- 委員長(小野清子氏)
次に、浅尾慶一郎君の質疑を行います。浅尾慶一郎君。
- 浅尾慶一郎
まず最初に外務大臣に伺いたいと思いますが、日中関係につきまして、昨年、日本の在外公館に対して様々な国際法上違反の行為を中国国内において行われているというふうに承知いたしておりますが、この点について、認識及び原状回復、そして謝罪をどのように求めていくか、お答えいただきたいと思います。
- 国務大臣(麻生太郎氏)
今御質問のありました中国国内で生じたデモに、言わせていただくと、公館に対する暴力行為というのに当たりましては、累次にわたって損害というものが、賠償金を含めて中国側に責任のある対応をせいということで求めております。中国側は、中国側が責任を負うという態度を取っております。
国際慣例及びいわゆる国際法に関連するいわゆる原則にのっとって責任を負ってもらうということですが、適切に処理の旨述べておりまして、原状回復作業につきましては、在中国大使館、大使公邸の修復が昨年十二月をもって基本的に終了、また、上海総領事館につきましても中国側と技術的な調整を進めているというところでありまして、順次修復を進めているところで、今外壁パネルが少し残っていると思っております。
陳謝につきましては、現時点で中国側よりそのような表明というのはなされておりません。引き続き中国側に、適切な対応は必要だということで、私ども、相互信頼の上からもこれはしてもらいますということで、過日の日中のときもこの話は出させていただいております。
- 浅尾慶一郎
続きまして、日本とイランとの関係について伺いたいと思いますが、イランの核開発について、まず現状をどのように把握されているか、お伺いいたします。
- 国務大臣(麻生太郎氏)
極めて憂慮するべき事態になっておると思っております、イランの現状につきましては。
で、浅尾先生御存じのとおりに、六日夜に、今日が九日ですか、六日夜にラブロフ、ラブロフというのはロシアの外務大臣ですけれども、モッタキという人と会っております。私が会ったのはその前に会っておりますんで、ラブロフに対して電話をして、ちょうどカナダに行っておりましたんで、あしたからライス国務長官と会うという話だったんで、電話をしておりますんで、私どもがモッタキと話した内容とモッタキがロシアに言っている内容と裏が違ってたら、きちんとしておかぬと、向こうの話にそのまま、口車とか、向こうの言い分をそのままうのみにするわけにはいきませんので、ラブロフに、どのような話をしたのかという話の、私どもとして裏を取らしていただいたと。裏を取るというのはあんまり品のいい言葉じゃないですけど、まあ大体お分かりいただけると思いますんで、確認をさせていただいたというのが正確なところだと思いますが。
ロシアとしてもいろいろ条件を出して、濃縮の段階で、御存じのように遠心力を掛けて、遠心分離ずうっとあれ上げていくやり方になっておりますんで、そこのところで、いわゆる研究開発的なものは断固維持するというイランに対して、IAEA含めロシアも駄目と、そこのところの、途中のところについてはロシアの国内でやられたらどうですかという話がロシア側の提案であります。それで、そういった内容なんですけど、その詳細なやり取りにつきましては、これ両方黙っている約束をしておりますんで、内容をちょっと申し上げられませんけれども。
いずれにいたしましても、イランの今のまんまいきますと、これは国連の安保理に付託されることはもう間違いないということになっておりますんで、そうなりますと、これから後は、これは、技術的な話から今度は政治的な、国際、安全保障理事国での話になりますんで、日本も理事国の一つでもありますし、いわゆるこの種の話の議長もさせていただいておるところでもありますので、これはちょっと正直、極めて深刻な事態になりつつあると私ども認識をいたしております。
- 浅尾慶一郎
仮に安保理に付託になった場合に、まあ最悪のケースは、イランが頑張って、結果として経済制裁になるということだと思います。これは我が国にとっても余り望ましいことではないというふうに思いますが。
まず、仮に経済制裁になった場合、日本の輸入の原油の一四%はイランから来ているということだと思いますが、経済産業大臣に伺いますが、そもそも原油というものは、これは、LNGじゃなくて、原油は国際市況商品なのか、あるいは長期的に確保しておかなければいけない商品なのか、どちらの理解かということをお答えいただきたいと思います。
- 国務大臣(二階俊博氏)
まず、イランの石油問題につきまして私たちも重大な関心を持っておりますので、先般、モッタキ外相が来日の際に私どもにもお訪ねがありましたので、お目に掛かってイランの核問題に対しての我が国の懸念について十分意見を述べるとともに、モッタキ外相には、帰国後、上層部にもしっかりこの日本の意向を話してもらいたい。同時にまた、イランの日本駐在の大使が私どもの省をお訪ねになりまして西野副大臣と応対をいたしております。
そこで、御質問でありますが、我が国は現在、国内消費量の百六十九日分の石油備蓄を保有をいたしております。他方、イランからは日量、御承知のとおり、五十八万バレル、これは全輸入量の一四%、先ほど議員が御説明になったとおりでありますが、輸入しております。
そこで、仮に、仮定の問題でありますが、イランからの石油輸入が全く途絶えてしまったというふうな状況のときには、この石油備蓄を取り崩せば千二十七日間は耐えることができる、これが計算上そういうことになっております。
そこで、まあ万一そういうことになった場合にはどういうことになるか。お互いにこのことは大変憂慮すべきことでありますが、他の国々とも協力、協調しながら、特にサウジアラビアなどの供給余力のある産油国に増産の要請をする。さらに、国際エネルギー機関の加盟国と協調しながら石油備蓄を活用するなど、エネルギー政策を所管する大臣として石油の安定供給確保に万全を尽くす所存であります。
- 浅尾慶一郎
いや、私の質問はもう少し簡単な質問でありまして、つまり、長期契約がないと入ってこないというものなのか、それともスポットで市場で買えるというふうに考えておられる。まあこれは一かゼロかで答えられないかもしれませんが、どちらに比重があるか。それによって日本の資源外交あるいは資源戦略というのは変わってくるだろうということなので、その点についてお答えいただきたいと思います。
- 国務大臣(二階俊博氏)
それはケース・バイ・ケースでありまして、今後私ども、先ほども申し上げましたように、エネルギー政策を所管する省として国民の皆さんに不安感を抱かせることのないように努力をしてまいりたい。
