財政金融委員会 会議録
平成11年7月22日
浅尾 慶一郎

民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に関連しまして、質問させていただきます。

まず、この法律案の趣旨の中で、ただいま岩井委員からもお話がありましたが、読みようによっては、食品工業向け融資が戦略的に重要でないから新しい政策投資銀行の職務から農林漁業金融公庫に所管が移されたということでございます。読みようによってはというふうに申し上げたんですが、我が国の食料といったようなことを考えた場合に、これから食品工業あるいはその根幹となります農業といったものが、もちろん申すまでもありませんが、非常に重要ではないかなというふうに思っております。

そういう中で、読みようによってはということなので恐らく解釈は違うのかなというふうに思いますが、まず質問の第一点目といたしまして、戦略的に重要なものに限定されると。されないから食品工業向け融資は移管されますというところを書いてあるんですが、農林大臣として率直な御所見をいただければと思います。

中川 昭一氏(国務大臣)

我々といたしましては、ただいまも申し上げましたように、国民に対して平時あるいは不測時も含めまして食料を安定的に供給するというのは、政府の一つの大きな責務であるというふうに考えております。そういう意味で、我々は食料安全保障というものを今後国内だけではなく対外的にも積極的に主張をしていくわけでございますが、そういう意味で食品産業あるいは農林水産というものの果たす役割は極めて重要であるというふうに認識をしております。

そういう前提で、今回の農林漁業金融公庫に移管される食品工業向け融資というのは、時間の関係で先ほど局長から申し上げましたので割愛いたしますけれども、公庫に移管されることが一番いい方法ではないかということで、地場産業との連携とかノウハウとかいろいろな観点から今回の移管ということになったというふうに考えております。

浅尾 慶一郎

移管元の政策投資銀行を所管されます大蔵大臣にお聞きしても恐らく同じような答えだと思いますけれども、もし何か戦略的に重要なものだけを政策投資銀行に残して、その他一般融資についてはそれぞれの所管する業態の特殊銀行に移されたということについて、御所見があれば伺いますし、なければ結構でございます。

宮澤 喜一氏(国務大臣)

特に意見というものはございませんが、恐らく当然従来から農林漁業金融公庫の扱っておられる分野でございますから、政府関係金融機関の再編成をいたしますときにその原則に戻ったということではないだろうか。別にそれが大事であるとかないとかいうことではなかろうと思います。

浅尾 慶一郎

さて、その移管される融資あるいはその資金区分の中で、バイオテクノロジー産業化促進というものがございまして、バイオテクノロジーを応用して行う食品の製造に必要な施設というものに対して年率2.45%ということで、かなり優遇した金利で十五年間の融資をされる。ちなみに、この年率2.45%いうのは今度移管される中では一番優遇されている金利だと思います。

そこで、そのバイオテクノロジーの中には当然、今いろいろと話題あるいは注目を集めております遺伝子組みかえ食物を利用した食品加工といったようなものも含まれるんだと思いますが、消費者の立場からいいますと、遺伝子組みかえ食物があるかどうか、そのことを知った上で買いたい、消費をしたいという声も当然あろうかと思います。加工された食品であったとしても、その原料の中に遺伝子組みかえ食物が入っているのであればその表示をしていくべきなのではないかということが今議論されておるわけでございます。

特に、仮に今度、農林漁業金融公庫から融資を受ける、しかも優遇レートで融資を受けるということでは、その差額の部分というのはある意味では公的にあるいは税金で補てんしているということになるわけでございますので、遺伝子組みかえ食物を仮に使った食品加工が行われている場合には、その開示について、一般金融機関から受けるよりかはあるいは厳しくすべきではないかというふうに私は考えますが、その点について中川農水大臣の御所見をいただきたいと思います。

中川 昭一氏(国務大臣)

まず、遺伝子組みかえ食品といいましょうか、もっと一般的に言いますとバイオテクノロジーということに関しましては、これはもう政府としても最重要課題の一つでございまして、関係五省庁、文部、科技、通産、厚生、そして農林水産と五省庁が、ことしの一月に申し合わせをいたしまして基本方針をつくりまして、つい先日、七月十三日に基本戦略というものをつくり上げました。

