財政金融委員会 会議録
平成11年12月10日
浅尾 慶一郎

民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。ただいま議題になりました貸金業規制法の改正案、そして出資法の改正案について質問させていただきます。

私は、もともとは、契約自由という考え方もあるから、どういう契約であったとしても一たん契約を結んだ限りにおいてはそれを履行すべきだというふうに考えておったわけでございますけれども、いろいろとこの商工ローンの問題に限らず問題を深く考えるに当たりまして幾つかの疑問点を感じるようになりましたので、その点についてまず発議者の方々に伺ってまいりたいと思います。

まず、通常の商取引、例えば車を買うといったようなことであれば、車のカーディーラーに行って私が買おうというときには、力関係は一対一、五分と五分というふうに考えられるのだと思うんです。どこで買ってもいいわけですから、お客さん、また売る方も、それほどその力関係において弱いということはないんでしょうが、事金融、特に高利の金融ということになりますと、借りる方はせっぱ詰まっているといったような事情があって、どこからでも借りられるということではなくて、借りられるところだったらそこから多少のことはあっても借りてしまおうというふうに考えるのが普通なのではないかなというふうに私は思います。

そこで、だからこそ法律に基づいて金利を規制しているのではないかなと、こういうふうに考えておるわけでございますが、その点に関しまして、私は、保証人も含めて商工ローンの被害者と業者との間の力関係については、取引を結ぶ段においては圧倒的に業者の方が有利な立場にあるのではないかなというふうに思いますが、その点の御認識を発議者の方に伺いたいと思います。どなたでも結構です。

相沢 英之氏(衆議院議員)

先ほども私からお答えいたしましたが、確かにいわゆる貸金業者のところに駆け込み寺みたいに駆け込む人の立場というのは、今あなたが言われましたように、とにかくせっぱ詰まった状態においての借り入れですから、金利のことはともかくとして、とにかく急場しのぎに金を貸してくれという例が多いと思うんです。ですから、そういう関係からいいますと、それは貸す方が借りる方よりも強いでしょう。

しかし、事金利に関して申し上げれば、そういうような業者については、通常の金融機関とは違いまして、金融機関の場合には預金の金利ですけれども、普通はクレジットカードとかあるいはリース業者のようにそう低い金利で調達ができない。調べますと、やっぱり7%から、物によっては十数%まである。

それから、貸し出しに伴うところのリスクも大きいということを考えますと、貸し付ける業者としてかなりの実質的な資金のコストになっているわけでありまして、全部の平均を見ましても30%台ということにもなっています。これは非常に高いところと低いところとの平均値でありますので一概には申せませんが、その状態を前提として考えますと、私はこの29.2%でもかなり今までの貸し付けの金利よりも下げざるを得なくなるところが出てくると思います。そういう意味におきまして、出資法の最高限度を下げるということは、この改定にとってもプラスになるというふうに考えているのであります。

浅尾 慶一郎

今、相沢代議士の方からお話がありましたが、7%から12%という調達金利は、例えば今話題になっております日栄とか商工ファンドといったようなところでは、先般、当委員会で参考人質疑をさせていただいたところ、調達金利が大体2%前後というふうな話でございました。

そうしますと、7から12%というのは、具体的に言うと、質問通告させていただいた内容に沿った話をさせていただきますと、どういった規模の業者で、その数がどれぐらいあって、またその貸金業者から貸し出されている金額というのが幾らぐらいあるのか。例えば日栄、商工ファンド、あるいは商工ローンという企業向けの融資に関して言いますと、上位4社がほぼ80%以上の貸し出しを占めているというふうに聞いておりますが、7から12%で貸し出されている業者数と、貸金業規制法に基づく届け出をしている業者が貸し出している金額に占める割合というのをまず教えていただいて、要するに29.2より低くすることが社会的にどういうインパクトを与えるかということも明らかにしたいものですから、今の数字をお答えいただきたいと思います。

相沢 英之氏(衆議院議員)

貸出金利がどの程度かということにつきましては、実はなかなか的確な資料を役所側も持っていないのでありまして、大体のところを各業界の方々から話も承って我々としては判断をしているわけであります。

