- 浅尾 慶一郎
民主党の浅尾慶一郎でございます。きょうは、7兆円強の資本注入の記者会見をされる大変お忙しい中、柳沢国務大臣にも御出席をいただきましたので、お許しをいただいて先に柳沢大臣の方に質問をさせていただいて、それから大蔵大臣の方に質問をさせていただきたいと思います。
まず、先般の代表質問の際にも質問させていただきました件でございますが、昨日、益田委員の方からも、銀行がいろいろな債権放棄に応じて、いわゆるゼネコン救済ではないかといったような御指摘もありましたが、昨年、佐々波委員会が講じました優先株の取得に際しましても、その後の日本長期信用銀行の再建計画の中で7,000億円強の債権放棄が計画されておりました。
実は、7,000億円というのは、優先株も普通株も順番を同じにして計算をすると債権放棄をしても別に経営に影響はなかったわけでございますが、優先株の方が経営に対する距離が議決権がないということを考えれば遠いということを考えますと、優先株と普通株を同類に扱うのはいかがなものかという問題意識から、先般代表質問でさせていただいたことでございます。
具体的にもう一度、委員長のお許しをいただきまして本日配付資料がございますので、これに基づいて質問をさせていただきたいというふうに思いますが、よろしいでしょうか。
- 勝木 健司氏(委員長)
どうぞ、理事会で許可をいただいておりますので。
資料配付・・・
- 浅尾 慶一郎
今、配られると思いますが、少し申し上げさせていただきますと、もう国務大臣御存じのように、商法222条第3項におきまして、会社が何種類か別の株式を発行している場合には、資本減少の際には別の定めをすることができるということが書かれております。それが今お配りしております「減資・会社整理・清算・特別清算」といった参考書類に書かれておることでございますけれども、このことは商法上明記されております。
また、商法の346条あるいは345条1項を見ていただきますと、仮に減資の際に普通株主と種類株主、優先株と別の取り扱いをする場合には、あらかじめ定款で定めておくか、あるいは種類株主総会においてその定めをするべきであるということも規定をされておるわけでございますけれども、いずれにしてもこれは商法上できると書かれておることは明らかではないかと思っております。
そこで、質問に戻らさせていただきますが、実は昨年の金融特別委員会においても長銀の債権放棄の点についてこれは問題ではないかと。もう一度繰り返しますが、議決権がない優先株と議決権がある普通株、これが債権放棄をすると当然資本の部にも手をつけなければいけなくなってくる、優先株も普通株も同じように減資をしていくということはかえって不公平なのではないかということを指摘させていただきました。
今般また優先株を取得されるわけでございますが、当然債権放棄によって資本金あるいは資本の部に手をつけるということも可能性がないわけではない。ないわけでないとするならば、しかも事前にわかっているとするならば、事前に定款その他において優先株に手をつける場合には普通株とは別の取り扱いをするべきではないかという御指摘をさせていただいております。なぜそういうことをしておられないのか、この点についてまず御答弁いただければと思います。
- 森 昭治氏(政府委員)
先生御指摘のとおり、優先株を引き受けるに当たりまして政府が不利益をこうむることのないようにすることが重要ではないかと存じますし、確かに商法上は優先株につきまして特別の定めをすること自体が許容されていることもまさに先生のおっしゃるとおりかと思います。
しかしながら、どのような定めであっても許容されるのかどうかにつきましては種々学説があるようでございまして、例えば、定款の定めがある種類の株主に余りにも大きな不利益を及ぼすようなものである場合には無効と解される余地があるとする説や、定款で定めた権利調整の方法が著しく不当な場合にはそのような定款の定めは無効と解すべきであるという説があるわけでございます。したがいまして、定款の定めによってある種の株主を有利に扱うこと自体は許容しつつも、一定の場合には定款の定めが無効とされる可能性が種々指摘されているわけでございます。ただ、具体的にどの程度の定めをした場合に違法とされるかにつきましては、実は明確な基準を提示している学説はございません。
