- 勝木 健司氏(委員長)
経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案、有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案、所得税法の一部を改正する法律案並びに児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案の五案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
- 浅尾 慶一郎
民主党・新緑風会の浅尾慶一郎でございます。
本日は、お忙しいところ、日本たばこ産業の水野社長にもお越しいただいておりますので、お許しをいただきまして先に水野社長にお話を伺いたいと思います。
お招きいたしました理由というのは、今般の経済対策向けの諸減税を考えた場合に、将来、恒久的減税ということであれば国有財産の有効活用といったようなことも考えていかなければいけない。現在、日本たばこ産業株式会社の株の大部分はまだ大蔵大臣あるいは大蔵省が保有しておるということだと思いますが、その絡みで、今般、RJRナビスコ株式会社が持っておりましたたばこの海外事業、米国を除く部分を78.3億ドルで買収されたということでございますけれども、この点について若干質問をさせていただければと思います。
まず、78.3億ドルで買収されたということでございますけれども、日本たばこさんが例えばドルをお借りになった場合に幾らぐらいの調達コストでドルは借りられますか。
なぜそういうことを聞くかといいますと、いただきました資料によりますと、海外のたばこ事業というのは大体4億6,800万ドルの収益が上がると。78.3億ドルということですと大体5.何%ということになると思いますけれども、日本たばこさんがドルをお借りになる場合大体幾らぐらいでしょうか。私の推察するところによりますと多分6%を超えるんじゃないかというふうに思いますが、その点をちょっと教えていただければと思います。
- 水野 勝氏(参考人)
お話しのようなディールにつきまして現在具体的に進めているところでございますが、これから本格的ないろんな準備等をいたす段階でございますので、なお詳細につきましては今後の検討課題といたしております。
- 浅尾 慶一郎
一般論で結構なんです。別に今回のためにということではなくて、日本たばこさんが米国ドルをお借りになる場合には、6%を超える金利を払われるんではないかなと、そういう点でイエスかノーかだけで結構です。
水野 勝氏(参考人)
現時点まで当社としては借り入れというのが余りございませんでした。特に外貨につきましてもそうでございました。これからの検討でございますので、従来からの一般的な負担と申しますか、そうしたものにつきましても私どもは持ち合わせてはいないところでございます。
- 浅尾 慶一郎
今般、大変大きな買い物をされた。これが全くの100%の民間企業であれば私はそれを全く問題にするつもりもありませんし、その株主さんが責任を最終的には負われるということなんだと思いますが、冒頭に申し上げましたように、7割強ですか、株式をまだ国有財産という形で持たれておられる御社のことですから聞かせていただいておるんです。
私の推察では、日本たばこさんがドルを借りられると大体6.何%、6.2,3%ぐらいの金利を多分払われることになると思うんです、10年間借りた場合。そうすると、今申し上げましたように、この4億6,800万ドルの収益というのは、これは税引き前、しかも償却前、無形資産償却前利益と書いてありますから、税金とかをその後払ったりなんかするととても6.5%に追いつかないんじゃないかなというふうに思いますが、それではどういう計算をされて日本たばこさんは78.3億ドル払われるのか。
こういう言い方をすると大変恐縮なのかもしれませんが、手元に現金、流動性が大変ある会社であると。そうすると、選択肢としては、それを投資したいというのは会社の側からいえばそういうことなのかもしれませんけれども、株主の立場に立ってみますと、それを投資されるぐらいだったら、これぐらい多く赤字国債を出しておるわけですから、株主である大蔵省、大蔵大臣に手元流動性を返された方が、投資先としてはあったんではないかなというふうに思います。だとすれば、これを投資することによってより国民財産も発展するという計算があってしかるべきなんではないかなと思うんです。
