予算委員会 会議録
平成14年2月1日
浅尾 慶一郎

同僚の櫻井議員に続きまして、関連で質問させていただきます。

私は、さきの村山訪朝団を受けまして日朝国交正常化交渉の予備会談が始まった、開催に向けて動き出したという点についてお話を伺っていきたいと思います。

そこで、今回の村山訪朝団、その後の予備会談の開催ということになりますと、昨年8月のテポドンの発射以降ことしの8月までと8月以降との間で、米朝の間ではベルリン会談等で確かに北朝鮮との関係が好転しているということはあるかもしれませんが、日本と北朝鮮とのバイの関係でよくなった部分というのは具体的に何があるのか、その点をまず大臣に伺いたいと思います。

河野 洋平氏(国務大臣)

北朝鮮をめぐる情勢についてまず申し上げたいと思います。

議員御指摘のとおり、あのミサイルの発射以来、アメリカ、日本、韓国、それぞれその問題についての認識が必ずしも同じではないと思います。例えば、韓国のように至近距離にいる、あるいは我が国のように頭上を越えた、あるいはアメリカのように届くかもしれない、こういうこと一つをとってみても濃淡はあるんだと思います。

しかし、いずれにしてもこの3つの国が一緒になって北に問題解決を迫ろうということを考えまして、日米韓と申しますか3ヶ国で1つに統合された北朝鮮とのやりとりを考えたわけです。それはつまり、ペリー・プロセスというものをつくり上げるときにも、日米韓がそれぞれ意見を出し合い、議論をし合って統合された考え方というものを持って、そして北朝鮮に当たっているわけです。

議員が御指摘のとおり、確かにアメリカはそれを代表してと申しますか、それを持ってベルリンで米朝会談という直接的な会談をやりましたし、韓国は、金大中大統領の指導のもとでいわゆる包容政策といいますか、こうした政策をとっておりまして、韓国の際立ちます北とのやりとりは、例えば民間企業が非常に積極的に北との間で行き来をするというようなことが目立っていると思います。

それらに比べますと、我が国と北との関係は、そうした目立った動きというものは、正直、余りございません。しかし、我が国としても、アメリカを通じ、あるいは中国とかそういう北を取り巻く、あるいは北との交渉のできる国々を通じて北に対していろいろと働きかけをする、そういったことはあったというふうにお考えをいただきたいと思います。

浅尾 慶一郎

対話の窓口ができるということはそれはそれで非常にすばらしいことだというふうに考えておりますが、実は米朝が先行するということだと思います。

そうすると、御案内のとおり来年11月にアメリカの大統領選挙があって、民主党政権から共和党政権に変わるかもしれない。共和党政権に変わった場合には対中政策、対北朝鮮政策が変わるということを共和党系の人は言っていますし、民主党系の人も変わるだろうと、余り変わらないけれども変わるだろうと、そこはニュアンスの違いがありますが、申しております。

仮に、今は民主党の政策にのっとって我が国も動き出したわけでございますが、これが米国が変わると我が国も変わるというようなことでは主体性がなくなってしまうというふうに思いますので、そこら辺の御決意のほどを伺いたいと思います。

それからもう一つは、ちょっと時間が余りないので早口でしゃべらせていただきますが、今回のミサイルの問題の後の日朝国交正常化予備会談の話と、それからKEDOのときの日本の負担という、アメリカが交渉して日本が負担をしたということとがどうも連想で重なってしまいますので、その点についてもお話をいただければと思います。

河野 洋平氏(国務大臣)

アメリカの大統領選挙の結果がどうなるかということをこの席で予測したり、そうしたことの予断の上で物を言うということは適当でないと思います。しかし、今、議員がおっしゃったように、日本の対北朝鮮政策というものは主体的でなければならぬという御意見には私も同意をいたします。

それから、私は村山訪朝団の成果というものは相当大事にしなければいけない成果だというふうに思っております。元首相を団長とする、しかも多くの政党の方々が参加をして訪朝された、そして紙を出された、この実績はやはり大事にしていく必要があるだろうと。したがいまして、この成果を踏まえて正常化交渉というものに私は取り組んでいいのではないかというふうに思っております。