また、定款によらずに特別の定めをする場合につきましては、客観的に明白に実質的公平に反する格別の定めはたとえ不利益を受ける種類の株主総会の決議があってもその瑕疵は治癒されないという学説がございます。
以上のような諸見解を踏まえさせていただきますと、せっかくの御指摘ではございますけれども、金融再生委員会といたしましては慎重な解釈に立脚せざるを得ないことを何とぞ御理解いただきたいと思います。
なお、金融再生委員会といたしましては、政府が不利益をこうむることのないよう優先株等の引き受けを行い、またその後の投資資本の回収の確保が図られるよう万全の努力をしていく所存でございます。
- 浅尾 慶一郎
今の御答弁に対してちょっと確認させていただきますが、そうすると金融再生委員会としては、仮に減資が行われた場合には優先株も普通株も同じ割合で減資を行うことが公平だというふうに認識されているということでよろしいんですか。
- 森 昭治(政府委員)
減資という事態に立ち至った場合にどちらがどうということはそのときの種類株主総会の際に決められることではないかと思いますが、先ほども申しましたように、最初から減資については、二つ種類株主があるといたしまして、一方の種類株主の株のみ減資ということを最初に定めておくということは、先ほどの種々の学説から申しまして、そういう定めを最初からすることについては慎重にならざるを得ないと申し上げたわけでございます。
- 浅尾 慶一郎
お答えいただいていないと思うので、もう一度確認いたします。
例えば減資の場合でも、優先株を1株減資する間に普通株を2株減資するといったようなことも当然考えられるわけでありまして、また繰り返しになりますけれども、今回取得されております優先株は議決権がない優先株ということでございますから、当然経営に対してある程度距離が普通株よりはあるのではないかと。そうすると、減資になるということは、例えばきのう益田委員が御指摘され、柳沢国務大臣も債権放棄をするというのは各銀行の経営判断だ、特に金融再生委員会としてそれについて口を挟むことはないというふうにおっしゃっておりましたけれども、債権放棄をして仮に減資をした場合にでもそれは同等に扱って構わないということなのか。
なぜそういうことを申し上げるかといいますと、実際これは起きなかったんですが、計画としてあらわれていたことで申し上げますと、昨年の長銀の再建計画の中では7,000億円強の債権の放棄が当初計画されました。これは減資を伴わないとできない金額だったと思いますが、その減資をするに当たって、普通株の資本金と優先株の資本金とを同列に扱う計画であった。私は、これは余りにも逆に不公平なのではないか、優先株は経営にタッチできないんだから、そういうふうに同列に扱うのは不公平なのではないかというふうに御指摘をさせていただいたわけであります。
そういったようなことが既に昨年長銀の中で計画されておったわけでありますから、繰り返しになりますけれども、そういうことがないとは言えないのではないか。今後においてもないとは言えないのではないか。しかも、商法上可能だということであれば事前に想定をしておくべきではないかということなんですが、その点についてはいかがでしょうか。
- 森 昭治氏(政府委員)
先ほども申しましたとおり、今回臨時株主総会を開いて定款の変更をいたしまして、優先株の引受限度を上げる等の定款の変更をこの15行のうちの多くの銀行におきましてしたわけでございますけれども、その際の定款の変更事項の中には減資については扱っていないと理解しております。
そうした上で先生の御指摘について考えますと、通常はやはり同じ割合でするというふうに考える方が普通ではないかと思います。ただ、一言先生のお出しになった事例で申し上げたいのは、債権放棄につきましては、この15行につきましては不良債権要処理額の中にこの放棄額を含めて経営健全化計画を出してきておるわけでございまして、そういう意味におきまして、債権放棄をすることが自己資本の毀損につながるということはこの15行の現在の計画の上では考えられないというふうには言えるのではないかと思います。
- 浅尾 慶一郎
今、今回の臨時株主総会の中で減資については定款で定めていないという御答弁をいただきましたが、実はその前に事務局の方にはその点も踏まえて定款の中に入れておくべきではないかと指摘はさせていただいておりました。その点は御高承のとおりだと思いますけれども、何かいろんな事務の流れの中で新しいことを入れるとなかなか難しいということでそれをやられなかったのかというふうに理解をいたしております。