したがって、核の問題等において、これを今外交努力を続けておるところでありますが、しっかり対応していくことがまず一番であって、そして技術的な面での購入問題についても十分配慮してまいりたいと思っています。
- 浅尾慶一郎
いや、もう少しはっきり申し上げますと、仮に国連の安保理が経済制裁をした場合に日本が付いてくるだろうかというのが国際的な心配が若干あるわけであります。で、私は、これは仮にそうなったら、これは日本は付いていかざるを得ない、付いていくべきだというふうに考えておりますが、その中で石油というのは、むしろ多分その多くの考え方というのは、今はいろんなところで買えるんだという考え方が民間の間では主流になりつつあるんではないかなというふうに思いますが、大臣はそれをどういうふうに考えるかということです。
- 国務大臣(二階俊博氏)
お答えいたします。
現に我が国の輸入量のイランは一四%を占めておるわけでありますから、我々はこのイランとの関係というものは極めて重要視をいたしております。したがって、どこからでも買えると、それは平時のことであって、いったん国際的に紛争あるいは核の問題をめぐって等、国際的な新たな展開がなされた場合に、これは予断を許しませんから、慎重の上にも慎重に、二重三重の購入の道を常に整備しておく、整えておくことが大事だと思っております。
- 浅尾慶一郎
ちょっと議論がかみ合いませんので外務大臣に伺いますが、私、今安保理で仮にそういう制裁決議が出た場合には日本は従うべきだ、当然従うべきだというふうに思っていますが、外務大臣はどのようにお考えですか。
- 国務大臣(麻生太郎氏)
これは浅尾先生、ゼロか一かみたいな話でなかなか難しいところだと思いますが、仮に国連安保理事会で全会一致で決められたときには、日本もそれに従わざるを得ません。
- 浅尾慶一郎
それでは、次の質問に移らさしていただきたいと思いますが、今日は与謝野経済財政担当大臣もお越しでいらっしゃいますし、竹中総務大臣もお越しでいらっしゃいますが、まず与謝野大臣に、名目成長率、これはどういう式で出されるか、ちょっとお答えいただけますか。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
名目成長率の定義ははっきりしておりまして、実質成長率プラスインフレ率を加えたものでございます。
- 浅尾慶一郎
それでは、名目金利はどういう定義でございましょうか。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
名目金利は市場で決まる金利でございまして、デフレーターその他を考慮しない、実際に市場実勢として存在している金利のことでございます。
- 浅尾慶一郎
名目金利は、実質金利プラス期待インフレ率で決まるということでよろしゅうございますか。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
それプラスリスクプレミアムでございます。
- 浅尾慶一郎
リスクプレミアムはそのとおりでしょうけれども、国の場合はリスクプレミアムゼロと、例えば国債の金利の場合はリスクプレミアムゼロと考えてよろしいでしょうか。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
それは、それぞれの国の金融政策、財政規律等で決まってくるわけでございまして、すべての国のリスクプレミアムがゼロということはあり得ないと思っております。
- 浅尾慶一郎
それでは、日本の場合のリスクプレミアムはいかがでしょうか、円で。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
それは、財政規律が緩むとか、あるいは中央銀行の金融政策があいまいであるとか、中央銀行の金融政策自身が世界の信認を失うような場合は、リスクプレミアムが当然高くなるというふうに考えております。
- 浅尾慶一郎
我が国であっても、しかも円表示であってもリスクプレミアムが出る可能性があるというふうに御答弁だというふうに理解しますが、確認のためにもう一度。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
それは今後の財政規律、金融政策によるものだと思っておりますし、日本の経済が上がったり下がったりという不安定な状況ではリスクプレミアムは当然増えていくと思っております。
- 浅尾慶一郎
なぜその二つを細かく伺っているかといいますと、竹中大臣もお越しでいらっしゃいますが、名目成長率の方が名目金利より高くなると主張をされておられます。
これ、まあそれはそうなれば理想的なんですが、実際にはこの名目成長率、先ほどおっしゃっていただいたように実質成長率プラスインフレ率、名目金利は実質金利プラス期待インフレ率、リスクプレミアムゼロとしてもですね、期待インフレ率であります。
だとすると、どういう場合にどういうふうに分けたら名目成長率は名目金利より高くなるのか、御説明いただけますか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
まず、名目金利と実質金利に関して言うならば、実質金利というものが目に見える形で存在しているわけではありません。我々にとって目に見えるのは名目金利だけでございます。そこから計算をして、期待インフレ率を何らかの形で計算して引いたものを実質金利というふうに呼んでいるわけでございます。したがって、名目金利、実質金利の関係というのはそもそもそういう関係であるということをまず認識しなければいけないということ。
どうすればできるかということでありますけれども、委員おっしゃったように、名目成長が高くなればその方がよい、理想であると。現実に、長い期間を取りますと、名目成長率の方が日本の場合は高かったと。今この瞬間を取っても日本は名目成長率の方が名目金利より高いと思いますが、これはまあ、実は水掛け論といいますか、高いときもあれば低いときもあると、もうそれ以上のことは言えないんだと思いますが、それを実現するためには、実質成長率をできるだけ高く保って、そして一方で穏やかな適度なインフレ、デフレを克服してインフレにする、一方で通貨供給等々をしっかりと安定させて名目金利をできるだけ低く保つような金融政策を行う。つまり、適切な経済政策と適切な金融政策を組み合わせてできるだけそうなるように努力するということだと思っております。
- 浅尾慶一郎
大変言葉は多いんですけどね、なかなか理解しづらい説明だというふうに思います。
