公務員の政治的行為の禁止について、人事院の方から御説明いただけますか。

中島 忠能氏(政府特別補佐人)

国家公務員法では、国家公務員が政治的目的のために政治的行為を行うことを制限、禁止しております。

先ほど委員から御指摘がありましたように、現職の公務員、元公務員を含みまして16人が逮捕されているという話を聞きました。そのうち、数日前に4名が起訴されておりますが、捜査当局の話も今伺いましたけれども、これから訴訟を通じまして、いつ、どういう目的で、どういう行為が行われたか、そしてそれが高祖議員の多くあるであろう、多数あるであろう後援会との関係でどのように評価されるかということが司法の場を通じてこれから確定していくだろうというふうに思います。

したがって、司法の場で確定した段階で、私たちは所管当局からお話があれば法的な見解を明らかにしていきたいというふうに思います。

浅尾 慶一郎

今の私の質問は、先ほど警察の方から御説明いただいたようなことは、公職選挙法違反でなくて、国家公務員法にも違反するんじゃないですかという質問です。

中島 忠能氏(政府特別補佐人)

したがって、私が申し上げましたように、捜査当局の考え方といいますか意見はお聞きいたしましたけれども、事実として法的に確定しているかというと、まだ確定していないと。したがって、こういう場で、法律違反かどうかということについて私たちの見解を申し上げることは差し控えたいということでございます。

浅尾 慶一郎

いや、今のその人がそれに反するかどうかは司法が決める話ですが、警察が言っている容疑事実は公務員法に違反するかしないかということを伺っているんです。

中島 忠能氏(政府特別補佐人)

非常に現実に具体的な事実が目の前にあるわけでございますから、誤解があればいけませんので、こういう場でそういうことについて正式に申し上げることは差し控えたいということでございます。

国家公務員法上の政治的行為の制限とは、職員が政治的目的を持って政治的行為を行うこと、そのことを制限、禁止しておるわけでございます。

具体的に申し上げますと、一例でございますけれども、特定の候補者を当選させる、あるいは政治的団体を支持する、そういう目的を持って政治的行為を行うことを禁止しているわけでございます。

浅尾 慶一郎

そうすると、少なくとも警察の方が高祖さんの件で容疑として言われたことはすべて国家公務員法に違反すると思います。

なぜこういうことを言っているかというと、実は、公職選挙法は2年以下の禁錮であります、刑罰が。国家公務員法の違反は3年以下の懲役であって、軽い方でどうも今回捕まってしまった。それでいいんですかということを伺いたいものですから質問させていただいたんですが、これ、どなたに伺ったらいいか。

村井 仁氏(国務大臣)

先ほどこの事案につきましては刑事局長から御答弁を申し上げましたが、大阪府警、京都府警において、現在、公選法違反ということでこの問題につきましては検挙いたしたわけでございますけれども、今、浅尾委員お尋ねの件につきまして、私どもの理解では、証拠に基づいてそれぞれ法条を適用して告発している、検挙しているわけでございますから、私は、その事実に基づいて、証拠に基づいて処理をしている、その結果が公選法違反ということであるということのみしか申し上げられないということでございます。

つまり、別の言い方をいたしますと、事実関係につきまして、これは捜査当局が一番きちんと把握していることでございますから、これに基づいて、公選法に違反するという事実をもってこの件につきましては検察庁に送っているということであるということでございます。

吉村 博人氏(政府参考人)

ただいまも申し上げましたとおり、大阪府警と京都府警におきましては、証拠関係、擬律等を総合的に検討いたしまして公職選挙法上の公務員の地位利用による選挙運動の禁止違反として立件をしたということでございまして、検察庁におきましても、10月の4日に公職選挙法違反として公訴を提起しているところでございます。

浅尾 慶一郎

総務大臣、所管の大臣ですから伺いますが、なぜ罪の軽い方で摘発されたと思われますか。

片山 虎之助氏(国務大臣)

それは、捜査当局の御判断で検挙されて、これから裁判で争うわけです、疑いを。それで、公選法違反ということをつかまえて、そういう事実をつかまえて逮捕、検挙されて、それが今、略式起訴になったわけでありまして、そういう疑いがあるということは、委員のお気持ちはわからなくもないけれども、やっぱり法と証拠に基づいてこれから解明されるわけですから、それからの私は議論だと思います。

浅尾 慶一郎

法務大臣に伺いますが、個別論ではなくて公選法の罪とそれから国家公務員法上の罪とほぼ重なると思うんですが、重ならない部分があるとすればどこですか。

森山 眞弓女史(国務大臣)

この件に関しましては、今警察あるいは総務大臣がお話しなさいましたようなことで、送検に至っているわけでありますので、これから十分に検討されて判断されるべきものだと、裁判所が判断するものだと考えます。

真鍋 賢二氏(委員長)

ちょっと具体的に答えて、もう一度。

森山 眞弓女史(国務大臣)

それぞれの法律にはそれぞれの所管の責任者もおられますし、法務大臣という立場では、この件について解釈を申し上げる立場ではございませんので、御容赦いただきたいと思います。

浅尾 慶一郎

私は、一般論で違いがあるのかないのかということを伺っています。

森山 眞弓女史(国務大臣)

今申し上げましたように、一般論でなお申し上げることは難しいと思います。

浅尾 慶一郎

どうもお答えいただいてないようですので、高祖さんと三嶋さんの証人喚問を要求した上でこの場でやりたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

真鍋 賢二氏(委員長)

ただいま浅尾議員の提言につきましては、後刻理事会で協議いたします。

浅尾 慶一郎

それでは総務大臣に伺いますが、国家公務員は、刑事訴訟法上犯罪がある場合には告発の義務があります。これは刑事訴訟法第239条、犯罪があると思料する場合には告発をしなければいけないと。先ほど申し上げましたように、公職選挙法違反では2年以下の禁錮であると。しかし、片方でいけば3年以下の懲役であると。こういうことを考えたら、こちらにも違反していると考えられると思うので、その点について告発する意思があるかどうか伺いたいと思います。

片山 虎之助氏(国務大臣)

犯罪の事実があれば告発する義務があるんですよ。犯罪かどうかということはまだ一つも決まっていないわけでありまして、国家公務員法は全体の奉仕者である公務員についていろいろなことを決めていますよね。公選法は選挙の公正を確保する面でいろいろ決めておりまして、だから、何というか側面が違うわけですよね。

そこで、今回は、捜査当局は公選法違反ということで摘発されて逮捕して、今回起訴されているわけで、それが本当に違反かどうかはこれから訴訟、裁判で決着がつくわけであります。何度も同じことを申し上げております。

浅尾 慶一郎

刑事訴訟法は事実を言っていません。犯罪があると思料する場合には告発の義務がある。その点についてお伺いします。

片山 虎之助氏(国務大臣)

それは、「思料」と書いていますけれども、相当の蓋然性がなければそういう告発しないんですよね。そういう意味では、そういう蓋然性について我々はまだ感知しておりません。

真鍋 賢二氏(委員長)

浅尾慶一郎君、時間が参りました。

浅尾 慶一郎

公職選挙法で起訴されたということは蓋然性に当たらないと総務大臣は解釈するというふうに理解してよろしいですね。

片山 虎之助氏(国務大臣)

そういうことを言っているわけじゃないんですよ。一般論として、そういう蓋然性が認知されなければ思料したということにならないと私は解釈しております。

真鍋 賢二氏(委員長)

以上で平田健二君の質疑は終了いたしました。



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