しかしながら、繰り返しになりますけれども、この点については明らかに商法上も可能であるということでありますし、またそういったことが今後起きることも十分想定されます。まだ少し予算が残っているわけでございますから、今後優先株を引き受ける際にはその点も踏まえて引き受けるかどうか、その点の御答弁をお願いしたいと思います。
- 森 昭治氏(政府委員)
先生御指摘の点は、確かに昨年秋に御指摘いただいた以降、内部で十分検討させていただいております。
また、先生が御懸念されるのはあくまで公的資金の毀損という点であろうかと思います。そういう点を留意いたしながら引き続き検討していきたいと存じますけれども、基本的には、今回の公的資本注入は健全行に対しまして資本を充実することを一番大きな目標としてやっておるわけでございまして、今回の15行につきましては、我々の頭の中では減資というものを考えていないということは御理解いただきたいと思います。
- 浅尾 慶一郎
健全行というふうに今おっしゃいました。私も当然健全行だと思いますが、ただし昨年の佐々波委員会の際にもすべて健全行であったわけでございます。
だから、今現在想定されていることが、健全行だからそういうことは絶対起きないんだということでなくて、そういうことが起き得るということを考えた場合には、今申し上げたような差別的な扱いをした方が国民財産の保護にもなりますし、かつ公平な扱いなのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
- 柳沢 伯夫氏(国務大臣)
まず、今度の資本注入に当たって、株主の責任を問うて減資をまずして、そしてその後我々の資本増強によって増資をするというようなスキームはどうなんだろうか、こういう議論は当然いたしたわけでございます。
しかし、今我々がやろうとしていることは資本の増強である。こういうことから、やはりこれは増減資、増資を先にしてそれで償却をして増強された資本をまたいつの日か減資する、こういう形にならざるを得ないのではないかということを私どもは結論として今日の手続を進めておる、これが第一点でございます。
それからもう1つ、これは浅尾先生は非常によく御存じの方だと思っておりますが、我々が今度の増資をするに当たってもダイリューション、あるいはこれ以上申しますのはちょっとどうかと思うんですが、転換を利用して株価を人為的に上下させて利益を上げるというようなことが現に優先株をめぐってはあり得るわけでございます。そういう意味で、我々はマーケットの対応というものに、これまでもそうですし、これからも大変注意していかなきゃいけないというようなことを念頭に置いておるわけでございます。
そういう意味合いで増強された資本の減資を考えてみますと、これは殊のほか大事にしなければならないという先生のお考えもわかりますけれども、現に発行されておる株式の値段というものの推移についても我々は十分な配慮をしていかぬといけない、このように考えておりますことも、いろいろ私どもが考える中で念頭にあったことだということで御理解を賜りたいと思います。
- 浅尾 慶一郎
私の指摘させていただいていることは減資をしろとかそういうことではなくて、減資をする際には優先株と普通株は差別的に取り扱った方がかえって公平なのではないか。その理由は優先株主は経営に対して距離がありますよということなのでありまして、現段階で減資をしなさいということではないということだと思います。
今後もこういったようなことは十分起き得るわけでございますし、また予算が25兆円に対して7兆円しか使っていないということであれば残っているわけですから、これから引き受けられる優先株については当然そういったようなことを研究していただきたいと思います。また、私といたしましてもいろいろな学者の先生方にも御意見をいただいてフィージブルなプランを御提示したいというふうに思いますので、それに基づいて具体的な御意見をいただければというふうに思います。
この問題についていろいろやっても、多分きょうは余りお答えいただけないだろうと思いますので、次に移ります。
もう一点だけ金融再生委員会の方に伺いたいんですが、特別公的管理に移りました日本長期信用銀行あるいは日本債券信用銀行が、今後また再度民営化されるというふうに理解をいたしております。