ところが、今伺っていますと、日本たばこさんがドルを借りた場合幾らになるかもわからないと。本当にわからないんですか。
- 水野 勝氏(参考人)
資金面での準備はこれからでございます。当社といたしましては、ある程度の流動性は残しつつ、ある程度のものは現時点での手元資金で賄う。それから、借り入れをお願いするという場合でも、どの程度のものを国内からの調達とする、どの程度のものを外貨でお願いをするということもあわせて、そうした資金構造、借入金の構造につきましても現時点で準備を重ねておるところでございますので、御指摘のような調達コストにつきましては、そうした仕組み、構造の中で出てまいるかと思いますが、私どもは極力コストの安い構造にいたしますよう努力をしているところでございます。
- 浅尾 慶一郎
もう少しわかりやすく私の方も質問をさせていただきますが、年間4億6,800万ドルぐらいのキャッシュフローが上がる取引であるということだと思いますけれども、そうすると、さっき申し上げましたように、78億ドルも払われると、6%を割ってしまうと思うんですね、収益としては。先ほど言いましたように、日本たばこさんが今10年間ドルを借りたら、恐らく6%を超える金利を払わなければその借り入れができないということだと思いますけれども、そうだとすると、投資としては魅力がその段階だけでも非常に薄いんではないかなというふうに思います。
それから、百歩譲って、これからたばこの海外での消費というんですか、買収された地域で消費がふえるというふうに思っておられるのか、それとも世界的な潮流を考えると今後そんなにはふえないだろうと、大体今までどおりなのか、そこはどういうふうに見ておられて今回の買収をされたんでしょうか。
- 水野 勝氏(参考人)
たばこの消費につきましては、それぞれの経済の発展段階でいろいろな差があるように見受けられます。今回の買収によりまして、私どもが既に進出している地域、それから相手方会社が進出しかなりなシェアを持っている地域、いろいろな地域の組み合わせがあるわけでございますが、私どもと今回の提携と申しますか買収の相手とはそれぞれの地域におきまして重複するところが割合少ない、したがいましてその間におきますところの相乗効果等も期待できるわけでございます。そうした意味におきましては、私どもは両社のそれぞれの長所を生かすことによって全体の営業の水準も高めることができるのではないかと思っております。
たばこでございますから、先生の御指摘のように急激に増大するということは余り期待はできない面もありますけれども、その地域地域の特性に応じて市場策を展開していけばプラスの効果が期待できる、このように考えておるところでございます。
- 浅尾 慶一郎
それではちょっと伺いますが、大体その消費量あるいはその利益が年率どれぐらい例えば過去5年間買収された地域で伸びてきているのかという、そういったデータはお持ちですか。
- 水野 勝氏(参考人)
海外部門につきましては、先ほど先生御指摘のような水準の収益がおおむね上げられてきているようでございます。ただ、先般の東欧地域におきますところの経済の混乱等々がございました地域におきましては、その年度につきましては若干の低下が見られる、しかしそうしたものから回復すれば御指摘のような水準のものは今後とも継続して期待できるのではないか、こんなふうに考えております。
- 浅尾 慶一郎
そうすると、ゼロ成長という観点で計算しますと、いわゆるIRR、内部利益留保率、内部利益率が大体5.29%ぐらいになるのかなという計算になります。そうすると、先ほど申し上げましたように、ドルを調達する、あるいはドルで運用しても、6%ということになるとこの取引は損をする可能性が高いのではないかな、余り魅力的な投資ではなかったのではないかなというふうに思います。
それからもう一つ、たばこという事業が抱えておられるいろんな問題点、これはいい悪いは別ですが、客観的なことで質問させていただきますと、米国においては和解が成立したと。日本たばこさんとしてはこれは訴訟ではなくて和解だということだと思いますけれども、和解金として総額何兆円ぐらい払っておられるんですか。
- 水野 勝氏(参考人)