このバイオテクノロジーというのは、技術としても今世界じゅうで競争しております。その中でも遺伝子組みかえ食品あるいはアレルゲンフリーといったような非常に評価の、今のところマスコミ的に話題になっているものもありますけれども、だれもが認めるような有用な技術あるいは製品というものを世界じゅうが今競争しておるわけでございます。その研究に対する助成の問題と遺伝子組みかえ食品の表示の問題とを分けてとりあえず答弁をさせていただきます。

研究に対する助成につきましては、あくまでもこれは民間に対して支援を行っておるわけでございまして、これに対して、遺伝子組みかえをしているんだということを研究段階で表示するということは、これは民間にも企業秘密がございますので、すべてを最初から表示するということは困難であろうというふうに考えております。

しかし、その研究成果につきましては、事業実施主体が報告会等を開いて情報開示をするということにしておりますし、また、農林水産技術会議におきましても、専門委員会におきまして安全性というものをきちっと審査して、そしてそのデータについては知的所有権に関する部分を除いて公表しておるところでございます。

なお、遺伝子組みかえ食品の表示の問題につきましては、安全性というものが大前提でございますが、これについて表示をどういうふうに行うかについては、現在、検討会で検討中でございまして、8月中には正式に農林水産省としての1つの方向性、結果を出し、そして公表させていただきたいと考えております。

浅尾 慶一郎

私も、科学の分野は全く勉強不足でよくわかりませんけれども、昔たしか習いました生物の遺伝学で、サヤエンドウのかけ合わせでだんだんと優秀なエンドウマメをつくっていくというようなものを習った記憶がございます 。これは天然の中で行うものなので、仮にその中にいろいろ人間にとって不都合なものがあったとしても、時間がかかっている分だけ、それがあらわれたとしても中和するというような話をこの間聞きました。ところが、その遺伝子組みかえはサヤエンドウの組み合わせの部分を物すごく速いスピードでやってしまいますので、中に隠れているいろいろな瑕疵があらわれないで製品となってしまう可能性があるという話を実は専門家の方から伺いました。

この問題について今御検討中であるということでございますので、ちょっと御要望だけさせていただきたいんですが、そういったようなことで、大変重要な分野であるということは私もそのとおりだと思いますが、ぜひ消費者の選択というようなことも検討の中で考えていただければというふうに御要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

さて、次の質問でございますが、若干広い観点からきょうは中川農水大臣と宮澤大蔵大臣にちょっとお話を伺いたいと思います。現在話題になっています農林漁業金融公庫以外にも、農水省所管で例えば農林中央金庫といったような特殊法人というか特殊機関があるわけでございまして、農林中央金庫の方は政府の財投資金ではなくて御案内のとおり民間のさまざまな資金を活用して営業を行っている。柳沢金融再生委員長もお越しでございますけれども、今金融界が大変厳しい中で農林中央金庫は非常にいわゆる格付が民間の中では一番高いと言われておると思いますが、その一番高い農林中央金庫は資金調達の一環として五年物の利付金融債を発行いたしております。

別にそれを否定するわけではございませんが、今、政府は五年物の国債を出すことを検討するということでございます。格付が農林中央金庫が高い分だけ、変な話ですけれども、政府の格付と同じレイヤーに入ってしまうということになりますと農林中央金庫の利付金融債が政府の5年物国債と競合する。政府と競合したらさすがに幾ら格付が高い農林中央金庫であってもなかなかマーケットでの消化で勝てないんではないかというふうに思うんですが、その点について中川農水大臣そして宮澤大蔵大臣の御所見を伺えればと思います。

中川 昭一氏(国務大臣)

御指摘のとおり、農林中央金庫はいわゆる5年物の利付債券を発行しておりますが、この発行残高は11年3月末で5兆4,000億でご ざいます。ただし、農林中金の資金の大半が各信連からの預け金でございまして、5年物の利付債券による資金調達は約一割程度でございます。

仮にこの五年物に国債が入ってくるということになりますと、一方では運用の1つの手段としての幅が広がるというメリットがございます。また一方、発行する側の立場としてみれば競合商品、しかも国の債券でございますから、そこで金利裁定がどういうふうに働くのか。国が一番信用があるわけですから、では金利が高くなるのか安くなるのか、あえてこの場では申し上げませんけれども、それによって買う側の人たちがどういう反応を起こすのかについては、これはまさにいろんな条件の中での総合的な判断になろうかと思います。

そういう意味で、発行する側であり、運用する面もあるという意味で、5年物の国債の発行については、今現在、農林中金で調達と運用の両面から関心を持っていろいろと研究をしておる最中でございます。

