予算委員会 会議録
平成15年05月29日
浅尾 慶一郎

民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。

ちょうど2年前、5月30日だったと思いますけれども、小泉総理が総理に就任されて初めて、私はこの予算委員会の場で質問をさせていただきました。そのときに、実は、金融の問題も取り上げさせていただきました。そのとき総理は、金融の問題については柳澤大臣に任しているからという答弁で一応終始されました。昨日の予算委員会を拝聴いたしておりますと、金融の問題については竹中大臣に任しているということでございます。

そこで最初の質問は、柳澤さんから竹中さんに替えられた、その替えたこと、どういう理由で替えられたのか。特に、今度、竹中さんは金融も経済も両方兼務していると。何かその替えなければならない理由があったんではないか。何を期待して替えたのか、その点を伺いたいと思います。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

柳澤大臣、それぞれ専門的な知識、経験を生かして、日本の金融問題にしっかり取り組んでいただきましたが、なぜ替えたかということではございますが、竹中大臣、経済財政担当しております。これからの経済問題考えますと、金融問題と産業問題が、やっぱり両面を見なきゃいかぬと。金融健全化、不良債権処理、同時に産業再生、これがやっぱり経済全体に大きな影響を与えると。経済財政諮問会議というものもあると。そういう中で、竹中大臣に金融問題も一緒に担当させて、総合的に見させた方がいいんじゃないかなと思って、竹中大臣を起用いたしました。

浅尾 慶一郎

1年、総理就任されてから大体一年半たって、柳澤さんを替えて竹中さんにされたと。その一年半の間の行政運営とその後の行政運営で、1年半の間に、やはり一緒でなければいけないという結論に至ったということですか。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

不良債権処理を加速していかに金融を健全化していくかという点のみならず、産業再生、経済再生、一緒に見ていこうということで、私は兼務がいいと判断いたしました。

浅尾 慶一郎

そうすると、竹中大臣が兼務することによって不良債権処理を加速するという姿勢を示したと。そのことが結果として今回のりそなの問題につながってきている側面もあるんではないか、側面があるというふうに言えると思いますが。

ちなみに、柳澤大臣のときには健全なものをより健全にするということで公的資金を銀行に注入いたしました。しかし、例えばりそなだけで見てみましても実は8,680億円、優先株だけで、劣後ローンは別にして、優先株だけで8,680億円の公的資金が入っておりますが、うち5,000億円以上は既に毀損しているというような状況ではないかなというふうに思います。

そうだとすると、これは健全なものをより健全にするということではないんじゃないかなというふうに思いますが、そう発言したことについて行政の連続性の観点からどのように考えるか、竹中大臣に伺いたいと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

浅尾委員がおっしゃった、そう発言したことについてという趣旨が…

浅尾 慶一郎

健全なものはより健全に。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

健全な、ええ。これは、これまでのその当時の健全化法等々のスキームと今の預保法のスキーム、それぞれ違う理念といいますか違う状況下での法律体系になっているわけでございますけれども、当時そのような判断をこれはされたということは、私は、これは当然その法律の枠内でその法律を執行する過程で合理的な判断であったんであろうというふうに思っております。

浅尾委員のお尋ねは今の状況が健全かどうかということも含まれているかと思いますが、これは自己資本比率が健全行の基準である4%を下回ったという意味では、これは資本が過少であるというふうにこれは認定をしているわけでございます。

浅尾 慶一郎

後ほども詳しくやりますけれども、既に政府が取得した優先株についても時価会計で評価すれば大幅な損失を出しているわけでありますから、それは今の竹中大臣の答弁は当たらないということを指摘しておきたいと思います。

りそなの問題につきましては、国民はやはりどこか割り切れない思いを持っているんではないかと。つまり、一人当たり2万円の負担をしている。しかし、責任が、まあ経営者の責任は多少は取ったでしょう。しかし、では従業員はどうだろうか、あるいは普通株の株主の責任はどうなっているんだろうかということを考えると、責任追及というのがまだまだ不十分ではないか、そのことが多分割り切れない思いにつながっているんじゃないかなというふうに思います。

ちなみに、ホームページで見てみましたら、りそなホールディングスの従業員の平均年齢39.8歳、平均年収は1,038万円というふうに出ておりました。そして、三割削減したとしても普通の企業から比べればかなりの高収入だということになりますから、こういったことは、やはり国民の感情からすればおかしいんではないかなと、こんなふうに思うわけであります。