具体的に言いますと、実質成長率と実質金利、実質成長率の方が実質金利より高くなるという説明であればよく分かるわけでありますが、実質成長率が実質金利を超えるということは、お金を持っている人からすると、じゃ何でその人にお金を貸さなきゃいけないんだということになるわけでありますから、そうならないんではないか。
あるいは、インフレ率の方が期待インフレ率よりも高くなるから名目成長率の方が名目金利より高くなるという説明だとすると、市場に参加する人が期待値で持っているインフレ率よりも実際のインフレ率の方が常に高いということは市場が万能ではない、市場参加者がある種政策を作る人よりも愚かであるということになると思いますが、その点についていかがですか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
大変難しい御質問ですけど、本質的な御質問で、そういうことがあるのかどうかということを多くの経済学者が分析しております。そういうのをデフィシットギャンブル、デフィシットギャンブル、赤字をやる方が得だという議論になるわけでございますけれども、そういう議論に対して、これはいろんな、より高度な解答あり得ますけれども、歴史的な事実としては名目成長率の方が高かったということ。そして、区別しなきゃいけないのは、そういう議論をするときの金利というのが、ともすれば民間の金利を想定した成長率の議論をしているわけでございますけども、民間の金利と国債の金利は違う。したがって、理論的な、今、浅尾委員は理論的なお話をしておられますけれども、理論的な分析の帰結としてどちらの方が、つまり国債金利と名目成長率とどちらが高くなるということに関する確立された考えはないというふうに承知をしております。
- 浅尾慶一郎
いや、確立された考え方がないとかあるとかという話をしているわけではなくて、そのことをベースにもう既にいろいろ政策を決めておられるわけですね、あるいは主張をされているわけですね、名目成長率の方が名目金利より高くなるということを、竹中大臣はそのことをベースに主張された、少なくともそういうふうに報道はされております。
そうだとすると、今も、繰り返しになりますけれども、実質成長率の方が実質金利より高くなるのか、インフレ率の方が期待インフレ率より高くなるのか、それは別に確立されてなくても、どういう形でそういうふうに考えられたか。過去十年間そうだったというのは、過去十年間日本がデフレだったからそうだったわけでありまして、ずっとそうだったということにはならないと思います。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
理論的な頭の整理としては、これはいろんな整理ができるということだと思います。私は、それに関して特定の頭の整理をしていると、それについてこういう構図であるということをお話ししたことはございません。
そもそも名目金利と、そして名目成長率に関してはいろんな事実がございますから、私としては、私が申し上げているのは、長期的な事実としては成長率が高かったということと、したがって、高い低い、いろいろあるだろうけども、今後とも名目成長率が高くなるような運営をすることが望ましい、私が申し上げているのはその二点のみでございます。
- 浅尾慶一郎
一つ一つ伺っていきますが、今、長期的に高かったとおっしゃっているのは九〇年代以降のことではありませんか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
いや、長期というのはもっと長期でございます。日本の場合で私が長期と申し上げるのは、まとまった統計が取れる一九六〇年代から約四十年間ぐらいの数字、アメリカ等々では百二十年とか、もっと長い、失礼、百二十年とか七十年とか五十年とかありますけれども、そういう長期について高かったと。これは先ほどのデフィシットギャンブルの議論等々でもよく引用されるケースでございますので、そのことを引用として御紹介させていただいております。
- 浅尾慶一郎
なぜこのことにこだわるかといいますと、名目成長率の方が高くなるという、あるいは名目金利の方が低くなると、特に国債金利というふうに置き換えて言った方がいいかもしれません。だとすると、そのときに国債を買う人というのは、まあリスクプレミアムがゼロだから買っているということなのか、それとも、要するに名目成長率の方が高くなるんであれば、お金持ってる人はもっといい投資先があるはずなのにもかかわらずなぜそういう投資をするということ、まあ歴史的にそうだったということであるかもしれませんが、その背景はなぜそうだったかというふうに。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
それはリスクに対する評価ないしはリスクをテークする情報がどれだけあるかということもありますし、これを一つの要因で説明することは、これはやはりできないと思います。歴史的事実がそうであったということ、その事実に対してなぜそのような投資行動を取ったのかということに対して今委員は質問をしておられるわけでございますが、そのときにアベイラブルな情報、そのときに利用可能な他の代替資産、それに対する期待等々が当然違ったわけでございましょうから、それに基づいてそういう投資家としては行動を取ったと、ちょっと私としてはそれ以上申し上げる材料はございません。
- 浅尾慶一郎
一点だけ確認させていただきたい。
理論的に説明することはなかなか難しいという答弁でよろしゅうございますか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
画一的な形で説明するのは難しい。それに対していろんな形で理論的に説明しようという試みはいろいろなされて、幾多の論文が書かれていると承知をしております。
- 浅尾慶一郎
理論的に難しいということで、幾つかの論文があるけれどもなかなか統一的なものがないということだと思いますが、一方で竹中大臣は、そうなるように政策運営をするというふうにおっしゃっています。理論的に説明できないのに、どうやって政策運営するんですか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
私が説明できないというのは、投資家の行動としてコンシステントに説明できる考え方がないというわけですけれども、そういう行動があったというのは事実でございますから、そういう行動があり得るということを前提にすれば、政策の側としては安定的な経済成長、安定的な金融政策を行うということが求められている、そのように申し上げております。
- 浅尾慶一郎