アメリカのたばこ会社、大手4社ございますが、そうした会社におきましては、今後25年ということを一応の計算期間といたしまして、2,000億ドル強のものを支払うような和解となっているようでございます。それ以外の会社につきましては、和解に参加するかあるいは供託金等を求められるか、いずれかの対応になろうかと思いますが、和解に参加する場合におきましては、その市場におきますところのシェア等に応じての計算になるようでございます。
私どもとしては、米国におきまして営業を続けるからにはその地域におきますところのシステムに従う必要があるということでこの和解には参加をすることといたしておりますが、私どものシェアはそれほど大きくございませんので、その金額も大きなものにはなっておりません。
- 浅尾 慶一郎
米国において2,000億ドルということでございますが、今回買収された地域の中には、訴訟形態あるいは社会の形態が米国と似通っているところももちろんかなりあると思いますし、買収されるに当たっては当然可能性を考えられなくてはいけないと思います。
例えば買収された米国以外の地域において同じような訴訟が起こされた場合に、責任分担というか、仮に和解した場合にはそのときのマーケットシェアに応じて和解金を払うという取引形態になっているんですか。それとも、歴史的に今までRJRさんが売っていたわけでございますから彼らが責任を持つのか。買収に当たって、訴訟リスクというか、そのリスクの部分はどちらが責任を持つという形態になっているんでしょうか。
- 水野 勝氏(参考人)
今回買収の対象となりましたアメリカ以外の地域、この地域の営業に関して発生いたします訴訟につきましては私どもとして責任を持って対処する、真摯にこれに対応してまいりたいと考えておりますが、アメリカ本土内、アメリカ国内におきますところの訴訟、これは当然RJR方でこれまでどおり処理していく、このように考えております。
- 浅尾 慶一郎
もう一度確認しますと、今回78億ドルで買われた部分の地域において仮に5年ないし10年以内に同じような訴訟が起きた場合には、2,000億ドル掛けるマーケットシェアの分担金を払われるということなんだと思います。
そうすると、先ほどおっしゃっておった利益というものがかなり減ってしまう、今のレベルにおいてもこの投資収益というのは御社がドルを借りるよりも低い利回りしかないわけですから。これは例え話ですけれども、仮に個人でお金を借りて株に投資する場合には、借りている金利よりもかなり利益が上がる可能性が高くない限り投資しないでしょう、リスクは株に投資する方が高いわけですから。たばこ事業というか、事業に投資する方が多分高いわけでしょう。借りている方は必ず返さなければいけない、事業の方はどういうリスクがあるかわからないと。
今おっしゃったように、これから訴訟が起きた場合には、歴史的な経緯からいえば、当然健康を害した、今まで吸っていたたばこが変わるわけじゃなければ、最初の20年間はRJRさんの責任で、これからJTさんがそのブランドを売るようになったら5年間分だけその責任を負うというような契約で買っておられるのかなと思ったら、そこはもう潔くというか何というかわかりませんけれども、今までの責任は全部JTさんが仮に訴訟が起きた場合にはひっかぶってしまうと。言葉は悪いですけれども、JTさんが責任を持つ買い方というのは、こういう申し方をすると失礼ですけれども、非常に高い買い物をされたのではないかなと思いますが、そこまで責任を持たれると。繰り返しになりますが、全くRJRさんに責任はないんですよということでよろしいんですね。
- 水野 勝氏(参考人)
今後、買収後におきまして、しかも今回買収の対象となった地域で訴訟が起こされた場合ということでございます。
アメリカ社会におきましては訴訟の現状というのはかなり特異なものがございますし、またアメリカ国内におきますところのたばこの税負担水準というのはそれほど高くない。そういったことから、今回、和解で州政府に相当なものをお払いになるという背景があるのではないかと思うわけでございまして、今回手放した海外地域におきましてアメリカと同じような訴訟が起きるのかどうかにつきましては、必ずしもそのようなことは考えられないのではないか。しかし、もし訴訟が起きれば、これは他の地域あるいは日本国内におきましても同じような問題でございますので、それに対しましては真摯に対処してまいりたいと思っております。
そういった観点も含めまして、私どもとしては、全体の買収価格、今後の収益見通し等を計算いたしまして、合理的な水準で取引ができたのではないか、このように考えておるところでございます。