例えば東京都の貸金業白書、これは東京都の貸金業協会が平成10年4月に出した白書でありますが、それを見ますと、平均の調達金利は、これは貸出残高によりまして大変ばらつきがありますが、大体3.4%から8%、これは消費者向けの場合ですね。それから、事業者向けのものにつきましても2%から8%という程度の数字が挙がっているわけでございます。これは調達金利の数字でありますので、当然にこれに貸し付けに伴う諸経費、またこういう業界の貸し付けは貸し倒れのリスクが相当高い、10%前後という数字もありますので、そういうものを勘案いたしますと、やはりこの平均調達金利が10%を下回っているからというだけの理由をもって判断をするわけにはいかないんじゃないかというふうに思っております。

浅尾 慶一郎

私が伺いたかったのは、当然ある社会的な機能をこうした業者の方々も果たしておるということでございましょうから、加重平均をして、要するに大手の方は多分調達コストは安いと思うんです。中小の業者は多少高くなっているでしょうということなんですが、社会の中で果たす役割ということを考えた場合に、ではそれを下げることによって利用者の立場からいうと果たしてどれぐらいの人に影響が出るのかなと。幾つかの業者が経営が成り立たなくなってくるということによってどれぐらい利用者の方に影響が出るのかということを知りたかったものですから、それでその貸出金額がこれぐらいのところは調達コストは大体これぐらいですよということを伺いたかったんですが、その数字はお持ちでございますか。

相沢 英之氏(衆議院議員)

先ほどの東京都貸金業白書によりますと、例えば貸付残高が3,000万円未満のところの調達コストは平成9年3月末が6.78%、それから、どの辺をつかまえましょうか、5億から10億のところでは7.92%、それから100億から300億のところでは5.28%、1,000億以上になりますと3.4%、大変ばらつきがございます。よろしゅうございますか。

浅尾 慶一郎

結構です。

それで、先ほど日出委員の方からもお話がありましたが、御案内のとおり、出資法と利息制限法との間にグレーゾーンがあるということでございます。先ほど発議者の方にはその点についてお答えをいただいておりますので深くは伺いませんけれども、ちょっと私のそこに関する考え方を述べさせていただいて、もし何かあれば御答弁いただければと思うんですが、そもそもグレーゾーンがあるということ自体が法の中ではおかしいのかなというふうに思っております。だとすると、解決策は、もしどうしても高い金利のものが必要であるということであれば、利息制限法の方の金利を上げて、そして一本の法律にするということなのではないかというふうに認識をいたしております。

この点に関しまして、若干それに関連する質問なんですが、多分これは金融再生委員長に伺った方がいいのかなという気もいたしますけれども、御案内のとおり、利息制限法は任意に支払ったものについてはその限りではない、貸金業規制法の43条にもそのとおり書いてありますけれども、では任意に払わない場合、端的に言いますと、例えば私がいわゆるサラ金業者に行きまして100万円を借りて、もうこれは法律違反だから払いませんよといった場合には15%で済むということになっておるようでございます。また、それは裁判をした場合も当然それで勝てるということになっておるんです。

私は、これも先般の当委員会での質疑でも申し上げましたが、法律の前提というのは法律を知らなかったからということでは救われないという立て方になっておりますけれども、今申し上げた利息制限法を超える部分について、払わなければ払わなくていいんだよということを知っている人は物すごく少ないと思います。特に貸金業に駆け込むような方々、それぐらい貧窮されている方々にとってみると、そのようなことを知らない方が圧倒的多数なのではないか。また、保証人ということで協力をされている方にしてみれば、なおさらそういうことになるのではないかというふうに思っております。

何を再生委員長に伺おうかなと思ったのは、その点の周知徹底ということをぜひしていただきたい。周知徹底という意味は、任意に払わない、要するに払いませんよと言ったらこれは払わなくてもいいんですよということを知らなかったがために払ってしまったという方が非常に多いと思いますので、それをぜひやっていただきたいと思います。

それは先般の当委員会で可決しましたいわゆるノンバンク社債法案についての附帯決議にも、そうはっきりはもちろん書いておりませんけれども、附帯決議の趣旨にも沿うことなのではないかというふうに思っておりまして、ぜひ全国貸金業団体の方にそういったような通達を金融監督庁の方から出していただきたいと思いますが、もし何かありましたら。

越智 通雄氏(国務大臣)
越智 通雄氏(国務大臣)