確認させていただきますと、政策として、名目金利を常に名目成長率より低くするということを政策的にできる手だてがあるというわけではないという理解でよろしいですね。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
そういう手だてがあれば、各国そのようにしているんだと思います。現実にはいろんな場合があるわけですから、いろんな外的なショックもございましょう。
ただ、政策当局としては、正に委員もそれが理想的だとおっしゃいましたから、そういう時期もあったわけですから、そういうことを目指して経済の運営の概念を構築すべきであろうというふうに考えております。
- 浅尾慶一郎
まあ理想的というふうに申し上げたのは、少し訂正させていただきますと、国の財政にとっては理想的ですが、資本家にとってそれが理想的かどうかは、資本家からするとそれは間抜けな行動というふうに取られてもおかしくはないと思いますが、そこはちょっと訂正させていただきたいと思います。
与謝野大臣に伺いたいと思いますけれども、今経済財政を担当されているわけでありますけれども、この点に、今の議論について、本当に名目金利の方が名目成長率より低くなるのか、そうなれば確かに国債がいろいろあっても何とかもつということだと思いますが、それが本当に実現できると考えておられるかどうか、お伺いします。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
理論的には、名目金利が名目成長率より低いという状況が長く続くと仮にいたしましたら、それは平均的企業に投資をしていれば幾らでももうかるという話でございまして、多分そういうことが長期に続くということはあり得ないと思います。
戦後の金利の歴史を見ますと、やはり戦争が終わった後は統制経済でございまして、金利は統制されていた、長期金利が市場で決まるということはなかったと私は理解をしております。その後、市場が少しずつできましてからも、やはり歩積み両建てというのがございまして、表面的な金利は低いけれども、金融機関は歩積み両建てで金利を稼いでいたということですから、実際の金利水準がどの程度であったかということは、もちろん研究はありますけれども、その数字をそのまま引用すると間違うんだろうと思います。
私どもは、一九八〇年以降の日本の金利水準を取ってみますと、やはり名目金利の方が若干成長率より高いと、こういうことは言えるわけでございますけれども、最近のアメリカの情勢を見てみますと、これはグリーンスパンさんも不思議な現象だというふうに言われたわけでございますが、明らかに名目成長率の方が名目金利より高いという現象が、まあここ三年ほど起きているわけでございます。これはまあいろんな説明ができるわけでございます。
そこで、私どもとしては、財政再建をやるためのいろいろな計算はいろいろ、成長率、金利、こういうもののパラメーターをいろいろ変えながらいろんなケースについて御提示をいたしたいと、そのように思っております。
- 浅尾慶一郎
経済財政諮問会議の委員の中でも意見が違うということは、それはいいことだと思いますが、同じメンバーである官房長官ももし今の件について御意見があれば伺いたいと思います。
- 国務大臣(安倍晋三氏)
この件につきましては、総理がもう既に答弁をしているわけでありますが、六月に向けて、歳出歳入の一体的な改革に向けて取りまとめを行っていくわけでありますが、あらゆるケースについて幾つか選択肢を提示をしてもらって、その上にあるべき姿を考えていきたいと、こんなように思っております。
- 浅尾慶一郎
この点についてはこれ以上質問しませんが、是非その合理的に考えられるような説明のやり方で経済政策をつくっていただきたいということを申し上げたいと思います。
次に、ライブドア問題、耐震偽装問題について伺っていきたいと思いますが、私は、この問題はいろんな問題があると思いますが、とにかく法律違反ぎりぎり、あるいは法律の線を越えてもばれなければいいというような風潮が、ある種そういうものを生んできているんではないかなというふうに思います。そういう中におきまして、じゃ、どういう抑止があったら、抑止的な制度があればそういう行為を取らないかということも、やはり今後、真剣に国会の場においても議論をしていかなければいけないというふうに考えておりますが、まず、その議論のための材料として英米法、特にアメリカにおいて取られております懲罰的損害という考え方がございますが、このことについて法務大臣、御説明いただけますか。
- 国務大臣(杉浦正健氏)
お答え申し上げます。
懲罰的損害賠償の制度は、イギリスに起源を発しましてアメリカで発達した制度でございます。英米法に特有のもので、大陸法系にはございません。
アメリカで発達したのは陪審制度が関係しておりまして、陪審員が損害賠償額をケースに応じてどんどん上げていくということがございました。この制度は、加害行為の質が悪い、悪性が強い場合に、加害者に対する懲罰を加えると。それから、そういう行為、悪性の加害行為に対する一般的抑止効果を目的とするということでございまして、これがアメリカの古き良き時代等々で非常に一定の効果を現したことは間違いないようでございます。
ただ、最近は反省もあるようでございまして、余りにもその懲罰、賠償額が高額過ぎるとか、あるいは余りにも高い賠償金額で倒産すると、会社が、そういうのも多く出てまいりました。訴訟社会をつくる原因の一つでないかとか、そういう批判もございまして、今のところ、アメリカの方では州によっては大体実損の三倍ぐらいを目安に、法律的に上限はないわけですが、取ったのが、州によってはそれを金額の上限を設けるとか、あるいはその二倍とか三倍を限度とするとか、あるいは両方を取って、そのどっちか多い方とかいう制約を加えている州も幾つかございます。で、連邦でも制約を加えるべきだということで、いったん法律が通過したようでありますが、大統領が拒否をして実施に移されてないというようなことでございます。
この制度を、先生はこれを導入したらどうかというお考えのようなんです。検討したらどうかというお考えのようなんですが、我が国の民法に導入することについては、まあ御案内のとおり、我が国における損害賠償制度が被害者に生じた実害、実際の損害のてん補を目的とするというものでございまして、加害者に対する制裁はむしろこれは刑事罰でやるべきじゃないかとか、刑事罰と混同されているところもあるわけでございまして、そういう制度を設けようとしたらいろいろ批判がございます。