そこで、今日は幾つか資料を用意させていただきましたが、先ほど来、りそながまだ債務超過ではないというような話をされておられます。あるいは、実質まだ3.何%自己資本があるんだというような御指摘をされておられますけれども、今日お配りした資料は実はそのりそな自身が出した決算から取ったものでありますが、りそな自身が出した決算を見ますと、ここにありますように、一株当たりの株主資本、マイナスの103円76銭、つまりは普通株で見れば、これは完全な債務超過なんです。そのことについてはどういうふうに竹中大臣は説明されるんですか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

今、浅尾委員が御指摘になった数字は、決算短信の中に出てくる連結の財政状況、一株当たり株主資本の数字をお挙げになったのだということだと思います。

これは、しかし、委員自身がよく御存じのとおりだと思いますが、これはバランスシート上の資本勘定から、資本勘定から優先株を除いたものでございます。優先株を除けばマイナスになるということは、これはもう事実としてそのとおりでございます。しかし、現実に優先株は出資をしております。出資をして、そこに資本として存在をしております。その意味では、先ほどから申し上げていますように、自己資本比率は、ホールディングで見て3.8、それで、りそなで見て2%強と、これは事実としてそういう数字になるわけでございます。

浅尾 慶一郎

いろいろ専門用語が出てくるとなかなか分かりにくいんですけれども、普通株と優先株というものがあるのが今のりそなの現状であります。普通株というのは一番経営に対して責任を負わなければいけない、優先株は先ほど申し上げましたように国民の税金でもって投入されている。今、普通株だけで見ればマイナスである、債務超過ですと。優先株を入れてそれを助けてあげましょうということは、普通株の一番経営に対して責任を取らなくていい人たちに対して責任は取らなくていいですよということを、竹中大臣はそれが正しい資本主義の下でも在り方だということをおっしゃろうとしておられるんでしょうか。

別の言い方いたしますと、本来であれば、普通の会社であれば優先株、普通株という形にはなっていませんから、普通株しかなければ、たまたま気前のいい人からお金を借りられたとしても普通株はマイナスになったら、それは100%減資してそこで責任を取ってもらうというのが普通のありようではないでしょうか。そういう考え方に立たないのかどうか、その点を伺いたいと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

優先株を除くと債務超過という、その表現の仕方はちょっと私にはよく理解できません。これは、債務超過かどうかというのは資本勘定がどうか、資本勘定がネットでプラスかマイナスかと、これでやっぱり判断されるわけでありますから、その株主の構成によってこれを除くとこうなる、昨日も、例えば繰延税金資産を除くとマイナスであると、そういうような御指摘は衆議院で出まして、それは、これなかりせばという仮定がいかがなものかということを申し上げたのでございますけれども、これは言うまでもなく会計上の概念でありますので、会計上としての自己資本の資本勘定がどのぐらいあるのか、そのことが、そのことで自己比率がどうか、高いか低いかということを判断するのが、これが通常の企業会計に基づく判断の基準であろうかと思います。

浅尾 慶一郎

別の角度から質問をいたしますと、それでは優先株と普通株、経営に対する責任は同じだというふうにおっしゃいますか、優先株主と普通株主、責任は一緒でしょうか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

優先株にもいろいろございますけれども、今回の場合、議決権を持たないものでございますから、その意味では、経営に対しての議決権を持たない、人事権等々を持たないという意味で、その意味では関与の仕方は当然のことながら違っているわけであります。

浅尾 慶一郎

りそなの場合はマイナスがあるわけであります。確かに、政府が投入した8,000億円強の優先株を入れれば3,000億円強資本が残っているというのが現状ですが、その8,000億円も含めてマイナスを一掃しようというのが、今減資を100%減資しないという政府の立場でありますが、しかし国民の感情、一般の常識からいっても、経営に対して責任が、距離がある優先株と、その経営に直接責任を負う普通株で同じように減資をするときに、あるいは累損を一掃するときにお金が使われるということについては、やはりそこに問題があるというふうに考えるのが私は普通じゃないかなと思います。

だからこそ、経営に対する責任をしっかり追及するということであれば、これは別に商法上おかしいことでもありませんから、普通株について100%減資をする、その上で優先株を普通株に転換していくというのが私は取るべき責任ではないかというふうに思いますが、大臣はそういうふうに考えられませんでしょうか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