宮澤 喜一氏(国務大臣)

農水大臣が関心を持つと言われますと、後から来る方はこれは遠慮しなきゃならぬ立場になろうと思うんですが、正直申しまして、いろいろ金利水準とか条件も違いますし、国債と金融債でもありますし、ただいま農水大臣が言われました投資家層が違うと申しますか、農林中金の方はかなりまとまっておられますから、そこらは違うんだろうと思いますが、全く影響が ないなんということは本来あり得ないことでございますから、いやしくも農林中金の邪魔になるようなことを私どもはしてはいかぬと思っておりますので、そこはよく考えていたします。

浅尾 慶一郎

幅広い金融関係の質問をさせていただく関連で少しまた金融関連の話をさせていただければと思います。

きょうはお忙しいところを各大臣にも御出席いただいておるわけでございますが、その中で、実はちょっと監督行政についても御質問をさせていただければというふうに思っております。先般初めて外資系金融機関に対しても監督に入られて、初めてということではないのかもしれませんが、日本として初めてそれなりの対応を決められるという報道がなされております。

そのことを伺おうと思っているわけではございません。伺おうと思っておりますのは、検査に入ってから通知あるいは決定を出すまでの期間というのが、どうもCSFBの話にしても、あるいは昨年話題となりました長銀や日債銀の話題にしても3カ月以上かかっておるということで、かなり長いような気がいたします。

一般論で結構でございますけれども、なぜ長銀の場合では通知がおくれたのか、あるいはこれは質問通告していませんが、CSFBの場合でそれだけ時間がかかっているのか、その点についてお答えいただければと思います。

日野 正晴氏(政府委員)

長銀に対する検査につきましては、昨年の7月13日に立入検査を開始いたしまして、9月30日に立入検査を終了いたしました。10月19日に検査結果の通知を行っております。私どもはこの検査結果の通知をもって検査を終了したということにしております。

一方、日債銀につきましては、7月24日に立入検査を開始いたしまして、9月16日に立入検査を終了いたしました。検査結果の通知は11月16日でございます。

立入検査の終了後立入検査に基づく検査結果の通知までの間には、その取りまとめでありますとか、あるいは必要な審査を行いまして、その検査結果の通知書を作成することに私どもといたしましては最大限の努力を行っておりまして、今御指摘にありましたように、決してこの両行に対する通知がおくれたというふうには認識しておりません。

ちなみに、立入検査終了後検査結果通知までの所要日数を平均でとってみますと、主要行の場合には約45日でございます。また、金融監督庁が主として担当いたしました地方銀行の場合には、平均いたしますと102日かかっております。そういった観点から見ましても、決しておくれたというふうには考えておりません。

したがいまして、今後も厳正かつ実効性ある検査の実施に努めるとともに、検査結果通知書の速やかな交付に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

浅尾 慶一郎

なぜ検査結果をなるだけ早く出していただきたいということを申し上げているかといいますと、1つの例で申し上げますと、例えば昨年7月13日に検査に入って、9月末見込みで長銀の資産は有価証券の含み損を入れると大体3,400億円のマイナスだというふうにたしか発表されておられる。ところが、10月28日に特別公的管理になったときにはいきなりそのマイナスが2兆6,535億円と、3,400億円のマイナスから1カ月足らずで2兆3,000億円ふえてしまっているわけでございます。

これは、多分公表資料だからそのとおりだと思うんですが、そうするとなるたけ速やかに検査結果を出していただかないといろいろと不測の事態も出るんじゃないかなというふうに思っております。

質問は、なぜ昨年9月末見込みの資産査定の結果と株価算定時の額がこれだけ大きく違っているのか、この点についてお答えいただければと思います。

森 昭治氏(政府委員)

お答え申し上げます。日長銀あるいは日債銀の国有化の際の公告時における債務超過額というものを株価算定委員会で算定いたしまして公表しておるわけでございまして、その数字は今、先生のおっしゃられた数字でございます。

なぜそのように大きくなったかということでございますけれども、それはあくまで公告時の日長銀の資産、負債を日長銀が清算されたものということで評価したものでございます。検査結果はゴーイングコンサーンベースで計算しておりますので、おのずから清算ベースということになりますと、日長銀の融資継続によって生きていた企業向けの債権、資産も相当劣化いたしますので、例えばそういうこともございまして評価額が大幅に減少して債務超過額も大幅に増加したものと、このように認識しております。