で、最高裁の判例がございまして、平成九年の七月十一日の最高裁判決。これは、アメリカで懲罰的損害賠償を命じた、日本の企業に対してですね、その判決を日本で執行するために執行裁判になった事件でございますが、ここでは、最高裁判決は、不法行為の当事者間において、被害者が加害者から、実際に生じた損害の賠償に加えて、制裁及び一般予防を目的とする賠償金の支払を受けることは、我が国における不法行為に基づく損害賠償制度の基本原則ないし基本理念と相入れないものであるとしまして、棄却しております。そういうこともございます。
それから、我が国の場合、特に名誉毀損に対する損害賠償に著しいんですが、いわゆる損害のうちに精神的損害、慰謝料ですね、この金額を、交通事故においてもその他においても、特に名誉毀損においては裁判所が増額している傾向がございます。その精神的損害、無形の損害の賠償額を増やすことによって、事実上、何といいましょうか、この制度の考え方に近い方向に向いているやに見えますが、しかし、実際、形の上では実損をてん補するというのが我が国の不法行為の制度の原則だと思います。
したがいまして、検討するに際しましては、先生のような意見は学者の中にもございますが、もし導入する場合には慎重の上にも慎重に検討するべき問題があるというふうに考えております。
- 浅尾慶一郎
一つだけちょっと数字を通告してありますんで伺いたいと思いますが、アメリカのその実際の損害、判例でですね、実際の損害と懸け離れた懲罰的損害の額でどれぐらい差があるか、一番大きいケースで把握しているところ。
- 国務大臣(杉浦正健氏)
法務省に調べてもらったんですが、いろいろあるんですけれども、一番多いと目されるものは、BMWの新車を購入した者が、購入後数か月たってから、販売会社がこの車を輸送中に傷ができた、それを補修した上で、それを隠して新車として販売したと。で、販売会社が訴えられたんですが、実際の実損は四千ドルと認定したのに対しまして、陪審は四百万ドルの懲罰的賠償の支払を命じたと。で、下級審はこれを維持したと。ただし、これは連邦最高裁で差戻しをしております。
それからもう一つ挙げますと、ドライブスルーで、マクドナルドのドライブスルーで買ったコーヒーを車の中でこぼしてやけどを負った八十一歳の女性が、熱過ぎるコーヒーは欠陥商品だとして製造物責任訴訟を提起したと。十六万ドルの実損を請求したと。裁判所は、陪審ですね、陪審はそれに対して、十六万ドルの実損以外に二百七十万ドルの懲罰的賠償が命じられたというケースがございます。ただし、これは裁判官が減額しておりますが、陪審ではそういう結論を出しているのがございます。
- 浅尾慶一郎
少し、ちょっと誤解があってはいけないので、私はその懲罰的損害を直ちに入れろということを申し上げているわけではありません。しかし、今の日本の世の中、あるいは例えば会社法の体系そのものも大陸法から少し英米法的になってきていると。なおかつ、規制をなくして、原則自由という方向になってくると、皆さんが性善説に基づいて真っ当に行動していればそんなことは要らないんだと思いますが、そうでない事例が多いんではないか、だからそれは検討するべきだということで、研究をするべきだということで申し上げました。今のような極端なケースがいいかどうかと、これはいろんな議論があると思います。
その中で、ライブドアあるいは耐震偽装といったことについて、具体的に現行法令上で、まずライブドアについてどのような損害が発生を、これは株主ですね、株主が発生をし、そして証取法の中で多少の損害賠償規定というのは粉飾決算の場合はあるんですが、どの程度今の法令で戻すことができるか、その点をお答えいただきたいと思います。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
有価証券報告書の虚偽によって損害を被った方に関しましては、損害額の算定が極めて難しいので、損害がどのぐらいかということをみなし規定によって算定できるようにしてあります。
- 浅尾慶一郎
その具体的な金額も、通告をしてありますので、お答えいただけますか。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
ただいまの推定規定の概要をお話し申し上げますと、有価証券報告書等に重要な虚偽記載があったことによる場合の発行者の責任を無過失責任として、虚偽記載等の事実の公表前後一か月の有価証券の価額の平均値の差額を損害額と推定することとしております。これは証券取引法第二十一条の二でございます。
- 浅尾慶一郎
ライブドアのケースで額を実は通告してありますので、今の証取法で認定される額としてお答えいただければと思います。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
恐らく、損害賠償請求が法廷に提出された、公判請求、まあ損害賠償請求を裁判所で行うという場合、これは、このみなし、推定規定を活用して最後には裁判所が判断するものでございまして、ライブドア事件そのものについて数字を申し上げる段階ではもちろんございません。
- 浅尾慶一郎
今の法律に基づいて、法律どおりに今日例えば訴訟が提起された場合に、額として幾ら、これは法律に書いてありますから、なるかということを伺っています。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
それは、もちろん理論的に計算できるかもしれませんけれども、果たして行政当局がそういうことを計算していいかどうかという問題が多分あるんだろうと思います。
- 委員長(小野清子氏)
速記を止めてください。
〔速記中止〕
- 委員長(小野清子氏)
速記を起こしてください。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
今のお話ですけれども、虚偽記載の事実の公表前の価格と公表後の価格の差額ということを申し上げましたが、その公表の時期というのは一体いつなのかということは、実際裁判になってみないと分かりませんので計算ができません。その時期が確定すればもちろん計算はできると思いますけれども、この時期は実際の裁判所の認定になると私は思っております。
- 浅尾慶一郎
それでは、後ほどこのライブドアについて伺います。
まず、耐震偽装の方で、現行法令上の瑕疵担保責任、販売主の瑕疵担保責任で賠償されることが命じられる額というのはどういうものになりますでしょうか。
- 国務大臣(北側一雄氏)
民法上、瑕疵担保責任の規定があるわけでございますが、さらに住宅取得の場合はこの瑕疵担保責任について更に強化充実をしております。住宅の品質確保の促進に関する法律というのがございまして、新築住宅の基本構造部分の瑕疵について、売主又は請負人が十年間修補や損害賠償の責めを負うこととする民法の特例がございまして、この十年間というのは強行規定でございまして、短くすることはできないと、短くしても無効だというふうになります。