浅尾先生からは去る11月11日の当委員会においても同様の御質疑がございまして、そのときには何か張り出してはどうかという御提案でございました。私の方では、大変大事なポイントでございますから検討させていただきますというお答えをさせていただいた次第でございます。

でも、ここをいろいろ検討させていただきますと、やはり両方が合意した場合にはいいという、そこまで書かないといけないかなと。そこまで書いてしまうと、2割なら2割とか、15%以上は同意しなきゃ払わなくてもいいんだということの後ろ側に、しかし同意していればいいんですよと書くということが一体どうかなと。書かないということはやはり法律の建前上はおかしいかなと。

それからもう一つ心配なのは、そこまで張り出したりなんかした場合には、わかっていて払ったのだろう、それを見て払ったのなら、気がつかなかったということは借りた方は後から言えなくなりますよという問題点も出てくる。それからさらには、率直に言うと、金利のそこの話じゃなくて、先ほど相沢先生からもお話がございましたが、もっと追い込められた状態のときにそういうような判断がつくかなと。だものですから、店舗に出すということよりも、一般的な消費者によく知らしめる何かもっとほかの方法でそういう関係をした方がいいと。

殊に、消費者金融の方は割ともう定型化しちゃっているんです。今問題になっている事業者の方はある意味では法人でございますので、何と申しますか、契約とかそういう商事の手続についてある程度認識が高いんじゃないか。一番わかっていないのは、そう言ってはなんでございますが、消費者金融の方にそんな法律知らなんだという話が多いようでございます。消費者金融を使うような方々にその周知徹底をする方法と、商工ローンの方の、中小企業といいますか、これとは、うまく知らしめるのだったら、貸す方に幾ら通達してもだめかな、借りる方にどう伝わるかに手を打たなきゃいけないかなと。いわば経企庁の消費者行政みたいな話と一体じゃないとまずいのかなと、こういうふうに今思案考慮中でございます。

浅尾 慶一郎

大臣の御発言は、貸す方に通達を出してもなかなか難しいだろうというのは、それは確かにそのとおりかもしれませんが、私の問題意識は、要するに法律を知っている人と知らない人の間に不公平がある。それは法の建前上は知っていることが前提ですからしようがないという議論はあるかもしれませんが、ただ法の正義という観点からいえば、これはもう周知徹底ということを、コマーシャルでも何でも結構でございますから、ぜひしていただきたいということはお願いを申し上げさせていただきたいと思います。

今、消費者金融のお話がございましたが、確かに消費者金融のところについて言えば、これは保証もとらずに、そのかわり最高限度額が50万円ぐらいで、多分4社ぐらいから借りるともうそこでおしまいというような仕組みになっておるようでございまして、ですからどんなに多く借りてもサラ金からは200万円ということなので、これはこれで返せる、大手のところであれば返せる範囲内なのかなというふうに思います。

今問題になっております商工ローンは、もう皆様方に申すまでもありませんけれども、金額が非常に大きいということと、確かに物的担保という観点では無担保ということかもしれませんが、人的担保というか保証をとっておるわけでございます。

保証をとるということは、先ほど事故率も高いというふうに相沢代議士の方からお話がありましたけれども、保証をとる場合には、これは保証人が多ければ多いほど事故率が低くなってくるのは当たり前のことでありまして、例えば3人保証をとれば通常はリスクが3分の1じゃなくて、これは何というんですか、私も数学はよくわからないんですが、その偏差の部分だけさらに減るということですから、多分リスクはその9分の1とか10分の1ぐらいになってくるんじゃないか、保証人の数がふえればどんどんそのリスクは減ってくるのではないかなというふうに思います。

だとすると、今回御提案の法律は根保証の部分について書面の交付というものはありますけれども、根保証で何人もとる場合にその制限金利が高いというのは論理的にはおかしいのではないかなというふうに思いますが、その点について、保証をとった場合の制限金利について何か議論があったかどうか、発議者のどなたでも結構ですから、お伺いいたします。

石原 伸晃氏(衆議院議員)