- 浅尾 慶一郎
どうも私にはよくわからないんですが、先ほど申し上げましたように、今の水準の収益が上がった場合でも、ドルの金利を考えた場合には収益の利益率というのはドルの金利よりも低いと。しかも、訴訟が起きた場合は、和解した場合でも、歴史的な経緯云々は全くなしで、その責任は全部事業を買われたJTさんが責任を持つということだと思うんですが、7割ぐらい国有ということを考えた場合には大変高い買い物なのではないかというふうに思います。
ここで監督大臣であります大蔵大臣に伺わせていただきたいんですが、どう聞いても私には高いように思える、今申し上げたような理由で高いように思うんですが、その点について大蔵大臣はどのように思っておられるか、ちょっと御所見をいただければと思います。
- 宮澤 喜一氏(国務大臣)
今回の買収は株主総会の議決事項ではございませんから、したがいまして株主であります私は、水野社長からこのお話の中途の段階において進行状況をお話しいただきました。
そのときに私が老婆心で申しましたことは、もうとっくにいろいろ御研究であるには違いないが、どうもアメリカのたばこ産業というのは非常に歴戦の雄で恐ろしい。幾つかの個人訴訟を徹底的に各地で闘っておって、その上にとうとう各州の検事総長を相手取って25年に向かってのやりとりのネゴシエーションをして、一遍は昨年は法律になりかかったわけでございます。法律はできなかったけれども、今2,000億ドルとおっしゃいましたが、そういうもので2,000億ドル、25年の間に。もちろん値上げは許されるわけでございますね。値上げそのものはディスインセンティブになるので許されるという、非常に不思議な話ですが、だから歳入はある。しかし、そのかわり、これをしてはいけない、あれをしてはいけない、こういう訴訟まで入ってきているわけだから、とにかく大変な人たちを相手にしておられるので、それはもう御如才もないでしょうがということは老婆心で申し上げました。
ただ、そのときに私が思いましたことは、日本たばこは現在、例えば薬品であるとか、あるいは恐らくバイオテクノロジーとか、いろんなことで少しずつ多角化を考えておられるではありましょうけれども、基本的にはたばこの会社である。従来のいきさつからいっても、今後を展望しましても、たばこの会社をやめることはできない、そういう性格を持っている会社だと思います。
そして、御承知のように、アメリカでもレイノルズ・ナビスコなんかも、いろいろ私は事情があったと思いますが、たび重なるレバレッジド・バイアウトでかなり金融的にはいろいろ苦しいところもあるし、たばこというものが国内的にはある意味でなかなか問題の多い品物になっているということもございまして、海外を売ろうとしているのではないか。
そうしますと、これは浅尾委員はよく御存じですが、フィリップモリスとブリティッシュアメリカンですか、ロスマンズは合併になったから、その次ぐらいに今度JTが来るはずになって、どうしても世界的な寡占体制というものは恐らくもう免れないのではないか。そうすると、JTとしてもその寡占の中に入っていかなければ、今後のたばこ会社としての運命というものはなかなか切り開けないのではないか。そういうふうに経営者が考えられることは私は無理はないことであるというふうにお話をしながら思ったわけでございます。
すぐ外電がありまして、78億ドルというのが大変高い買い物であったと言うんです。そうかもしれないが、しかし本当はJTとしてはどうしてもこの際レイノルズ・ナビスコを買っておくべきだという気持ちがおありだったでしょうし、ネゴの途中では、いや、フィリップモリスが買うのかもしれないとか、当然いろんな真偽取りまぜてうわさもありましたでしょう。
そういう意味で、仮にJTが多少高い値で買われたにしても、今の浅尾委員のお話では、確かにそろばんをとりますとそれはそろばんとして合うのかなというお尋ねはごもっともではありますけれども、やっぱり世界市場における寡占体制の中でおくれてしまうということを考えますと、これは証明も何もできないことでございますけれども、仮に多少値段が高かったとしても経営者としてこの決心をなさることには十分に意味があるなと。私は何も意見を申し上げる立場には実はないわけでございますけれども、お話をしながらそう思っておりました。
- 浅尾 慶一郎
余り時間がないので、2点で終えたいと思います。