その民営化に当たりまして、いわゆる財務アドバイザー、フィナンシャルアドバイザーを雇ったというふうに聞いております。簡単で結構ですが、これを雇用した先はどこでしょうか。金融再生委員会でしょうか、それとも長期信用銀行でしょうか。
- 森 昭治氏(政府委員)
日本長期信用銀行でございます。
- 浅尾 慶一郎
- それでは伺いますが、世間的な常識で考えてみますと、破綻をしてしまった、破産をしてしまった会社が自分の身売り先を探すためにアドバイザーを雇うということが果たしてあり得るのかなと。あり得るとしたら、そこの管財人という形になった金融再生委員会なのではないかなというふうに思いますが、この点について柳沢国務大臣、どのように思われますでしょうか。
- 柳沢 伯夫氏(国務大臣)
当初はフィナンシャルアドバイザーをというような考え方は実はなかったわけでございますけれども、私ども、今回の長期信用銀行の処理、これはできるだけ早く処理しないとだんだんいろんな意味の価値の劣化が起こる、こういうことを考えまして、ここは顔の広い日本の金融界等あるいは国際的にもいろいろ知見の多い経営陣を選んではいるけれども、しかしできるだけ早期に受け皿を見つけたいということで、国際的な知見をさらに大きく持つところのフィナンシャルアドバイザーを雇うということにいたしたわけでございます。
先生のお考えのとおり、それは一体再生委員会が雇うのがいいのか、あるいは長期信用銀行が契約するのがいいかということを一応俎上にのせたんですけれども、実は再生委員会にそういう予算がないということがわかりまして、もう長期信用銀行が契約の当事者になって支払いをするしか方法がないということが判明しまして、これは選択の余地がないということでこういう形になったというのが事の実態でございます。
もちろん、再生委員会もいろんな報告を徴して、いい選択先、受け皿が見つかるように当然協力はしていくわけでございますが、当事者ということについては以上申し述べたのが経緯でございます。
- 浅尾 慶一郎
それでは伺いますが、長銀が雇っておられますゴールドマン・サックスという会社、いろいろ能力があるということはそういうことかもしれませんが、二点ほどそれについて伺わせていただきます。
このゴールドマン・サックスに長期信用銀行から人が行っているのではないかなと。その分野に行っているかどうかは別として、そこに元長銀のOBの人が行っていたのではないかなということも一つあると思います。
それから、もう1つ伺わせていただきたいのは、その報酬体系というものが成功報酬のみなのか、それとも毎月々何千万円というお金が行っているのか。私が聞いている情報では、月々のいわゆるリテーナーというものとサクセスフィーと両建てになっていて、月々の方は別に成功しようとしまいと入る、売却が成功した場合にはそれとは別に成功報酬が入る体系になっているということを聞いておりますが、この二点について、ゴールドマン・サックスに長銀から人が行っているので選ばれたのではないかということと、それからその報酬体系がどういうふうになっているかという点について御質問させていただきます。
- 森 昭治氏(政府委員)
まず最初の点でございますけれども、長銀の方がゴールドマン・サックスに行っているのではないかと。御趣旨の点は恐らく利益相反問題が起きているのではないかという御質問かと思いますけれども、まず申し上げたいのは、金融界は今非常に流動的でございまして、ヘッドハントも起こっていればいろいろな銀行に移るということはビッグバンの中では通常のことで起こっております。したがって、私はよく承知はしておりませんけれども、長銀にいた方が今ゴールドマン・サックスにいたとしても不思議はないと思います。
ただ、ゴールドマン・サックスと一言で申しましてもいろんな部門があるわけでございまして、今回契約をして受け皿銀行探し、平たく言えばそういう任務を負っていますのはゴールドマン・サックスの中でもMアンドAの部門だと思います。ここについてはその他の部門とは高いファイアウオールをしいておりまして、そのファイアウオールの中で仕事をする人につきましても厳格な守秘義務協定もまた結ばれております。したがいまして、御指摘のような利益相反が起こるような人間が相手にいるということは絶対にないと認識しております。