減資についての議論がいろいろなされております。

実は、浅尾委員はきちっと減資についていろんな意味合いがあるということを区分した上で御発言いただいておりますが、大変混乱があると思いますので、少し私なりに整理をさせていただきたいんですが、三種類あると思います。一般に減資と言われておるものは三種類あると思います。

一つは、100%減資、つまりこれは長銀のときのようにもう株式を、普通株持っている人の価値はゼロにすると、今、浅尾議員はそれを言っておられるわけですね。

しかし、減資というのはほかにもあって、いわゆる株数減資というのがあります。今まで500株持っていた人を200株にしてくれと、こういうことをすべきではないかという議論があるわけですけれども、これはしかし株主責任という観点からはおかしな議論であります。つまり、株の数が減ったら一株当たりの純資産が増えるわけですから、株主が持っている資本価値には何ら影響を与えるものではございません。それは、要するに、株の数が減れば一株当たりの価値が増えるわけですから、これはしたがって議論するその対象ではないと思います。

もう一つは会計上の減資と言われるもので、これは繰延べ、繰越欠損がある場合に、繰越欠損と資本勘定を相殺してはどうかという話です。これは、多くの場合、そういったことを繰越し、繰欠がある場合は消していくのが割と普通に行われていることで、これは会計上の操作の問題。しかし、これまた株主に対して株主の純資産の価値を変えるものでもございません。

したがって、減資、株主責任としての減資を言うんであれば、一番最初の100%減資、長銀のような場合しかございません。

しかし、この102条の第1号というのは、そういうものを想定しておりません。3号措置において、経営破綻かつ債務超過の場合はこれは株主のいわゆる100%減資をするわけでありますが、今の法律の作りがそのようになっていないということでございます。

もしも、これは監督上無理やりにそういうことをさせてはどうかということをもしおっしゃっているのであるならば、これは私はやはり大変問題があろうかと思います。それは、これは株主自身が自らやっぱり特別決議を総会でしなければいけません。反対だというふうに言った場合に、それを強制させる方法はございませんし、さらに、万が一にもそういうことがあった場合でも、これは本当にいわゆる憲法で認められた財産権の侵害にならないのか、重大なやはり支障が生じると。その意味では、今の法律の中でやはり求められる株主の責任というものは、今、委員がおっしゃったようなものでは私はないと思っております。

浅尾 慶一郎

私は、監督上それを主張しろということを申し上げるつもりはありません。

しかし、配当がないから、自然に優先株に対しては議決権が復活できます。そうすると、政府としては、あるいは国民の立場に立てば、経営に対する距離が今まであったわけです。あったんだとすれば、その提案ぐらいはできるんじゃないですか。提案もするつもりもない、株主として提案するつもりもないということですか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

私、先ほど申し上げましたように、究極的にはこれは個人の財産権の問題、財産権の侵害の問題だと思います。財産権の侵害を生じるようなおそれがあるような提案はやはりすべきではないと思います。

浅尾 慶一郎

個人の財産権というのは正におっしゃるとおりですが、そうすると、国民の財産権はどうなるんでしょうか。8,000億円投入していますと。それは、経営に対して普通株よりも距離があるわけです。それを同じように扱うということは、国民の財産権を私は侵害することになります。そのことを国民に代位して株主総会で商法上の手続に従って言わないということは、私は国民の財産権を代弁していないということになると思いますが、いかがでしょうか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)
公的資金を注入して、それを、正にこれは再生させるために注入しているわけです。その再生をさせるというその趣旨を生かすために我々がなすべきことは、今の時点ではガバナンスをしっかりと強化して、今回の注入額も含めて公的な負担、国民の負担を最小化するために、そういった新しい経営体制を作る、その銀行を再生させる、そのことこそが私たちの国民に対する責任であろうかというふうに思っております。

その点で、是非、確かにこの優先株に関しても普通株に転換するという問題も当然出てまいります。結果的には今回、国は、増資後でありますけれども、最大の株主になるわけでございます。その最大の株主としてしっかりとガバナンスを強化していく、そういう形で是非責任を果たしたいと思います。

浅尾 慶一郎

ちなみに、伺いますけれども、今、政府が取得しております優先株、今はやりの時価会計で評価すると一体幾らの含み損を抱えていますでしょうか。

伊藤 達也氏(副大臣)