どうも私には高い買い物のように思われるんですけれども、日本たばこはRJRナビスコの海外部門を買われるに当たって、どこか外国のインベストメントバンクと言われるところにアドバイザーとしてお願いをされましたでしょうか。された場合は、その報酬体系というのが多分成功報酬という形になっていまして、買収金額掛ける何%というふうになっているんじゃないかなと。だとすると、そのアドバイザーは高い方が彼らの収益は上がるのではないかと思いますが、簡潔にお答えいただければと思います。
- 水野 勝(参考人)
高い安いという点、先ほど先生から御指摘がございました外貨の金利の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、まだ資金構造が円貨でいくか外貨でいくかはこれからの問題でございます。支払いは一時に行う、そのときには確かに外貨も借りるわけですけれども、その後の処理におきまして国内借り入れをどの程度のものとして残していくかということ、そのあたりからの計算になるわけでございます。
また、仮に先生御指摘のような金利となった場合におきましても、それは法人税の関係からすればおおむね半分になるということもございます。しかしながら、全体の金利水準、借入金構造によって今後変わるところでございまして、御指摘のような高い率で今後10年ということはないと思います。できるだけ早く投資は回収する、借入金は償還をしてまいりたいと思っておるところでございます。
それから、今回のディールにつきましては、それぞれのコンサルタント、アドバイザーと提携していることは御指摘のとおりでございますし、またそうしたものにおきましてはいろんな契約もあるわけでございますが、私どものものは必ずしも高い取引高になったからそれによって報酬が上がるという構造にはなってはおりません。
いずれにしましても、私契約の問題で、いろんな守秘義務的な契約もございますので、詳細はお許しを願いたいと思いますが、御心配のような向きは極力避けておるところでございます。
- 浅尾 慶一郎
簡潔で結構ですけれども、買収金額掛ける何%という項目は入っていませんか。
- 水野 勝氏(参考人)
必ずしもそういう形式ではございません。
- 浅尾 慶一郎
必ずしもというのはよくわからないんですが。
それからもう一点は、これは訴訟リスクがかなりある話だと思います。先ほど2,000億ドルというお話がありました。これは米国の話ですけれども、海外で同じような形で訴訟が起きた場合に、仮定の話ですが、JTが債務を入れると債務超過になってしまうといったような場合に、私ちょっと日本たばこ産業株式会社法というのを読んでいないのでわかりませんが、政府に赤字補てん義務というのはあるんでしょうか。
- 水野 勝氏(参考人)
特段そのような規定はございません。そういうことが万々起こることのないよう経営の健全化に努めてまいりますし、現時点では今回の買収案件を勘案いたしましてもそのようなことが起こることはあり得ないと考えております。
- 浅尾 慶一郎
問題を伺ってみますと非常に高い買い物だと思いますし、それからどう考えても収益的になかなか合わないのかなというふうに思います。
先ほど大臣の方からフィリップモリスが買われるかもしれないといったようなこともあったんでしょうけれども、よくよく考えてみますと、買える方というのが限られている事業ですから、その中でフィリップモリスさんが買わなくて日本たばこさんが買ったということは、私はこれは当たっていないことを望みますけれども、バブルのときに日本の企業が随分と海外のモニュメンタルな建物を買って、結果として高い買い物だったといったようなことの繰り返しになってしまったら非常に残念だというふうに思います。
時間の関係で次に移らせていただきますけれども、今回の減税ではいろいろな法人税の減税もされておると思います。その関連で若干質問させていただきます。
今後、日本の国の中で時価会計といったようなものが企業に対して導入されることが決まっておるわけでございます。仮にこの時価会計を導入した場合には、大変積極的に退職給与引当金あるいは企業年金を積み立てている会社であっても、具体的に言いますと、キャノンという会社は非常に積極的にこれをやってきたわけですが、それでもニューヨークにおいて上場に際して時価会計でやると大体1,500億円ぐらい足りないと言われたそうであります。日本企業全体で見ると、大体60兆円ぐらい足りないという計算もあるようでございます。