それから、第二の点で、一言で言えば契約の中身はどうなっているのかという点でございますけれども、当該契約はあくまで長銀とフィナンシャルアドバイザーでございますゴールドマン・サックスの両当事者間で交わされたものでありますので、具体的な中身の答弁については差し控えさせていただきたいと思います。
- 浅尾 慶一郎
それは大変おかしい話だなというふうに思います。
まず第一点、ゴールドマン・サックスに長銀から人が行っていないかどうか、この点について利益相反がないというふうに思われるということでございますけれども、選定の過程において長銀の方で多分そのフィナンシャルアドバイザーを選定したと。本来であれば、倒産した会社の人が自分の身売り先を選ぶということ自体が私はおかしいと思う。自分が選ぶということによってかなり問題が出てくるということは明らかなわけであります。
具体的に言いますと、長銀の人が選べば当然自分たちの雇用を守るということをどこか頭の片隅に、あるいは頭の大部分に置くのではないかなということがあると思いますけれども、そのゴールドマン・サックスの相手方のMアンドAのセクションに長銀の人がいたかどうか、ぜひこれは調査していただきたいということを要請させていただきます。
二番目に、その報酬体系は私企業の契約であるから明らかにできないということでございますけれども、果たして本当に今長銀が私企業と言えるのか。あるいはまた、その払われるお金というものは要するにコストでありまして、結果として長銀が債務超過ということであれば税金で補てんされるわけですから、この体系についてはぜひこの場で明らかにしていただきたいと思います。その部分を明らかにしていただくことをぜひお願いいたします。
- 森 昭治氏(政府委員)
先生の御指摘ではございますけれども、こういう長銀とフィナンシャルアドバイザーの契約、これはまたこれから将来を見渡しますと、日債銀も同様なやり方で受け皿銀行を探すということになるかと思います。そういう私企業間の契約の内容というのをこの場で御披露するということはいろんな意味でこれからの私企業間の取引に影響を及ぼすものであると考えられますので、何とぞ御容赦のほどお願い申し上げます。
- 浅尾 慶一郎
それは納得できませんので、ぜひ委員長に資料を提出していただきますようにお願いをいたします。
- 勝木 健司氏(委員長)
この件につきましては、理事会でしかるべく協議いたします。
- 浅尾 慶一郎
そして、今御答弁いただきましたように、日債銀についてもあるということでございますが、この点について、日債銀ももしかしてまたゴールドマンを選ばれるということもあり得るのかなと。これは売り主のアドバイザーがこっちもゴールドマン・サックス、こっちもゴールドマン・サックスということになるとまさに利益相反なんじゃないかなというふうに思いますが、この点はいかがお考えになられるでしょうか。国務大臣、お願いいたします。
- 柳沢 伯夫氏(国務大臣)
今はまだ過程にあるわけでございますけれども、少なくとも今私どもが承知しておるところでは、ただいま先生御指摘の問題ありというふうに考えておりまして、そういう意味でゴールドマン・サックスは応募しておらないというふうに承知をいたしております。
- 浅尾 慶一郎
それでは、今の報酬体系について、日債銀についても委員長にその資料を提出していただきますようにお願いいたします。
- 勝木 健司氏(委員長)
この件につきましても、理事会で協議します。
- 浅尾 慶一郎
大変、国の税金を使う可能性があるということでございますので。
私が聞いております話では、成功報酬も含みますとかなり高額な報酬がゴールドマン・サックスに行くというふうに聞いております。それが報酬体系に見合ったものであればもちろん問題はないんだと思いますけれども、果たして破綻した会社、そしてその穴埋めを国民の税金でやるという場合に、それが公平かどうかということもありますので、ぜひ資料はいただきますようにお願いします。
それでは、大蔵大臣の方に質疑を移らせていただきます。
先般、代表質問の際にも、居住地ごとに所得税納税額は明らかにした方がいいんではないかということを質問させていただきました。それに対しまして、小渕総理からは、個人の所得については居住地の市町村に対して資料が源泉徴収義務者から行っている、そしてまた、居住地ごとの納税額を源泉徴収義務者から税務署に対して提出をさせるということは事務負担になるので御勘弁いただきたいといったような答弁をたしかいただいたというふうに思います。