浅尾委員にお答え申し上げます。

委員御指摘の点はこの法案を取りまとめるに当たりまして私どもも問題意識を持った点でございます。

しかしながら、保証金額や保証人の数というもの、今、上限というお話があったわけでございますけれども、どのような合理的な基準を設けるのか、またこれが物理的にも立法上も非常に困難であると。また、契約自由の原則の中において、契約当事者たちのニーズに合わせて自由なさまざまな形態があるということが本来はきっと望ましい姿ではないか。そしてまた、根保証にも御言及されましたけれども、先ほどもお答えさせていただいたわけですが、この根保証契約というものにつきまして最高裁で有効であるというように認められている以上は保証金額や保証人の数で縛りをかけるというのはやはり適切ではない、そういう結論に至った過程があることを御報告させていただきたいと思います。

浅尾 慶一郎

確かに法律技術的には難しいというのはわかるんですが、逆に言うと、今問題になっております商工ローン大手2社でございますけれども、ここは、先ほど調達コストというお話もさせていただきましたが、事故率が先般当委員会で聞きましたら大体1.5%だと。要するに、100万円貸したら1.5万円分だけは貸し倒れその他であるけれども、それ以外は全部返ってくるんだというふうにはっきりと答えておられました。

そうすると、それはなぜそうなるのかなと。年率30%を超えるようなお金を借りておいて、その事業者がずっと立ち行くということはなかなか考えられない。なぜ成り立つかというと、これは保証人が代位弁済をするから成り立つということなのではないかなというふうに思っておりまして、今、当委員会では審議中でございますけれども、そこの部分を考えると、保証の数が多くなれば多くなっただけもう一工夫いただけないかなと思う次第であります、これはなかなか答えづらいと思いますが。

そうすると、法律ができた後の運用面において、今度は監督当局の立場から、先ほど申し上げました利息制限法との関係で、特に保証人に対して任意の、任意ということの解釈もあると思いますが、その部分の周知徹底ということをお願い申し上げたいんですが、越智大臣、いかがでございましょうか。

越智 通雄氏(国務大臣)

複数の保証人ということになりますと、どの保証人からかかるかということも大変難しい話でございまして、また保証される方は実はお借りになった方のいろいろな因縁があってなられる方でしょうけれども、保証される方はしょっちゅう保証しているというわけではなくて、たまたまそういうことですから、この方々に貸金業についてのいろいろな規制のあり方あるいは注意の仕方を周知徹底するのも、率直に申しましてどういう方法があるかな、またいろいろ考慮はしてみますけれども難しいかなと。

ただ、保証人の数と貸し付け条件とは直接的には関係はしてこない、こう思います。一番心配なのは、むしろ保証人が多い場合に取り立てる方がどういう選択をするかというところで、一番早く言えば取りやすいところにかかってくるという意味では、それは例えば社会的に弱い立場の方、お年を召した御婦人がお一人でお住まいになっていて、めいごさんに頼まれて、あるいはおいごさんに頼まれてよくわからずに判をついてしまったようなところへ来るんじゃないかなと。そこら辺をどういうふうに防護できるかが一番難しいと思っております。

浅尾 慶一郎

今の越智大臣の御発言はまさにそのとおりだと思いまして、私もこの問題が出てきてから何人かのいわゆる被害者の方にもお会いをさせていただきました。お会いをさせていただいた印象を率直に述べさせていただきますと、本当に善意の方が被害に遭っている。恐らく善意の一般の庶民が被害に遭っていて、法律の非常にわかりにくいグレーゾーンの話などもまず知らない方が恐らく頼まれて判こを押してしまったということがそもそもの問題の出発点なのではないかなというふうに思っております。

そこで、大臣の発言で大事だなと思ったのは、先ほど申し上げましたように、法律を知っている人と知らない人で、知っている人は、知っているのが前提ですからいけないという議論もあろうかと思いますが、それでは政治的な公正は保たれないんだというふうに思っておりますので、工夫はしていただくとしても、消費者金融の借り手はもちろんですけれども、そうではなくて、こういった業者から借りられている方の保証人に対しても何らかの形で法の正義が及ぶような工夫を本法律が通過した後にぜひ御検討いただきたいというふうに申し上げさせていただきますが、何かありましたら。

越智 通雄氏(国務大臣)

一言申し上げますと、金を貸す方も借りる方もいわば中小企業あるいは貸金業という営業になじんだ人たちですけれども、判こを押している方の人は全くそうじゃない人が多いわけでございますので、先ほど来申し上げましたように、私どもの行政範囲よりもむしろ経済企画庁的な行政範囲とかなり重なっているというか、あるいは向こうがウエートが高いところですから、よく相談させていただきたい、こう思っております。

