- 浅尾 慶一郎
私は金融関係のことを中心に伺わさせていただきます。
先ほど相沢委員長の御答弁の中に、金融再生法の改正の是非について、後から考えてみれば問題がないわけではないということをおっしゃって、それで今改正を考えておるというふうにおっしゃっておられましたが、先般も申し上げましたのできょうは質問としては申し上げませんが、昨年も改正をされたらどうですかということを申し上げておったわけでございますから、それは御発言としては余り適切ではないのではないかなというふうに思います。
そしてまた、再生法の中にロスシェアというものが入っていないということなので瑕疵担保というふうにおっしゃいましたが、瑕疵担保というものも御案内のとおり再生法で規定されておるわけではございません。
きょうは法務省の方お越しでございますが、私の理解では、そもそも瑕疵担保というのは事前に損失分担が決まっていない場合の一つの考え方ということでございますから、まず1点目、事前にその損失分担を決めることは私人間で可能でございますね。
- 小池 信行氏(政府参考人)
御指摘の瑕疵担保に関する規定は民法570条でございますが、これはいわゆる任意規定でございますので、瑕疵担保責任に関しまして当事者間で特約があれば、それに従うということになります。
- 浅尾 慶一郎
そういたしますと、瑕疵担保で戻ってくるという形、契約解除という形、解除権の発生という形ではなくて、瑕疵があった場合に損害賠償を当事者間で事前に規定するということも当然可能であるわけでございますね。
- 小池 信行氏(政府参考人)
御指摘のとおりでございます。
- 浅尾 慶一郎
それでは再生委員長にお伺いいたします。
今、法務省の方から御答弁いただきましたが、実はロスシェアという考え方を民法の法理に従ってもできたわけでございます。すなわち、瑕疵があった場合に、事前に売買の当事者間で損失分担を決めておけばロスシェアができたわけでございますが、なぜそういうふうにされなかったんですか。
- 相沢 英之氏(国務大臣)
民法の570条の規定に基づいての先ほどの答弁であったと思いますが、この民法の570条におきましては、契約の解除または損害賠償といういずれかが選択されることになっております。
ただ、ロスシェアリングに関しましては、これは御案内のように住専法の規定ではそのことが明示されておりましたが、一昨年の金融国会において成立いたしました金融再生法においては規定がございません。それから、先のことでありますけれども、来年4月から施行されるところの改正預保法におきましてはこのことの規定がされております。そういった関係がありますから、言うなれば反対解釈といたしまして、ロスシェアリングは法律上の規定がなくても可能であるというふうに解釈することは無理ではないかというふうに思ったのであります。
それでは、法律上の規定がなくてもロスシェアリングの考え方を契約の中身に織り込んでおくことが可能かどうかということにつきましても当時事務局において検討が行われましたけれども、今申し上げましたように、それは法理上なかなか難しいという結論に達したというふうに聞いております。
- 浅尾 慶一郎
今、法務省の方から御答弁いただきましたが、事前に規定がなくても、民法の瑕疵担保、当然委員長も御存じだと思いますが、契約解除か損害賠償という形になっておりまして、今御答弁いただいたように、私人間でロスシェアリングということができるということでございまして、瑕疵担保という形で債権が丸々戻ってくるということは再生法に規定がなくてもできるが、債権のうちの損失部分の一定割合をシェアしましょうということは再生法に規定がない場合できないという根拠が今の御答弁だとちょっとよくわからないんですが、御答弁いただけますでしょうか。
- 相沢 英之氏(国務大臣)
繰り返しになって恐縮でありますが、住専法の際にはそのことについて明文の規定がございました。ところが、この金融再生法においてはその規定がありませんでした。その反対解釈としても、ロスシェアリングを、法律上許されるものという解釈がとれなかったわけであります。
- 浅尾 慶一郎