一方で、企業の方を時価会計で縛るわけでございますから、今まで企業がそれをやっていなかったというのは税法上認められている範囲が非常に小さかったわけでございますけれども、時価会計を導入するに当たって税法上認められる各種控除、これを拡大する考えはないのかということと、それから簡潔で結構ですから、例えばアメリカ、イギリス、フランスはどういう取り扱いを税務上やっているのか。日本は非常に厳しいんじゃないかな、そうすると国際競争力上、日本の企業にとって不利に当たるのではないか、そういう観点から質問させていただきます。
- 尾原 榮夫氏(政府委員)
今回、企業会計の分野で退職給付の関係が時価主義になってくるというのは私どもも承知しております。
この辺の関係を法人税でどう取り扱うかという議論は、実は政府税調の中に法人課税小委員会というのを設けまして、三年間にわたり議論したところでございます。その際、このような時価会計の動きも念頭に置きながら議論をしたわけでございます。
コンパクトにということでございますが、一言で言いますと、やはり税務会計といいますのは公平で明確でなければならぬという要請がございます。他方、企業会計の方は、御存じのように、債権者と利害関係者の利害調整あるいは経営成績をできるだけ客観的に示すという情報提供、そういう意味で税法の考え方と企業会計の考え方は必ずしも一致しない部分が出てきます。
それで、退職給付について申し上げますと、特に退職給与引当金の取り扱いをめぐって問題になってきたわけでございます。アメリカには御存じのように内部引当金制度はございません。そういう意味では完全に税法と企業会計が分離しているわけでございますが、そこでとられている考え方といいますのは、長期に潜在的に発生する債務というものは多分に見積もりの要因が出てきます。しかし、税法の方からいたしますと、見積もりの要因を法人税法に取り込むというのは税法の考え方とずれてくる面がございまして、できるだけそういう要素は廃すべきではないか、こういうような考え方になっておるわけでございます。
したがいまして、今回の時価会計に伴いまして15年間にわたり是正していくことになるわけでございますが、税法の方での手当てというのは必要がないのだろうというふうに思っております。ただ、外部拠出でございまするならば、過去勤務債務を実際に外部に拠出する、その時点では確かに外に支払われる、確定するわけでございます。それは当然損金になる、こういう取り扱いでございます。
なお、海外における取り扱いでございますが、全部詳細に調べたわけではございませんけれども、ほぼ同様の考え方になっているものと承知しております。
- 浅尾 慶一郎
時間の関係で次に移りますが、日本の場合は今まで時価会計というものがなくて、15年間とはいえ大変大きな負担に各企業が直面するわけでありまして、アメリカはずっと時価会計でやってきたわけですから、そのインパクトということを考えた場合には税法上の手当てをされた方がいいのではないかということを申し上げさせていただいて、次に移らせていただきます。
次に、自治省の方に来ていただいておりますので、自治省の方に伺わせていただきます。
最近どうも地方交付税の不交付団体が減っておるということでございますけれども、1983年から5年刻みで98年、昨年までの不交付団体の都道府県、そして市町村ごとの数を教えていただきたいと思いますし、また多い都道府県の上位3つを教えていただければというふうに思います。
- 石井 隆一氏(説明員)
お答え申し上げます。
1983年以来、5年刻みの不交付団体の数でございますが、道府県について申しますと、83年が1団体、88年が4団体、それから93年、98年はいずれも1団体となっております。
それから、市町村分の不交付団体でございますけれども、同じく83年から五年刻みに申しますと、115団体、178団体、164団体、それから119団体となっております。
なお、この間、市町村で不交付団体がいずれの年をとりましても一番多かったのは愛知県、次に神奈川県、東京都、こういうふうになっております。
- 浅尾 慶一郎