浅尾 慶一郎

それでは、次の問題に入らさせていただきますが、今回改正をしてもいわゆるグレーゾーンが残るわけでございます。残すことによって具体的にだれのどのような利益を守ろうと思って残しておられるのかということを発議者の方に伺いたいと思います。

もう少し詳しく言いますと、中小の貸金業者の利益、これが立ち行かなくなってしまうからそれを守るんだということなのか、あるいはそういうところを絞ってしまうと借りられなくなってしまってつぶれてしまう企業が多いからなのか、その点どちらなのかということをちょっと伺いたいと思います。

相沢 英之氏(衆議院議員)

それは両方あると思うんですね。

余り実態と離れて厳しくしてしまう、例えば刑事法である出資法の40.004%を利息制限法まで下げちゃうと、業界の実態からいって、とてもそれじゃ商売にならないというところもかなりあると思うんです。今、私のところにも29.2なんかじゃやれないからと山のようにファクスが飛び込んできています。

それはそれとしまして、ですからそういう面もあるし、同時に、おっしゃるように、借り手の方からしましても、今の金利ではとても高過ぎる、しかし何とかして借りたいと。そうすると、出資法というのは刑事罰がくっついているものですから、それが40.004%を下げ足りないという御意見の方もあろうと思いますが、とにかく30%を切るところまで下げておけばそれ以上にはならぬ。そこまでは下げるというのは、40%に現実に張りついているところの貸し金も相当多いんですよ。ですから、そこが下がっていくことになれば、借りる方にとっても利益だと。

ですから、その辺のところは両方から考えて、さっきの答弁の繰り返しになって恐縮ですけれども、29.2%というところが現状ではいいところかなというふうに思っているのであります。

浅尾 慶一郎

現状のほぼ一番競争力があると言われている大手の業者さんが恐らく27,8%ぐらいなんだと思うんです。ということになりますと、今のお答えですと、現状の大手の業者さんの要請に従ったというふうに聞こえてしまうんですね。

要はどういうことかといいますと、40%でしかやっていけない中小のところは結局つぶれてしまうというふうに考えてもいいわけでございますか。現状がこうだからという考え方だとすると、成り立たないところは少ししかないからそれはもういいということなのかなとも思いますが、その点、いや、そうじゃないんだということであれば言っていただければと思います。

相沢 英之氏(衆議院議員)

おとといの衆議院の大蔵委員会で、貸金業者の代表の方がこの程度ならばとおっしゃったのが34.675という、ちょっと端数がついているんですが、そのぐらいまでならよろしいと、こういうことだったんです。

確かに、我々が手にしている、あるいは業者から示されているところの現実の貸出金利というものが客観的に見て実態をあらわしているものだとすると、29.2に下げるということになると、おっしゃるように、それじゃとてもやれないというところも出てくるだろうと思います。しかし同時に、今の調達金利その他から考えれば、やっぱり今の金利そのものが40.004%という金利を前提として貸し付けが行われているがゆえに高いという面もあろうかと思うんです。

ですから、刑事罰がついた出資法の限度を下げることによって確かに貸し出しの金利も下がるでしょうが、ではそれで全くやれなくなってしまうという業者がどの程度のものか、その辺のところは正直申しまして私どももよくつかめないのでありますけれども、何とかその範囲でやっていただけるものじゃないかというふうに考えています。

越智 通雄氏(国務大臣)

立案の29.2というのは、私どもこの法律が成立したときに実効を見守る立場からいいますと、極めて微妙な大変いいところというか、やむを得ざるところじゃないかというふうに思っておりますのは、銀行系カード会社で現状29.2を上回っているのは大体1社かなと、こういうふうに見ておりますし、流通系のカードでも1社ございます。それから、信販では2社ほどございまして、ここら辺が、もし法律が改正になって、多少の猶予期間は置かれると思いますけれども、全部を組みかえていくとなると大変難しゅうございまして、そうすると、どういう格好かで違反を招きやすいと。むしろ漸進的な意味では、29.2で、日歩8銭ですが、やっていただければ、言葉は悪いかもしれませんが、遵法体制へ追い込んでいけるかな、こんなぐらいで拝見させていただいております。