これ以上お聞きしても同じ御答弁になるんだと思いますが、私が申し上げたいのは、すなわち瑕疵担保というものも法律に規定されていないと。瑕疵担保をとった場合に、契約で貸出債権がそのまま国に戻ってくるという考え方も一つあるし、瑕疵があった場合に、事前に、例えば2対8の割合でその損害、損失について損失分担をしましょうということが当然できる。これは当然私人間でありますからできるわけでありまして、法律に規定がないことを、いずれにしても瑕疵担保という形で戻ってくるということを既にやっておるわけでありますから。そうだとすると、ロスシェアということも合理的にできたのではないかなということを申し上げておるわけでございます。
多分同じ御答弁になるからこのことを聞いても仕方がないと思いますが、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。
そして、そもそもロスシェアを盛り込まないということを、昨年聞いた段階では、当時の柳沢委員長は、ロスシェアということではなくて、資産判定ということをしっかりやるから盛り込みませんよという御答弁でございました。
しかしながら、後々よく見てみますと、いろいろと資産判定、せっかく再生委員会さんは非常にいい基準をつくられましたが、その基準にどうも例外を多く設けられまして、基準どおりにいけば不適資産というものもかなり長銀ないし日債銀に引き継がれておるということが現実に明らかになっておりまして、そごうについてもそのことが恐らく言えるのではないかなというふうに思います。
その個別の事情を見ていきますと、具体的な企業名を言うというのはなかなか難しいのかもしれませんが、ある業界の企業の中で、どうも私が見ておりますと、客観的にその業界の人に聞くと、どちらも大変業況は厳しいんだけれども、比較的いいのではないかというところが現実には整理回収機構に行き、そしてやや厳しいというところが残っておるという例がございます。
それはなぜ残っておるかというと、その残っておった理由のところを見ますと、例えばメーンの支援が強固であるとか、あるいは再建の可能性を否定できずと書いてあるんですが、そのもろもろのケースを見てまいりますと、例えば日債銀のケースでいいますと、日債銀がメーンのところはどうも整理回収機構に行っている可能性が強くて、そうでなくてその後にくっついていっているところで見ると、今のまま引き継ぐべき資産として残っておるということがあるわけでございます。
お伺いしたいのは、この資産判定の中で、せっかく客観的基準をつくられた後で、特別の事情ということで幾つか、今申し上げましたメーンの支援が強固とか、再建の可能性を否定できずということが書いてあるんですが、これはどの程度一生懸命審議をされて決められたものなんですか。これはなかなかお答えづらいと思いますが、ちょっとお答えいただければと思います。
- 相沢 英之氏(国務大臣)
おっしゃるように、日債銀の債務先につきまして、それが適であるか否かの判定については、単にその時期におけるところの当該債務先の経理状況、経営状況というものだけで判定をするのではないのでありまして、その判定に際しましては、債務者の特殊事情、今先生がお挙げになりました事項ですね、特許があるとかあるいは強力な保証のバックがあるとか、いろいろとそういう特殊な事情がありまして将来の収益やあるいは債務の履行の確保が可能だと、そしてそれがしかも合理的であるというふうに判定される場合については、これは適という判定をいたしておりますし、そうでない場合は適とは認めがたいということになっているわけであります。
一々の事業につきまして、じゃどういう理由によってそういうふうに決めたのかというふうな御質問であるとすると、それはなかなかお答えしかねる問題であろうと思いますが、そういうような事情で判定をして、その判定については私は決して間違っていなかったというふうに思っております。
- 浅尾 慶一郎
例えば、メーンの支援が強固であるという基準も一つございますが、もちろんメーンは自分の貸出先の範囲内においては強固でしょうけれども、今度引き継がれた後、引き継がれた部分も含めて肩がわりをしてくれるというのはなかなか考えられないと思うんですが、引き継いだ資産について、そこの部分も含めて肩がわりしてくれる可能性を若干加味されて入れられたんでしょうか。
- 森 昭治氏(政府参考人)
お答え申し上げます。
ただいま先生が御指摘されたようなケースでございますれば、メーンバンクの強固な支援ということで、日長銀なりあるいは日債銀を通して将来の支援についての考え方を十分に聞いた上、強固な支援ありということが再生委員会に報告されてきまして、それなりに合理性が認められれば、それを先ほど大臣が御指摘された告示の条項に従って適としたわけでございまして、今先生御指摘のように、将来何かあった場合の肩がわりというところまで求めたというわけではございません。