- 浅尾慶一郎
いろいろ伺ってきているんですが、なぜこういうことを伺っているかといいますと、もう少し分かりやすい例で申し上げた方がいいかもしれません。
ライブドアだと被害者が投資家であって、これはよく分からないとか、耐震偽装については、これ被害者は購入者ということになると思いますが、例えば、東横インというホテルが、身体障害者のための施設を造ると言いつつ、造った後、そんなものがあっても利益にならないからというような発言をされて、それを改装した。そういうことについて、その後の記者会見で、六十キロ道路のところをせいぜい数キロオーバーしたというような発言を社長が当時されておられました。
何を申し上げたいかといいますと、規制がどんどん緩やかになると、その中で利益を極大化しようと考えるのは企業家として当然かもしれませんが、しかし、利益極大化の中で、もしちょっとグレーゾーンに入っても、罰が緩いのであればそっちの方に入ってしまうのではないか。だとすれば、規制をなくす流れの中で、懲罰的損害というような、現行の法令の中で、それを超えた場合には実際の得た利益の何倍も失ってしまうという考え方を導入すべきではないかということで、この考え方を議論したらどうですかというお話をさせていただきました。民法の中で入れるのが難しいということであれば、個別の法規の中に入れていくべきではないかなというふうに思いますが、まず、杉浦大臣、民法の中に入れられる可能性があるかどうか。
- 国務大臣(杉浦正健氏)
国会は立法者でございますので、国会がそうしろとおっしゃれば、そうなります。
ただ、法務省として、先ほど申し上げたような事情で、検討をするとすれば、慎重の上にも慎重に、最高裁判例もございますので、検討することに相なると思います。
- 浅尾慶一郎
それでは、例えば、民法には入れないけれども国土交通省が所管している業法の中に入れていく、あるいは証取法の中に入れていくという考え方について、それぞれ、北側大臣、与謝野大臣、いかがですか。
- 国務大臣(北側一雄氏)
委員の御質問は、違法行為があった場合、違法行為を抑止をしていくためにやはりその制裁を強化をしていく場合があるのではないかと、こういう御質問だというふうに考えます。
違法行為があった場合の罰としては、大きく分けまして三つあるんだろうと。一つは民事罰、損害賠償。もう一つは刑事罰、刑事責任を問う。もう一つ、行政罰というのがございます。これは制裁金を科すというまあ例でございます。
一つ、まず民事罰の話は、先ほど建築基準法の関係では、品確法の規定があって十年の瑕疵担保責任というふうに申し上げました。刑事罰については、今この建築基準法の罰則強化を検討させていただいております。今の罰則について、不十分なところについては強化をさせていただきたいというふうに考えております。
ちなみに、東横インの場合、違法な建築が全国で多数なされております。これ一件ごとに百万円以下の罰金になっておりますので、仮に刑事事件として立件されますと一件ごとに百万円以下の罰金、これが併科されますので、それはそれなりの罰金額になるのかなというふうには思っております。
問題は、その行政罰でございます。これにつきましては、確かに委員のおっしゃっているように、東横インのようなケースですが、違法な建築をして、例えば容積率を法律で定められているものよりも超えて、そしてそこに部屋を造って収入を上げたと、こういう違法行為を行って収入を上げているのを放置していいのかと、行政としてと。ここは私は検討の必要があるのではないかというふうに考えております。今の日本の法制度の中で、例えば独禁法とか証券取引法の中にはそうした行政罰としての制裁金を科すということがあるわけでございますが、私は、この建築基準法の世界の中でも、やはりそうした違法行為、違法な建築を行って一定の収益を上げている場合に、それはやはり行政として制裁金として科すようなこと、これが立法上検討できないか、これは少し時間が掛かると思いますけれども、専門家の方々の御意見をちょうだいしながら検討してまいりたいというふうに思っております。
- 国務大臣(与謝野馨氏)
懲罰的損害賠償制度というのは、まあ恐らく法務大臣が御答弁になったとおり、なかなか今の民法の考え方では取り入れられないわけでございますけれども、まあこの問題については更に相当議論が必要だというふうに思っております。
ただ、もう一つの刑事罰によっていろいろな不法行為を抑制するということに関しましては、この国会で提出して御審議をいただく証取法の改正の中では、最高刑懲役十年というのを導入することにしておりまして、この十年というのは、今までの刑法の考え方ですと、ほぼ自然犯のみに適用されていた刑のレベルでございまして、そういう意味では相当の重罰化ということになると思っております。
なお、北側大臣がお触れになられました行政罰に関しましては、証取法には課徴金という制度がございます。
- 浅尾慶一郎
先ほど私の考え方は申し上げさせていただきました。世の中の流れが変わってくる中で、懲罰的損害というものが日本の中に今までは余りなじまない考え方だったということだと思いますが、それがいいかどうかは別として、場合によってはそれが必要になってくる。それが必要になってくる世の中が望ましいかどうかというのは、また議論が分かれるところだと思いますが、そうだとすると、そういうことも含めて検討すべきではないかということも申し上げさせていただきたいと思います。
あわせて、これは御答弁をいただかなくても結構なんですけど、行政罰と民事罰といったときに、その主体がだれかということもその哲学が変わってくるところかなと。つまり、行政罰でもって国が悪いことを、あるいは違法行為をした者に対して課徴金を課していくというのは、やはり大きな政府にある種つながっていくところもあり得るのかなと。その懲罰的損害というのは、民事民事で、民間同士のものを裁判所が認定をし、それがいいかどうかは別として、先ほどの例えば四千ドルのもので四百万ドルの損害を訴えた人にそのお金が行くという、それは必ずしも大きな政府とは違う、だからそこは恐らく哲学が違うんだろうなというふうに考えております。
で、これはこの段階で、この短い時間でどっちがいいとかと言うつもりはありませんが、その両方を含めてもし内閣として御検討することを考える可能性があるかどうか、官房長官に伺うのが一番適切だと思いますが、もし何も、あれで、御意見がなければ結構でございますが、伺えればと思います。
- 国務大臣(安倍晋三氏)
もう既に所管大臣から答弁をさしていただいておりますので、それで十分ではないかというふうに思っております。
- 浅尾慶一郎