浅尾 慶一郎

今お二方のお話で業者側の観点というのは明らかになったというふうに思いますが、ではグレーゾーンは残るけれども借りる人は残った方がいいのかどうか。借り手の立場からいえば、借り手は安ければ安い方がいいということだと思いますが、要するに取引関係が冒頭申し上げましたように業者の方が強いと思うんです、この分野については。

ですから、借り手側にとってみると、要はこれ以上もっと下げた場合に、ではどれぐらいの人がお金を実際に借りられなくなって困ってしまうかと。その点はどういう認識を持っておられますか。

相沢 英之氏(衆議院議員)

それはちょっと難しいと思うんです、どれぐらいになるのか。ただ、私どもは、確かに先ほどあなたがおっしゃったように、貸し手の側が強くて借りている側が弱いから実際の資金コストその他よりも高い水準にとどまっている面もあろうかと思うんです。

ですから、出資法の限度を下げることによって確かにその点は貸し手の利益が失われるわけでありますけれども、ならば、全く貸さないということになればこれまた商売にならないわけでありますから、そういった点で、先ほど越智委員長から話がありましたように、いろんなものを考えて、29.2というのは借りる方も貸す方から考えてもそんなところかな、こういう気持ちなのであります。

浅尾 慶一郎

借り手についてはなかなか具体的にはお答えしづらいということはわかりました。

そこで、私は、消費者金融を除きますと、そもそも商工ローンといったような企業向けのローンについてこれがすごく問題になっているのは、一つ大きな話で言いますと、日本のいわゆる倒産法制がなかなか厳しい、あるいは社会的に一たん破産、倒産をするとなかなか立ち直りがしづらいというところに原因があって、だから無理して最後の最後まで頑張って、そして30%近い金利で借りて倒れていくということが一つ大きな原因としてあるのではないかなと。また、業界の中で余り金利の競争が行われていないというのも一つ問題なのではないかなというふうに考えております。

何を伺いたいかなといいますと、これは質問通告をさせていただいたことでございますが、そもそも金利競争があって、しかも保証人をとらないで、いわゆる事業のキャッシュフローだけを見てお金を貸すような方向の業界というのが出てくると少し世の中は変わってくるのかなと。わかりやすく言いますと、2%の銀行の貸し出しと30%の商工ローンとの間の部分がすっぽり抜けているのが多分今の現状なのではないかなというふうに思っております。

金融行政の企画については大蔵大臣の所管であるということで、質問通告は大蔵大臣にさせていただいておりますが、きょうはいろいろとその分野の専門家の方がおそろいでございますのでどなたでも結構でございますが、まずは大蔵大臣に。

今後、政府として、いわゆる保証人をとってというのは、私はこれはルール違反だと思いますので、ルール違反というのはリスクが少ないわけですから、ある程度のリスクは、その事業のリスクをとって貸し出しをしますよ、そのかわり金利はそこそこのものをチャージしますよというような業界が出てくることによってなだらかな、2%と30%の間が埋まっていくんじゃないかなと思いますが、どういう決意で、あるいはそういったようなことを考えておられるのかどうか、ちょっとその点を伺いたいと思います。

宮澤 喜一氏(国務大臣)

今、具体的な制度として図に描いて申し上げることはできませんけれども、基本的な考え方として、我が国の従来の伝統的な物の考え方、これは一般的な人生哲学とでも申し上げてよろしいんでしょうか、ローリスク・ローリターンというローリスクということに非常に熱心でありまして、ハイリスク・ハイリターンということはやや千三つ屋的な、世の中にはそういう見方をする人が多くて、実際にはハイリスクであればハイリターンということはあり得るし、俗なことを申し上げて申しわけないんですが、指輪なんかを買うときでも、ちょっと傷があると買わないわけですね。随分安いのに買わないといったような、どこかにそういう完全主義的なものがございます。

そういう意味では、これからは、おっしゃいましたように、ある程度リスクはある、しかしリターンも多いよという哲学があれば、そういう金を借りてそういう仕事をすることができるはずなのでございますから、物の考え方として私はもっとそうあっていくのが市場経済の考え方ではないかと思います。

浅尾 慶一郎

今のお答えをできればもう少し掘り下げさせていただきたいと思うんですが、具体的に大蔵省の金融企画行政の中で、何があればそういった市場が育つかというところまではまだ特に検討はされていないということなんでしょうか。それとも、そこのところでもしあればお答えいただければと思います。

宮澤 喜一氏(国務大臣)