- 浅尾 慶一郎
今御答弁いただいて大体わかったんですが、そごうの例を出させていただきますと、それは恐らくメーンは支援をしますが、しかしながら、当然、長銀もメーンであったわけでございまして、そこの部分も含めてということがなかなかできないし、すなわち長銀にも応分の負担を求めようとして債権放棄ということになった結果、今回国に戻ってきて大変な問題になったということが私は本質だったんではないかなというふうに思いまして、そうだとすると、当初の御判断のときは確かにメーン支援強固というのは大事な側面だったと思いますが、それが、いろんな当事者がおるものですから、機能するのが難しかったのかなというふうに思っておりますということを指摘させていただきたいと思います。
そして、時間の関係で次に移らせていただきたいと思いますが、今回、長銀、日債銀が譲渡されて、3年3カ月ですか、瑕疵担保特約の期間があるわけでございますが、どうも契約をよく読みますと、3年3カ月後に場合によっては定性要件を満たして大量に債権が戻ってくるような可能性が否定できないわけでございますが、仮に戻ってきた場合に、そのときはもう再生法もないわけでございまして、どの勘定でその処理をされるのか、その点だけ簡潔にお答えいただけますか。
- 森 昭治氏(政府参考人)
お答え申し上げます。
その場合は、金融再生法自体は効力を失っておりません。ただ、何か銀行が破綻した場合の根拠法として金融再生法は使えなくて預保法を使うだけでございまして、かつての金融再生法で破綻した銀行の処理は引き続き金融再生法でされるわけでございまして、ただいま先生の御質問に直に答えるならば、金融再生勘定から出ることになります。
- 浅尾 慶一郎
そういたしますと、予算的には、大蔵大臣もお越しでございますが、交付国債の7兆円でございましたか、これはもう既に使い切ってしまっておるということだと思いますので、仮に大幅に戻ってきた場合にはさらに、政府保証はついておるんだと思いますが、それを切りかえることが必要になってくる可能性は否定できないという理解でよろしゅうございますか。
- 森 昭治氏(政府参考人)
お答え申し上げます。
先生御指摘の特例業務勘定七兆あるいは13兆の世界と申しますのは、あくまで破綻時点におけるロスを埋める勘定でございまして、先生御指摘の今のケースでいえば、国有化中のいわば損得の問題でございますので金融再生勘定で処理すると申し上げたわけでございまして、交付国債から埋められるという問題とは違いまして、あくまで再生勘定、政府保証のついた再生勘定。その中には大量の株も入っておりますので、もし株が値上がりすれば益も出てくるわけでございまして、そういうところで相殺し合ってのしりが出てくるということかと思います。
- 浅尾 慶一郎
時間の関係で最後にさせていただきますが、そうすると、今のところ、仮にそういうことが発生した場合に、値上がり益に期待するところもあるが、確たる財源はないという理解だと思います。
最後の質問というのは、先般の衆議院の大蔵委員会におきまして森事務局長が、長銀の売却の際の政府側のアドバイザーとしてゴールドマン・サックスがいて、そして今度、日債銀の買収のソフトバンク側のアドバイザーとしてゴールドマン・サックスが今度は買い手側になった。ただし、ゴールドマン・サックスといっても大きいからいろんな人がいて、それはちゃんとファイアウオールがあるんだということでございましたが、では、その点について伺いますが、ゴールドマン・サックスの東京支店で金融機関のM&Aに従事している人は何人であるかということ、そして、そのM&Aの代表者はどなたですかということをお伺いしたいと思います。
- 相沢 英之氏(国務大臣)
ゴールドマン・サックスにつきましては、ゴールドマン・サックスの証券会社に照会いたしましたところ、ゴールドマン・サックス証券会社東京支店の投資銀行部門の責任者は、同支店長のマネージングディレクターの持田昌典氏でございます。
なお、ゴールドマン・サックスの業務につきましては、M&A業務は投資銀行部門全体でやっておりまして、大体その人数は60名ないし70名、そのうち金融機関のM&Aに従事している者は4、50名というふうにお聞きをいたしております。
- 浅尾 慶一郎
時間が参りましたので終わります。