しかし、まだまだ政府部内でいろいろと議論をしなければならないものもあると思いますので、訪朝団の上げられた成果についても十分注意深く文章を読み、またお帰りになった方々の御意見も聞きながら整理をしているところでございます。

浅尾 慶一郎

成果は成果として評価していくということだと思いますが、日本としてやはり指摘すべきことは指摘していくということなのかなというふうに思っております。

そこで、先ほど距離の話がありましたが、テポドンとは別に、射程が1,500キロと言われておりますノドンというミサイルが既に実戦配備されておるというふうに言われておりますが、防衛庁長官お越しでございますので、その点について御確認をいただきたいと思います。

瓦 力氏(国務大臣)

浅尾委員にお答えいたします。

今も概括して外務大臣からいろいろお話がございました。実は、日朝関係が緊張緩和を通じて北東アジアの安定、平和につながれば幸いである、私どもも透明性が一層広がってまいることを期待いたしておることをまず前段に申し上げさせていただきたいと思います。

加えて、御指摘のノドンミサイルでございますが、北朝鮮の閉鎖的な体制に加えまして、移動式の運用形態による部分もございまして、具体的な配備状況、詳細については確たることは申し上げられる状況にないわけでございますが、私どもとしては、引き続き北朝鮮がその配備を行っているという可能性が強い、こう見ておるわけでございます。依然として我が国を含む東アジア全域の安全保障にとっては重大な不安定要因でもございますので、先ほど冒頭に期待を持って話し合いが行われればありがたい、地域の安定につながるということを申し述べさせていただきました。よく見てまいりたいと思っております。

浅尾 慶一郎

ぜひその話し合いの席でノドンの配備についても懸念を表明していただきたいということを外務大臣とそして防衛庁長官に申し上げさせていただきますので、何かありましたら、どうぞお願いします。

河野 洋平氏(国務大臣)

北朝鮮に対します我が国の基本的な姿勢は、対話と抑止というのが基本的な考え方でございます。対話についても我々は、先ほどから申し上げましたように、村山訪朝団の成果を受けて、対話の場をつくって話し合いをしていくという作業に私どもは取りかかることができるというふうに考えております。一方、対話と抑止の抑止という方につきましては、防衛庁長官から今いろいろお話がございましたように、これもまたしっかりと、きちっと見るべきところは見ていくということが必要なんだろうというふうに思います。

瓦 力氏(国務大臣)

私も朝鮮半島問題、勉強はさらにしていかなきゃならぬと思っておるんですが、やはりアメリカの外交も、朝鮮半島、北朝鮮問題につきましては腰を落ちつけて、随分とアジア的な取り組みといいますか、私は短兵急に結論を求めるというよりも、じっくりと私は話し合っていただいた成果が実りつつあると思います。これから先はわかりませんが、そういった意味合いでは、これも一つのチャンスになるのかなという期待を持ちながら、これから軍当局者であるとかそういった方々にどういう動静にあるかということを、いろいろまた会話を通じながら勉強してまいりたいと思っておる次第であります。

浅尾 慶一郎

きょうは北朝鮮に対する外交ということで質問させていただいておりますので、実はこの場をおかりいたしまして、ことしの8月号の月刊文春に、そちらにいらっしゃる山本一太政務次官と共著でこういった外交をした方がいいんじゃないかというようなものを出させていただきました。

今の政府が行っている外交と若干違うかもしれませんので、その当時の経緯も含めてお話をいただければと思います。

山本 一太氏(政務次官)

昨日、浅尾委員から御質問があるということを聞きまして、必ずその点を突いてこられるんじゃないかというふうに思っておりました。

今、論文を書いた経緯をいろいろ御質問を聞きながら考えていたんですが、一昨年の111月に、浅尾委員を含む7人の超党派の議員と北朝鮮に対する戦略的外交を考える会というのをつくりました。この会の目的は、日本の北朝鮮政策、今までの北朝鮮政策をレビューをして、研究をして、バランスのとれた対話と抑止、これに基づいた政策提言をしようというのが一つの目的。もう一つは、北東アジア全体の安全保障の枠組みについて、これも研究をして提言するということだったというふうに記憶しております。