そこで、質問をさせていただきますが、実は御存じのように源泉徴収票というのは三連式になっておりまして、1枚が居住地の市町村に行くわけでございます。そしてもう1枚が、500万円以上であれば税務署に行く、500万円以下だったらたしか捨てられているということだと思うんです。いずれにしても、居住地の市町村に三連式の帳票の1枚を出しているということであれば、所得が500万以下の方についても各税務署に源泉徴収義務者から提出をしていただいた方がいいんではないかなというふうに思います。
この点について御答弁いただきたいんですけれども、その背景について若干説明をさせていただきますと、現在国から地方に税源の移転といったようないろんな議論がされております中で、所得税をもし仮に国から地方に移転した場合どうなるかといったようなシミュレーションも当然しなければいけないんではないかなというふうに思いますが、そのシミュレーションが今のシステムではできない。なぜできないかというと、居住地におきます国税、所得税をどれぐらい払っておられるかというデータがないからだというお答えでございました。なぜないかというと、今申し上げましたように、所得が500万円以下の方については所轄の税務署に対して税額が幾らかということを源泉徴収義務者から連絡が行っていないからだということでございました。
しかし、また繰り返しになりますけれども、市町村についてはすべて所得金額が同じ三連の帳票で行っているということでありますから、三連の帳票のもう1枚を税務署に提出していただくように制度を変更して、そしてその上で今申し上げたような国から地方への税源の移転について実効性のある議論をしたらどうだろうかというふうに考えておりますが、この点について御所見をお願いしたいと思います。
- 尾原 榮夫氏(政府委員)
現在、所得税法で適正公平な課税を確保する必要がございまして、給与の今の源泉徴収票以外にいろんな資料をいただいているわけでございます。実は、それでは何でも課税当局がとってもいいのかということになりますと、ある一定の税体系のもとで、やはりお出しになる企業なりの事務負担はどうなのかということをどうしても考えざるを得ないわけでございます。今の源泉徴収票でございますが、先生もう御理解のとおり、現在500万円ということで足切りをさせていただいているわけでございまして、私ども、今の所得税の体系のもとであるならば500万円以上のものをいただければ適正公平な課税は確保できるということでお願いしているわけでございます。
それから、市町村の方でございますが、これは実は前年度課税の仕組みになっておりまして、まさに各人ごとにそういう意味で給与支払い報告書がすべて提出される。それに基づいて賦課決定を市町村が行う。また、課税最低限は国よりもさらに下の方になっているわけでございまして、おのずとそれぞれの税の目的、課税の適正公平が、どういう資料をいただいたらいいのか、さらには今のコストの問題がございまして、今の体系のもとでは私ども500万で十分と思っているわけでございます。
- 浅尾 慶一郎
ちょっとコストというところがよくわからないので大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、こういう三枚式の帳票になっておりまして、1枚はいずれにしても市町村に行く。もう1枚を税務署に出すということになると、どれぐらい源泉徴収義務者にとって、私が会社の経営者だとして、もう1枚税務署に出すのにどれぐらいコストがかかるか、その大体の感じを教えていただければと思います。もし仮に社長だったとして。
- 尾原 榮夫氏(政府委員)
今、枚数でまいりますと、大体年収500万以上で恐らく1,900万枚、これをいろんな申告書と突合しているわけでございます。これが恐らく全員の給与支払いをということになりますと、恐らく何千万枚というのが出てくるわけでございまして、これがお互いにそれだけのものをやれる限度もございます。御理解いただきたいと思います。
- 浅尾 慶一郎
私がそういうふうにお聞きしたのは、御答弁がどうも納税義務者のコストというふうに聞こえたからですけれども、今のお答えですと税務署側のコストというふうに、多分お答えを少し変えておられると思うんです。