それでは、次の質問に移らさしていただきたいと思いますが、先ほど名目金利、名目成長率という話をさしていただきました。これは、財政再建との絡みでそういう議論になっているんだろうというふうに思います。
私は、財政再建といったときに、まずは増税の前に資産を売却していくべきだというふうに思っていますし、また国として減らせる支出は、あるいはこれは多少苦しくても減らしていくべきだろうというふうに思っています。そういう意味で、公務員の人件費についても度々予算委員会の中でも取り上げさしていただきました。
まず、かつて私が取り上げさしていただきました休息時間の状況について、是正ということを決められたそうでありますが、人事院総裁に伺いたいと思います。
- 政府特別補佐人(佐藤壮郎氏)
たしか昨年十月のこの予算委員会だったと思いますけれども、休息時間について多々御議論をいただきました。そのときの御指摘を踏まえ、また民間企業の実情を勘案して検討いたしました結果、やはり現行の休息時間制度というのは、これは国民に説明ができないと、これは廃止すべきであるという結論に達しました。そして、その結論にのっとりまして休息時間を廃止して、休憩時間で一本化するという形で人事院規則を改定を先般行ったところでございます。で、実施時期につきましては、若干の準備時間が必要だと思いますんで、七月一日ということにいたしております。
- 浅尾慶一郎
国家公務員の休息時間が廃止になると、地方公務員の休息時間についてどういう取扱いをすべきかということを各自治体に総務省からお話をされるんだと思いますが、どのような話をされるか、その点、まず伺いたいと思います。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
地方公務員の勤務条件につきましては、地方公務員法の第二十四条第五項に規定がございまして、国との権衡を失しないように適当な考慮が払わられなければならない、つまり地方公務員についても国家公務員に準じて考えると。そういう意味で、これまでもいわゆる例の休息時間が設けられておりました。
で、今般、国家公務員において休息時間が廃止されるということになりましたので、この対応にかんがみまして、地方公務員においても休息時間を廃止する必要があると考えております。このため、地方公共団体に対して休息時間を廃止するように助言をしたところでございます。具体的には、公務員部長の名前で各知事、担当にレターを発出しております。今後とも、地方公共団体において適切な対応がなされるように私としても助言をしてまいりたいと思います。
- 浅尾慶一郎
一点だけ、その休息時間の中で細かい点を伺いたいと思いますが、国家公務員の休息時間はお昼休みに集中をしていました、基本的にはですね。ですから、事実上、お昼休みのうち、一時間のうち三十分は有給の時間と、勤務時間としてカウントされる時間であったと。
そもそも休息時間というのは、勤務時間中の軽度の疲労からの回復を図るための措置ということで、午後三時とか午前十時に十五分間ぐらい体操をしながら休むという考え方で設けられたんだと思いますが、実際の運用ではそうなってなかったということだと思いますが、地方自治体の中には、三時、午後、要するに昼ではない時間に本来の趣旨にのっとった形で運用しているところもあると思いますが、そういうところも含めて廃止の助言をされるのかどうか、総務大臣に伺いたいと思いますが。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
これは、国に準じて対応する必要があると思っておりますので、実態いろいろだと思いますけれども、均衡を失しないようにやってもらうつもりでおります。
- 浅尾慶一郎
それでは次に、先ほど内藤委員からも年金の統合について御質問、御質疑をさせていただきましたが、共済年金と厚生年金の統合で、職域加算の今後の在り方についてどういうふうに考えておられるか、所管の谷垣大臣に伺いたいと思います。
- 国務大臣(谷垣禎一氏)
共済年金の職域部分、これは何で設けられているかというと、公務員にいろんな身分上の制約が課せられている、こういうことから昭和六十一年に設けられたものでございます。当時の竹下大蔵大臣の国会での答弁を見てみますと、職務専念義務とか私企業からの隔離とか信用失墜行為の禁止等々というようなことを挙げておられるわけですが、そういう身分上の制約を理由に昭和六十一年に課せられたと。
そこで、今後どうしていくかですが、職域部分の取扱いにつきましては、被用者年金一元化等に関する政府・与党協議会というのがございますが、そこで政府が検討・作業方針というのを出しまして、そこでは、現在の公的年金方式としての職域部分については更に検討すると、そして職域部分を廃止する場合には民間の三階部分に相当する年金を創設する必要があると、その際、公務員制度全般の在り方や民間の企業年金の実態を踏まえることとすると、こういうふうになっておりまして、この検討・作業方針を踏まえて、これからの一元化に向けた議論の中で検討を進めていきたいと考えているところでございます。
- 浅尾慶一郎
今、職域加算を廃止する場合には民間の三階建て部分のようなものを導入すべきだという御答弁をいただきましたが、総務大臣に伺いますが、公務員の、国家公務員の退職金を計算するときに、民間の三階建て部分を含めて調査し、計算していませんか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
国家公務員の退職手当は勤続報償を基本的性格とする、その支給水準については、官民均衡を図る観点から民間企業の退職金の支給水準を調査して、これを参考にというふうに決定をされております。
民間企業の年金、企業年金の多くは、退職一時金と代替的であるということなど、退職金制度の一環として機能しておりますので、民間企業退職金の実態調査におきましては、退職金に相当する企業年金の企業負担分もその対象に含めていると。
一方で、国家公務員共済年金の職域加算部分というのは、公的年金の中で公務の能率的運営に資するという観点から、国家公務員に様々な身分上の制約が課されているわけでございますので、兼業禁止とか再就職の制約とか、そういうものでありますので、その給付水準は民間企業の退職金としての企業年金の支給水準との関係で設定しているものではないというふうに理解をしております。
したがって、国家公務員共済年金の職域加算部分、そして勤続報償を基本的性格とする国家公務員の退職手当とは異なる性格のものでございますので、退職金の給付水準の官民比較の対象に含めていない、まあ今現状はそうなっているわけでございます。
- 浅尾慶一郎