お答えをさせていただきたいと思います。転換期が到来している優先株については、毎年転換の価格の見直しがなされていることから、現時点において普通株の株価が転換価格を下回っているとしても、それをもって直ちに含み損が発生しているものとは考えておりません。

仮に、既に転換期が到来している優先株、普通株に転換する場合においては、現時点での株価が注入時より低下をし、下限転換価格を大幅に下回る状況にあるので、結果的に注入額に見合う株式数を取得することができないことになります。

したがって、現時点のりそなホールディングスの株価を前提として、政府が保有している優先株のうち、既に転換期が到来している優先株を現時点で普通株に転換すると仮定し試算した場合、時価総額は約2,186億円となり、それに対応する注入額が7,680億円に対して約5,494億円の差額が生ずることとなります。

浅尾 慶一郎

今、普通の企業の経営者は、時価会計の下で、例えば5,494億円のマイナスが出ればそれをバランスシート、決算書に載せて、そして赤字になるわけです。政府はそうした時価会計を推奨しているあるいはやっていこうという立場であるわけですから、そうだとすると、政府としても、時価会計上でいえば5,494四億円のりそなだけでマイナスを持っているということはやっぱりしっかりと認識をしておかなければいけない。その上で、先ほど申し上げましたように、普通株とはどう考えても経営に対する責任が違うわけですから、そのことをしっかりと商法上株主総会の場で、否決されるかもしれませんけれども、私は主張していくということが国民の側に立った政府のありようだというふうに思います。

そのことを申し上げて次の質問に移りますけれども、仮に、先ほど来、じゃ、立て直すんだと、2兆2,000億と8,000億入って3兆円ぐらいりそなに注入したとします。これ、どうやって返してもらうんですか。あるいは、どうやってその3兆円は回収しようというふうに考えておられるのでしょうか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

回収というふうにいいましても、今回かなりの程度普通株で持つということに結果的にはなると思いますから、これを回収するというのは、将来の想定される姿としては、やはりこれは市場で売却する。市場で、逆に言いますと、市場で売却できるような、そのときにしっかりとした値段で買手がいるような、そういった企業にりそな自身がなってもらわなければいけない、そのことに尽きていると思っております。

明日、その公的資金の申請が正式に行われると思います。そのときに経営健全化計画が出てくる。それに併せて、恐らく新しい経営陣、まだ新しい経営陣の全容が整っておりませんが、その新しい経営陣の下でしっかりとしたビジネスモデルを構築してもらって、経営化健全計画をしっかりと打ち立てて、それを実現する中で、そのりそなが正に価値の高い、市場から見ても価値の高い企業になっていっていただく。それを通して国民の負担を最小化していく。委員の言葉でおっしゃれば、その資金を回収していくと。そういうプロセス、これは時間が掛かるものではありますけれども、是非とも実現していきたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

実現していきたいということは、これは実現できない場合もあり得るというふうに理解してよろしいですか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

これは企業でありますから、必ず成功する企業というのは、これは資本市場では理屈の上ではないのだと思います。

さはさりながら、これはしかし公的な資金も注入するわけでありますから、これはしっかりとやはり経営陣には本当に命懸けで頑張っていただかなければいけない。我々はやはりそれを可能にするような、何度も申し上げていますが、ガバナンスの仕組みをしっかりと打ち立てていきたいと思っております。

浅尾 慶一郎

その株、普通株を市場で売却するというようなことを先ほどおっしゃっておられました。それは一つの手法だと思いますが、しかし、私は先ほど100%減資を少なくとも株主総会で提案すべきだと申し上げたのは、例えば、りそなの問題が発表になる金曜日、株価48円でした。その日に買った人は、今どうでしょう、70円ぐらいになっているかもしれません、すごくもうかっています。しかも、全く責任取っていないわけですね。その普通株がそのまま残っていれば、将来、政府がその普通株を損をしないレベルで、多少利益が出たところでもいいでしょう、損をしないレベルで売ったということになれば、普通株の人たちはただ乗りをして責任を取らないでもうかってしまうと。これは国民感情からいって私は許されないと思いますから、是非株主総会において、別に監督権限を使ってということではなく、提案をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

現実に株価がどうなるかと、資本注入を決定する段階でそれがどのように動くかということは、これはほとんど予測が困難でありました。これは現実問題として今後も、これからどのようになっていくかと、これは予測困難であろうかと思います。