仮に税務署側のコストといたしますと、具体的にどれぐらい予算をふやせばそれに対応できるかということをぜひお答えいただければと思います。
- 尾原 榮夫氏(政府委員)
今のなぜ給与支払いの源泉徴収票をいただいているかといいますと、給与以外にいろんな所得がございましたら当然申告書で出てまいります。その場合、他の所得のある方の申告書を見たとき、給与はきちっと総合課税になっているかというようなチェックをいたすわけでございますけれども、そういうところまで考えて適正公平な課税を実現していくという場合、所得がごくわずかであっても、給与の支払いが大概そういう方は年末調整で終わっているわけでございますから、やはりあるところで線を引くことがこれは私ども税務当局にとっても、変えたわけではございません、両者にとって事務負担ぎりぎりのところでやっているということかと思います。
- 浅尾 慶一郎
税務当局のお立場での御答弁はよくわかります。それは税務当局としてはコストをかけずに多くお金を集めるというのが当然のことであろうかと思いますが、今お聞きしておるのは、では多少コストがふえてもそのデータがあった方が国全体としてあるいは国家の運営ということを考えた場合、あるいは国家の長期的な税制ビジョンを考えた場合に、国税と地方税との比率を考えた場合は多少コストをかけても必要なんではないか、だから幾らぐらいコストがかかるんですかということを伺っておるわけでございます。ぜひ大蔵大臣の御所見をいただければと思います。
- 尾原 榮夫氏(政府委員)
恐らく事務全体で、これに限らず利子から配当から始まりまして資料があるわけでございますから、どのぐらいかというのは一概にこれはなかなか言えないわけでございます。ただ、一つ私ども申し上げたいことは、一般論とすれば課税の適正公平のためにはいろんな資料をいただきたいというのがもちろん私どもの立場ではございます。
他方、データを集める必要がある、こういうことを先生は今おっしゃいましたが、たしかアメリカの税制ではそういう意味でのデータを集めるための調査というのも認められているということを一度聞いたことがございます。私どももこれはもう少し勉強したいと思っておりますが、日本の税制の場合、調査、統計のためだけに、あるいはデータ収集のためだけに強制的な負担をおかけするというのはやはり税法の考え方からしていかがなんだろうかと、こういうふうに考えているわけでございます。
- 浅尾 慶一郎
いや、私は調査のためにデータが必要であるということを言っているんではなくて、当然税金を納めておられるということだから、仮に500万円以下であって、主税局長にとってはそれは微々たる税金かもしれませんけれども、納めておられる方にとってみればそれは大変な税金を納めておられるんだと思います。そういった方々の税金を一応把握しておくことが必要なんではないかということが第1点でございます。
それからもう一つ、極端な例で言いますと、例えば朝の9時から5時まである仕事をして、夕方の六時から12時まで別の仕事をする、それぞれ300万円以下ですとこれは要するに把握しなくてもいいが、足すと税のブラケットが変わるような可能性というのもあり得るのかなと。ですから、言い方は悪いかもしれませんけれども、脱税の可能性もあるんではないかなということでございますので、そういうデータを国税あるいは徴税側の事情のみで今要りませんと言っているのであれば、そこはコンピューターもすごく発展しておるわけでございますから、変えられたらいかがでしょうかということを指摘させていただいておるわけでございます。
時間がありませんので、これと関連いたしまして、ではそれをするとどうなるかということで第2番目の御質問に移らせていただきます。
今、納税者番号制度というものが導入されようとしておるわけでございます。仮に納税者番号制度が導入されても、今申し上げたような500万円以下の方についてもすべてその帳票をいただかないと納税者番号制度というのは機能しないと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
- 尾原 榮夫氏(政府委員)
納税者番号制度はいろんな論点がございまして、今検討を進めているところでございます。納税者番号制度の使い方、今総合課税のお立場からお話があったかと思いますが、実は政府の税制調査会で検討をする場合、その1つだけに限らず3つの観点から検討がなされているわけでございます。