いろいろ読まれていますけれども、要するに簡単に申し上げますと、民間企業の退職金を調査します、その退職金は民間の中のいわゆる退職一時金と、そして退職金という形、一時金としてもらうか年金でもらうか両方を含めて調査をしているはずなんです。年金でもらえる部分を一時金でもらうと大体九百八十二万だと、それも調査に入れて国家公務員の退職金を決めているんじゃありませんか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
さっき読んだのは正にそういうことでございます。国家公務員の退職金の分、それと企業の部分は年金の中にそういうものが含まれておりますので、年金の中に含まれておりますので、それはそれとして考慮をしているということでございます。
- 浅尾慶一郎
なぜそこにこだわったかといいますと、先ほど谷垣財務大臣が、仮に職域加算を廃止する場合には民間の三階建て部分、正に企業年金の部分も含めて代替措置を入れなければいけないと。もう既にその部分は調査し払っているものに更に乗せるということを言われたのかどうか、もう一度確認させていただきたいと思います。
- 国務大臣(谷垣禎一氏)
そこはこれからの検討でございます。
- 浅尾慶一郎
これから検討されるということであれば、これは何回かこの予算委員会の中で指摘をさしていただいておりますが、これは、この部分は完全に二重支給なんですよ。二重支給でないという言い訳のために、公務員の方は現役のときに身分上の制約があるから退職した後に余計年金を払いますよと、それが職域加算なんですよという説明になっています。
ちなみに伺いますが、厚生年金と国家公務員共済年金の例えば平均支給月額の差は幾らぐらいですか。そして、地方公務員共済と厚生年金の月々幾ら差があるか、それぞれお答えいただけますか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
これはまず、決して二重計算といいますか、そういう観点ではないというふうに私たちは理解をしております。
お尋ねは金額でございますので、地方公務員共済年金の退職年金の受給一人当たり平均支給額は平成十五年度末で月額十八万八千五百九十八円となっております。
ほかのも必要でございますか。
- 浅尾慶一郎
差を知りたいので教えていただきたいと思います。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
はい。厚生年金九万二千五百九十八円、国共済十七万二千二百五十六円でございます。
これは、平均の標準報酬月額の差そして平均加入期間、これもかなり違いますので、その差の反映だと理解をしております。
- 浅尾慶一郎
つまり、職域加算がある結果、厚生年金の平均が九万二千五百九十八円、地方公務員共済の平均は十八万八千五百九十八円、国家公務員共済は十七万二千二百五十六円ということで、九万円近い差があるわけですよ、そこで、既に職域加算の部分で。それはそれで、職域加算は例えば企業年金の代替措置だというふうに説明されれば世の中の人は理解するかもしれませんが、それはそうではなくて身分上の制約があるからもらっているんですと。だから、普通の企業が出している、あるいは大企業しか出してないかもしれません企業年金について、それもそっちの方は退職一時金として支給するというのは正に二重支給ではないかというふうに思っています。
ちなみに、その身分上の制約については人事院に伺いますが、制約があるからこそ人事院が民間企業を調査し、それに遜色がないような給与を出しているんではないでしょうか。
- 政府特別補佐人(佐藤壮郎氏)
人事院は、国家公務員の給与水準につきまして、公務員の給与水準と民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本に勧告を行ってきているところでございます。この際に、身分上の制約があるからとか、どうかということについては余り実は私どもとしては念頭にございません。
御承知のように、勧告に当たりましては、人事院は民間企業の給与を正確に把握した上でラスパイレス方式により精密に官民給与の比較を行っているところでございまして、勧告どおりの給与改定が行われることによって適正な給与水準が確保されているものと考えているところでございます。
- 浅尾慶一郎
特に、身分上の制約といったときに、守秘義務等は民間企業も課されられているわけですから、一番大きいのは労働基本権なんです。ですから労働基本権を付与すれば身分上の制約はほぼ民間企業と一緒になるというふうに理解していますが、その点について、どなたに、総務大臣でしょうか、どのように考えておられますか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
労働基本権の問題は問題として大変重要な問題だと我々認識をしておりまして、中馬大臣と厚生労働大臣とともにいろいろ議論しておりますが、今の話に関して言うならば、その制約という部分は、例えば兼業の禁止でありますとか再就職に対する制約でありますとか、そういうことを含めた総合的なものであるというふうに理解をしております。
- 浅尾慶一郎
まあ官に厚いということは少し改めていかなければいけないということだと思います。
もう一点だけこの点について伺って終えたいと思いますが、なぜ年金が高くなるかということについて、追加費用があるから事実上そうなっているんだと思いますが、現在の追加費用の額はどのような計算になりますか。
- 国務大臣(竹中平蔵氏)
十六年度の単年度で申し上げますと、国共済が四千九百十八億円、地共済が一兆二千四百六十五億円、合計しまして一兆七千三百八十三億円でございます。
- 浅尾慶一郎
これ追加費用、今後厚生年金と共済年金統合した場合に、まさか厚生年金側にその分を負担するということにはならないでしょうね。その点をちょっと厚生労働大臣に伺いたいと思います。
- 国務大臣(川崎二郎氏)
当然、共済年金と厚生年金統合される、一つの年金制度になりますから、同じ掛金、同じ給付ということになりますね。
その中において、追加費用が全くゼロになってしまったときに、厚生年金側から持ち出しをしなければ公務員のOBの年金払えないという状態になることは、これは我々受け入れられない。当然、財政的な処置というものはなされなきゃならない。一方で、どのぐらいストックありますかと、ストックの問題もあります。それを勘案しながら、少なくとも厚生年金にしわ寄せが来るということだったら私はお断り申し上げます。
- 浅尾慶一郎
終わります。
- 委員長(小野清子氏)
以上で浅尾慶一郎君の質疑は終了いたしました。