その中で、我々が勉強したその成果の一端を、党は違いますけれども国際派として注目をしている、お世辞を言うわけじゃありませんけれども、同じ世代の浅尾議員と2人でたしか月刊誌に書いたというふうに記憶をしておりますし、タイトルはカバーストーリーにたまたまなりまして、かなりややセンセーショナルな感じだったように覚えておりますけれども、中身はまじめな外交論文だったということは委員も御存じのとおりだと思います。

論文の中で言いたかったことは、これは委員と私は同じ考えだというふうに信じておりますけれども、抑止と対話という2つの要素をきっちりと組み合わせてバランスのとれたやはり外交をやっていくべきだと。対話はもちろん必要だし、抑止も必要だと。その中でやはり相手の出方を十分に見ながら、分析をしながら外交を進めていくことが戦略的な外交ではないかという話だったように記憶をしております。

ですから、その意味でいうと、まず第一に先ほど河野外務大臣がおっしゃったような、これまでにいろんなプロセスがあったわけですが、ペリー・プロセスにも見られるように、日本の外交の基本というものは対話と抑止を中心として、それをバランスよく使いながら進めるという点におきましては今の政府の立場と私は基本的に同じだというふうに考えております。

もう一点だけ言いますと、論文は二人で夜中の三時まで文芸春秋のあそこの会議室の中で書きましたけれども、誌面が足りなくてどうもあの論文はやや抑止に力点が置かれたように見えていますけれども、あと半分はずっと対話のことを書こうという話でございましたので、その点につきましても今の政府の方針、大臣がおっしゃった方針と違いがないのではないかというふうにお答えしたいと思います。

浅尾 慶一郎

対話は私も大変重要だというふうに思っています。ただし、日本としてその対話の中で言うべきことは言っていくことが必要なのではないかなというふうに思っております。

その論文の後に、たしか今の外為法のいろいろな問題点について、法律の改正案もつくりましたが、その点について、今でもこの改正案が有効なのかどうか。具体的に言いますと、北朝鮮籍の例えば半潜水艇というものを韓国軍が撃沈して引き揚げたと。その中にさまざまな日本製の電子機器が使われていたといったような事実があったわけでありまして、それはお互いに韓国に参りまして見てきたわけでございます。そういった日本のデュアルユース品というものが使われている現状というものは、やはりそれは対話をしながらも変えていかなければいけない。

通産大臣お越しでいらっしゃいますので、今の外為法ではこれは取り締まれないということでございますので、通産大臣と、そして一緒にその法案をつくりました政務次官に、外為法改正案を今でもやる必要があるかどうか、それぞれお答えいただければというふうに思います。

深谷 隆司氏(国務大臣)

若い皆さん方が党派を超えて真剣に議論なさっておることに心から敬意を表したいと思います。

ただいまお話がありましたように、韓国が確保した北朝鮮の半潜水艇、ユーゴ潜水艇の中に日本の貨物が、いわゆる輸出した貨物が軍事転用されているのではないかという問題が大きな課題となりました。

我が国は外為法に基づいて厳正な審査の上で許可をしているわけでありまして、国際的に決められた範囲の中でそれはきちんと守るべく努力をしておりまして、これからも厳正な対応をいたしますが、問題なのは、通常いわゆる民生用品として使われているもの、それを場合によっては武器に転用できるかということについての区別は一応しているのでありますが、しかし一般に市販されているもの、あるいは外国で規制されていない、外国へ行けば買えるというもの、これらを外為法の中にはめ込んで規制するということは事実上困難であると同時に、効果がないという点で新たな法制化というのは非常に難しいというのが現状でございます。

ただ、北朝鮮あるいはその他懸念諸国に対する輸出に関しては、一層審査は厳正厳密にしていかなければならぬと考えています。

山本 一太氏(国務大臣)

外為の話なんですけれども、委員がおっしゃったことは議会の方で考えられることとして、一つの考え方だというふうに思います。

いずれにせよ、一緒に出張で見てきたような日本製の部品が使われているということはゆゆしき話でございまして、これについては重大な関心を持っていきたいというふうに考えておりますが、当局といいますか、今の国際管理レジームのもとでかなり厳しく第三国に対する輸出管理をやっているということもぜひ覚えていただければというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

時間が参りましたので質問を終わらせていただきますが、ぜひ政府の方でも民生品について少し効果のあるキャッチオールの概念も含めて検討していただきたいということを申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。



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