これはしかし、皆さん御承知のように、これは株式の数が増えるといわゆるダイリューションが起こるわけですから、これも価格が下がるというメカニズムがあると。しかし一方で、ガバナンスがしっかりしていく、これは今後収益が上がっていくというふうな予想が強ければ、これは株の価値を押し上げるということになる。これは正にその綱引きの中で、これは今日たまたま株価が幾らかということではなくて、これはしっかりとやはり結果を出していただくことが重要なのだというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

総理に伺いますけれども、総理はよく常識で判断とおっしゃいます。今までの議論を聞いて、株主は経営責任あるいは株主責任を取らなかった、しかも、もしかしたら、あるいはそうならなければいけないわけですけれども、国がお金を投入した結果、結果として株主も利益が出てしまう、これは普通の感覚からすればおかしいんじゃないかと思いますが、その点について総理の感想を伺いたいと思います。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

要は、公的資金を注入することによって預金者や取引先企業等に不安を起こさない、この方が大事だと思っています。

浅尾 慶一郎

預金者や取引先企業に不安を起こさない。私は別に公的資金注入そのものに反対しているわけじゃありません。しかし、取るべき責任は取らせなければいけない、株主はやはり株主責任を取って100%減資すべきじゃないかというのが今までの議論ですが、その点を踏まえても同じ意見でしょうか。

小泉 純一郎氏(内閣総理大臣)

これは、経営陣が退陣して新しい経営者によってこの公的資金が戻ってくるような経営をしていただきたいと期待しております。同時に、信用秩序に重大な支障が起こらないよう、常に健全行になるような努力を他の金融機関もしてもらわなきゃ困ると。

全体として、私は、この金融危機対応会議が開かれたのが土曜日でしたけれども、月曜日以降暴落するんじゃないか、混乱が起こるんじゃないかという見方もあったわけであります。しかし、結果的に非常に落ち着いていた。これは、やはりこの判断は正しかったなと思っております。

浅尾 慶一郎

普通の会社であれば債務超過、それは優先株というのは普通の会社は国から入れてもらえませんから、株主はそれで責任を取ると。したがって、別に、預金者や取引先企業に不安を起こすということを当然望まないわけでありますけれども、株主が責任取ったからといって私はそこに何ら不安が発生するものではないというふうに主張をいたします。

そこで、次の質問に移りますけれども、繰延税金資産のことがいろいろと言われております。ちなみに、繰延税金資産、資産性があるということを竹中大臣は昨日来ずっとおっしゃっているわけでありますけれども、しかし、過去に長銀、日債銀と、破綻した金融機関売却をいたしました。谷垣大臣もかかわられたと思いますが、その過去に破綻をした金融機関を売却した際には、繰延税金資産、長銀を売るときにリップルウッドから、これは価値がないからゼロにしてくれと言われて、政府としてその価値を認めなかったじゃないですか。そこは矛盾があるんじゃないでしょうか。

伊藤 達也氏(副大臣)

お答えをさせていただきたいと思いますが、先ほどリップルウッドとの交渉の中でそうした変更したんだというような御指摘でございましたけれども、そういうことではございませんで、これは、破綻をして特別公的管理に入ったと、その前提の中でこの繰延税金資産を計上をしないということで、谷垣大臣も当時、この契約の中でそのことについてそうしたことを踏まえて確認的に規定されているものだというふうにお答えになられているというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

破綻をして特別公的管理に入ったのは事実です。しかし、特別公的管理に入った後、悪いものは全部整理回収機構に移した、しかも瑕疵担保条約まで付いていると。したがって、新生銀行やあおぞら銀行、今の業績見ていただければ、銀行の中で一番利益が上がっているじゃないですか。

つまりは、一番利益が上がる、そういうきれいになったときにおいては繰延税金資産の資産性は認めない、しかし、今回みたいにこれを認めてしまうと破綻という形になるから無理やり認めているんだということになるんじゃないかと思いますが、その点について、もし違うというのならば納得できるような説明を大臣にお願いしたいと思います。

伊藤 達也氏(副大臣)

これは、もう先生、一番専門家でございますのでよく御承知だと思うんですが、預保がニュー・LTCB・パートナーズ社に対して長銀の株式を譲渡した際の長銀のバランスシートには繰延税金資産が計上されていなかったということでありますし、このことは私も聞いております。