今のお話を伺いますと、大体バブル崩壊後ずっと減ってきているということだと思います。ちなみに、一団体、東京都がなくなった場合に地方交付税制度そのものが破綻を来すのではないか、破綻を来すというのは言い過ぎかもしれませんが、その制度の役割を終えるのではないかと思いますが、そういう観点から大蔵大臣に、地方は今まさにだんだん減っておるという状況であるということを踏まえて、地方への財源移転について、簡単で結構でございますので、所見をいただければと思います。
- 宮澤 喜一氏(国務大臣)
このたびは予算編成に際しまして自治大臣と何度も御相談し折衝をいたしましたが、まず最初には所得課税、法人課税について、中央と地方との減税分の分け方につきまして、いろいろ地方の財政を伺っていますと、ちょっと私が当初考えたようにはまいりませんで、国税がかなりの減税分を引き受けるような形になりました。その上で、昨日もこの席上でお話がございましたが、かなり異例の地方財政対策を予算の上で講じてございます。
それでも、いわゆる富裕団体につきましては、今までなかったことでございますけれども、法人関連の減収が非常に大きゅうございまして、法人税の交付税率の特例等を設けたりいろんなことをいたしましたが、どうも展望しておりますと、今の法人の収益状況というものはそんなに急速には回復しそうにもない。したがいまして、これは1年限りのことで済むのか済まないのかというような心配を片方で持っております。
いずれにしましても、中央と地方の行財政の再配分というのは長いこと言われていて実現したことのない課題でございますが、いわゆる税制あるいは財政の来るべき抜本改革にはどうしてもこれを入れて考えるしかもう方法がないと私は思っていますし、恐らく自治省でもそう思っていらっしゃるのではないかと思います。
したがって、それまでの間、つなぎという言葉はちょっと適当ではございませんが、どっちみち大きな改正をしなきゃならない、しかし景気がその間に、うまく法人税が回復していけばよろしゅうございますが、そうでない場合にどうするかということは、それまでの間いろいろ工夫をしなければならないのではないかなと。情勢が好転することを祈っておりますけれども、急には期待できないかもしれないという感じがしております。
- 浅尾 慶一郎
ありがとうございました。
ここで、政府案の所得税減税二法案に対して、民主党・新緑風会案の考え方の違いといったようなところを発議者にお聞きしたいと思います。
- 峰崎 直樹氏
浅尾委員にお答えしたいと思います。
昨日、私も質問の中で申し上げたわけでありますが、政府案における所得減税というのは最高税率だけが引き下げで、さらにそれに定率減税を継ぎはぎしている。将来を展望した個人所得課税のあり方という観点からすると、どうも抜本的改革につながっているというふうにはなかなか思えないわけであります。
例えば、昨日も指摘したわけでありますが、税率を引き下げる場合に課税ベースを広げていく必要があるにもかかわらず、今回はフリンジベネフィットの問題も含めてほとんどそれが触れられていない。その意味ではいわゆる高額所得者だけが非常に不当に優遇されているのではないかという指摘をしたわけであります。
さらにまた、かねてから日本の課税最低限は高過ぎる、こういう指摘があったにもかかわらず、今回も再びまた子育て減税と称されて扶養控除を増額される、こういう形で、とてもこれは抜本改革に向けた動きとは私たちは思えないわけであります。しかも、景気対策と称しながらサラリーマンのほとんどの世帯では昨年よりも負担増になるという、その意味で政府案に対しては私たちは非常に不満を持っております。
それに対して、私たち民主党・新緑風会の案は所得税本法で改正案を出しているわけでありますし、また将来のいわゆる抜本的な税制改革という方向をできるだけ前倒しにしていこうということでございます。五段階の税率をそれぞれ二割引いて8%から40%という形にして、あらゆる階層の人たちにこの減税の恩典が当たるように、さらに私たちは分離低率課税になっている現在のいわゆる利子、配当、株式譲渡益、こういったことに対する総合課税ということを3年以内に納税者番号制度を導入して整備するということを指摘しているわけであります。
さらに、私たちは、ただいま大蔵大臣からもお話がありましたように、地方財政が大変ひどい状態にある、国ももちろん大変なんでありますが、この地方財政の状況をかんがみて、今回の減税は国税だけで進めるべきではないかという対案を出してきたところでございます。
以上、民主党案と政府案との違いといったことについて特徴点を私の方から指摘させていただきました。
- 浅尾 慶一郎
終わります。