浅尾 慶一郎

ゴーイングコンサーンベースと清算ベースで若干価額が違うというのは確かにおっしゃるとおりかもしれませんが、それにしても2兆3,000億円というのは非常に大きな違いなのではないか。経済情勢が変わったということももちろんあろうかと思います。

その観点から、先般もちょっと御質問させていただいたんですが、伺わせていただきたいと思います。

そうだとすると、-3,000億円から-2兆6,000億円になるということは、逆に短期間でもしかしたらプラスになることもあるかもしれない、マイナスがもっと大きくなることももちろんあるかもしれないということだと思います。

だとすると、きょうの日経新聞にも柳沢再生委員長のお話として、長銀の売却に際してはロスシェアリングというのは法律上できない、そのとおりだと思います。できないということでございますけれども、この間も実は申し上げましたが、短期間で非常に大きく動くということを考えた場合には、もしかしたらこの長銀には間に合わないかもしれませんが、ロスシェアリングということを考えた方が、日本全体の最終的に使われる費用ということを勘案すると少なくなるのではないか。もう一回別の観点から言いますと、短期間で-3,000億円から-2兆6,000億円になるということは、逆に言えば上向きになった場合には-2兆6,000億円から+2兆円ぐらいになることもあるかもしれないと。最初からそれを想定して引き当てを多く積むというような報道でございました。

それよりも、ロスシェアリングということを考えられないかということを先般も申し上げさせていただいたんですが、それは法律上できないということでございます。新しく仮にその立法措置をとった場合に、どういうメリット、デメリットがあろうかという御所見を再生委員長に伺えればと思います。

柳沢 伯夫氏(国務大臣)

重ねて浅尾委員からロスシェアリングに対する私どもの所感というか、そういうものについてお尋ねがございました。

先生は非常に金融の専門家で、そういう専門家の見地からいって、譲渡のときにすべてを決めてしまうというよりも、譲渡後において不測のいわば資産の劣化が起こったときに、そのロスを事後的に売った側と受け取った側との間でシェアをし合うというような仕組み、こういう仕組みを考えたらどうかということでございます。

これは先生も、また各委員の先生方も御案内のとおりでございまして、アメリカにおきまして不良債権の処理あるいは破綻金融機関の処理の際に、当時のRTCがいろいろな試行錯誤の結果、どうも国民負担を一番安上がりにするという方式としてたどり着いたのがこのロスシェアリングの方式であるということのようでございます。

私も、RTCの前理事長のシードマンさんという方が私を尋ねてくださいまして、直接その方からいろんな御経験を含めてお聞きしました。そのときにもちょっとばかり、2,3御質疑というか我々の見解を申させていただいたんですが、どうもシードマンさんの考え方を聞いておりますと、アメリカの場合、融資がいろいろセグメントに分けられる、部分部分に切り分けられる性格を持つと。あえてプロジェクトファイナンスがすべてを覆っているとは言わないけれども、そこに日本の融資の仕方、つまり対人的な融資の仕方、企業なら企業、個人なら個人というものを丸ごと金融的に面倒を見るというやり方と非常に違ったやり方が基礎にあるような気がするわけでございます。

例えばの話、では譲渡後に継続融資が行われた、それで不幸にしてその後いろいろな不都合が生じて損失が生じたという場合に、譲渡後における受け皿金融機関のある種の融資の責任というものを追及すべき話なのか、あるいはさかのぼっていわば破綻銀行が責任を負うべき話なのかということの区分けというものを一体はっきり帰属させるということができるんだろうかということを実は問題にしたわけでございます。

シードマンさんの答えは非常にあっさりしておって、それは区分経理していなきゃだめだよという話で、区分経理してあれば責任は追及できるというか、さかのぼれるというようなお話でございましたけれども、そんな帳簿上の区分経理だけでそういう責任問題が解決するとは到底考えられないわけです。やはり、そういうことができるというその基礎にはプロジェクトファイナンス的な考え方があって、この部分はもう前の破綻金融機関の金融の延長線の上で起こった損失である、この部分は新たに融資判断がされてその判断のもとで起こった損失であるというようなことが本当にうまく区分けできるだろうかということについては相変わらずの疑問として残ったということでございます。

そういうようなことで、私どもとしてはロスシェアリングの制度を入れればすべてが快刀乱麻を断つようにうまく物事が解決できるかといえば、必ずしもそうではないと思っております。