恐らく伝統的には、消費者といいますか、利用者保護というサービス精神がちょっと多過ぎたのではないかと思います。もっと市場経済に徹しても、国民も子供じゃありませんのでというようなところはだんだん出てくるんじゃないでしょうか。

浅尾 慶一郎

そこで、その場合に一つ大事なのは、繰り返しになりますけれども、リスクをとるというのは、貸す方もリスクをとるような仕組みにしないといけないのかなと。今のいわゆる日栄、商工ファンドは、リスクをとっているようなふりをしていますが、保証人を何人もとることによって、実際上はリスクはとっていないんじゃないかなと。ですから、そこは、余りそこをまた政治が、あるいは行政が関与するのは難しいのかもしれませんけれども、何かそういったような工夫が必要なのではないかなということを申し上げさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。

越智大臣に伺いますけれども、いわゆるノンバンク社債法が可決した後、その附帯決議に基づきまして、5月20日付で金融監督庁の乾部長名で全国貸金業協会連合会の会長あてに「遵守及び貸付金利の引下げ」ということで通達を出されております。しかし、残念ながら、実際にいつ起きたかは別として、腎臓を売れとかいったようなことがその後も恐らく厳しい取り立てという観点でいえば行われているんではないかなと。特に、問題になっております日栄、商工ファンドについては、それぞれやり方は違いますけれども、ぎりぎりグレーの、グレーのというのは、法の趣旨にのっとってぎりぎり法の中かあるいは外側かというようなところで引き続きやっているんではないかなというふうに思います。

ここで申し上げたいのは、監督庁当局としてもう少し、そういったような附帯決議もあったわけでございますから、事が起きないようなことをされるべきではなかったんではないかなというふうに思います。もちろん通達を出したけれども守られなかったということはあるかもしれませんが、その点について何か御発言いただければと思います。

越智 通雄氏(国務大臣)

当院の財政・金融委員会から4月13日に附帯決議をちょうだいいたしました。その際には特に、多重債務問題の深刻化の現状にかんがみて、与信審査の厳格化、過剰貸し付けの禁止、貸出金利の引き下げ等に適切な指導、監督を行うという御要望をちょうだいしたわけでありまして、それに基づきまして、本年5月にいわゆる全金連、全国貸金業協会連合会に対しまして規制法の遵守並びに金利の引き下げについて出しました。

だけれども、正直言いまして、ちょうどそのころ日栄と商工ファンドが、前の年、1998年が一番ピークだったんですけれども、99年に入りましてから彼らの業容が少し落ち込んできたんじゃないかと。それで急に取り立てが厳しくなってきたという情報がいろいろ入ってきまして、春以来非常に心配して、この通達は出したけれども、さらに九月に再度通達を出しまして、彼らは自主規制をつくりました。そのときには、9月の末でございますけれども、全金連の自主規制では根保証は最初の貸出額の3倍までというのまで入れたんですが、私ちょうどそのころ着任いたしまして、どうも彼らのやっていることを見ていただけではちょっと心もとないというか、それでともかく我が方の体制も十分でないので直ちに対策室をつくらせました。

それで、実は業者が3万幾つあるのでございますが、この2つだけと言ったらおかしいんですけれども、根保証というやり方をとっているのは。当委員会のお調べでよくおわかりになりましたように、二番手の方は一番手のところで修行した方でございますから、そういう意味で両方似ておるのでございます、やっていることが。ここは調べなきゃいかぬというので、この両社に対してお金を貸している金融機関13社に任意でおいでいただきまして、どういう状況でお金を貸しているか、この取りまとめたものは既に11月30日に報告しております。

そのころからぐっといろんな意味で、世論のバックアップもございましたし厳しくなってまいりました。そして、実は近畿財務局と関東財務局でそれぞれ呼び出して聴取を始めたころから、今度は警察が入っちゃったものですから、やはり司法当局というか警察当局のお調べが優先しております。御存じのとおり捜索も何度も行われておりますし、既にトップの方の事情聴取も行われておりますので、その方の様子も見定めながらこの対策をさらに厳重に執行していきたい、こう思っております。

浅尾 慶一郎

時間が参りましたので終わりますが、先ほど大臣が言われた消費者に対する利息制限法の周知徹底、これは商工ローンの保証人も含みますけれども、ぜひその点工夫をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。



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