1つは、御承知のように大変な金融取引の量などが出てまいりまして、先生が今おっしゃいましたように、その資料を有効に活用する必要がございますし、今の国税の方のまさに電算機処理でもっと効率的にできないかという要請もございます。そういう意味で、事務の効率化のために納税者番号制度を入れていったらどうかという考え方が1つと、それから先生が今おっしゃられたように、総合課税にこれからしていくんだという立場、あるいは3番目の話といたしまして、資産課税、相続税などが1つの例になるわけでございますが、そういう資産の把握のために入れてはどうかと、3つの議論がございます。
それで、今の先生のお尋ねについて申し上げますと、総合課税にするのがいいのかどうか、今税調でいろんな議論がございますけれども、仮に総合課税ということを選択するのであれば、おっしゃるように幅広く給与についても資料をいただく必要が出てくるだろう、こういうことかと思います。
- 浅尾 慶一郎
総合課税については、それを導入する方向で検討するということで合意がなされたというふうに私は理解をいたしております。であるとすれば、納税者番号制度というものを踏まえて、早急に500万円以下の方についても、納税者の立場に立てばそんなに事務負担がふえるわけではないんで、帳票を税務署の方に送っていただいて、それを把握されるように要請をいたします。
時間の関係で最後になるかもしれません。納税者番号制度の導入の障害となるプライバシーといったようなものがいろいろ議論されておるかと思いますけれども、納税というものはこれは国民の義務であるということはもう申すまでもありません。そうすると、では幾ら納税したらいいのかということを隠すことが果たしてプライバシーという名前の上で認められるのかなということも考えられるわけですけれども、具体的に納税者番号制度を導入すると、どうプライバシーが侵害されるのか、この点について簡潔にお答えいただければと思います。
- 尾原 榮夫氏(政府委員)
プライバシーが片仮名だけに、まさに議論する人によってさまざまな議論があると思います。
一言で言いますと、納税者番号を使って行政当局側に膨大な個人資料がたまってしまうことに対する不安感とでも言いましょうか、そういうものがプライバシーリークされていると思います。
それで、議論を少し整理させていただきますと、1つは税務当局と納税者との間で課税の適正化、公平化のために資料を出していただく、これはやはりプライバシーには当たらないだろう、こういうふうに思います。しかし、納税者番号制度が仮に入ったとすれば、国民によく理解してもらう必要があるというふうに考えております。
それからもう1つは、今でもそうですが、仮に税務当局側に資料が集まったのはいいが、それが横流しされないだろうか、他の行政目的に使われるということはないんだろうかというような問題、これは個人情報保護法の問題になってくるだろうと思います。
それからもう1つは、実は資料を提出していただくのは民間の方から出していただくわけですが、そういたしますと、例えば銀行の方には預金に来た人は何番ですと、そういう情報が民間企業側に残るわけでございます。そうなりますと、その番号をキーにいろんなデータを使われることはないのかというような側面にこの納税者番号制度のプライバシーの問題が分けられるように思います。
- 浅尾 慶一郎
時間が参りましたので、最後に。
番号制度については、基本的に番号そのものがプライバシーを侵害するのではなくて、それを守るような制度的な側面をつくれば導入できるのではないかなというふうに理解しておりますので、そういう理解でよければいいと言っていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
- 宮澤 喜一氏(国務大臣)
納税者番号制度というのは国会でももう何十年御議論になっていまして、初めのころは社会党の方々が、これが徴兵に用いられるというふうに考えられたことがあります、今ではおかしいようなことですが。
しかし、いろんなことがございますが、今国民がどこかで考えていらっしゃることは、自分が番号をつけられて政府に管理をされている、そういうことへの本能的な反発があって、恐らくオーウェルの社会みたいな考え方、政府から自由でありたいという気持ちがどこかに私はあるんじゃないかと思っています。
- 浅尾 慶一郎
終わります。