ただ、先生のせっかくのお申し出というか御提案でございますけれども、私どもとしても、再生法の枠の中にいろいろなオプションというか選択肢がある方が事が処理しやすいという面もあろうかと思いますので、どういう法文にすればいいか、法文はとっかかりだけをつくっていただいてあとは行政の実務に任せていただくというしかないかな、それを受けての行政の運用というのもなかなか難しいなとは思いつつも、そういう選択肢をもしつくっていただくならば、それはそれでまた適切に運用に当たらせていただきたい、こんなふうに今当座考えておるということでございます。

浅尾 慶一郎

柳沢国務大臣の御説明はよくわかるんですが、そもそも金融再生法におきましては、受け皿金融機関あるいは特別公的管理となった金融機関が引き継ぐべき資産として資産判定をするということは私が申すまでもありませんが、それで適とされた資産というものしか本来は残っていないはずであります。

ですから、金融再生法はもともと特別公的管理になった銀行が将来損失が出るような資産を抱えていないことを本当は想定しているはずだと思います。また、資産判定基準についても、そのような観点から2年間で正常となるもののみ引き継がれるというふうに多分大まかな基準をつくられたんだと思います。それでも少し残るでしょうと、残るものについてあらかじめ大きな引当金をお土産として積んで渡すよりかは、ロスシェアリングという形にしておいた方が少ないんではないか。確かにおっしゃるとおり、継続的な融資があって、それは継続的な融資のもとをつくった人がいけないのか、それともそこと引き続き取引をしてしまった新しい経営陣がいけないのかというのは難しいところだと思いますけれども、ぜひその点を御検討いただきたいというふうに思います。

ということを申し上げさせていただきまして、次に資産判定の話に移らせていただきたいと思います。

新聞報道によれば、引当金を多く積んでということを考えておられる、積み増してということを考えておられるということでございますが、先ほど申し上げましたように、もともと正常なものしか本来は残っていないはずであります。にもかかわらず、交渉の相手方からここはちょっと彼らの判断で心配だから引当金を多く積んでくれということがあるのかもしれませんが、その方向で進んでおるようにも書いております。

そこで伺わせていただきたいのは、先般は基準については別途公表していただくということでございましたが、仮に引当金を多く積んでお土産の資金を多くつけて、いいことなんですけれども、損失が発生しなかった場合には、それは返していただけるんでしょうか。ちょっとその点を伺わせていただきたいんです。

柳沢 伯夫氏(国務大臣)

ここは誤解のないように私から申させていただきたいのでございますけれども、引当金というものは、これはもう今回も金融検査マニュアルが出ましたし、それと平仄を合わせるような形で公認会計士協会の方から実務指針が出たと。この基準に基づいて、先生つとに御存じの、要すれば一般に公正妥当と認められる会計基準というものに乗っかって会計が行われるというところからお互いの信頼が生まれてくるというわけでありまして、仮に今回の株式の処分あるいは営業の譲渡というような再生法の枠の中における最終的な処理に当たってもあくまでもこの基準にのっとっての話でなければならないということであって、今、先生のお話にありましたようなお土産的な理屈の通らない引当金を積み上げるというようなことはしてはならないことだということを私ども考えておりまして、その点はまず御理解を賜っておきたい、このように思います。

それでは、なぜそういうことが言われるかということでございますけれども、結局において、私ども資産の判定というものをやらせていただきまして、その資産判定基準というものは先般国会に御報告させていただきました再生法5条の報告の中にも私どもの基準というものがしっかりと掲げられておりまして、そこをごらんになっていただければもう一目瞭然でございます。ただ、やはりどうしてもいろいろな特殊な事情というようなものを勘案して判定するという面もこれは避けられない。世の中のことがすべて区分けできればいいわけですが、どちらかというとスペクトルのように連続しておるものですから、そこのところはどうしても境界線のところではかなりいろんなことを配慮しなければならない。そういう中には、金融健全化法の第3条でございますけれども、「社会経済的な費用が最小」と、こういうことが入っております。再生法の方は費用が最小ということで、社会経済的なという言葉が入っていない。それに対して健全化法は社会経済的な費用を最小にするというようなことで、そのニュアンスが私どもはかなり重いものとして受けとめさせていただいておりまして、そういう考え方に基づいて資産の判定にも当たったということでございます。