預保が長銀の株式を譲渡するに当たって、預保とニュー・LTCB・パートナーズ社とで合意して確定した確定基準日貸借対照表に基づいて金銭贈与等の額が決められているわけでございます。この確定基準日貸借対照表は、平成11年9月期の中間決算における監査法人の監査済みの中間貸借対照表をベースとしておりまして、この中間決算においては、長銀が破綻をし、そして特別公的管理銀行となっていくことから繰延税金資産は計上されていなかったと承知をいたしているところでございます。

浅尾 慶一郎

それは、責任を監査法人に転嫁をしているというふうに私には聞こえます。

つまりは、繰り返しになりますけれども、破綻をして、悪いものを取り除けばもうかる金融機関になっているわけであります。現に、あおぞら銀行は2年前に破綻をして、いろんな会社が投資をいたしました。投資をした一社が売ろうとしております、その会社を、株を。売ろうとしている値段は、彼らが投資した金額の倍の値段で売ろうとしているんじゃないでしょうか。その点、その事実についてまず大臣に伺いたいと思います。

それだけ2年間でもうかる、四百億投資したら800億で売れると、それぐらい状態がいいその銀行に対して繰延税金資産を認めないというのは、私は論理矛盾じゃないかということを申し上げているんですが、まずその事実確認として、倍の値段で売ろうとしているかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

ちょっと今の売買の事案について、申し訳ございませんが、詳細は承知をしておりません。

浅尾 慶一郎

監督担当の大臣として、あおぞら銀行のその売買というのは、よく新聞にも出ていますから多分御存じだと思いますが、承知をしていないというのは、それであれば余りよくその業界について注意をしていないということなんじゃないかなというふうに思います。

その繰延税金資産について、では再度伺わさせていただきますけれども、今回のりそなの方が、それでは別の観点からいうと、新生銀行やあおぞら銀行のビジネスモデルよりも、今のままで十分将来の税金が戻ってくる確率がきれいになった新生やあおぞらよりも高いというふうに大臣は考えておられるかどうか、伺いたいと思います。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

先ほどは、詳細を承知していないというふうに申し上げたつもりでございます。詳細をお話しできる段階ではないという趣旨でございます。

今回、多額の公的資金を注入して、それが、今までの破綻していったんきれいにした後非常に経済価値の高いものに、市場で評価されるものになっていると、それは私も事実であると思います。そうしたものに、今回、過小資本行として公的資金を注入してなっていけると考えているのか。これは、正に先ほど申し上げました経営健全化計画をどのように作っていくかという、その経営健全化計画の中身そのもののお尋ねになっていくと思います。これは明日出てまいります。

ただ、新たな経営者がまだ決まっておりませんので、新たな経営者等の参加を得て、それを更に精度の高いものにしていかなければいけませんが、御指摘のように、繰り返し申し上げますが、我々の趣旨は、その資産として、資産査定をきっちりとして、自己資本を充実してガバナンスを強化すること以外に銀行の再生の道はないわけで、そういった意味で、幾つかのこれまでの事例もあるわけですから、そういった参考事例も踏まえながら、是非とも収益力の高い銀行に生まれ変わってほしい、そのような監督をしっかりと行っていきたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

経営健全化計画のお話いただきました。りそなについても、優先株を国が取得するに当たって経営健全化計画を出していただいているわけでありますが、それがうまくいかなくて、今回、新たにまた公的資金を入れるということになったわけですから、その経営健全化計画を見ていた国の責任についてはどういうふうに思われるんでしょうか。

竹中 平蔵氏(国務大臣)

結果的に、その経営健全化がなされなかったわけであります。これは、そもそもの経営健全化計画が本当に現実性のあったものなのかどうかも含めて、我々としても見直すべきところは見直していかなければいけないと思っております。

しかし、何よりも重要なのはやはり、一つ現時点で申し上げられることは、やはり企業のそのガバナンスの仕組みがやはり十分ではなかった点があるのではないだろうかと。そういった点を踏まえて、今も御答弁させていただきましたけれども、今回は委員会等設置会社等々、外部、社外の取締役を中心にしっかりとした強化のシステムを作ると。その中で、そのガバナンスが利くような形で経営健全化計画を作り、それを実行させていきたいというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

株主の、今までの議論でですね、株主の責任とそれから行政の責任というものが今回の件については全く取られていないと、そして、それについて認めようともしていないということを指摘させていただきまして、私の質問を終わります。



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