こう申すことは、別に非常に不健全なところまで適としたということを決して申しているわけではありませんが、世の中のことというのはなかなか、連続的にいろいろな事情が積み重なった企業がずっと並んでいるわけでございまして、どこで線を引くかということについては、やはり率直に言って今言ったような社会経済的な配慮というものもせざるを得ない面もある、こういうことでございます。

そうはいいましても、受け皿銀行の側でこれはちょっと我々は買うことはできないというそういう選択の自由は彼らは持っているわけでありまして、これから私どもとの間で、あるいは直接長銀との間での協議ということにゆだねられて、最終的な譲渡の資産の額あるいは対象というものは決まっていく、このように考えております。

浅尾 慶一郎

再生委員長がおっしゃりたいことは何となくわかるんです。その中で、先ほどちょっと御質問させていただいて、過剰な引き当ての積み立てはしませんということでございますが、仮にロスシェアリングということはできないということになった場合に、何らかの形で逆ロスシェアリングというか、引当金を最初は多く積んでも返してもらえるような契約というのは考えられないのかどうか、その点だけちょっと、簡単で結構ですから。

森 昭治氏(政府委員)

引当金を積むことにつきましては、今、大臣が御答弁なされましたとおり、受け渡し時における資産の劣化状況をもう一度買い手側がデューデリジェンスを行い、その査定の結果をまた長銀側が公認会計士等を使って再査定を行い、両者が合致したところでその資産の劣化度合いというものが決まり、それにつきまして公認会計士協会の実務指針に従いましてきちんとした引き当てを行う、それ以上の引き当てはできませんということを大臣が申し上げたわけでございます。それを今、先生がおっしゃいますように少し多目に積んでおいて後で何もなければ返してもらうという、それも1つの政策論としてはあり得えるかと思いますけれども、現在の再生法の枠組みの中ではなかなか難しいことかなと。

いずれにいたしましても、先生の御示唆は検討させていただきます。

浅尾 慶一郎

多目に積んでということではなくて、さっき申し上げましたように本来いい資産しか残っていないはずなんで、余りこれから多目に積めなくなってしまうということだと思います。ですから、そもそも引当金を追加で積むこと自体が考え方からすればおかしいということだと思います。にもかかわらず、多分、柳沢委員長は多少そういうこともあろうかと、すごく要約すればそういうことをおっしゃったんだと思います。だとすれば、その仕組みを考えられたらどうですかということを申し上げた次第でございます。

時間の関係で最後の質問に移ります。

長銀、日債銀について、当初、税効果会計を導入してゴーイングコンサーンで考えると、少し資産、資本の部分が厚くなるという議論がございました。ところが、清算ベースで見ますから税効果会計は考えませんということでございましたが、法人格としてはもちろん残っていますし、納税主体としても当然残っておるわけでございますから、今度、売却をしたときにはかなりの税効果の戻り益というものが、本体そのままで売却した場合には残るんだと思います。

質問は、そうではなくて、いろいろな手法の中で、法人格ではなくて営業譲渡という形をとった場合に税効果会計の戻りの税の部分を引き継げるのかどうかということを、これは税の関係でございますので、引き継げるのかどうかということを大蔵大臣にちょっと伺わせていただきたいと思います。

宮澤 喜一氏(国務大臣)

御質問を正解しておりますかどうかわかりませんが、基本的に税効果会計というものは適用できるものである、私はそう思います。

浅尾 慶一郎

質問は、その営業譲渡、別の法人が営業権を引き継いだ場合です。

福田 誠氏(政府委員)

今、大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、受け皿企業の方で再度有税引き当て等を行いますと、それについて新しい受け皿企業としての課税関係から税効果会計が適用されるということでございますので、現行制度でもそういうことだと存じます。

勝木 健司氏(委員長)

時間ですから短くお願いします。

浅尾 慶一郎

ちょっと質問が御理解いただけなかったのかもしれないので、簡単で結構なんですが、過去の税効果部分が受け皿企業に引き継がれるかどうかということなんです。

福田 誠氏(政府委員)

そのような趣旨でお答えしたつもりでございますが、繰り返しになりますけれども、受け皿企業が引き継いだ資産につきまして適正な有税引き当てを行っていくわけでございますから、その受け皿企業の将来の収益等々の見通しをもとに新しい課税関係が起き、合理的な根拠があれば、そこで税効果会計が適用されるということでございます。

浅尾 慶一郎

終わります。



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